複数年契約には当然のようにメリットとデメリットがあります。
選手からすれば数年にわたって雇用が担保をされるもののブレイクをした場合には年俸を低く抑えられるリスクがあり、球団からすれば一年あたりの年俸を抑えられる一方で故障などで鳴かず飛ばずの無駄銭になる可能性が低くはありません。
そのお互いのリスクを減らすために複数年契約を結びながらも年俸については一定の見直しをするという条項を入れるケースも増えてきているようで、清水が史上最大の減額となる2億円ダウンで契約を結んだことがニュースになっていますが、同じく昨年に2億円のダウンとなった松中は7年契約の5年目の見直しによるものです。
そういった世間の流れとは無縁のロッテだと思っていたのですが、意外にシビアな契約が結ばれていたことにちょっと驚いています。
福浦は現状維持1億円 小野は20%減の8000万円 (12/12 スポーツニッポン)
ロッテの福浦は12日、契約更改交渉を行い、現状維持の年俸1億円プラス出来高払いでサインした。
小野は2000万円減の年俸8000万円プラス出来高払いで契約更改した。
ともに、来季が3年契約の2年目となる。
福浦は主に指名打者で出場し、打率2割2分3厘に終わった。
「若い選手に負けたくない。ファーストにこだわりたい」と意欲的に語った。
来季19年目を迎えるベテランの小野は、球団社長が今季途中に辞任を発表するなど周囲が騒がしかったシーズンを嘆き「(全員が)同じ方向を向いて、優勝に向かいたい」とフロントに訴えた。
成績的には下り坂がどうにも否めない36歳からの3年契約でしたので思い切ったことをしたなとは当時の感想ですが、これが生え抜きの終身雇用の側面がありながらも条件は毎年に見直すとのものであれば、今後の契約形態としてはどんどんとロッテに取り入れていくことはよいと思います。
できれば出来高の割合をもう少し増やしたいところですが、あまりにやり過ぎると「杉内の乱」の二の舞になりそうなのでさじ加減がかなり微妙で、しかし趙成や李承や高橋由らの失敗に懲りずに巨人が固定で4年20億などと大盤振る舞いをするのは時代錯誤と失笑する向きもあるでしょう。
もしもう少しこのやり方を早めに導入をしていれば清水も流出をすることがなかったかもしれず、逆に言えばああいった痛手があったからこその進化だったのかもしれません。
ロッテ 大村と13日交渉「球団としての考えを全て伝えます」 (12/12 スポーツニッポン)
ロッテは12日、巨人からFA宣言した大村と13日に東京都内で交渉を行うと発表した。
交渉を行う林運営本部長は「球団としての考えを全て伝えます」と話した。
ロッテではサブローの登録名でだった大村は、6月にトレードで巨人に移籍。
大村も古巣への復帰を希望しており、復帰は確実視されている。
シーズン終盤の10月2日にフロント陣を一新させた重光オーナー代行は「サブロー選手が出ていった後から成績が悪くなった」として、退団した瀬戸山隆三前球団社長、石川晃球団運営本部長の旧フロント陣を批判。
個人名こそ伏せたが「今年出ていった人を呼び戻したい」とサブローの再獲得を示唆した。
この流れはサブローへの待遇にも影響をしてくるかもしれません。
普通に考えれば.254の3本塁打の成績ですから1億3000万の現状維持などありえないのですが、しかしFA移籍と重光ジュニアの軽口のおかげで3年4億などの暴挙をやらかすのではないかとの危惧は危惧で終わらないかもしれませんので、もしそうなれば今オフの補強は実質的に以上終了でしょう。
そうは言ってもさすがに球団を預かる中村球団社長や林球団運営本部長には赤字削減のノルマがあるでしょうから、ここでの折衷案が条件見直し込みの3年契約です。
初年度は1億、これでも高すぎると思うのですが、サブローの体面を保つにはぎりぎりのところだと思います。
36歳からの3年契約であれば小野や福浦と同じ条件ですので、前例があるという意味では精神的に越えなければならない壁もかなり低くなるでしょう。
そして結果を残せばアップをするし、ダメならダウンをする、それであれば球団も重光ジュニアの面子を潰さずに少しだけでも健全経営に舵を切れます。
この1億という数字は福浦の現状維持が微妙に絡んでいるような気がしてならず、規定打席にあとちょっとというところまでの出場をしたとは言っても自己最低の.223ですので言い訳ができるものでもなく、また20%ダウンとなった小野との差が異様に思えてなりません。
しかしこれがサブローとのバランスを取ったと考えれば納得もできますし、年長者の福浦のプライドに配慮をしたような感じがあります。
もう少し踏み込めば福浦がファーストにこだわると言っているのはサブローのDHでの起用を示唆しているようで、石川前球団運営本部長あたりであれば無用な契約条項を盛り込みそうな怖れがありますが、これが素人の林球団運営本部長ですと起用法までを決断するほどの勇気は無いのではないかと思っています。
ぐだぐだと書きましたが明日になれば一気に覆されるような戯言ではあるのですが、そんなところに落ち着いて欲しいとの願望が込められていると思っていただければ幸いです。