電脳筆写『 心超臨界 』

何もかもが逆境に思えるとき思い出すがいい
飛行機は順風ではなく逆風に向かって離陸することを
ヘンリー・フォード

マクロン政権は瓦解寸前――渡邉哲也さん

2019-01-27 | 04-歴史・文化・社会
 「東京裁判史観(自虐史観)を廃して本来の日本を取り戻そう!」
    そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現します。
   ( 心が臨界質量を超えるとは → http://tinyurl.com/5kr6f
     ( 東京裁判史観とは → http://tinyurl.com/kkdd29p
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《 いま注目の論点 》
★トランプ政権 丸2年の総括――古森義久・ワシントン駐在客員特派員
【「緯度 経度」産経新聞 H31.01.24 】https://tinyurl.com/ybnrvpdv
★言論の自由を守るために戦おう――ジェイソン・モーガン・麗澤大学助教
【「正論」産経新聞 H31.01.24 】https://tinyurl.com/y8ggkafc
★信用できぬファーウェイの弁明――石平さん
【「石平のChina Watch」産経新聞 H31.01.24 】https://tinyurl.com/ybtgebc4
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●マクロン政権は瓦解寸前

『ゴーン・ショック』https://tinyurl.com/ycp5pncr
【 渡邉哲也、徳間書店 (2018/12/22)、p181 】

日本ではあまり詳しく報道されないが、前述したようにフランスでは燃料税増税に反対する抗議デモが繰り返されている。

11月17日、25日、12月1日と、パリで大規模なデモが行われ暴動に発展、町の一部が燃やされ、暴徒が店を襲撃する事態に発展した。

パリ中心部では、大きな店舗のショーウインドウはことごとく叩き割られ、車は放火されて炎上している。

反政府デモの参加者は黄色いベストを着ているが、これは、2008年に運転者は車の中にこの目立つ黄色のベストを用意しておくことが義務付けられたことに由来しているという。

2018年12月4日には、マクロン政権のフィリップ首相が燃料税引き上げの6カ月の延期を発表、その翌日には、政府はさらにもう6カ月間の凍結を打ち出した。それでもデモは収まらず、全国に拡大し続けている。

とはいえ、度重なるデモに加え、航空と鉄道のストも頻繁に繰り返されてきたため、ツアー会社などはフランスへのツアーの見直しを始めており、個人客もフランスを避けるようになったことで、フランスのクリスマス商戦と観光業のダメージは計り知れないものになっている。

フランスはこれまで必死につくりあげてきた「文化都市」のイメージが壊れてしまった。さらに、社会主義への回帰の火種を生んだ。これでフランスへの投資リスクが一気に拡大したことは間違いなく、ユーロ圏から離脱するロンドンに代わる金融センターの夢も終わることになる。

ある意味で、この暴動は燃料税をきっかけにはしているが、その本質はヨーロッパのリベラルの欺瞞(ぎまん)が表面化したものといえる。リベラル政策により抑圧された不満と国営企業による格差の固定化、移民による既存住民の貧困化、EUによる政策制限、すべてが破壊衝動に変化したというわけだ。

前述したが、フランスは西側社会の一員ではあるが、社会主義を標榜してきた国でもあり、資本主義と社会主義を振り子のように行ったり来たりして、過去の植民地の利権と第1次、第2次世界大戦の戦勝国としての利権で食いつないできた国ともいえる。

国有企業改革は進まず、リーマンショック後の経済停滞のなかで旧植民地からの移民を受け入れたことで、若年層失業率は20%を超え、治安も悪くなった。

そして、この経済の停滞が、グローバリストであり国営企業改革を進めるとしたマクロン政権を生み出したことはすでに述べたとおりだ。これまで最大政党であったフランス社会党は凋落(ちょうらく)し、2017年の大統領選挙後の国民議会選挙ではマクロンが創設した「共和国前進」という新興政党が大躍進、単独過半数を獲得した(577議席のうち309議席)のだが、多くが政治経験のない、いわゆる「風」による当選であったことも、国政を混乱させる一因となっている。

マクロン大統領は企業の解雇手続きの簡素化、法人税率の引き下げ、富裕税の廃止など、グローバリストらしい改革を断行した。だが、痛みをともなう改革であるため国民の多くが不満をもつとともに、利権を奪われる側の国有企業の労組と社会主義者の反発も招いているのである。

マクロンの支持率は23%前後まで低下しており、政権への不満が噴出している。これにより再び左派が台頭し、社会主義化が進む可能性もある。

2018年、フランスの国鉄は過去最大級のストを行い、フランスの観光と経済に大きなダメージを与えた。フランス政府が筆頭株主のエールフランスも同様であり、数週間にわたるストにより赤字が拡大し、破綻の危機を迎えているのである。

このような状況のなかで、マクロンとしては雇用の受け皿として、経営統合と日産のフランスへの工場移転を一気に進めたかったと考えられ、これに反発した日本側がこれを阻止するために動き出したとも考えられる。
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