ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『マルタのやさしい刺繍』

2008-08-04 16:45:57 | 新作映画
(原題:Die Herbstzeitlosen)


----これって
夫に先立たれて生きる意欲を失ったおばあさんが
自分の若い日の夢を実現させるって話だよね。
確か、スイスの動員数No,1とか…。
「うん。けっこう話題になったみたい。
ストーリーを喋る前に、
監督のベティナ・オベルリの言葉をちょっとご紹介。
『スイスでは、妻は夫よりも6年長生き。
妻は夫よりも若いということを考慮に入れれば、
妻にはかなりの時間が残されることになる---。
(この映画は)
自分で新たな判断を下し、
因習にとらわれない自由を手にする、
高齢期の生きる喜びや
再び花開く人生についての物語』ということになる」

----ニャるほど。
アルモドバルの『オール・アバウト・マイ・マザー』を思い出すニャあ。
もっともあれは息子に先立たれた話だったけど…。
「うん。でもこちらは高齢化社会の問題が絡む分、
よりいまの日本に近いかも。
マルタは若い頃、パリのシャンゼリゼ通りで
ランジェリー・ショップを開くことを夢見ていたんだね。
で、高齢となったいま
その“憧れ”を実行に移す。
この映画がオモシロいのは、
そんな彼女を取り巻く環境を
きわめて保守的なものとしていること。
マルタの息子は村の牧師。
で、その村では保守的な政治家が幅を利かせている。
彼ら、伝統を尊ぶ者にとっては
ランジェリー・ショップなんて破廉恥というわけで、
さまざまな妨害に出る。
でも、マルタとその友人たちは
そんな彼らをやり込めて夢の実現へと向う」

----友人たち?
「そう。
マルタに触発されるかのように、
彼女の友人のフリーダは車の免許証をとり、
ハンニはコンピュータ技術を習得する」

----へぇ~っ。
じゃあ、俳優の年齢層は
かなり高そうだね?
「それそれ。
主人公は80歳という設定なのに、
それを演じたシュテファニー・グラーザーは、
さらにそれを10歳も上回る90歳。
俳優としてのキャリアはスゴいのに
なんとこれが初めての主役らしい。
そのシュテファニーはインタビューでこう言う。
『「どんな状況であっても不満を抱かないで、
いつでも満足して生きる」ということが
人生においてはとても重要じゃないか』と」

----へぇ~っ。いい言葉だニャあ。
スイスと言えばアルプスを始め自然もきれいだし、
街並みも美しいよね。
「うん。家の窓辺にはバルコニーフラワーが飾ってあるし、
ヨーデルも流れる。
この映画にはそういうスイスならではの点描だけでなく、
ドラマに起伏があり、
最後は胸がスカッとする。
そういう意味でもこれは万人向けの映画だと思うね」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「いわゆる人生のセカンド・ステージということだニャ」気持ちいいニャ

※夢見るパワーとは、あきらめないココロだ度

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