マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

先手必勝か後手必勝か(その1)

2018年01月19日 | 数学

 ドイツの数学者ツェルメロの名前は、大学時代に集合論を学んだ際に知った。集合論では、創始者カントールに並び称されるエルンスト・ツェルメロは『集合論の基礎に関する研究』を発表していた。しかし「ツェルメロの定理」なるものは昨年、ゲームの必勝法に関する小論文を読んだ時に初めて知った。

 ここからは少し理屈ぽい話になります。読み難いと感じられる方は、最終の9行まで飛ばしてお読みください。

 さて「ツェルメロの定理」の、その概略は
 「ゲームが(1)2人のプレイヤがゲームをして、片方のプレイヤが勝つときはもう片方が負けることが保証され、(2)自分と相手の状態が全て公開され、(3)有限手数で必ず終了するならば、両プレイヤが最善手を指し続ければ、ゲーム初期局面は、先手必勝、後手必勝、引き分けのいずれかになる」というものだ。
 定理の仮定の部分(1),(2),(3)を満足するゲームは“有限確定二人零和完全情報ゲーム”と呼ばれるが、日本で馴染みの将棋や囲碁のみならず、オセロ、チェッカー、チェス、シャンチー(中国象棋)などのゲームがこれに相当し、その結論として、引き分けを除いて先手か後手の必勝が保証されているとなる。

 問題は必勝が保証されているとしても、先手必勝か後手必勝か(又は引き分け)は不明だし、各ゲームでその必勝法を見出すことは更に難しい。(写真:シャンチー)


 しかし、研究が進んできて、例えば「どうぶつしょうぎ」では後手必勝が証明された。この将棋は、2008年に北尾まどか女流初段によって発明され、2009年にコンピュータを用いて後手必勝が証明されていた。(写真:どうぶつしょうぎ)
 又、チェッカーについては2017/3/26のブログ「盤上の夜」にも書いたが、2007年に多数の計算機を用いて引き分けとの”完全解”が発見・証明された。
   
 私などが子供の頃よく遊んだ五目並べは、1992年にマシンを用いて先手必勝が証明された。

 

 以上のようにコンピュターの力を借りて、ゲームの全ての展開を調べ尽して、結論を導いている方法に対して、“論理的”に証明されたゲームもある。ご存知の方もおられると思うが“三山崩し”がそれだ。ゲームのルールなどの説明は省略するが、最初に石の置かれた状態により、整数論的に、先手又は後手が必勝になることが論理的に完全解析されている。(写真:チェス)




 ということは、完全解の存在の証明方法に2通りあることとなる。(a)全てを探索し尽くす方法と(b)論理的な証明による方法がある。
 昨年あるパズル問題集を解いていて解決後、その完全解の存在の証明方法が(a)でも(b)でも可能であることを知った。その問題を若干変更してここに書くことにする。その解答は次々回のブログに書きますので、御用とお急ぎでない方はお考え下さい。

 問題『トランプのうちから1~9までのハート9枚とジョーカーの合計10枚を用意し、良く切って横に表にして一列並べる。この状態から先手は両端のいずれから1枚のカードを取り、取ったカードのナンバーを先手の得点とする。その後、後手も両端のいずれか一方から1枚のカードを抜き出す。得点の数え方は先手と同じ。ただしジョーカーは0点とする。これを繰り返し、両者が5枚づつのカードを取り出してゲームは終了。その得点合計を計算し、合計点の高い方を勝ちとする。
 このゲームで先手と後手のどちらかが必勝となるのだろうか。又必勝の方法論を述べて下さい
』という問題です。
 以下に例えばの具体例を示します。