4月7日(月)、文京シビック小ホールで石見神楽を観てきた。津和野町の東京事務所が文京区内に開設されたことを記念しての公演で、「400名無料ご招待」に応募し、当選してのご褒美だった。驚いたことに、入場の際に袋入りのお土産が配布された。中身は津和野町地酒の酒粕を用いたカトルカールというケーキと袋入りの豆茶。グーンと津和野町への評価が上がる。単純だが的確な誘致作戦だ。
津和野町と文京区の”仲人”は森鴎外。生誕が津和野で終焉が文京区。一昨年、両者は相互協力の”契り”を結んだのだ。
開演に先立ち挨拶が3つ。津和野町観光協会会長・津和野町長・文京区長と続く。会長の話から岩見神樂の謂れと事務所の位置を知る。町長は、文京区からの義捐金への感謝を述べ、津和野に流れる高津川は清流度日本一と語った。区長の話が面白かった。主義主張はさておき、この人話が上手い。津和野と文京の仲人が森鴎外のみならず、廃藩置県にあった津和野藩城主亀井氏の屋敷が文京区千石にあるとの話もあった。この話を聞いて、昨日の朝散歩でその屋敷跡を探してみたが見いだせなかった。(写真:津和野のユルキャラのつわみん)
さて石見神楽。上演された演目は3つ。「鍾馗」「恵比寿」「大蛇」。石見神楽はどれも面白いし、観て実に楽しい。今回の演目は3本の内容が異るという工夫がなされていた。
「鐘馗」は鐘馗が厄神を退治する物語。鐘馗は右手に宝剣、左手に輪を持って厄神と激闘を演じる。その輪こそ「茅の輪」(2013/7/4のブログ)なのだ。演じ終わって鐘馗を演じた役者は面を取ると、きりりとした面持ちが現れる。拍手が大きくなった瞬間。
「恵比寿」は恵比寿さまが海辺で釣りを楽しむ様子を舞ったもの。撒き餌をまく場面では客席に向かって飴を投げるのだが、残念ながら私たちの席まで届かない。コミカルな動が笑いを誘う。ここでも面を取ると、恵比寿とは正反対(?)の表情の顔が現れ、場内大爆笑。(写真:鐘馗の持つ茅の輪)
真打が「八岐の大蛇退治」。何故か八頭ではなく六頭の大蛇がもの凄い絡みを演じたり、すっくと立ち上がったり、蜷局(とぐろ)を巻いたりする。その演技は、熟練して始めて演じられると思える見事さ。須佐之男命が剣で大蛇の頭部を切り取る度ごとに拍車が沸き起こる。メデタシメデタシの後面を取ると、私には、鐘馗を演じた役者と顔が現れたように見えた。
今回の神楽で気が付いたことはお囃子の役割の大きさ。大太鼓・小太鼓・打楽器・笛の4人の演奏者が奏でる、時に軽快で、時に激しいリズミカルな調べが心を躍らせる。舞いとマッチする。
石見神楽は神に奉納する神事ではあるが、エンタテイメント性が高く、ストーリがわかりやすい。(写真:大蛇の競演)
(お囃子の4人)
(立ち上がる大蛇)
(須佐之男命)