陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

北へ 望楼のジュニアスイート

2008年11月07日 | slow journey

温泉行脚の旅。
函館から登別へ向かう。
特急北斗で二時間と十数分。
登別駅で路線バスに乗り換えた。
終点の登別温泉駅で下車。
駅からは十数分だったろうか。

「望楼NOGUCHIさんは何処ですか?」
「ここからは少しありますよ。
連絡したら迎えに来てくれますよ。」

案内所で尋ねたら
感じのいい中年女性が答えてくれた。
バスターミナルから電話して
ホテルに迎えに来てもらう。
登別温泉はもう晩秋の装いであった。

「この道も先のサミットでできたんです。
突貫工事でしたよ。すごいもんですね。」
「紅葉は先週が見ごろでした。
まだ少し残ってますかねえ。」

今宵の宿泊先は望楼NOGUCHI登別。
エントランスは判りにくい。
普通の扉がひとつがあるだけだ。
薄暗い通路を通りフロントへ。
まるで京都の玄関に続く路地みたい。
まさに大人の隠れ家である。
外観は言わばリゾートの
デザイナーズマンションといった感じ。
露天風呂付ジュニアスイート。
室内は「和モダン」をテーマとした
全く新しいコンセプトのデザイン空間。
広いっ!50㎡はあるという。
照明はすべて間接照明が施され
温泉は源泉かけ流しである。

さっそく部屋の風呂につかる。
たっぷりとしたお湯。
御影石でできた広い浴槽。
ゆうに三人はつかれる広さだ。
この湯は特にアトピーなど
皮膚疾患によく効くらしい。

全室スイートのこのホテル。
さすがにゆったりしている。
テレビは大画面の液晶がリビングに
そしてベッド脇にも1台。
冷蔵庫の飲み物はすべて無料だ。
珈琲ミルまで設えてある。
まさにラグジュアリースペース。
温泉につかりバスローブをまとい
早速冷蔵庫から缶ビールをプシュッツ。
まるでギャッツビーになった気分。

「いやあ。1年に1回くらい
こういう贅沢してもバチ当たらんよね。」

「贅沢は敵だ!」と
戦中派の親から教えられた世代ゆえ
貧乏性がなかなか抜け切らない。
齢(よわい)五十を過ぎてようやく
こんな贅沢も肯定できるようになった。
でもまだどこかで
繰り返し言い訳している自分がいる。
習い性となるとはこのことか?

夕食は階下の個室レストランへ。
掘りごたつ式にテーブル席式と
異なった設えの個室が配置されている。
ここも間接照明が施され
ほのかに浮かび上がる二人の食卓。

フレンチ懐石風の食事…。
一品一品は上品に盛り付けられ
食前酒、先付から前菜、吸物に造り
焼物、凌ぎ、強肴、煮物、酢の物
食事、留椀、そして水菓子と続いた。
虎杖浜産たらこ、白老産キャビア
根室産タラバ、襟裳産螺貝と
すべて産地表示の食材である。
品数は多いので楽しめる。
一つ注文があるとすれば
デザートまでのフルコース仕立てなのに
珈琲がでないのは画竜点睛を欠く。

翌朝も野鳥がさえずる森の眺めの中
ゆったりそしてたっぷりな朝食が出た。

・かじき鮪の昆布〆
・鮭の西京焼
・もずくととろろの酢の物
・肉じゃが
・昆布の佃煮
・温泉たまご
・野菜サラダ
・しじみの味噌汁
・はさみ漬物
・たらこ
そして特産の登別牛乳と牛乳プリン。
朝からこれだけでるとは…。

チェックアウトは正午。
やはり遅めのチェックアウトが多い。
案外若い客が多かったのには驚いた。
勿論、こういう温泉地では定番の
おじさんと妙齢女性の二人連れも。

なんと言ってもここ登別温泉は
新千歳空港からが近い。
ひゅっとひとっ飛びで
極上の温泉とスイートの夜が楽しめる。
登別温泉も、この宿も
また再訪してみたくなる処である。
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北へ いかと啄木そして競馬場

