電脳筆写『 心超臨界 』

何もかもが逆境に思えるとき思い出すがいい
飛行機は順風ではなく逆風に向かって離陸することを
ヘンリー・フォード

日本が自衛隊の派遣を止めれば、海賊を助けることになる――柳井俊二さん

2009-08-18 | 04-歴史・文化・社会
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海運と海賊――柳井俊二・国際海洋法裁判者判事
【「あすへの話題」09.08.11日経新聞(夕刊)】

海運は日本の生命線だ。これに対する海賊の脅威が深刻になっている。世界全体の発生件数は減ったが、一時マラッカ海峡等東南アジアで増大し、2003年には170件に達した。幸いこの地域では、日本提案に基づく地域協力等により、昨年は54件まで減った。代わってソマリア沖の海賊が急増し、03年には21件だった件数が本年は8月2日までで151件に達した。帆船に髑髏(どくろ)印の昔の海賊は格好良かったが、ボロ漁船に乗る今日の海賊は絵にならない。格好はともかく、海賊が私的目的で商船を襲う海の強盗であることに変わりない。

海賊は古くから人類共通の敵とされ、取り締まりの慣習国際法が形成された。領海内では沿岸国が取り締まり、その外側の公海ではいかなる国も海賊を臨検、拿捕(だほ)、裁判しても良い。各国は海賊行為抑止に協力する義務を負う。この規則は国連海洋法条約でも成文化されている。マラッカ海峡では沿岸国の領海が互いに接しており、ある沿岸国が海賊を追っても他国の領海に逃げ込まれる。20年以上内戦が続いたソマリアは、より深刻だ。国際的な和平努力は失敗している。国内の混乱で漁民等が海賊になり、自国沿岸で海賊取り締まりができない状況だ。破綻国家と海賊との最悪のコンビだ。

国連安保理は、強制力を伴う決議を採択してソマリア沖の海賊を強く非難し、取締まりのため各国に軍艦と軍用機の派遣を要請した。日本は6月に新法を制定し、海上自衛隊の護衛艦とP3C哨戒機を派遣して国際的に高く評価されている。貿易・海運立国のわが国が人類共通の敵、海賊との国際的戦いへの貢献を止めれば、海賊を助ける結果になり、国際的非難の的になる。

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