京阪四条から出町柳へ。
ここも懐かしいスポットだ。
暑い日差しも残照となり
賀茂川べりに戯れる。
思い思いに水辺を楽しむ人々…。
京都は和の都市だが
どうして、なかなか
洒落た洋風の店も多い街でもある。
やはり共通点があるのだろう
どこか巴里に似た雰囲気が漂う。
セーヌ川に見立てた賀茂川
東岸と西岸では趣きが異なる。
さて、今宵のお目当ては
中心部からやや北へ
叡電出町柳駅から東へ少し
住宅街に入った所にあるビストロ。
京都にはこんな住宅街にという所に
隠れ家的ないい店が結構点在する。
そしてそれらが、常識的には
客商売に不向きな立地でありながら
潰れずにしっかりと
続いている店が多いのも特徴だ。
同じ関西でも都市の性格は違う。
くいだおれ都市・大阪なんかは
皆でわいわい、ひとりでも多く
相席で…なんて商売上手だが
京都の商売上手はまた違う。
そんな無粋なことは決してしないのだ。
だから常連客たちが
安心して通ってくるのだろう。
また仕出料理文化が培った系譜の
裾野が広いからだろうか
供される料理も本格的だ。それが
千年を超える歳月をろ過してきた
京都の懐の深さとも言える。
前置きが饒舌になったが
さて、今宵の店。
評判のいい店のようだった。
フレンチビストロである。
西洋漆喰のベージュの壁に
濃い茶色をした木のコントラスト。
店主のセンスを感じる設えの
こじんまりとした店であった。
席数も少なくゆったりしている。
この日はカウンターに案内されたが
詰めれば6人はいけるカウンターに
5席しか取っていない。これなら
隣の客も全然気にならない空間。
さすが京都である。
料理はアラカルト。
ブルーチーズの入ったサラダに
冷たいスープ
そしてがちょう料理を。
ハウスワインもいい。
舌に優しくまろやかで
赤に続き白も…。
私の定石。
ハウスワインの美味しい店はいい。
落ち着いた雰囲気で
ゆったりと楽しめた京都フレンチ。
雰囲気もいいし料理も素朴で美味い。
とても良心的な素敵なビストロである。
ただ、ひとつだけ寂しかったのは
時々マダムが投げてくる視線であった。
親愛の眼差しなら嬉しいが
ちょっとそれに気をとられてしまった。
携帯で写真を数枚撮ったので
それがお気に召さなかったのかな?
しかし、ここは京都。
イチゲンさんの分をわきまえなかった
私の不覚といえよう。久しぶりに
京都ならではの洗礼を受けた感じ。
それもこれも京都なのである。
■ビストロ スリージェ
京都市左京区田中下柳町1-3