中国の第18回共産党大会が閉幕し、胡錦濤党総書記に代って習近平副国家主席が新しい総書記に就任することになった。
ここでこれからの本題に入る前に少し中国の権限・権力の構図について触れておきたい。
共産党大会(以下党大会と呼ぶ)は正式には中国共産党全国代表大会と言って共産党の最高機関であるが、共産党の一党支配である中国の事実上の最高指導機関であり、5年毎に開催されている。
国家の最高機関としては全国人民代表大会(全人代)があるが、これは党大会より 権限が小さいのだ。日本で言えば民主党の党大会の方が国会より権限が上、という図式である。
また、ポストの権力の大きさで言うと党総書記がナンバー1となり、国家主席より上に位置する。これに党軍事委員会主席というポストが国家主席にも匹敵するくらい権力を持っているという。
胡錦濤総書記は国家主席と軍事委員会主席も兼ねており、文字通り全権を握っていた。
さてこれからが本題であるが、今回の党大会は異例であったらしい。
通常、最高幹部の人事などの重要事項は党大会の前の夏に党幹部や長老などが避暑地に集まって非公式の会合を開き、事前に内定した上で党大会を開催して来た。それが今年の非公式会合では既定路線である習氏の総書記就任だけが承認され、他の最高幹部人事が揉めに揉めて結論が出なかったそうだ。そのため、党大会の開催が大幅に遅れた。
原因は、10年の実績を基に今後の権勢を保持したい胡錦濤総書記と、長老として院政とも呼ばれる影響力に執着している江沢民前総書記との確執である。両者とも自分の腹心などを要職に起用するため火花を散らしたのだ。他の長老たちも指をくわえて見ていたわけではない。虎視眈々と自己利益を狙っていた。そんな激しい権謀術策、暗闘が党大会まで持ち越されたのだ。
結果は胡氏が全ての要職から退くこと(完全引退)を切り札に、江氏の影響力を排除することになった。
前任の江氏が総書記と国家主席を退いたあとも軍事委員会主席にとどまって権勢を振るったし、その前の小平氏もそうやって院政を敷いて来たが、胡氏は全権を習氏に譲ることで、院政政治に決別を図ったという訳だ。敵役を葬るための”犠牲”とは言え、一つの良識ではある。
なお、国家主席ポストの習氏への移譲は来年3月開催の全人代になるが、昨日の習総書記の就任を以て権力闘争は一応の幕引きになるのか。カリスマ性のない習体制にはまだ不安がつきまとっている。
[今日の散歩道]
井之頭の池ー深まりゆく秋の夕方
秋静まる井之頭の池 池を見下ろす絶景のマンション 秋の日差しが七井橋に映える
整列して休むボートたち 餌取りに余念のないオナガガモ 池畔の道を行き交う人々
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