電脳筆写『 心超臨界 』

影は光があるおかげで生まれる
( ジョン・ゲイ )

福島原発所長が涙した言葉――桜林美佐さん

2019-11-01 | 04-歴史・文化・社会
 「東京裁判史観(自虐史観)を廃して本来の日本を取り戻そう!」
    そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現します。
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《 いま注目の論点 》
フクシマ50が描く「総理」像――阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員
【「阿比留瑠比の極言御免」産経新聞 R01(2019).10.31 】
対中政策 日米に相違――古森義久・ワシントン駐在客員特派員
【「緯度 経度」産経新聞 R01(2019).10.29 】
基本的人権と義務は表裏一体だ――福井義高・青山学院大学教授
【「正論」産経新聞 R01(2019).10.25 】
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●福島原発所長が涙した言葉

『日本に自衛隊がいてよかった』https://tinyurl.com/y3bl33ft
【 桜林美佐、潮書房光人新社 (2019/2/22)、p108 】

福島第1原発対処をめぐって、陸上自衛隊隊員の間では、ちょっとしたモメ事が起きた。

「ダメです班長!」

通常、消防車は3人で乗り込むが、いざ突っ込むことになったとき、被爆量を最小限にするために2人で突入することになったのだ。

「オレが行く」という班長に、あとの若い2人が語気を強めて言った。

「独身者の自分たちが行きます。何かあったら奥さんに合わせる顔がありません」

新婚の班長に対し、初めて意見を具申した。

「独身は将来があるんだから行くな」

そう家族持ちが言えば、「家族持ちこそ、守るべき人がいるんだから行っちゃいけない」と反論する。そんなやり取りが繰り返された。

そのうちに、「もう希望をとるのはやめてください。『行け』と言ってください」と多くの隊員が言い出した。

海上自衛隊では「年寄りが行こう。若い連中は未来がある」と、40歳過ぎが集合した。

実は、1991年の4月、海自の掃海部隊がペルシャ湾に派遣され、これが自衛隊初の海外での活動となったが、その際、危険な機雷の見張り任務を進んで請け負ったのは、当時40代以上のベテランたちだった。「年寄りに任せろ」は、その時のセリフだ。

あれから20年、当時の「若い連中」が自称「年寄り」になった今、歴史はくり返されている。

しかし、海自らしく、洋上での出来事ならともかく、まさか原発に突っ込んでいくことになるとは、想像だにしなかっただろうが……。

震災3日後に爆発事故がおきたことは、確かにショックだった。しかし、その後、自衛隊幹部は、現場責任者である東京電力の所長を訪ねている。

「『安全です』と言いながら事故を起こしてしまった」と、所長は深々と頭を下げたが、返された言葉に耳を疑った。

「大丈夫です。もう隊長も復帰しました。最後はわれわれが必ず助けます」

責められ、罵倒される覚悟だった所長の目からぽろぽろと涙がこぼれた。

支え合わなければ、この国難を乗り越えることはできない。街から灯りが消えたが、東電関係者の心の内も暗闇に違いない。そんな中では「人の良心」だけが唯一の灯だ。批判されながらも、命令一下、現場で汗を流してきた自衛官には、それがよく分かっていた。

自衛隊消防隊などはすでに帰隊している。しかし、今も福島では自衛隊による除染作業など、必死の活動が続いている。

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