司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

【メルマガ記事】会社売買 その2

2019年06月21日 | いろいろ

おはようございます♪

会社売買の案件って、依頼が来ますと、かなりバタバタいたします。
ワタシの記憶ですと、一昨年はすごく多くてですね。。。今年もすでに何件かありましたが、ワタシが慣れたせいか、わりとあっさり終わった気がしています。

ただ、ここのところは、会社分割をして残った会社を売る(=株式譲渡)とか、分割した会社を売る。。。とか、そういうケースが増えているみたいです。
これは事業承継の目的なんですよね。。。

記事を書いた頃は、グループ会社の一部を売る(その事業から撤退)。。。という感じのモノが多かったと思います。
では続きをどうぞ♪


【第3回(2014.12.17)その2】

●契約書

当初の依頼内容は登記申請だけ、というケースもありますが、全体の手続の流れを把握しておきませんと登記の書類も作成できません。そこで、まずは契約書を確認することから始めます。契約書のタイトルは「株式譲渡契約書」など、シンプルなものが多いようですが、内容としてはかなりのボリュームがあり、契約書には譲渡日までにやらなければならないこと、引き渡す書類、代金の支払い方法、支払時期、変更登記、手続の順序など、事細かに規定されています。契約内容に口を出したくはないのですけど、当事者が把握している流れと契約内容が異なる場合もあるので、結果的には契約条項の修正が必要になることもございますよね。そんなことをしていると、どんどん依頼事項が増えてゆき、最終的には当事会社の株式取扱規程まで確認する羽目に…なんてこともありました。契約書の開示を拒否されるケースは滅多にないと思いますが、やんわりと拒否された場合でも差し障りのある部分(例えば譲渡代金)以外を見せてもらった方が良いです(←私自身の反省も込めて)。最低限、依頼人が言うとおりに手続すれば良いのかも知れませんが、後々のトラブルの可能性もあるので、契約条項は必ず確認しましょう!

 

●定款変更

買収案件の場合、定款変更が伴うことがほとんどです。少なくとも、親会社に関連する商号を使用しているときは、商号変更は必須といえます。許認可事業を営む会社だと、定款変更に時間が掛かる場合がありますが、そういう特殊事情がなければ、株式譲渡の実行日に商号を変更しています。その他の定款変更があるかどうかはケースバイケースですが、先日の案件では、買主側の会社の定款規定に合わせて、本店・商号・目的・役員・機関設計などの実質的な変更の他、定款の文言も新株主の会社の定款と統一し、ほぼ全部と言っても過言ではないほどの大々的な定款変更をしました。

 

●役員の変更

旧役員に関しては、株式譲渡契約に規定を置くケースが多いと思います。例えば、現在の取締役に株主である会社の従業員や役員が含まれている場合、その人たちは株式譲渡に伴って辞任します。辞任届は相手方に作成してもらう書類なので、予め写しをいただいて、内容を確認しておくことになります。(原本の受け渡しは、譲渡の実行日です。)

 

●株主総会のタイミング

今までの経験では、役員は原則として総入れ替えになります。そこで、辞任する旧役員に協力してもらって、株主総会を招集し、新たな役員を選任しなければなりません。ここまでが、通常、売主である会社が協力することのようです。(その後の取締役会は、新役員が勝手に開催すれば良いですからね。)ただ、この辺の手続の順序はとても面倒。株主総会は株式譲渡日と同日に開催するのですが、その際、議決権を行使するのは、旧株主か新株主か?という問題があります。買主側で役員を選任するのだから、新株主が議決権を行使するという場合もありますけど、その場合は、「株式譲渡⇒株主名簿の書き換え⇒株主総会招集」という手順となり、招集手続きは総株主の同意によって省略するしかない…(←招集通知発送時と株主総会開催時の株主が同一でないといけないためです。)という事態に陥ります。ですから、役員さんと同じように、その株主総会までは旧株主さんが責任を持って議決権を行使する(←新株主が希望する役員を選任する)ってことになることもあります(どちらかというと後者が多いと思います。)。しかし、そういう場合には、例えば、株式譲渡とは直接関係のない定款変更議案などの議案は提出しない、などの暗黙のルールがあるようで(こういうことも、契約書にはキッチリと書いてあります。)、1日に2回株主総会を開催する、なんてこともございます。1回目の株主総会は旧株主さんが議決権を行使して新役員を選任し、2回目の株主総会は新役員が取締役会で株主総会の招集決定をして、株主総会では新株主が役員選任以外の必要な議案を決める…という具合です。定款変更以外ですと、例えば、役員報酬議案なんかは、2回目の株主総会で決めているようです。「何でこんな面倒なことを???」と思いますけど、そういうものなんでしょう。ですが、契約当事者の考え方によっては、株主総会を1度で済ませるケースもあって…、とにかく、契約次第なのです。

 

オマケ: 株式譲渡に伴って役員が変更する。。。というコトに関しては、例外はないと思います。
しかし、辞任する役員というのは、旧株主の関係者なんですよね。
プロパーの役員の方々は、そのまま会社に残る。。。という感じの案件が最近は多いデス。

ちょっと変わったトコロでは、旧株主さん(これは、個人経営の会社でした)兼取締役のヒトが残った。。。というケースがありました。
理由を聞いてみたらね。。。新しい株主さんは、新規事業として会社を買ったものの、その事業のノウハウがちょっと足りなくって、旧株主さんには色々相談しながらやって行きたいんで役員としてしばらく残ってもらった。。。ということでした。結局1年くらいして退任されましたけども。。。

定款変更に関しても、「後でゆっくりやるんで、とりあえず今回はそのままでOK」。。。ってケースもありました。

 

。。。というわけで、この記事を書いた時よりも、ちょっとだけ経験値が上がってるんじゃないかとは思います。。。が、まぁ一般論としては記事に書いたコトは嘘ではないはず。。。デス(^^;)

続きはまた来週~♪

コメント
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