マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

ディープランニングとは何か(その2)

2016年07月29日 | IT

 しかし囲碁の場合、テレビゲーム攻略の様に単純にはいかない。無限とも言える選択肢から短時間に最善の手を選ばなければいけない。そこでハサビスが考えたのは人間の様な直感を人工知能に身に着けさせることだった。
 直感。それは羽生善治を将棋の天才たらしめる特殊な能力。羽生は実験台に上った。次の一手を決めるまでに羽生が盤面の何処を見ているかという実験だ。アマチュアと比べると大きな違いがあることが明らかになった。アマチュアの場合、盤面をくまなく見ながら次の手を思案する。一方羽生は最初は盤面全体を見渡すが、そのうち右上の限られた部分に絞って次の手を思い付いていた。羽生は「感覚的に64歩と指したい気がします。それ以外の殆どの手は考えていないです。将棋が強くなるということは沢山の手を考えなくて済むようになることです」と語った。(写真:右は実験中の羽生。下は羽生の目が右上に手中していることを示す実験結果)



 ハサビスは人間ならではのこの直感を人工知能に模倣しようとした。直感の力は多くの経験を積むことで育つ。そこでα碁に、過去に行われた15万局の画面を画像として与えた。するとα碁は様々な石の並び方を徹底して覚えた。各局面で勝ちに繫る、共通して現れる並び方を自ら見つけ出した。それに照らして次の一手の選択肢を絞り込む。絞りこんだ手だけに限定してその先の展開を予測するのだ。人間ならではの直観力が遂に人工知能に組み込まれた。以前開発された人工知能ではチェスで一億以上の手の中から最善手を探していたが、それがα碁では数万手でいいのだ。(写真:右は選択肢が絞られていることを示す模擬図。下は限定された手のみを深読みしていることを示す模擬図)





 次に目指したのは人間を超える創造性。その為に行ったのはα碁同士の対局を繰り返すこと。その数は何と3000万局。人間が毎日10局うち続けても8200年はかかる。囲碁の歴史でいまだ人間が考えついていない未知の戦法をα碁に発見させようとした。(写真:α碁同士が3000万局以上対戦を繰り返していることを示す模型図)
 直感と創造性を身に着ける事に半ば成功したα碁。イ・セドルが戦っていたのは囲碁という小宇宙の、いわば神の様な存在だったかも知れない。
 α碁におけるディープランニングとは、過去からは膨大なデータを蒐集し、現在から将来にかけては想像を絶する数の実戦を繰り返し、そこから”深く学ぶ”ことだった。

 羽生「ここまで知能を持つのは人間だけだと考えられてきましたが、ここまで人工知能が進化すると、知能とは何か考えな直す必要があるのでは」とハサビスに問うた。ハサビス答えて曰く「人間の知能の凄さは柔軟性と汎用性です。人工知能にも同じことが求められます。私が目指すのは何でもできる“究極の人工知能”です。実現されれば科学を急速に進歩させ、社会のあらゆる問題を解決できるでしょう」
 果たして人工知能の未来は、私達庶民の生活の観点から見て本当にバラ色か。私は原子力開発の過程に似ている部分を感じてしゅうがない。暫らく間をおいて人工知能の開発の現状をまとめたい。


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