東京国際フォーラムで行われた試写会と出演者トークショーに行って来た。
「棚の隅」
原作:連城三紀彦
出演:大杉漣 内田量子 榊英雄 渡辺真起子
監督:門井肇
映画の解説についてはここ 大杉漣さん出演の経緯についての記事はここ
俺が行くきっかけとなったのは、「カリスマ映画論」の睦月さんのこの記事
ストーリー:
つぶれかけたおもちゃ屋を経営する大杉漣、よく出来た優しい妻(渡辺真起子)、可愛い息子。
そこへ大杉の元妻(内田量子)が現れる。ゆれ動く大杉のこころ、今つきあってる男性(榊英雄)との交際が今ひとつ前に進まない、そしてやはりゆれ動く元妻のこころ。二人のこころは果たして救われるのだろうか?
レビュー:
一言で言えば、全てが曖昧模糊としていて、よく言えば、「これは○○だ」と結論めいたことを何も描写しない、見る人に任せる映画。悪く言えば、全体的にキレが悪い。見方によってかなり異なると思う。
(評価すべき点):
・今の大杉の妻、渡辺真起子さんは演技、髪型からファッションに至るまで、この役に完璧にフィットしていた。
・ラジコンを飛ばすシーン、観覧車、お弁当を食べるシーンなど、記憶に残るシーンがあちこちにあった。
・チラシには「連城三紀彦原作X大杉漣主演で描く、”心情・深層の男女模様”」と書いてあったことに今、気づいた。そのような見方をすれば、確かに、台詞・映像と表面に出てこない、深い心理を「読む」と面白い映画であろう。
(気になった点)
①構図が常に同じ。人を画面に入れると、ほぼ必ずと言っていいほど真ん中に置く。これに何かの意味があるのかと思いながら見たが、特に何もなかったようだ。
②淡々と特にスリルもなくストーリーはゆるりと進む。このような映画の場合、集中して見ていなくてもいいので、写りこんでいるものに目が行ったり、考え事をしてしまったりする。淡々としているからこそ、一つの台詞の重さ、写りこんでいる物の意味。その辺にもう少しこだわって欲しいと思った。
③私見ながら、最大の見所は内田量子扮する元妻が、苦悩していたのに、ラスト近くになって、「赦し」てもらい、「解放」される所にあると思った。主人公は大杉漣ではなく、実は彼女なのではと。その彼女が吹っ切れた気分になったときに、「ああ、よかったね」と見ている人間が共感できるといい映画になると思うのだが、残念ながら、その「解放」の前に、彼女の苦悩してる部分の「ため」の描写が上手く伝わって来ないので、だから解き放たれた彼女の喜びに共感できない。
と言うような具合で、あまり高い評価を感じなかったのでレビューは書かないつもりだった。しかし、
上映終了後の大杉漣さんら出演者・監督のトークショーでの大杉漣さんの言葉を聴いて、レビュー書く気になった。
実は、全て終了した後、監督と話す機会があったので、構図の意味などについて聞いてみたりしたのだが、ただこれが自分のやり方というような答え。またプロデューサーと予算と興行収入など費用対効果の話し等をしたが、どうやら自信満々の作品らしい。また、監督の周りにいた人たちも絶賛べた褒めしていたので、どうやらいまひとつだと思ったのは俺くらいなのか?と思っていたら、
トークショーで大杉漣さんが、言葉の端々に
「出来上がったものを見て、色々言いたいことはあるんですが、これが現時点の最高の出来なのでしょう・・・」
「(正確な表現は失念したが)色々穴が多い映画ではありますが・・・」
と、この映画の出来に満足してはいないということを分かりにくい表現で伝えてくれていた。もしかすると監督含め関係者は出来に満足しているのかもしれないが、そう思っていない人がいるようである。それがどうした?って話ではあるが、この大杉さんの言葉の言外の意味を製作に関わった人たちがどう受け止めるのか、それが今後につながるのではなかろうか?
もう一つ言いたいのは、これは監督のデビュー作であるということと、自主制作映画であるということを、やたらとプッシュしていた。しかし見る方にとっては、いい作品であればそんなことどうでもいいのだが。
おまけ:
写真撮っても構わないとのことだったので、ブログへのアップも構わないのだろう。
トークショー終了後の撮影タイム
すぐ近くを通った大杉漣さんと子役の男の子
至近距離で見た漣さんは、カッコイイ男のオーラが出まくっていた。
試写会の前に、受付近辺でフラフラしてたらどエライべっぴんさんがいるな、と思った。そしたら、内田量子さんだった。
監督の門井さんは、イジリー岡田に似てた。
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>カッコイイ男のオーラ
おおーう!
