司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

決議したことを証する書面

2009年10月20日 | 商業登記

昨日の持ち回り決議に関連して、今日は、会議体でない機関の決議を証する書面の作り方について。。。

会議体でない機関と申しますと、取締役会非設置会社の取締役、監査役非設置会社の監査役、清算人非設置会社の清算人などです。法律では、例えば会社法第348条第2項「~取締役の過半数をもって決定する。」というように、取締役会非設置会社の業務執行方法を定めています。

要するに「●●会」と法定されているモノは、会議体を構成すると考えていただければ良いと思います。会議体を構成する場合には、決議をすると議事録の作成が法律上要求され、そうでない場合は、作成は任意というのが原則です。

ただし、そうは言っても、登記の場面では作成しなければいけないケースがあります。代表的には、“代表取締役の互選” です。 その他には “本店移転”などがありますが、取締役会非設置会社では、法令・定款に定めるもの以外でも、株主総会で決議できることがほとんどなので、本店移転も株主総会で決議する方が簡便な場合は総会で決議していると思います。。。。

設立前も、取締役会設置会社の設立時代表取締役は設立時取締役の互選で決めることが多いですが、これも、会議体を構成しません。

どんどん話が離れていってしまう前に本題に入りましょう(笑)!

まず、タイトルです。「取締役決議書」とするのが良いと思いますが、会社法施行前の有限会社の流れで「取締役会議事録」とする会社も多いと思います。代表取締役の互選のみの場合は、「(取締役)互選書」というのも割と多いです。

決議の日付と書面の作成日は必須ですが、開催場所と開催時間は任意です。ただ、実際に集まって決議したのであれば記載した方が良いと思います。持ち回り決議や電話会議をした場合などは、省略して構いません。

つまり、取締役の決議については、要約するとこんな感じになります。

・会社名
・決議の日
・書面の作成日
・決議された内容
・決議の結果(全員一致とか、過半数の一致によって可決した、など。)
・特別利害関係人がいる場合はその氏名
・取締役の記名押印(少なくとも過半数が必要) ←ココ訂正しました
 ※訂正の件は12/28日の記事をお読みください。

そして、持ち回り決議だと、本来は欠席という概念がないと思うのですが、登記実務ではそこまで深くは考えていないようです。
あ、ただ、会議体を構成しなくても、会議を招集して開催したのであれば、当然欠席もありです。持ち回り決議であることを明確に記載した書面を作成すればどうだか分かりませんが、そこのところを厳密に判断していないだけかも知れません。 

代表取締役の互選書は、取締役全員の記名及び実印押印が必要な場合がありますのでご注意くださいね~。

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7 コメント

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欠席した理事についての扱い (GP)
2019-06-11 13:52:16
こんにちは
ネットで探していて辿りつきました。
ちょっと教えていただきたくコメントさせてもらいますm(__)m

NPO法人で役員改選があり、全理事監事が重任されました。会員総会後に理事の互選で代表理事が決まったという「理事の互選書」を作成し、後日押印してもらいました。(実際は実印がなく後日に押印)
問題なのは当日欠席した理事が1名おり、その者も互選書に押印しており、厳密には「当日いない理事が押印している」とも取れます。。

新保さんが書かれているとおり「持ち回り決議」をしたという様に(実際、各理事の実印での押印は後日)して法務局に登記しても問題はないようにも思うのですが・・あとは登記官次第なんでしょうね??
当日
返信する
Unknown (charaneko)
2019-06-11 14:54:26
GPさん、コメントありがとうございました。

お問い合わせの件ですけれども、代表理事の互選は、「持ち回り決議」でOKです。
ただし、書面の作り方によっては、会議を開いたという感じになっていることもあるでしょうから、欠席したことが書面上明確であるヒトが互選書に記名押印していたら、なんだか不自然な書面になっているかもしれません。

なので、実際の「モノ」を見てみないとなんともいえないのですが、そもそも法定の書面ではないのでね。。。記載事項が多少変だとしても、却下事由に該当しなければ、補正になることはないハズだと思います。

その意味では、欠席した人が記名押印していたとしても、登記の際に問題にはならないのではないでしょうかね(^^;)

あくまでも私見ですので、あしからず♪
返信する
お返事ありがとうございます (GP)
2019-06-11 18:43:43
charanekoさま
お返事ありがとうございます。

細かい点なのですが、素人からすると法務局の登記って結構神経使うものですよ。今でこそ数回(笑)の補正で済んでいますが、過去は「もうやめて~」って言うくらい呼び出しと書類修正ありました(^^ゞ

法務局が職場から車20分程のところなのでいいですが、半日くらいかかる場所だったらと思うとぞっとします・・・。
※こんな時のために司法書士さんとかいるのでしょうが・・・。

まあ内々では次期代表理事などは決まっているものなので、実印を押す「理事の互選書」も持ち回りで実印押印した事にしてその印鑑証明さえあれば何とかなるかな~と思っています。

丁寧な回答ありがとうございましたm(__)m
返信する
Unknown (charaneko)
2019-06-11 19:06:58
GPさん、コメントありがとうございました。

そうですっ!!
細かくて大変でしょう???(^.^)
だから、司法書士がいるのです!(^^)!

何でもかんでも素人さんがサクサクやれてしまうなら、オシゴトがなくなっちゃいますんでね♪
返信する
互選書の記名押印 (sabineko)
2023-10-17 18:36:37
こんにちは。いつも先生のブログで、楽しく勉強させていただいております。
今回の記事の最後に「取締役の互選書は、取締役全員の記名及び実印押印が必要な場合がありますのでご注意くださいね~。」と記載をされております。
いろいろ調べて勉強しましたが、持ち回り決議で代表取締役を選定した際に、取締役の全員の記名押印が求められる場面がわからず、質問させていただきました。
返信する
Unknown (charaneko)
2023-10-17 18:51:39
sabinekoさん、コメントありがとうございました♪

ずいぶん古い記事なのに、読んでいただけて嬉しいデス (^^)/
さて、お問い合わせの件ですが、代表取締役を互選する際に、従前の代表取締役が取締役を退任していると、変更前の会社実印を押印することができませんので、基本的には互選書には個人の実印を押印することになります。

取締役会決議の場合だと、会議に出席した取締役(及び監査役)は全員実印を押印しなければなりません。

一方、持ち回り決議というのは、基本的に取締役会の書面決議と同じようなモノですよね。
まぁ、全員の同意。。。というトコロは異なりますケドも、記事の中に書いてあるように、全員が参加して決議をするのでしょうから、原則は取締役全員の実印を押印することになると思っています。

もっとも、訂正した箇所に関連しますが、一応、少なくとも過半数の記名押印があれば、決議自体は成立するので、それでも登記は受理されると思います。

仮に押印しないヒトがいるという状況だったとすると、「反対した」と考えるような気がします。
決議に参加する機会は全員に与えるべきなので、やっぱり押印しないヒトがいるのは若干不自然ではないかなぁ~。。。と思いますが、いかがでしょうか?
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Unknown (sabineko)
2023-10-17 19:09:25
先生、ありがとうございます。「持ち回り決議」の大事なところを見逃しておりました。先生のご説明で、もやもやしていたものがストンとおちました。お忙しい中、大変わかりやすいご説明をありがとうございました。かねてより尊敬しておりますが、さらに尊敬致します。本当にありがとうございました。
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