glimi

生きること:過去と未来とエスペラントと

原発の拡散を防ぎたい

2011-09-11 09:16:43 | 平和

 ラオスのエスぺランティストから次のメールが転送されてきました。以前タイが自国の住民運動の及ばないメコン川の対岸のラオス側に発電所を建設しようとしているニュースをもらった事があります。どこに発電所を建設するにせよ原発で苦しんでいる日本が他国に原発を輸出するとしたら…?

 私たちはこの恐怖を輸出してはならないと思うのです。そんなわけで全文ブログに載せます。できれば日本政府への国際署名もお願いします。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

みなさま

タイでは先月、新しい政権が誕生しました。新政権を担うタイ貢献党(プアタイ
党)は福島第一原発の事故を受け、選挙前は原子力発電導入を否定していました
が、水面下では原発導入を進めている模様です。メディアの報道は、以下の記事
にありますように、その水面下の動きに注目するか否かで論調が大きく分かれて
います。一方、市民側の運動は政府の動きを警戒し活発化しています。

メコン・ウォッチは7月、アジアの原発輸出の問題を考えるセミナーを共催しま
した。
http://www.mekongwatch.org/events/lecture01/20110731.html

下記の記事に発言が取り上げられたソッサイ・サンソークさんも講師として登壇
いただきました。アジア各国からの講師は、下記の記事にあるノーニュークス・
アジア・フォーラムに参加し、福島や広島の経験を自国に伝える活動を強化して
います。日本政府は今のところ、自国での原子力政策の見直しと原発輸出推進は
別問題、という態度をとっています。私たちはこの原発輸出に強く反対していま
す。引き続き、メコン河流域の市民社会と協力し、日本政府が原発輸出政策を転
換するよう働きかけていきます。

これに関して、日本政府の政策転換を求める国際署名を集約中です。こちらにも
ぜひ、ご協力ください。
http://www.mekongwatch.org/resource/documents/rq_20110902.html

また、タイの原子力発電開発に関するページを立ち上げました。ご参照いただけ
れば幸いです。
http://www.mekongwatch.org/report/thailand/npp.html

***
タイ・エネルギー省、原発承認の必要性を強調
バンコクポスト紙
2011年8月10日

タイは、計画されている原子力発電所建設事業を進めるかどうかに関わらず、原
子力発電に関する国際協定の批准を急ごうとしてきた。

エネルギー省の副事務次官Kurujit Nakornthap氏は、昨日(8月9日)、「タイは
原子力発電に関する協定を承認する努力を急ぐ必要がある。協定は、原子力に関
する科学と健康面の開発を目指す国家の努力に有利に働くだろう」と語った。

Kurujit氏は、3月11日の地震とその結果発生した津波による日本の福島原子力エ
ネルギー省が主催したセミナーの約100人の参加者に対し、講演を行った。

Kurujit氏は、まず原子力安全協定と使用済燃料安全管理合同条約などの条約を
批准に失敗すれば、タイは原子力発電所を建設することはできないだろうと述べた。

これらの条約は、国際原子力機関(IAEA)の管轄下にある。

日本の事故以降、タイ政府(訳者注:前政権)は原子力発電所建設計画について
調査を行うように命じ、事業を3年間延期することを指示した。

2010年の電力発電計画では、タイは4つの原子力発電所を建設することになって
いた。(訳注:実際は5つの計画があった。)

「タイのエネルギー安全保障にとって、多くの選択肢はないのです」とKurujit
氏は言う。

「もし原子力発電が不要なのであれば、替わりに石炭や天然ガスを使わなければ
なりません。今、タイのエネルギーの70%は天然ガスによって作られています」

「もし[天然ガスの]価格が上がれば、私たちはエネルギー危機から逃れられな
いでしょう」とKurujit氏は続けた。

一方、原子力発電に反対するネットワークの代表者たちは、政府は原子力発電計
画を廃止すべきだと提案した。

原子力発電計画の実施責任者たちは、日本の人びとの生計に影響を与え、原子力
発電に対する世界的な反対運動を呼び起こした日本の原子力発電所の爆発から学
ばなければならない、とネットワークの代表者たちは言う。

ウボンラチャタニ県の反原発グループのソッサイ・サンソーク氏は、「私たちは
日本の過ちを繰り返したくないのです」と語った。

「私たちは自分の家に爆弾を作りたくはありません。私たちの国に原子力発電所
を建設しないために、できることは何でもします」と続けた。

ソッサイ氏は、ネットワークを代表し、7月29日から8月7日に日本で開催された
「ノーニュークス・アジア・フォーラム2011」に参加した。

彼女によれば、フォーラムの主催者たちは、日本政府に対し、全ての原子力発電
所を廃炉にし、新たな建設計画を破棄するように求めている。

---
原発の安全面の法制度は未整備
The Nation紙、Pongphon Sarnsamak記者
2011年8月10日

タイ政府は原子力発電所の運営を規制する安全面での法律をまだ公布していない
ため、原子力発電所建設の計画を進めるための準備が整っていない、とエネル
ギー省のKurujit Nakornthap副事務次官は述べた。

