私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

ホンジュラス、エチオピア

2021-12-10 21:50:22 | 日記・エッセイ・コラム

 山椒魚さんから

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「マスコミにのらない海外記事」というブログに、ホンジュラスに関するWSWS.orgの記事が載っていましたが、シオラマ・カストロについてのWSWS.orgの見方は懐疑的なような内容のように見受けられました。

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というコメントを頂きました。引用されている『マスコミにのらない海外記事』

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2021/12/post-518bf1.html

の後にも、WSWS.ORGの主筆ビル・ヴァン・アウケンはシオラマ・カストロ新政権が米国の意向に沿って台湾政府との関係をこれまで通り維持することを表明したことを取り上げて、新政権の弱腰を、むしろ体質的なものとして、手厳しく批判しています:

https://www.wsws.org/en/articles/2021/12/07/hond-d07.html

この記事の後半には次のような文章があります:

The capitulation of Xiomara Castro to Washington’s pressure campaign to continue Honduran recognition of the regime on Taiwan is the clearest indication that her government will represent no break from the century-old subordination of Honduras to US imperialism.

It is likewise a damning refutation of pseudo-left elements attempting to cast her election as a victory for the workers and oppressed of Honduras, chief among them Jacobin magazine, the semi-official organ of the Democratic Socialists of America (DSA).

In a December 3 article, Jacobin proclaimed the Honduran election “a defeat for the US.” Describing Castro as a “socialist,” it declared her win part of a “dramatic change currently sweeping Latin America,” citing the recent election of Pedro Castillo in Peru.

This is a deliberate falsification. Castro’s victory was no “defeat” for the US. Washington directly intervened to prevent the rightist Hernández regime stealing the election as it did four years ago. Hernández, whose brother was sentenced to life in prison in the US for drug trafficking, had become a serious liability for US interests.

山椒魚さんもご指摘のように、今回のホンジュラス政変に対する私の期待は甘すぎるのでしょう。

『マスコミにのらない海外記事』と同様に、WSWS.ORGも私がほぼ毎日訪れるサイトでアウケン氏も私が頼りにしている論客の一人です。このサイトの馴染み客として私は古株に属するだろうと思います。私はこの数十年間トーマス・クーンという米国の科学哲学者に興味を持ち続けていまして、このブログ『私の闇の奥』の他に『トーマス・クーン解体新書』というブログも時々書いていますが、丁度10年前ほどにこの政治的なサイトWSWS.ORGでクーンのことが取り上げられてびっくりした事がありました:

https://www.wsws.org/en/articles/2011/10/kuhn-o28.html

 前回、私が訳出したシオラマ・カストロ・デ・セラヤ関係の記事は、これまた私の贔屓のウエブサイトの一つ:

https://libya360.wordpress.com

から取ったもので、少し脇が甘い傾きがあるかもしれません。しかし、このサイトに出る記事には、人間世界の将来に希望を持たせてくれるようなものが多いように私には思われます。この世での持ち時間が少なくなったせいか、人間について絶望ではなく、何か明るい希望のようなものを持ちたい気持ちがこの日頃とりわけ強くなってくるような感じです。それが物事をやや皮相的に捉える傾きをもたらしているのかも知れません。先日(2021年11月8日)のこのブログの記事「エチオピアとエリトリアが危ない」ではエチオピアのアビイ・アハメド首相とエリトリアのイサイアス・アフェウェルキ大統領の側に立つ発言をしましたが、『マスコミにのらない海外記事』に訳出されたF. William Engdahl 氏の記事「エチオピア・ティグレ戦争で利益を得るのは誰か」(12月5日)を読むと、私の判断は偏向しているのかもと思わざるを得ません。エングダール氏も常々教えられるところの多い論客です。しかし、上に述べた理由から、私はやはりウェブサイトhttps://libya360.wordpress.comの記事の方に心を惹かれます。このサイトの記事によると、エチオピアの首都アディスアベバに迫る勢いを示していたティグレ(TPLF)軍の進撃は阻止されて形勢は逆転しているようです。次の3つの記事を見て下さい。

https://libya360.wordpress.com/2021/11/13/tplfs-war-on-ethiopian-government-a-us-eu-ploy-to-thwart-cooperation-in-the-horn-of-africa/

https://libya360.wordpress.com/2021/12/07/civil-war-in-northern-ethiopia-turns-in-favor-of-federal-government-reversing-last-months-advances-by-tplf/

https://libya360.wordpress.com/2021/12/09/ethiopans-march-against-tplf-and-us-intervention-in-their-country/

2番目の記事にはエチオピアに対する米国の干渉に抗議する#NoMore 運動のことが詳しく出ています。その終わり近くには、東京でも12月6日にデモが行われたと報じられています。驚きました。

3番目の12月9日の記事は短いので訳出します:

「アディスアベバに住む数千人のティグレ人が、連邦政府を支持し、米国が支援するティグレ人民解放戦線(TPLF)に反対する集会を開催した。デモ参加者は、“ティグレ人とTPLFは同じではない”というスローガンを掲げ、エチオピア政府にティグレ人をTPLFから解放することを求めた。世界的に、エチオピアのディアスポラ(国外移住者)を中心とした#NoMore運動の拡大により、米国の介入に対する抵抗が高まっている。」

なお、この記事には3分ほどのYouTube 動画がありますので是非ご覧ください。

 

藤永茂(2021年12月10日)