電脳筆写『 心超臨界 』

影は光があるおかげで生まれる
( ジョン・ゲイ )

歴史を裁く愚かさ 《 都合の悪いことは聞きたがらないドイツ人――西尾幹二 》

2024-10-05 | 04-歴史・文化・社会
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賠償問題をめぐり、1953年にロンドン債務協定が結ばれ、ドイツの国家賠償の最終解決は統一後に先送りされていた。かくて統一なった今日、ギリシャ、フランス、オランダ、セルビア、バルト三国、さらに東欧五カ国からも請求の声があがり、膨大な金額が要求され始めた(『東京新聞』平成7年3月19日付)。梶村氏が言うようにドイツが国家賠償を済ませているなら、こんな声が今ごろ上がるはずはないだろう。


『歴史を裁く愚かさ』
( 西尾幹二、PHP研究所 (2000/01)、p258 )
第4章 日本人よ、知的に翻弄されるな
4 ヴァイツゼッカーは聖者ではない

◆都合の悪いことは聞きたがらないドイツ人

なお最後になるが、梶村氏が批判したもう一点、ドイツはナチ犯罪にのみ個人補償をし、国家賠償をしていないとの私の主張はデタラメだという批判に答えておきたい。「深き淵より ドイツ発日本」1月1日付に図表が出ており、それによると、ドイツは94.3%が個人補償である(氏が挙げている東ドイツの巨額の賠償はソ連などによる収奪の数字ではないか?)。

旧西ドイツは分裂国家を理由に国家賠償を避けてきた。ナチ犯罪に対する個人補償にこだわるのは、「集団の罪」を認めるわけにいかない政治的背景、すべてを「個人問題」に還元したい動機がみえすいている。

賠償問題をめぐり、1953年にロンドン債務協定が結ばれ、ドイツの国家賠償の最終解決は統一後に先送りされていた。かくて統一なった今日、ギリシャ、フランス、オランダ、セルビア、バルト三国、さらに東欧五カ国からも請求の声があがり、膨大な金額が要求され始めた(『東京新聞』平成7年3月19日付)。梶村氏が言うようにドイツが国家賠償を済ませているなら、こんな声が今ごろ上がるはずはないだろう。

ドイツ財政当局は請求には応じないと答え、紛争になりかけている。ドイツの新聞にはまだ出ていないかもしれない。ドイツ人は都合の悪いことは聞きたがらないからだ。梶村氏に最後に言っておくが、ドイツ人、あるいはヴァイツゼッカー氏のほんとうの理解は、彼らが自分を理解してもらいたいと欲して口にして言っていることと同一ではない。

  (注1)『ヒトラー以後、ホーネッカー以後』という本に、このいき
  さつが述べられている。その中の一節を挙げると、「『集団の罪』
  の理論は成り立たない、と国中いたる所でいま論難攻撃の声が聞こ
  えるが、これは圧倒的に、反ファシズム的立場での歴史の徹底見直
  しを拒もうとする自己防衛の徴侯である」(Ludwig Elm: Nach
  Hitler, nach Honecker, Dietz Berlin 1991, S. 47)

  (注2)『全体主義の呪い』(新潮社)の第7章「人間の罪は区別で
  きるか」は、一章をあげてドイツによる罪の概念規定の問題をとり
  あげている。ヤスパース『責罪論』への批判的見解を含む

  (注3)ヤスパースは罪を四つに区分した。(1)刑法上の罪、これは
  裁判官によって処罰される。(2)政治上の罪、これに対しては賠償
  が支払われる。(3)道徳上の罪、これは悔い改めと自己再生を引き
  起こす。(4)形而上の罪、これは神の御前での人間の自覚の変貌を
  引き起こす(Karl Jaspers: Die Schuldfrage. Piper, Neuausgabe
  1987, S. 20f.)。

  これを見る限り、(1)は明白な法律違反を犯した行為以外には処罰
  できない。戦前の刑法で裁ける範囲の、直接手を下した実行犯など。
  (2)は賠償金で片がつき、(3)(4)はどこまでも心の内部の問題だか
  ら、人間による裁きの対象にはならない。これでは全体主義の犯罪
  に対抗するにはあまりにも無力である。しかしドイツ国民には、ヤ
  スパースのこの理論は防波堤になった。
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