マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

東京国立博物館 特別展「仏教伝来の道 平山郁夫と文化財保護」

2011年02月11日 | 映画・美術・芝居・落語

 昨日の2月10日(木)、東京国立博物館に出掛けて「仏教伝来の道 平山郁夫と文化財保護」展を観て来ました。一昨年12月に亡くなった平山郁夫の、絵画での偉業を回顧するに留まらず、文化財保護にかけて来た情熱と意欲の結果をも広く世に伝えようとする特別展です。

 朝9時25分の開門5分前に到着。予想通り長蛇の列は出来てはいません。ざっと見て、50人ほどの方が列をなしています。多分、今日はゆったりと鑑賞出来ることに一先ず安心し入場の時を待ちました。(写真:平成館入口付近のポスター)






 構成は2部からなっています。
 1部 文化財の保護と継承――仏教伝来の道
  1章 インド・パキスタンーーマトゥラー・ガンダーラ
  2章 アフガニスタンーーバーミヤン
    3章 中国ーー西域
  4章 中国ーー敦煌
  5章 中国ーー西安 ・ 洛陽(龍門石窟) ・ 大同(雲崗石窟)
  6章 カンボジアーーアンコールワット
 2部 文化財保護活動の結実 ――「大唐西域壁画」

 第1部では、平山郁夫が訪れたインド・パキスタンをはじめ、アフガニスタン、中国、カンボジアなど、仏教伝来の道に沿った仏像や壁画の数々が、文化財保護活動の集大成として数多展示されています。彼が、創作活動と表裏一体をなすものとして、世界各地で危機に瀕している、かけがえのない文化遺産の保護に尽力したことがよく分かります。
 更には、文化遺産を保護していくためには信仰心と重なる平和への強い祈りが大切であると考え、インドから中国を経て日本に伝わった仏教の伝来過程にも注目し、多くの遺跡をくまなく旅した事も知りました。なんと150回にもわたって世界各地の遺跡を訪問したことも知りました。。
 15歳の時、学徒動員先で原爆に被爆。その体験が彼の想いの原点にあった事でしょう。
 
 第2部は「大唐西域壁画」。この展示こそ今回の特別展で観たかったもの。数年前に薬師寺を訪れた折、「玄奘三蔵院」で、その壮大な風景を一度観た事があり、忘れえぬ壁画となっていました。再度奈良へ出向く事無く、その壁画を堪能できます。玄奘三蔵の旅を追体験する過程では何時もスケッチをしていたと、妻さんは語っていました。その数、何と数千枚に及ぶとか。もの凄い情熱と制作意欲です。その活動の集大成ともいえるのが「大唐西域壁画」 。

 壁面13面に中国・長安からインド・ナーランダ寺院へ至る7場面が描かれ、場面中の時間は朝から夜へと推移していきます。どの絵からも遥かなる土地の拡がりと悠久の時の流れを感じました。特に第4場面 「西方淨土須弥山」(さいほうじょうどしゅみせん)の雪と岩の前では立ち尽くしました。(写真:絵葉書より。壁画の一部 奈良・薬師寺所蔵)



 負の出発点を背負いながら、そこを原点として、志高く生きてこられた偉大な先人の業績の数々を鑑賞でき、こころ豊かになりました。