マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

乾山展を観る

2015年06月04日 | 映画・美術・芝居・落語

 6月2日(火)、「サントリー美術館」で「乾山展」を観て来た。そのタイトルがユニークで、“着想のマエストロ乾山見参!”と来た。美術館でもこんな言葉遊びをし、駄洒落を飛ばすのか。マエストロって何だ。

 ここの美術館は火曜日が休館日。その日に会員向けの内覧会が行われ、特に2日は、学芸員によるレクチャーが行われる予定。開講が15時なので14時10分に美術館前で妻と待合わせをした。ところがである。受付に行くと≪満席≫の掲示が貼り出されていた。50分前に来て、既に満席とは!初体験だから知らなかったが、かなりの時間並ぶ忍耐が必要なようだ。レクチャーは諦めて、展示を鑑賞した。クラブ会員のみを対象にした内覧会なのに混んでいて、ここの、会員へのサービスの質が高いことを窺わせる。

 乾山は多くの場合“尾形光琳の実弟”がマクラに来ての紹介となる。京都の裕福な呉服商「雁金屋」に生まれ、恵まれた環境に育ちながら、20代後半には仁和寺門前に隠居し、野々村仁清に作陶を学んだという。その後、京都の北西・鳴滝泉谷に窯を築き、本格的に陶工として活動を開始。京の乾の方角に当たることから「乾山」と号したとも紹介されている。

 陶磁器鑑賞は好きだが、茶碗の美しさが良くは分からない。ただ鑑賞の機会があれば、積極的に出掛けて、その眼を養いたいとは思っている。そんな私の目を引いたのが「色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図角皿」と「色絵竜田川図向付」と「色絵石垣文皿」。
 「花鳥図角皿」は鳴滝窯で作られた器。解説には「絵画で器を飾るのではなく、絵画がそのまま器となる。発想の転換」とある。絵師は普通キャンパスに絵を描く。乾山は発想を転換し、キャンパスではなく、陶磁器をキャンパスと見なして、そこに絵を描いたということか。“マエストロ”とはイタリア語で、芸術家・専門家に対する敬称。日本語では巨匠とネットで知った。とすれば乾山は“発想上の巨匠”ということになる。(右写真:「花鳥図角皿」)

 竜田川は百人一首「千早ぶる神代もきかず竜田川からくれなゐに水くくるとは」で覚えた紅葉の名所。それを向付に描いた。竜田川が取り入れられた鍋島焼も展示され、乾山焼と鍋島焼が対比されている。鍋島の端正な絵柄と、乾山の素朴な華麗さの、鮮明な違いが面白かった。


 「石垣文皿」は現在のパッチワークのような絵柄。デザインが斬新だ。これも発想の転換か?(写真は、今回の展示されていた作品と同じもの。図録『京都へのいざない』より「色絵氷裂文角皿」)


 帰路、初めてミットタウン内にある「とらや」に入り、宇治金時のカキ氷でのどを潤した。