森永卓郎(2017)『消費税は下げられる』角川新書
著者は時々テレビに出るが、趣味の話とかであまりラジオ以外経済の話は聞かない。しかし、「なぜ日本だけが成長できないのか」という本を読み、まともな理論で次を読もうと思った。この本は消費税が10%になる前に書かれている。国家財政の借金が1000兆円もあり、高齢化社会だから福祉のためなら仕方ないという声もある。しかし、1000兆円の借金も名目で、黒字の資産を含めれば、実質借金はないとしている。山家悠紀夫もこの点は主張していたが、根拠が不十分で理解できなかった。この点著者は丁寧に、借金は心配ないことを説明している。ヘリコプターマネーや通貨発行益は理解しづらいが、公務員の賃下げと消費税引き下げの財源に国債という点を除いて、大部分は納得できる。以下、内容の主な要旨のメモ書きである。( )内は私のコメント。
「税と社会保障の一体改革」は財務省の主張にやられている。「日本が財政破綻状況」のウソ!根拠に、公的年金の預託金が負債の部に計上されている。売れない資産も売れる。外貨証券、特に米国債は一度に売れないが売れないわけではない。97年橋本発言がある。
日銀の国債残高は16年400兆円となった。アベノミクスの金融緩和で年間80兆円のベースで買った結果である。返さなくて良い財政資金が国に入る。これで減税をやれる。(政府の借金は「担保なし」で日銀が引き受けるが、返済の目処がない。日銀は2%の物価上昇を目標としているが、クロダは実現できなくても公約通り辞めていない。利率もマイナスだが、上がれば借金がパンクするのでは?)
消費税増税の9割が法人税減税に向けられた。(そうだ)アメリカよりずっと低い法人税負担。企業は社会保険の負担を減らし、労働者に負担を負わせている。富裕層はほとんど消費税を負担していない。野田などなぜ民主党政権は消費税増税に傾いたのか。小沢の秘書が逮捕された。党内のクーデターで政策が封じ込められた。09年のマニュフェストは良くできている。(子ども手当、農家の所得補償など良い政策も多い。しかし、鳩山の沖縄基地は最低でも県外が崩れた。前原の八ッ場ダム中止、高速道路無料化など政策上滑りした。)
日本財政のグランドデザインで、貯蓄に課税する。法人税率を下に戻す。相続税を増税する。タックスヘイブンに逃げ出した資金に課税する。分離課税でなく、総合課税にする。租税特別措置が大企業の減税に使われている。
トランプ大統領とアベノミクスの終焉。駐留米軍経費の負担増がある。日本に駐留している米軍は、日本を守っているわけではない。沖縄に駐留している米軍は海兵隊が中心で、有事の際に真っ先に適地に乗り込む、殴り込み舞台である。シーレーンは海軍の仕事で、海軍が駐留しているのは前線基地として、沖縄を利用している。日本は間接経費を、「おもいやり予算」で負担している。さらに負担増を求められている。フィリッピンの大統領は、アメリカ支配から決別した。安倍総理は、日米同盟の深化で合意している。トランプは日本を為替管理国と非難してきた。アベノミクスの中心は金融緩和で、それで円安ができた。安倍政権は水面下で、許可(取引)を取ったのだろう。
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