「タイ政府は、国際的な原子力機構の基準を満たすような、発電所建設のための
原子力の安全に関する法律をまだ承認していない」と副事務次官は語った。

Kurujit副事務次官は、エネルギー省が開催した「日本の福島原子力発電所事故
とタイの電力管理政策への影響」と題するパブリック・セミナーでスピーチを
行った。(同セミナーには)電力関係の様々な機関から約100人が参加した。

3月に起こった日本の福島原子力発電所の事故が起こってから、タイの政府は自
国の原子力発電所建設計画を3年間延期することを決定した。

タイ政府は、2030年までに天然ガスの資料を削減したいとしており、原子力発電
所を建設する計画は、天然ガスに替わるエネルギー生産を目指していた。

今後3年間、原子力発電所の運営の準備として、タイ政府は原子力発電所を運営
する技術と知識を伴った専門家を育成しなければならない、とKurujit副事務次
官は述べた。

「原子力発電所を操業するだけではなく、その運営を制御できる人材が必要だ」
と彼は言う。

さらに、政府は運営を監視する中立的な機関の設立が必要である。

「中立的な機関は、誰からも干渉を受けず、原子力発電の運営の安全性により注
意を払いながら運営されなければならない」と彼は述べた。

「原子力発電に反対するタイ市民のネットワーク」のコーディネーターを勤める
ソッサイ・サンソーク氏は、「ウボンラチャタニ県のシリントンダムに近い原子
力発電所建設予定地に暮らしている人々は、今、将来に不安を感じている」とい
う。「タイ発電公社(EGAT)は、政府が原子力発電所建設計画を延期したとして
も、引き続き職員を送り、計画について住民に説明している。」

ソッサイ氏とネットワークの仲間は、昨日のパブリック・セミナーに参加し、7
月29日から「ノーニュークス・アジア・フォーラム2011」と題する国際会議など
に参加したことなど、日本での経験を共有した。

彼女は、福島原子力発電所の事故で影響を受けた地元住民と対話し、多くの住民
が今も放射能汚染の二次的な影響を恐れていることを知ったという。

福島の住民の一人、大賀あや子さんによれば、日本政府は放射能(の危険性)に
ついて、彼女に警告することはなかったという。人々は、放射能汚染からどう
やって自分たちの身を守るかをメディアから学んだといい、(政府が作った)原
発事故への備えを説明したブックレットを持っていたが、事故が起きた際に、そ
れはほとんど役に立たなかったという。

(翻訳 東智美/メコン・ウォッチ 文責 メコン・ウォッチ)

--
メコン河開発メールニュース
発行:特定非営利活動法人メコン・ウォッチ
E-mail: info@mekongwatch.org
Website: http://www.mekongwatch.org/


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8 コメント

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ざっと読みしかしていなくて・・・ (街中の案山子)
2011-09-11 16:37:44
コメント書いてゴメン。
主旨は
「日本がタイに、原子力発電所を輸出しようとしている」ってことですか。
それを、「ラオス側に設置しようとしている」ということ?
よくわかりません。
最近、輸出の形態として、「インフラ設備として」の輸出形態が話題になっていますね。
よく話題になっているのか、①新幹線のシステムごとの受注。次に、②ベトナムやエジプトからの申入れがあるという原発の輸出。
今回の震災で原発が、管理能力を超えた場合の危険性が明らかになったので、②は、いくら日本の経済にプラスになるからといって、万一を考えると賛成できない、という心情が上回るのではないでしょうか。
リスクが多いことが明らかになっている原発を、隣の国に作るって、虫のいい話ですねー。
ラオスがそんな不利益なことを受け入れるなんて、水面下で、莫大なお金が動いていると勘ぐってしまいます。
ほんとうですか。
因みに、ラオスは水力発電で作った電気をタイに輸出して現金収入をえているとは聞いています。自分の国に電気の行き渡っていないところがあるのに。
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Unknown (glimi)
2011-09-12 13:38:56
渡井の記憶ではメコンウォッチという団体はメコン川流域の数カ国の住民の住民がメコンを守るために作った団体だったと思います。先日はたいのじゅうみんの反対を避けるためにタイの民間団体を経営母体にしてメコンをせき止めラオス側に発電所を作るろうとしているという事でした。

