Con Gas, Sin Hielo

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「スポットライト 世紀のスクープ」

2016年05月05日 09時02分01秒 | 映画(2016)
黙々と裏を取り積み重ねる。


アカデミー作品賞受賞作という堂々たる冠が付いたが、内容は実に淡々としている。

聖職者によるスキャンダルという事実があまりにも大きく、余計な脚色が必要ないのはその通りであろう。

保守的になりがちな歴史ある町の「システム」に風穴を開けたのは、よその地から地元ボストングローブ紙へやって来た新局長であった。

局長が数ある報道の中からいかにしてこのニュースに注目したのかは明かされない。しかし、就任直後からトップダウンでグローブ紙の看板である"Spotlight"欄を担当する記者たちへの総力取材を命じる。

局長の慧眼と、忠実で正義感に満ち行動力に溢れる有能な部下たち。与えられたノルマ、取材対象との厳しい交渉、メディアに携わる人たちの並々ならぬ苦労が伝わってくる。

社内の人間、教会関係者、被害者に弁護士と、関係者がめまぐるしく登場するため、ただでさえ記憶力の衰えが見え始めている身にとって、話を追っていくのに相当骨を折る。

ひたすら取材して事実の裏付けをするのがメインになるためか話の抑揚に乏しい一方で、作品のポイントとなるべき意外な展開も、裁判の資料が公表されるなど専門的な面が大きく、直接感情に響いてこないことが多くなっている。

その中で印象的だったのは、取材を続ける中で、同じグローブ紙が過去にも同事件を扱っていながら記事がおざなりにされてしまっていた事実を知る場面である。

これだけ有能な社員が集まっていたとしてもこぼれ落ちてしまう。メディアに限らず、仕事に家庭に、常に謙虚に向き合わなければいけないことを改めて感じさせられる。

興味深い話ではあるが、作品賞受賞と聞くと正直「ふ~ん」と思ってしまう。俳優陣も魅力的な顔触れだが、分かりやすい賞取りの演技ではない。ただ、R.マクアダムスのキャリアに箔が付いたのは正直うれしい。

(70点)
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