2008年11月05日 | slow journey

久しぶりの函館である。
二十数年ぶりだろうか。
競馬好きだった当時の私は
8月後半にこの函館へやってきて
路面電車に乗って、この
函館競馬場へと脚を運んだのだった。
こじんまりとした綺麗な競馬場で
外れ馬券があまり落ちてなく
函館競馬場は関西の競馬場と違って
海も見えて、とても美しいなあと
印象に残った記憶がある。
最近知ったのだがこの函館競馬場
歴史は古く1896年の開設。
現存する競馬場の中で最古なのだ。

そして函館と言えば石川啄木。
啄木の歌はやはりいい。

“函館の青柳町こそかなしけれ
 友の恋歌 矢ぐるまの花”

前置きで早くも脱線してしまったが
函館空港では
タクシーがお迎えに来てくれていた。
お迎え付、個室露天風呂付湯の川温泉
“飛天夢想庵”が今宵のお宿。
飛行機は特典を使ったので
宿は豪華に張り込んだのだ。
もちろん
個室露天風呂なんて初めてである。

まずは最上階の展望大浴場へ。
この日はあいにくの雨模様だったが
露天風呂からは函館山が見渡せた。
泉質はナトリウムとカルシウムの
塩化物泉で、海沿いの温泉らしく
さっぱりしたお湯であった。
米子の皆生温泉に似ているかな?
ここは空港からも近く
あの懐かしい函館競馬場が
部屋の窓すぐそこに拡がっていた。

さて温泉の後は楽しみな食事である。
北海道といえば食材の宝庫。
そしてここ函館と言えば
なんといってもイカである。
この季節は“真いか”だとか。
やや黄色い身であったが
ボリビア産の岩塩と生姜醤油で食す。
う~ん、やはり絶品だなあ。
このイカを食らいに飛行機で来る
なんて贅沢も一瞬にして報われる感じ。

この日の品書き

・うに、ほたて、つぶ貝、まぐろの造り
・食前酒はマルメロワイン(洋梨の一種)
・マコガレイの焼き物
・アスパラのほうば焼
・インカのめざめ(馬鈴薯)の田楽
・きんきの吸い物
・大沼牛のビール鍋
・ご飯は道南産ぷっくりんこ
・ビール北海道限定サッポロクラシック

函館はまぐろも旨い。
大間の対岸“戸井”のまぐろである。
地産地消ならぬ
地産地食はやはり最高だ。
上げ膳据え膳で
お腹いっぱい胸いっぱい
おまけに温泉でからだほっこり。
嗚呼!函館の夜はすんばらしい。

つづく…。
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北へ 週末の空港にて

2008年11月03日 | slow journey

子どもが修学旅行で北海道へ。
鬼っこ居ぬ間のゆったり週末。
なら、我らも行こうか?
ということで北へ飛ぶ。

やはり温泉がいい。それなら
空港から近い湯の川温泉へ。
北海道行きの便を待つ乗客。
夫婦でない二人連れが目に付く。
堂々といちゃつく初老男の
なんと嬉しそうな顔よ。そして
アラフォー女のわざとらしい姿(シナ)

かつて、「不倫は文化だ!」
といった芸能人がいましたが
わたくし。僭越ながら
かつ率直にこう思いました。

「不倫は経済だ!」

航空会社も、旅行会社も
地方の観光地を主体とする
地方経済を支えているのは
案外こういう人たちが
落とす金が回っているのではないか。
平日とかオフシーズンなんかは
特にこういう人たちが支えている?

飛行機は使用機の到着遅れで
40分ほど遅れていた。
2列先のオーナー社長らしい
初老の男は
旅行パンフレットを拡げて
赤いペンでしきりにマーキングしている。
その男の腕に手を回して覗き込む女。

なんかいやらしい。
でも「こんちきしょう!」

目の前のカップルは
特に何も話さず座っていた。
この二人には、それなりの年月を
共有してきた間が感じられた。
しかし、夫婦関係特有の、ある種の
無緊張が醸し出す雰囲気は漂っていない。

搭乗の案内が流れた。
さあ、北へ…。
まず目指すは函館だ。
イカが食いたい…。
はやる気持ちを押えて乗り込む。

しかし飛行機というやつ
定刻通りに飛んだためしがない。
定刻通りに飛べば僥倖である。

この項、つづく…。
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