(原題:CHINA BLUE )
----今日も中国のお話?
中国と言えば、北京オリンピックの開会式で歌っていた女の子が
実は「口パク」だったってことが問題になっているよね。
「うん。その話聞いて少し分かった気がするな。
『女工哀歌』の舞台となったこの会社の社長が
なぜこんな問題映画を撮ることを許可したか。
口パクを決めた政治局員たちと同じく、
自分が悪いことをやっているという認識がないんだね」
----どういうこと?
「いま、日本って、
例の中国餃子を始め、冷凍食品の多くが中国製。
しかもアパレルもタグを見ると中国製ばかり。
ところが実はこれは日本だけの問題ではなく、
海外でも同じなんだ。
その理由というのが、とにかく仕入値が安いこと」
----ニャるほど。分かってきた。
この映画は、ジーンズ工場で働いている女の子たちの話だ。
「そう。
小平の改革開放路線提唱以降、
この国はまるで資本主義国のように
極端な市場経済となっている。
これは一見、
だれにでも豊かになれるチャンスありと見えながら、
実は、すさまじいまでの貧富の格差、
それに官僚主義、財産権の侵害といった弊害を生み出している」
----それって、新聞にも載っていたよね。
オリンピックがあるものだから
街を整備しようと旧市街を取り壊して
結果、住む場所を失っている人までいるんでしょ。
「そういうこと。
現在、中国では1億3000万人(全人口の10%程度)もの人々が
農村から都会に出稼ぎにきているんだ。
あれだけ『Made in China』が安いからには
そこで働く人たちはそうとうな低賃金なんだろうなと
一応の予測はしていたけど、
この映画を観たら、
もう自分がここに座っているのさえ、
何か悪いことをしている気になったね」
----?????
「この工場で働く女の子たちは、
とにかく効率のみを要求される。
納期までに経営者が決めた予定量をこなすためには徹夜に継ぐ徹夜も珍しくない。
しかも全寮制の上、部屋代も食事代も天引きされて
給料はほとんど手元に残らない。
最初のうちの時給なんて日本円でわずか7円ほど。
カメラは、ジャスミンという名の女の子を中心に
この奴隷としか呼びようのない
彼女たちの24時間を追っていく。
しか全てのルールは経営者が一方的に通達。
たとえば、無断外出したら2日間の給料に匹敵する罰金」
----しかし、よくそんな映画が撮れたね
「だから、さっきも言ったように
社長は自分が悪いことをしているという認識がまったくないんだ。
元警察署長だったというこの社長は、
田舎出身の子を学がないと決めつけ、
自分が書道をやっていて
それが経営上の効果をもたらしているとを自慢げに語る。
普通ならスノッブという言葉で嘲り笑ってすませられるけど、
人を人とも思わぬその態度が
従業員たちに苛酷な労働条件を強いているのを見るにつけ、
怒りで体がわなわな震えてくる。
しかもジャスミンが辿った道は……。
いやあ、もうこれ以上は言えないな。
ドキュメンタリーで涙がにじんだのは久しぶりだ」
----でも話を聞いていると、
あまりドキュメンタリーとは思えないね。
「うん。いわゆる事実は小説より奇なりというヤツ。
でも、この監督ミカ・X・ペレドは、その構成も巧い。
ドキュメンタリーとして密着取材しながらも、
最後はこの映画の舞台裏も含む衝撃の事実を、
次々と畳み掛け、
最後は椅子に座ってスクリーンを見つめている観客をも射抜く。
ナレーションを入れて声高にメッセージを読み上げるわけでも、
社長をインタビューで問いつめるわけでもなく
少女たちの日常をずっと丁寧に追いながら、
グローバル化の問題を浮き彫りにする。
これは映画としてもよくできている。必見だ」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「こんなヒドいことは許されないニャ!」
※日本の貧富格差なんて問題にならないヒドさだ度
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----今日も中国のお話?
中国と言えば、北京オリンピックの開会式で歌っていた女の子が
実は「口パク」だったってことが問題になっているよね。
「うん。その話聞いて少し分かった気がするな。
『女工哀歌』の舞台となったこの会社の社長が
なぜこんな問題映画を撮ることを許可したか。
口パクを決めた政治局員たちと同じく、
自分が悪いことをやっているという認識がないんだね」
----どういうこと?
「いま、日本って、
例の中国餃子を始め、冷凍食品の多くが中国製。
しかもアパレルもタグを見ると中国製ばかり。
ところが実はこれは日本だけの問題ではなく、
海外でも同じなんだ。
その理由というのが、とにかく仕入値が安いこと」
----ニャるほど。分かってきた。
この映画は、ジーンズ工場で働いている女の子たちの話だ。
「そう。
小平の改革開放路線提唱以降、
この国はまるで資本主義国のように
極端な市場経済となっている。
これは一見、
だれにでも豊かになれるチャンスありと見えながら、
実は、すさまじいまでの貧富の格差、
それに官僚主義、財産権の侵害といった弊害を生み出している」
----それって、新聞にも載っていたよね。
オリンピックがあるものだから
街を整備しようと旧市街を取り壊して
結果、住む場所を失っている人までいるんでしょ。
「そういうこと。
現在、中国では1億3000万人(全人口の10%程度)もの人々が
農村から都会に出稼ぎにきているんだ。
あれだけ『Made in China』が安いからには
そこで働く人たちはそうとうな低賃金なんだろうなと
一応の予測はしていたけど、
この映画を観たら、
もう自分がここに座っているのさえ、
何か悪いことをしている気になったね」
----?????
「この工場で働く女の子たちは、
とにかく効率のみを要求される。
納期までに経営者が決めた予定量をこなすためには徹夜に継ぐ徹夜も珍しくない。
しかも全寮制の上、部屋代も食事代も天引きされて
給料はほとんど手元に残らない。
最初のうちの時給なんて日本円でわずか7円ほど。
カメラは、ジャスミンという名の女の子を中心に
この奴隷としか呼びようのない
彼女たちの24時間を追っていく。
しか全てのルールは経営者が一方的に通達。
たとえば、無断外出したら2日間の給料に匹敵する罰金」
----しかし、よくそんな映画が撮れたね
「だから、さっきも言ったように
社長は自分が悪いことをしているという認識がまったくないんだ。
元警察署長だったというこの社長は、
田舎出身の子を学がないと決めつけ、
自分が書道をやっていて
それが経営上の効果をもたらしているとを自慢げに語る。
普通ならスノッブという言葉で嘲り笑ってすませられるけど、
人を人とも思わぬその態度が
従業員たちに苛酷な労働条件を強いているのを見るにつけ、
怒りで体がわなわな震えてくる。
しかもジャスミンが辿った道は……。
いやあ、もうこれ以上は言えないな。
ドキュメンタリーで涙がにじんだのは久しぶりだ」
----でも話を聞いていると、
あまりドキュメンタリーとは思えないね。
「うん。いわゆる事実は小説より奇なりというヤツ。
でも、この監督ミカ・X・ペレドは、その構成も巧い。
ドキュメンタリーとして密着取材しながらも、
最後はこの映画の舞台裏も含む衝撃の事実を、
次々と畳み掛け、
最後は椅子に座ってスクリーンを見つめている観客をも射抜く。
ナレーションを入れて声高にメッセージを読み上げるわけでも、
社長をインタビューで問いつめるわけでもなく
少女たちの日常をずっと丁寧に追いながら、
グローバル化の問題を浮き彫りにする。
これは映画としてもよくできている。必見だ」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「こんなヒドいことは許されないニャ!」
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