男子から見てもそうなんですな。
ところで、
製作サイドと大杉漣さんとの認識の差、とってもおもしろいです。
>もう一つ言いたいのは、これは監督のデビュー作であるということと、自主制作映画であるということを、やたらとプッシュしていた。しかし見る方にとっては、いい作品であればそんなことどうでもいいのだが。
これとも合わせて、ほほう、って感じ。
その2点の強調は、一般の観客でなくプレス関係者に向けているのかなあ。「これ、ポイントだから、ちゃんと書いてね」みたいな。見る側には関係ないんですけどね。
「とにもかくにもできあがったものについてはもはやあれこれ言わない」というのもひとつの姿勢であるし、
「いいところはいい、よくないところはよくないと認める」のもひとつの姿勢であると思います。
「穴があるが、良い」場合もあるしね。
デビュー戦ルーキーと百戦錬磨の手練との違いでしょうか?
★ukiki01さん、
大杉漣さんに限らず、カッコイイ男のオーラは
男子から見ても感じとれますぜ(笑
>その2点の強調は、一般の観客でなくプレス関係者に向けているのかなあ
1.そもそもの私の認識が違ってる可能性もある(そんなもの強調したつもりはない)
2.プレス向け的な雰囲気は感じました。確かに
>「とにもかくにもできあがったものについてはもはやあれこれ言わない」というのもひとつの姿勢であるし、
「いいところはいい、よくないところはよくないと認める」のもひとつの姿勢であると思います。
「穴があるが、良い」場合もあるしね。
うーむ。言いたかったことを言われてしまった。
ほんとその通りです。
まさに
百戦錬磨のukiki01とおこちゃまふるの違いでしょうか?(笑)
★かえるさん、
よかったですね。
大杉蓮という人は存知上げませんが・・・
鑑賞していただき、感謝しています。
残念ながら私はまだこの作品を観れてないのでなんとも言えないのが残念ですが・・・
大杉さんはとても素敵でした。
彼にマイクを渡す係りをしました。
近くで見ました。
渡したときに謙虚な声で「すみません・・」って
言ってくれました。
大杉さんが
「マイクないな」的素振りをしたときに
見目麗しい女性がすっと寄って行って
マイクを笑顔で手渡していたのを
見逃すような私ではありません
私は左のかなり後ろ、通路よりに座っていたのですが、司会のきれいなお姉さん、
スタッフらしいき可愛らしい女性もよく見え、そして
2回も大杉さんらが近くを通って、大杉フェロモンを直に吸い込みました
それで風邪をひいたとか言わないで下さい
(企画への本格的な参加を強く要請されていましたが、スケジュールの合わない自分には荷が重く、結局は助言や協力程度の参加でした)
実は、今現在(3/16)でもまだ観ていないので、評価的な事は分かりませんが、ゼロの段階から知る立場としては、この作品が上映される事自体が本当に奇跡なので、私にはまともな評価が出来ないかもですね(汗)
ロケ現場では、役に入った漣さんのオーラが物凄く、見物人も「近づいて邪魔してはいけない」という感じでしたね。
確かに、信じられないような制作環境からすればこれが精一杯で、「やれる事はやった」と、完成した事に達成感や満足感は持っていたようですが、観る側からすればあまり関係無いわけで、現在はPも「環境を言い訳にしてはいけない」というような事を言ってましたね。
…まずは、自分も観に行ってみます。
関係した人という立場の方からコメントしていただけるとは、なかなか貴重なことです。
ありがとうございます。
上映されることが奇跡のような作品だと言うのは、見終わったときの私が思ったことと同じです(苦笑)
製作の環境などは我々見る者に知ることはできないので、結果しか分からないのですが。
しかし作品あるいはそれ以外のモノでも、努力したというプロセスが大事なモノと、結果以外は何も大事でないモノと別れるやに思います。
この映画を見てから数日後に「かもめ食堂」を見ました。
平凡な日常、とくにハラハラドキドキがない。
という意味で似たテイストの映画かと思ったのですが、
台詞・カメラの使い方など、「これこそが映画だ!」と感じました。
特に映画に特化してはいないアホブログではありますが、万が一気が向いたらまた遊びに来て下さい。
それに撮影してた所も見れてかなり鳥肌が立ちましたぁ
僕も大杉連さんみたいな俳優になりたいです。
映画やドラマの撮影が目の前であると
つい足を止めてしまいますよね。
大杉漣さんのような役者さんになれるといいですね。