見たい映画はどんどん見ていかないといつの間にか上映が終わってしまったり、上映回数がどんどん少なくなってしまうもの。
案の定この作品も今週で終わってしまうことが判明したので、慌てて見に行きました。

こないだ見てきた「トップをねらえ!」の続編となる本作、実はOVA版の方は途中までしか見ておらず、合体劇場版も実は見ていません。なのでトップ2本編を通しで見るのはこれが初めてとなります。
さて、上映時間が近づいてくるとお客さんが集まって来ましたが、明らかに前回よりも年齢層が若いのになんだかめまいを覚えます。さらに上映開始時のタイトル画面の「2003」を目にするとにわかに動悸が増してきました。これが恋? に……20年前……。
などと時間の流れに愕然となってしまいますが、伝説の宇宙パイロット・ノノリリが超えてきた時間を考えれば20年なんて誤差のようなもの。
といったように、本作は前作よりも大幅にSF度合いがマシマシの世界観。前作とは隔絶した世界観ながら、その構図は前作を踏襲した「人類と宇宙怪獣の戦い」となっています。その共通点や相違点を探すのがなかなか楽しい作品です。
キャラデザが「フリクリ」と同じくかなりポップな感じになっており、いわゆるアニメアニメしたデザインになっているのが特徴です。しかし後半に行くに従って物語はどんどんハードSFへ、ハードSFを通り越してワイドスクリーン・バロックに突っ込んでいきます。
また、作品中の情報量も非常に多く、作品を一見しただけではその全貌はわかりません。今もちょくちょくwikiを見ながら感想を書いています。そういやトップ世界を拡充するメディアミックス企画「トップをねらえ! NeXT GENERATION」なんてのもあったなあ……。
本作は、伝説の宇宙パイロット・ノノリリに憧れる女の子「ノノ」を主人公に、ノノが「おねえさま」と慕うバスターマシンパイロット・ラルク、ライバル的存在のバスターマシンパイロット」・チコなどとの交流を通して人類と宇宙怪獣の戦いを描くという本筋がありますが、前述のとおりその世界観は前作とは時間的に大きく隔絶しています。しかしながら物語の展開は要所で前作をなぞるものになっているのが、単純にファンサービスと言うだけでなく運命を感じます。特に完全に前作のクライマックスを踏襲した展開を1話で持ってくるあたりが作劇的にもファンサービス的にも上手い。
もちろん、本作独自の要素も魅力的。前作と比べて時間的、技術的に大きな隔絶があるとひと目でわかるメカデザインは非常に特徴的。また、バスターマシンパイロットの一人であるチコにフォーカスが当たる第3話で、チコが身につけている球形2個、三日月型1個のイヤリングが、ラストで雪だるまの顔になるという展開がすごく好き。こういうガジェットをうまく使った展開っていいよね。
また、本作におけるバスターマシンパイロット・トップレスの能力は、「あがり」といって成長とともに失われてしまいます。彼ら、彼女らはその「あがり」を迎えることで自身の能力が、ひいては存在意義が失われてしまうことを恐れています。これ、このいいトシしたおっさんになった今になって見ると、ミドルエイジ・クライシスなんですよね明らかに。
しかも、作中ではミドルエイジに達するには程遠い年齢の若者がいずれ自分の能力が失われることに怯えている姿はなんとも悲しい。個人的な傾向として、わたくし人形使いはあんまり出番のない脇役を好きになることが多い不治の病「脇転び症候群」に罹患しているのですが、そういった観点では作中でも特に「あがり」を恐れていたニコラスに感情移入してしまいました。
そして物語が一気に加速する中盤、今まで戦っていた宇宙怪獣が実は……という展開は以前wikiを読んだかなにかで知っていたような気がしますが、こうして実際に見てみるとなかなか上手く、前作と大きく隔絶した世界観を活かしたどんでん返しだったと思います。「前作と大きく隔絶した世界観」それ自体がギミックだったというこの構造自体が実にSF。
時間と空間を飛び越えたラストはなかなかの衝撃で、「多元宇宙内 時空検閲官の部屋」「むき出しの特異点」「シュバルトシルト面」といったハードSFワードが出てくるのには面食らいましたが、その辺も見た後でいろいろ調べてみると面白そうです。
さて、次はサンサン劇場で「ミッドサマー」だ。みんなで不安になろうね。
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