新長田大正筋商店街にある神戸映画資料館へ。
新長田映画講座と題して「神戸の映画監督
大森一樹を語る」映写会とトークに参加する。
昨年11月に逝去された大森一樹さん。
哀悼を込めてその早期の彼の作品を
ぜひ鑑賞してみたいと思ったのである。
三十数名の方が来場していた。
作品は神戸舞台にして作品2点をまず鑑賞。
「暗くなるまで待てない」と「夏子と長いお別れ
(ロンググッドバイ)」である。前者は
大森監督が初めて16ミリで撮った一部カラー
つまりパートカラーの自主映画。1975年の制作。
神戸を代表する青春映画である。後者は1978年制作。
カラーでわずか25分の映画であるが、前者の映画の
その後といった感じのドキュメンタリー的映画だ。
いやあ。いい映画だったなあ。何より
私の世代にはノスタルジックな映画だった。
1970年前半の神戸や風俗が描かれている。
東遊園地から始まり、三ノ宮交通センタービル前の
交差点、古い新聞会館ビル。元町商店街、そして
神戸大学付近の景色。オート三輪に乗って
撮影する主人公たち。神戸大学付近から見下ろす海は
人工島はなくて真っ平な大阪湾が広がっていた。
そしてあの頃の大学生たちの風俗。これはもう
ユーミンのいちご白書の景そのものというか
学生街の喫茶店を歌ったガロの風俗そのもの。
みんな長髪でみんな煙草を吸っている。
大学の構内にはアジる立看というか捨て看が並ぶ。
ユーミンの曲がところどころでバックに流れる。
もう一気にタイムスリップしてあの頃の世界に
浸ってしまった。
最後のプログラムは大森一樹さんと親交のあった
映画監督の白羽弥仁さんのトーク。お二人とも
両親が医者で同じ病院に勤めていた関係で
その頃から縁があったと語っておられた。
大森監督の人柄が偲ばれる実直で飾らない良い
トークであった。持ち上げるのではなく、等身大の
大森さんを素直に語ってくれた。
大森監督の映画のこういうところと言った見方も
同業者ならではの視点で教えてくれた。
この白羽監督、神戸の長峰中学出身で
日大芸術学部で映像を学んで監督になられた方である。
それ故神戸愛も強い。だから神戸を題材にした映画も
たくさん撮られておられる。
機会があればぜひ鑑賞してみようと思う。
大森監督は私より四つほど上の世代である。
だから青春時代をほぼ共有している。
70年代というのは、その世代にとっては正に
青春のど真ん中であった。
この年代になると過去の思い出というものは
これからの生き方に活力を与えてくれる。
そんなことを感じた長田の一と日であった。
それにしても70歳と言う年齢での逝去は早すぎる。
その年代でまた神戸を撮って欲しかった。
早春の長田に偲ぶ映画かな