Con Gas, Sin Hielo

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「バクマン。」

2015年11月23日 00時05分56秒 | 映画(2015)
条件付きで「あり」。


「エンドロールがすごい!」という記事を見て、有効期限が間近に迫っている鑑賞券があったので観に行った。

確かに、手が込んでいて愛を感じられる作りだった。CGではなくわざわざこしらえたのだろう。著作権関連と思われる作品名のクレジットも多く出てきていた。

マンガはそれなりに読んだ。永久保存としているコミックスも棚に多く収納している。

ただ、定期購読していたのは「週刊少年チャンピオン」→「ビッグコミックスピリッツ」なので、「ジャンプ」愛はそれほどない。

普通の高校生が、漫画家になろうと決心して、ジャンプ編集部に原稿を持ち込んで、連載を勝ち取り名声を得るというのが大まかなあらすじ。

原作の流れがどうなっているのかは知らないが、2時間以上の上映時間をとっている割には、話がぽんぽん進んでいる気がした。

もともと才能がある2人という設定だし、彼らの努力と苦悩はビジュアルとして描かれている。それでも結果として心に響いてくるものは軽くて薄い。

それはおそらく、まさにそのビジュアルで描いたという手法に起因するものだと思う。象徴的なのは、連載が始まってからの、ライバルである天才高校生漫画家とのつばぜり合いの場面だ。

実際は読者投票の1位を獲得するための争いを、映像では彼らがペンを持ってチャンバラをすることで表現している。分かりやすいのだが、冗長でおもしろくないと感じてしまった。

これに時間を使うのなら、もう少し背景を丁寧に描いた方が物語に入り込めるのにとも思った。登場人物の描写は対照的に粗いからだ。

想いを寄せる声優志望の女性、苦楽をともに味わう漫画家たちという脇役が出てくるが、彫り込みが浅い。主人公と絡むためだけに配置されたように映るのだ。

例えば、主人公は将来を見据えて手塚賞の「入選」にこだわっていた描写があったにも拘らず「佳作」組があっさり連載をスタートさせたり、過労で主人公が倒れたところを助けるのが1人で同じ週刊連載を持つ仲間だったり。

マンガへの愛や漫画家の苦悩を伝える役を主人公しか担っていないから、どうしても物語としては薄味になってしまうのであろう。

技量はあるしこなれてはいるけど、感情に響くものが足りない。編集長だったら、こうコメントするところかと思う。

(60点)
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