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生きること:過去と未来とエスペラントと

カンボジア開発:国境を超えるダム被害、その後(2)

2011-10-05 07:36:34 | 平和

 みなさま

カンボジア・ラタナキリ州では13の民族が農業と川での漁業を中心とした生活を
送ってきました。前回お伝えしたように、その暮らしは国境を越えたベトナムの
ダムの影響を受け、困窮しています。
また、この地域では、ベトナムの投資による下流セサン2水力発電ダムの計画が
着々と進んでおり、移転地の問題やさらなる環境被害などが懸念され、村人を不
安に陥れています。引き続き、2011年7月にフォンサイ郡PコミューンのF村を訪
問し、お話を伺った報告をお届けします。

人々の暮らしとこの地域のダム開発の詳しい状況については、ネット上で無料公
開している冊子、「水の声:ダムが脅かす村びとのいのちと暮らし」をご覧くだ
さい。

■水質汚染

ダムからの水は建設初期、貯水池にたまった有機物が腐敗するため、非常に水質
が悪くなります。また、熱帯での水の停滞は水温の上昇や水中の酸素不足を招き
ます。さらに、藻類の影響とみられる皮膚病も発生します。これは、タイのパク
ムンダム、ラオスのナムトゥン2ダムなどでも確認されている現象です。

PコミューンにはF村、P村の2村があり、522世帯、2366人居住しています。F村で
は、河岸の崩落で家屋が危険になったことや河岸の畑が失われたため、20世帯以
上が3キロほど離れたところに家を移しました。以前は川の水を生活用水に使っ
ていましたが、今は援助機関の掘った井戸に頼っています。村人は、約30の井戸
は人口に比べ少なすぎると言います。援助の入っていない他の村の一部は、村の
資金では井戸が作れず、水質の悪化した川の水を生活用水に利用し、乾季には皮
膚病が発生しています。

■奪われる土地

村人は新たな問題に直面しています。下流セサン2ダムの建設問題です。建設さ
れると村は水没し、移転を強いられます。しかし、移転地は付近にはありませ
ん。ベトナムや中国の企業が、村の周囲1000ヘクタール以上の土地で、99年間の
土地の賃貸契約を獲得しているからです。これは、村人の反対にあったにもかか
わらず、村長やコミューン長が勝手に了解してしまったといいます。人々は村の
周りの土地の所有権が変わっていることを、2年前に知ったといいます。この土
地はもともと、次世代に分配するために村人が共有地として確保しておいたもの
です。土地には3年前からゴム植林が行われています。F村のヌピットさん(55
歳、男性)は、「昔のように食べるのに困らない生活に戻りたい、(ダムの)反
対運動などしなくて済む生活がいい」と言います。

しかし、村人の願いとは裏腹に、下記の通り建設計画は着々と進んでいます。

http://www.mekongwatch.org/resource/news/20110215_01.html

この報道によると、国営ベトナム電力会社(EVN)の小会社であるEVNインター
ショナルが、ベトナム政府からカンボジア水力発電セクターにおける過去最大級
の投資案件を進める許可を取り付けたとされています。

(文責/木口由香 メコン・ウォッチ)

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メコン河開発メールニュース
発行:特定非営利活動法人メコン・ウォッチ
E-mail: info@mekongwatch.org
Website: http://www.mekongwatch.org/


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