シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

茶の味

2005-12-28 | シネマ た行
石井克人監督か。あの「鮫肌男と桃尻女」や「Party7」のね。ワタクシは苦手です。はっきり言いましてこの2作品は苦手というか嫌いと言ってもいいでしょう。こういう系統は好き嫌いがはっきり分かれると思いますが、ワタクシはダメなほうですね。

この「茶の味」も、正直ワケ分かりません。こういうタッチが嫌いな人にはあえて勧めないでしょう。ワタクシ自身も好きな映画かというと違うと答えます。きっと好きな人にはなぜこの良さが分からないかっ!と言われるだろうけど、しょうがないです。本当に分からないんですから。

なら、なぜ取り上げるのか?なんですが、理解不能な面がほとんどの中に「おっ」と思えるシーンがいくつかあったからです。

まず、しょっちゅう大きな自分が自分のことを見ている気がして落ち込んでいる春野家の末っ子の幸子坂野真弥。ワタクシは小さい時にこの子とまったく同じ体験をしたわけではないけど、それでもなんとなく分かる気がするんですよね、これ。結構、これが、分かる分かるって言う人いるんじゃないかなぁ。それに、この大きな自分を追い払おうとして必死で逆上がりの練習する幸子ちゃんがけなげでいいよねー。(なんで、逆上がりで追い払おうとするかは、めちゃお下劣なエピソードが挿入されているので見てね)

そして、長男一(ハジメ)佐藤貴博の恋。冒頭で恋してた女の子が引越ししちゃって落ち込んでるかと思いきや転校生土屋アンナにすぐフォーリンラブ。しかも、その子の趣味が自分と同じ囲碁と分かって大興奮でいつもなら電車のところを学校から自転車で帰ってきてしまう。そして、やっぱり明日困るからと言ってまた学校の最寄の駅まで自転車を置きに行く。これもまた、まったく同じ経験をしていなくても分かる分かる~って思う人結構いるんじゃないかな。転校生だからまぶしく見えるのか、土屋アンナが可愛いのか、あのハスキーボイスで喋られちゃうとこの長男じゃなくてもフォーリンラブしちゃう気持ちは良く分かる。

この二人のおじさんにあたるのが浅野忠信ですが、彼と彼を以前振った女性中嶋朋子とのやりとりも意味なく「元気?」とか、「仕事どう?」とかぎこちなくてすごくリアルでした。

最後に思いがけずいいエピソードでビックリしたのがおじいちゃん我修院達也の画集。初め、「美子」ってお母さん手塚里美の名前を書いた絵が出てきたときはこのエロじじい、息子の嫁のこと好きやったんかって不謹慎なことを考えてしまったのですが、その後、「ノブオ」三浦友和「ハジメ」「幸子」と出てきたときにはそんなことを考えてしまった自分が恥ずかしくなりましたね。「ノブオ」はもう立派な大人なのに、子供時代の絵で「どうして俺子供なんだろ?」とか言ってたけど、おじいちゃんの目にはきっといつまでも子供だったんだよね。幸子が一生懸命逆上がりの練習をしていたことを唯一知っていたおじいちゃんは幸子が逆上がりが出来てるところを書いてくれた。この絵にもちょっと涙しそうになったなぁ。

この他の部分は意味不明なこととかがいっぱいあったりして、いかにもオフビートな日本映画って感じです。上に書いた2作品が嫌いな人はかなりとっつきにくいかと思いますが、上の2作品よりは少し見やすい作りになっていますので、少し興味のある方はどうぞ。