ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『さくらんぼ 母ときた道』

2008-08-29 19:29:37 | 新作映画
(原題:桜桃)

----この映画って、『初恋のきた道』の脚本家パオ・シーが書いたんでしょ?
あれはフォーンも好きだったニャあ。
「そうだね。
あれは主演のチャン・ツィイーが走ること、
それだけで<映画>になっている
奇跡のような作品だったものね」

----いまのチャン・イーモウからは想像もつかニャいよね。
「そうだね。
この映画は、タイトルこそ
『初恋のきた道』を意識しているけど、
もっとドキュメンタリーっぽい。
途中、都会に出るシーンなんか
同じチャン・イーモウでも『秋菊の物語』や
『あの子を探して』の方を連想したな」

----あっ、それあまり意味ない。
これ、チャン・イーモウは絡んでいないもの。
「あらら、失敬失敬(笑)。
さて、この映画、
お話は美しい棚田が目を引く
雲南省の農村を背景に進んでゆく。
足が悪く嫁の来手がない葛望(グォワン)。
母は、そんな彼に知的障がいをもつ女・桜桃を嫁に娶らせる。
桜桃は子供を欲しがるが、二人の間には子供が出来ない。
ここはけっこうエロチック・コメディっぽい処理だよ。
そんな中、桜桃は村に捨てられた赤ん坊を拾う」

----えっ、子供が捨てられていたの?
「中国は一人っ子政策を実施していたからね。
働き手になれない女子は余計者扱いされるってワケだ。
戸惑う夫の葛望。
しかも桜桃は紅紅(ホンホン)と名付けられた
その赤ちゃんに夢中になり、
前はあんなにもせがんでいた夜の営みさえも拒否する始末。
そんなこんなで葛望は桜桃に内緒で
その赤ん坊を売り飛ばそうとする。
桜桃は赤ん坊を乗せて去っていった赤い車を追って町に…」

----あっ、そこが『秋菊の物語』『あの子を探して』。
田舎から都会へってワケだ。
「そういうことだね。
さて、実を言うと、
この映画は、大きくなった紅紅の回想のナレーションで進行していく。
小さい頃は、とても仲のよかった母娘。
ところが成長するにつれ、
彼女は知的障がいを抱えた母がうっとうしくなってくる。
そしてついに母親が問題を起こしてしまう」

----えっ、ニャにがあったの?
「娘を苛める同級生を追い回して怪我をさせてしまうんだ。
いきり立って治療費の請求に葛望の家へやってくる大人たち。
そのとき葛望の取った態度、
そしてその後の言葉が…」

----どうしたの?
「いや、目にゴミが…。
実はここまでは正直言うと、
ぼくはあんまりこの映画にノレなかったんだけど、
ここからグッときたね。
監督チャン・ジャーベイの言わんとすることが
痛いほど胸に突き刺さる」

----う~む。でも見どころはそういうお話だけじゃニャイでしょ?
「うん。一つはロケーションの魅力。
村長役の人は棚田の写真家として有名なマー・リーウェン。
それだけに、霧に煙ったような幻想的情景から
青空の下のそれこそ風光明媚な景色まで
魅力をあますことなく伝えてくれる。
撮影は『眠る男』などで知られる丸池治。
音楽も日本人で安田芙充央が三宝を思わせる
オリエンタルな曲を作っている。
でも最大の功労者は主演のミャオ・プゥだろうね。
彼女が登場するファースト・カットから
その不幸な境遇を分からせる見事な演技。
最後まで服も一着だけで泥だらけ。
圧巻というほかはなかったね」


       (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも辛い話だよニャあ」悲しい

※それはそうだけ度

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