まほろば日記

fujioの日常の出来事、記録等を思いつくままに書いた日記です

冬山遭難事故の教訓を知らしめた新聞記事。

2022-02-20 21:57:34 | 日常

令和4年2月19日
今日の中国新聞に2月6日に発生した十方山遭難事故の当事者の取材記事が掲載されていました。
この種の遭難事故ではその原因が語られることはなく一般人には知られることはありません。
ご本人にとっても不名誉なことであり事実を語られないのによくぞお話しいただいたこと。またよくぞ取材していただいたこと、さすが地元の中国新聞だと感謝します。
以前遭難記事を書くだけでなくよくその原因を調べるべきだと書きました。(令和4年1月23日)、そうでなければ読者のためには役立たないと取材力のなさを指摘したことがありました。
読者の方も、この記事を読んで遭難した原因がよくられたことでしょう。遭難を避けるためにはどのようなことに注意すべきであったのかを知らせる啓蒙記事になり登山者にとっても有益な記事になりました。

(登山口の捜索隊の状況、雪も少なくなぜ遭難したのか疑問に思いました。)

私なりに遭難の原因を考えてみました。
「登山歴40年のベテラン」とかいてありましたがこのような経験者でも遭難する。新人であろうとベテランであろうとやるべきことを行わないから事故を起こす。ベテランで知識はあってもその通り実行しないから事故を起こす。
ご本人がおっしゃっている通り「何度も登っている山だからと慢心があった。」原因はその通りだと思います。
十方山の遭難事故は豪雪によるものが多く、閉じ込められるか雪崩が原因、山頂が平らな大雪原の為道迷い事故も多発しています。このコースの三っ倉の小ピーク付近には昭和10年2月遭難された学生の伊藤四郎氏の遭難碑が建てられています。
今回のコースは標高差が約800mあり登りごたえのあるコースです。雪もあまりなかったようで11時頃頂上着、3時間くらいで登っておられます。頂上は風が強いのですぐに下山されると思います。11時30分くらいかな。下山時間は2時間から2時間30分。
14時くらいには下山できる。この予定だから簡単に登れると考えていたから予定外のことが発生し。遭難事故が起きたのです。
万一帰れなくなった時の対策が全く考えておられなかった。すべてはこのことにつきます。
原因1,道迷いの対処法を誤った。道迷いが起きると明白な地点まで登り返すのが鉄則。パニックになり下山道がわからなり夜間まで彷徨した。この無駄な体力消耗により下山できなくなった。
    引き返していればせいぜい1時間程度の遅れで下山でき遭難事故にはならなかったた。
    常に現在地を確認して歩くことが原則。地図がなくてもが携帯電話のアプリに事前にルートを入力していれば電波が届かなくても現在地、ルートが表示できる。いつも現在地を探知できる「見守りサービス」もあります。この知識をお持ちでなかったのでしょうか
    いつもの簡単なコースとの油断がもたらしたものでしょう。
    蛇足ながら、消防署に確認したところ、緊急連絡(119番)すると携帯電話の位置情報から現在地を探知することも可能とのことであるが通報者が「自分の携帯電話の緯度、経度の位置情報」を調べ伝えていただければ早期の対応が可能とのことです。
    事前に携帯電話の位置情報のアプリを入力しておき、いつでも連絡できるように準備しておくことが必要です。
  2,下山路のマーキング,標識の設置、
    同じコースを下山するときにはピンクのテープをつけて目印にしています。下山時には撤去しています。
    下山路が明白であれば安心して行動できます。この安心感が大事なのです。安全な行動ができます。雪であれば踏み後はすぐに消えてしまい、登るときに見た景色とは異なるので迷いやすい。コースがわかっていれば夜間でも安心して下山できる。
  3,ツェルト(簡易テント)や暖を取るコンロ等ビバーク用具を持参しなかった。
    すぐに帰るとの計画で持参されなかったのでしょうが山では何が起きるかわからないのでこのような必携装備は常に持参しましょう。安心は安全な行動につながります。
  4,夜間行動は危険
    夜8時に行動中に滑落、負傷された。進むべき道がわからないのによく行動できたものです。人間夜は良く見えません。行動は危険です。
    下山できないと判断すれば明るいうちにビバークの準備をすべきです。負傷されていなければ近距離ですから翌日には自力で下山できたのではないでしょうか。

命の危険が迫る貴重な経験をされました。2晩も何もなく過ごされ命があったのは幸運の一言に尽きます。
「もう雪山はやめよう」とのお言葉がありましたがこの貴重な体験を生かし安全登山の普及に尽力されることが「命を長らえさせていただいたものの務めと思います。
これは昔、若きとき、この十方山で同じようなことを体験した私からの願いです。
コメント
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