まほろば日記

fujioの日常の出来事、記録等を思いつくままに書いた日記です

穂高・屏風岩に登る。

2013-08-05 19:32:44 | 日常
平成25年8月1日~3日
今年最大の目標、いや登山人生最大の目標であった屏風岩に登りました。
アルパインクライミングを目指す岳人にとって屏風岩に登ることが最大の目標であり、山をやめる最後の時には是非とも屏風岩に登ってからやめようと考える人は多いと思います。
最初は前穂高岳の北尾根、次は北岳バットレス、その次は剣岳・八ッ峰六峰フェース、と年々レベルを上げてゆきました。昨年は剣岳のチンネ、そして最後の到達点は今回の屏風岩です。志を同じくする仲間達がいたからこそ今日まで頑張ってこられました。今日のこの日を迎えられ、感激を共有できたことを感謝します。今まで登った岩壁で難しいところは核心部といわれる部分でしたが今回はすべてが核心部の様な厳しい登攀の連続で、易しいところはテラスにいるときだけでした。タクシーの運転手さんの話によると今年は世界遺産に登録された富士山にお客様の関心が集まり、上高地に来る人が減り、おまけに週末のたびに雨天続きでお客様が少ないと嘆いておられました。このたびも前日に大雨が降ったとのこと。明日は果たして登れるのでしょうか。今回の屏風岩登攀は今までに比べ数段難しいといわれていたのでチンネが終わってからすぐに計画を立て、訓練を始めました。通常の登攀訓練だけでなく荷物を担いでのマルチの連続登攀訓練、アブミの使い方、通常ではやらない雨天時の登攀訓練、これは実際有効でした。今回のコースは屏風岩東壁、雲稜ルート。5,11C、7ピッチ。実際はこの取り付き地点まで3ピッチ登らなければならないので合計10ピッチのロングルートになります。屏風岩で最初に登られたクラシックルートで最も人気のあるルートです。当日は午前4時前 横尾出発。岩小屋付近で川を渡るのですが連日の雨のため水量が多く、まるで激流です。しかも水温は5から6度、氷水の様で痺れます。股下まで水があるので転倒防止の為靴をはいて渡るように指示された。これは足が滑らず安定して歩け有効でした。これこそプロの技です。
無事川を渡り、ルンゼをつめ、雪渓のある地点が取り付き地点。ここから2ピッチ登り、少し林間を歩き、1ピッチ登ったところがようやく雲稜ルートT4の取り付き地点。時折雨交じりの風も吹き寒い。ここから気合をいれ7ピッチも登らねばなりません。8時登攀開始。最初の1ピッチ目が50mもあります。疲れました。先が思いやられます。扇岩テラスで一息入れる。
つぎの3ピッチ目が核心部。ランクは5,11C、20m余りの垂直な岩壁。マルチルートのランクはその数字以上の困難さがあるとのこと。先生はフリーで登られたが我々は荷物を担いでいるし絶対無理。このピッチだけはアブミで登る。
あとの4ピッチは我々でも何とか登れるランクであるが昨日の雨と途中から降り出した雨で岩が濡れているので大変苦労しました。少しも気が休まりませんが雨天訓練の成果と自信で何とか登ることが出来ました。最後のボロボロの濡れた泥のルンゼも確実に支点を捉え無事に乗り越え、13時終了点の広場に到着、目標を達成しました。天候が悪いためか登攀したのは我々だけのようでした。ここまでの登攀で全力を出し切り、体力が残っていません。最近の傾向はここで終了して懸垂で下降するパーティーが多いのですが、わが先生のポリシーは「屏風の頭まで登って初めて屏風岩の登攀は完了する」との考え。ならば最後まで完遂し頑張ろうと気持ちを切り替える。ここから屏風の頭までの1時間30分余りの地獄のヤブコギののぼりが始まります。先生によれば昨年は2回もお客様のスタミナ切れで荷物を持たされたとのこと。我々は平素の訓練のお陰か予定より早く地蔵の頭に立ち感激を新たにした。下山路のパノラマルートは雪が残っており雪渓では安全を期してロープを出してもらい慎重に下りました。そのため大分予定時間を超過しましたが無事に涸沢に到着しました。(パノラマルートは未整備のため通行止めの表示が出されていました。)翌日 下山中に懐かしい屏風岩を眺めました。快晴で絶好の登攀日和でしたが登っているパーティはいないようでした。厳しいクライミングをする人は年々少なくなっているとのこと。記念すべき充実したクライミングが出来たことを仲間達とともに喜びました。(写真は下部をながれる梓川の対岸より東壁を眺める。下部中央のみどり部分がT4尾根でその上方が雲稜ルート)
コメント
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