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「景気とは何だろう」

2005-12-28 | 気になる本
山家悠紀夫「景気とは何だろうか」、岩波新書、2005年

 本格的にバブルが崩壊した91年から14年が経ちます。96年の橋本内閣から始まった構造改革も、小泉構造改革は衰えることを知りません。著者は2001年に「『構造改革』という幻想」で、構造改革が本当に正しいか。「失われた90年代」における日本経済を詳細に分析して、不況の真因を明らかにし、改革論の危険性を鋭く指摘しています。
この本は何のための構造改革か景気とは誰のためかを、判り易く書いています。「構造改革なくして景気の回復はない」(小泉首相、2001年就任演説)というフレーズに国民は淡い期待を寄せていますが、現実の生活は厳しいものがあります。構造改革論はバブル景気崩壊後の長期不況の中から、その不況を克服する(景気回復、成長率を高める)ための政策として登場してきました。
 (小泉さんの)構造とは供給側の構造で、改革の方向は、企業の活力市場原理、規制の緩和です。つまり供給側の力を強める政策として、政府の支援、コスト削減(人件費、検査、社会保険負担)が進められています。国民の側は、年金改革、医療保険改革、税制強化など国民の将来不安は強まっています。企業の景気が回復しても暮らしは良くならないのが現実です。労働者の賃金も上がらない、正規雇用も増えない、仕事もきびしく、同一労働同一賃金が必要だと述べています。さらに、サラリーマン以外の地方商店、中小建設業、年金生活者なども生活環境は厳しい状況です。これらの改善策は自治体の役割が大きいと述べています。
 景気とは企業の景気対策でなく、国民の生活が良くなること、自治体の役割が重要であることを改めて確認しました。
 (豊田では雉をよく見かけます。)
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1 コメント

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読んだよ (ノブ)
2005-12-28 23:27:17
 図書館で借りました。

 今の景気回復は、たしかに一部の大企業だけで、中小企業や労働者まではゆきわたっていません。

 そもそも景気とは何なのかが、くわしく書かれていました。
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