 今度は日本の援助を受けて原発を作ろうとしていた前政権の計画を凍結して選挙を戦った現政権が住水面下で原発建設をしようとしているので日本からの原発輸出を止めて欲しいというものです。タイにであれ、ラオスであれ原発建設は止めて欲しいと私も願います。
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聞いた話ですが、 (街中の案山子)
2011-09-12 14:14:12
ビエンチャンのメインはの中国側に使用権が渡っていて、ラオス政府は本当に自国の発展を考えているのかしら、と聞きました。中国もベトナムもタイも、経済的においしいところは侵入してきて、ラオス国民は搾取された形になってしまうの図でしょうか。こんな場合も、ラオス側も調印しているわけでしょうから、上層部の誰かは、おいしい思いをしているのでしょうね。
イタリアのベルルスコーニ大統領は、日本人ですら管理ができない原発は、とてもじゃないけれどイタリア人には無理だ、ということで、原発廃止を決めたそうですね。
きっと、管理能力のこともありますから、話は進展しないと思いますよ。
返信する
Unknown (glimi)
2011-09-13 08:15:54
ラオスはガソリンなどエネルギーをすべてタイに頼っているのでタイのいいなりだそうです。
 話はそれますが、ガソリンの値段は高く公務員給料では普通バイクのガソリン代で消えてしまうのではと思う程なのに家には1~2台バイクがあるとか・・・。公務員の給料の低さが賄賂要求の一因になっていると言う事でした。
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またまた、話を広げますが・・・ (街中の案山子)
2011-09-13 09:48:41
ラオスでは、高校に通学するためのバイクについては、遠距離のこともあるので、免許なしでも運転OKとのことです。通学に必要であるから、と安全よりも便利を優先しているのです。また、市中に出回っている運転免許書の半分は偽造免許書とも。
日本は富国強兵のためだったかも知れませんが、士官学校と師範学校に優秀な人材を集めようと、無償の教育をしたことは、その時代の人の知恵だったのでしょうね。
glimiさんのご両親が師範学校を出ていらっしゃるというのは、優秀で進歩的だったと想像できますもの。
ラオスで教師、といっても専業で食べていけないのですから、字を読めるだけで先生をやっている程度で、先生が尊敬される職業じゃないのでしょうかね~。大学入試も問題が事前に漏れている、とか聞くと、人材を正しく育てようとする意志すら怪しく、発展がラオス人のなかで、どんな形で沸き起こってくるのか、と考えてしまいます。
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穏やかであくせくしない!? (glimi)
2011-09-16 08:21:56
 昨日JAIKAのレポートにラオスの事が載っていると昨日同じ方が送ってくれました。長い長いレポートでした。一言でいえば資源はあるがまあ生活向上のためにあくせく働くなどと言う事はしないだろう。工場誘致しても労働力は集まらないだろう等々。多くの人は軍事政権に抑圧されているという感覚はなく、政府とは次元の違う所で生きているのかなと思いました。外国人が関係した時に問題が生じるけれど、井戸の中の蛙同様その中にいる時は‘まあいいさ’と素通りできるのかもしれません。
 昨日図書館でラオス語入門と言う本をみました。共著の一人が『ラオスの子ども』を立ちあげた女性でした。日本に住んでいたからできた事でしょうが、25年確実に事業を継続したとは凄いと素直に感じました。
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おっとり (街中の案山子)
2011-09-16 13:24:38
こんな話を聞いたことがあります。
ベトナム人が田植えをしていると、タイ人は何事だろうと、そばへ見に行く。
ラオス人は、なんだかやっているようだけれど思っても、それでおしまい。
そんな国民性らしいです。
ラオスにアメリカが作ったのか、凱旋門があるそうですね。ご覧になりましたか。私は写真で見ただけです。あの建造物を作るのに、材料が3倍だか5倍かかった、と聞きました。不思議に思うでしょう。材料がいつの間にか、誰かがもって行ってしまうらしく、追加しても追加しても減っていった、という話。
東南アジア諸国での国際スポーツ大会があり、各国回り持ちで開催するそうです。近年ラオスが担当になったのですが、開催間際になって、費用不足で準備が間に合わないから、資金を追加してくれ、と訴えたとか。出来なければ、追加を求めるって、どうしの話合いで決めているのに、そこをラオスは判っていない、とその人はぼやいていました。
25年ですが、私の少しかかわってきたNGOも同じ年数でした。思うのです。焼け野原になった東京で20年も経たずにオリンピック開催までこぎつけたって、凄い!と。
歳をとると,20年、30年という歳月がどういうものか、そんな捉え方ができるようになりますね。
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Unknown (gkimi)
2011-09-17 08:11:43
ビエンチャン観光に行ったわけではなかったのです毎日親族の誰かが半日あちこちに連れて行ってくれました。市内および近郊はすべて案内してくれたようです。凱旋門には驚きました。慰霊塔だそうです。頂上まで登って街を見下ろしました。その間向こうの親族は木陰に座ってじっと待っていました。良く登る元気があると言っていたそうですが、決していやな顔をしないのでした。こちらが向こうの習慣に反する事をしても決して本人の前で笑ったり非難したりしないのがラオス人だそうで、私を変な日本人と思ったかもしれません!
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