ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『フロンティア』

2008-08-23 17:04:40 | 新作映画
(原題:Frontiere(s))


「いやあ、
これはあまりと言えばあまり。
ちょっと喋るの止めようかとも…」

----えっ、ニャんで。
確かリュック・ベッソンが絡んでなかった?
「うん。ユーロコープね。
でも『ハイテンション』のアレクサンドル・ハジャにしてもそうだけど、
ここから輩出される人って
どうしてこうも過激な映画作りに走っちゃうんだろう。
その流血の量たるや『キャリー』をも凌駕。
全身が真っ赤っか。
しかもアキレス腱を鋏で切られたり、
高温の蒸気で蒸し殺されたり…。
撮影しながらよく正常な心理でいられるなと…。
ヒロインはまたしても 『屋敷女』状態だし…」

----それって妊娠してるってこと?
「うん。
ちょっと気になって調べてみたら
撮影監督のローラ・バンはその『屋敷女』も撮影していた」

----でも、こうして喋っちゃったってコトは、
どこか言いたいことがあったんでしょ?
「鋭いね。さすがフォーンだ。
実はこの映画の設定が現代のフランスの情勢を背景にしているんだ。
監督のザヴィエ・ジャンいわく
『この映画のアイディアは、2002年の大統領選挙で
極右勢力が決選投票にまで進んだときに思いついた。
事態の深刻さに、心の底から恐怖を感じた。
この不安な感情を脚本の中で表現したかった』
と、こういうことなんだね」

----へぇ~っ。でもそれと映画は
まったく関係なさそうだけど…。
「いや、そうでもないよ。
映画は大統領選挙の結果、
極右勢力が優勢となり各地で暴動が起きているパリのシーンから始まる。
主人公たち5人の若者は、いずれも移民家庭出身。
その混乱に乗じて強盗を計画し、
オランダへ逃走しようと計画する。
ところが国境近くの宿屋で
彼らはこの世の地獄に会うことに。
なんとそこに住んでいたのは
ナチスを信奉する残忍な狂人とその子供たち。
彼らは宿泊客をダマしては監禁、殺害を繰り返していた」

----ニャるほど。
『クライモリ』 や『テキサス・チェーン・ソー』と似たような
狂人家族の設定でも、
ナチスをもってきたことでずいぶんと変わるよね。
「うん。得体の知れない不気味さが増すね。
彼らが誘い込まれた屋敷には
拾われてきた女の子が下働きさせられているんだけど、
彼女は純血を産むことを強いられている。
しかし、産んだ子たちはいずれも…。
いやあ、この設定も歪だ。
彼ら子供たちは正常には産まれず、
豚と一緒に薄暗く汚い地下に閉じ込められている」

----もうイヤ。聞きたくないニャあ。
「ぼくもいま喋りながらしかめっ面になったよ。
ただ、この映画は同じフレンチ・ホラーでも
後半は屋外に出た上に大銃撃戦が加わり、
少し開放感を出してある。
実はこの映画、
『エイリアン』のリプリーのように、
最後は一人のヒロインの戦いとなるんだけど、
彼女を演じるカリーナ・テスタは
強い女性が出てくる映画を観て研究したというだけあって
その戦いぶりはさすがにスゴい。
最初の頃とは様相がまったく変わっていたよ」

----でも、それって頭から血かぶってたからじゃニャいの?
「あらら…」

           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「だから、怖いのはいやニャって…」もう寝る

※春に公開された『ヒットマン』はこの監督のハリウッド進出第一弾だ度

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