電脳筆写『 心超臨界 』

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( マハトマ・ガンジー )

自分を鍛える! 《 「人生論」を書くに最もふさわしい著者の経歴と体験——渡部昇一 》

2024-08-07 | 03-自己・信念・努力
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彼こそは、人生論を書くに最もふさわしい資格の持ち主の一人ではないかと思われてならない。前述したように、私自身の青年時代の印象から言っても、スムーズに学校生活を通り抜けたような先生の話は、苦しんでいる人間にはあまりぴんとこないものであった。しかしトッドの書いていることは、直接自分の人生を語っているわけではないけれども、ものの見方や感じ方が、悩める者にもいつの間にか参考になるような発想になっていることが特徴である。


『自分を鍛える!』
( ジョン・トッド、三笠書房(2002/02)、p246 )
訳者解説――渡部昇一

4 「人生論」を書くに最もふさわしい著者の経歴と体験

トッドを有名にしたのは、なんと言っても彼の数多い著書である。その中の主なものを2、3あげてみよう。

彼は学生の頃からすでに雑誌のためにいろいろ書いていたし、アンド―ヴァーにいた時も、雑誌の編集長になれと2回も誘われている。

彼が最初に名をなした本は、『子供への説教』(1834)であるが、これはただちに成功をおさめた。20万部も出版され、しかも5ヵ国語に翻訳された。当時のアメリカの人口の少なさ、読書階級の少なさを思えば、この20万部という数は、今で言うなら5百万部の大ベストセラーに匹敵すると言っても過言ではないであろう。

そしてその翌年出版された本書、つまり『自分を鍛える!』は、翻訳も広く行なわれ、売れゆきもよく、前作以上に彼を有名にした。本書はロンドンだけでも15万部売られ、彼の本の中で最も影響力のあったものである。この数字はそれから約4分の1世紀後に出た、かの世紀のベストセラー、サミュエル・スマイルズの『自助論』(1859)の最初の30数年間分の出版部数にも匹敵する驚異的な数字と言わねばならない。

彼はたゆまずいろいろな雑誌に寄稿し、多くのスケッチ、物語、質疑応答書をバイブルを学ぶ学生のために書いた。

かれは説教壇においてはいたって厳粛であったが、そのほかの場所では稀に見るほど社交的な才能もあって、テーブル・スピーチなどもしばしば頼まれていたようである。

家族関係では、彼は1827年3月11日に結婚し、9人の子をもうけた。そのうちの一人は同じく牧師となり、2、3の著作を残した。

この大ざっぱな輪郭を見てもわかるように、トッドほど不幸な幼年・少年時代を過ごした子供というのは、ちょっと考えることがむずかしいぐらいである。父親が6歳で死んだということは、今の感覚で言えば小学校に入るか入らないかのうちにお父さんが死んでしまったということであり、母親は自分が生まれた時から精神病患者であったのだ。他人の家を転々として育ち、しかも病弱であった。栄養状態はよくなく、少年期は勉強の機会も恵まれたものではなかった。彼を支えたものは、親譲りのキリスト教的な精神と、人生に対する明るい建設的な態度である。これによって彼は開拓時代の厳しい環境にありながら、信望ある牧師として活躍するかたわら広く人々に読まれるような有益な著書を数多く著わし、70歳に及ぶまで不断の著作作業を続け得たのである。

これから見ても、彼こそは、人生論を書くに最もふさわしい資格の持ち主の一人ではないかと思われてならない。前述したように、私自身の青年時代の印象から言っても、スムーズに学校生活を通り抜けたような先生の話は、苦しんでいる人間にはあまりぴんとこないものであった。しかしトッドの書いていることは、直接自分の人生を語っているわけではないけれども、ものの見方や感じ方が、悩める者にもいつの間にか参考になるような発想になっていることが特徴である。

たとえば彼の本に、知力の鍛え方のみならず、健康の保持の仕方についてもこまやかな配慮がなされているのは、彼自身が病弱でありながらそれを克服してきわめて活発な著作活動をし、長寿をまっとうしたという事実の裏づけを考える時に、それは単なる健康論ではなく、実証された健康術としてわれわれが参考にしてもいいものであると思う。

今日、心理学、生理学のさまざまな新しい発達に基づき、知力の開発の仕方、健康の増進の仕方についていろいろ言われることが多いが、ここには素朴でありながら強力、しかもどこを参考にしても必ず読者に好影響を与えるという、危なげのない人生の知恵が示されているのである。
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