電脳筆写『 心超臨界 』

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( レオ・ブスカーリア )

不都合な真実 《 歴史用語を減らす動き――藤岡信勝 》

2024-08-05 | 04-歴史・文化・社会
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今までの教科書にあって、この案で抹殺された人名を、産経新聞などのメディアが調べたところ、次のようになっていました。〈クレオパトラ、ガリレオ・ガリレイ、マリー・アントワネット、新田義貞、武田信玄、上杉謙信、吉田松陰、坂本龍馬、高杉晋作〉。なぜこうした人名を抹殺したのかという疑問がすぐに浮かびます。報告書はその理由として「実際には歴史的重要性が小さいから」と書いています。


◆歴史用語を減らす動き(1) 何が起こったか

正論SP vol.3『産経教育委員会100の提言』
( 産業経済新聞社、2018年05月、p254 )

平成29年(2017)年の晩秋のころから、新聞・雑誌やテレビ番組で、「高校の歴史教科書から、吉田松陰や坂本龍馬が消える!」といったタイトルの記事が目につくようになりました。あるテレビ番組のバラエティ・ショーでは、元海援隊メンバーの武田鉄矢が出演し、龍馬の教科書からの追放に、当然ながら、反対の論を展開していました。一体、何が起こったのでしょうか。

ことの発端は、「高大連携歴史教育研究会」という耳慣れない民間の団体が、同年10月30日に、高校教科書における歴史用語の削減について、思い切った具体的な提言をまとめ、公表したことにありました。

その提言では、明治維新で活躍した「維新の志士」の吉田松陰や坂本龍馬が歴史用語から削除されていました。奇しくも翌年の平成30年は「明治維新150年」の節目の年でもあります。そこで、これら歴史上の人物が象徴的に扱われるようになったんでしょう。

上の報告書のタイトルは「高等学校教科書および大学入試における歴史系用語精選の提案(第一次)」で、46ページの本文に16ページの作業ファイルが添付されています。報告書はまず、現状の問題点として、「高等学校歴史系教科書における収録用語の膨張傾向」を指摘します。

ある調査によれば、日本史教科書の巻末の索引に基づく用語数は、1950年代には1300語程度であったのが、現行では3400-3800語に増大しているといいます。約3倍近い増加です。(歴史も同様)そのため、高校の歴史の授業は、「膨大な用語の説明・暗記に追われ、古代から始めた授業が現代まで到達しないままに終わったり、思考力を育成して生徒に歴史を学ぶ楽しさを実感させられる授業を行う余裕がない状況が続いて」きたと報告書は書いています。

では、何語くらいが適当なのか、ということになりますが、これについては、2014年夏の日本学術会議など3団体によるアンケートがあり、日本史、世界史とも、2000語程度に集中したといいます。そこで、同会では、「世界史」、「日本史」とも、2名ずつの高校教員が具体的な用語の選定作業にあたり、その結果、この報告書の付録として具体案が示されたわけです。

◆歴史的重要性が小さいから

しかし、その内容は、関係者に衝撃を与えました。当然常識として知っておくべき人名が大量に削除されていたからです。今までの教科書にあって、この案で抹殺された人名を、産経新聞などのメディアが調べたところ、次のようになっていました。

〈クレオパトラ、ガリレオ・ガリレイ、マリー・アントワネット、新田義貞、武田信玄、上杉謙信、吉田松陰、坂本龍馬、高杉晋作〉

なぜこうした人名を抹殺したのかという疑問がすぐに浮かびます。報告書はその理由として「実際には歴史的重要性が小さいから」と書いています。そんな理由で歴史上の有名人を抹殺できるものなのでしょうか。ものごとの「重要性」というのは、視点のあてかた、視点の置き方でいくらでも変わりうるものです。

例えば、川中島の戦いで有名な上杉謙信と武田信玄が抹殺されたのは、所詮は地方豪族の間の争いだから、その後の政権につながらなかった、といいたいのでしょう。提言の論理を使えば、取り上げる価値のある武士は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の3人だけになってしまいます。

しかし、彼らが主役であることは認めても、脇役なしではどんなドラマも成立しません。提言案は脇役の登場を禁止しておいて、主役だけでドラマをつくれ、と言っているようなものです。提言案には大きな問題がありそうです。

( 藤岡信勝 )
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