九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

随筆 「戦争、そのタテマエと実際」   文科系

2014年08月15日 17時09分07秒 | Weblog
 イラク戦争が示すように、戦争や軍備には必ず「タテマエと実際」がある。あれのタテマエは、「大量破壊兵器を保有しているから」というもの。本音、実際は、原油独占死守とドル防衛あたりだろう。太平洋戦争は、「大東亜共栄圏」と、世界不況下の大陸進出。不況で職もなく困り果てた人々に、「満蒙開拓」がどれだけの希望だったかというようなことだろう。そこから関東軍独走もあったりして大陸南下が始まっていった。その末にということと、イギリスに対するドイツの攻勢に我慢できずにということとから、アメリカがモンロー主義をかなぐり捨てて対日独戦争に踏み来たったのだった。

 「国家防衛」へのタテマエには、必ずこんな言葉が、固定観念よろしく存在してきた。
「攻めてくる国は、あるに決まっているから、軍備は必要だ」
 ところが歴史を見れば分かるが、米国とか日本とかの経済大国の場合、その国自身の方が実は恐ろしいのである。生き馬の目を抜く自由競争世界において、守るだけではなく、守るべき物も攻める動機も大きいのだし、国家経済力総動員の総力戦が始まって以降は、経済大国が勝つ確率が高くなったからだと言える。どんな国も経済大国相手の負けると分かっている戦争は、なかなかできないものだ。この経済大国の戦争動機を端的に言えば、株価を守るだけでなくって、上げたいのだ。いや、恐慌下には特に上げねばならないのである。そういう諸行動をやり尽くしても大量失業をどうしようもないなどの恐慌状態がほぼ定期的に必ずやってきたのだが、その果てにはもう戦争しか目前の破綻を避ける道がなくなったと、これが19~20世紀の主たる戦争史が教えるところではなかったか。ヒットラーは、軍需生産や軍隊大拡張で失業を無くしたことによってあっという間に国民の支持を得て、政権についたのだった。
 ケインズの言わば需要サイド経済学には、第一次世界大戦をそのように分析して、上のような背景、理由による戦争を起こさないようにとの願いが込められていた。それが冷戦が終わる前後からの供給サイド経済学の登場で世界経済も一変してしまい、米国式マネーの軍拡、無政府世界が現出してしまった。

 こういう半ばは必然的な近年の人間大戦争史の流れを見れば、好きで戦争を起こす奴など、先ずぎりぎりの時期になるまでは存在しないと思う。むしろ、だから怖いのである。後の歴史で変に活用されてしまう法律などを安易に作ることが、特に怖い。まず、立憲主義の放棄。次いで、内閣による解釈改憲や秘密保護法。加えてさらに怖いのは、防衛予算や武器輸出が、「安倍成長戦略の一環」になった事。これが、僕には最も怖い。このことは、世界原子力空母12艘のうち11艘を米国が所有していることでも分かろうというものだ。日本の産軍政複合体はすぐにモンスターに育ち上がっていくはずだ。それも原子力村と提携しあって。むしろ、だからこそ原子力村がなくならないのであって、これもこの怖さの証明になろう。こんな事を思ったりもした。今「原発廃止」を決めれば、関連資産がそのまま莫大な負債になって、日本を代表する企業の株が軒並み下がっていくはずだ。日本沈没である。それでも、日本軍拡と原発には反対せねばならない。行く先が上のように、見えているのだから。

 ちなみに、最後に付け加えることがある。9条変えよ、原発推進という進路選択への最精鋭部隊が米国だろう。当面日本沈没が起これば、急速に実権を失っている米国マネーも沈没を免れないからである。沈没して外貨を稼げなくなった日本が貯めた米国債をドルに換え始めれば、世界中で米国相手の取付さわぎが始まるだろう。
 こんなわけで、彼らからの有形無形の社会的圧力は、米国家の命運を賭けるような凄まじさなのだと思う。ちょうど、アメリカ議会への彼らのロビー活動が原子力空母11艘をもたらしてきたように。こういう他国政治へのあからさまな介入こそ、グローバル世界の外交というものだと観ている。
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よたよたランナーの手記(61) 随筆 「高齢は、未知との遭遇」  文科系

2014年08月14日 04時05分58秒 | 文芸作品
 七月末の太陽も、ロードレーサーを転がしていれば心地よいもんだ。体中に吹き出ているはずの汗を太陽と風が蒸発熱ぐるみで消してくれて体表は意外に冷えているし、ヘルメットを通る風が髪の汗も熱も吹き飛ばしてくれる。
 すでに十分に根付いた稲の緑を通る立派な郊外農道。その脇の自動販売機目指して歩道へ乗り上げようとした瞬間の事だった。前輪が右に取られて、身体が左真横にぶっ倒された。左側頭部が歩道を打ち跳ね返った瞬間には、ヘルメットにどれだけ感謝した事か。「こんなに酷く打ちつけて!」、立ち上がって横たわった愛車のハンドルを持ち上げた瞬間、ふっと愛しさが募った。これほど酷い転倒も自分史上まず皆無のはず、まちがいなく「未知との遭遇」の一つなのだし。高齢者には思っても見なかったことが起こる。翌日、お世話になりっぱなしの整形外科医と、こんな会話になった。「左手首の左側腱周辺で、骨折寸前の内出血です」。対する僕は「でも、腕の内出血なら、走ってもいいんですよね?」。「絶対ダメです。心臓が活発に動けば、内出血が増えて、もっと腫れますよ」。がっかりだ、またしばらく走れない。

 慢性心房細動・心臓カテーテル手術前後三年のブランクからランナー復活に向けて半信半疑でスタートを切ったのが、十二年の秋。十四年春には、ブランク以前とほぼ変わらず一時間十キロほどの走力が戻っていた。ただ、なんせ現在七三の身体では、この復活に至るまで予期せぬ故障の連続。それでこの結果を収めたのだから、凱旋将軍の気分だった。ところが、今年の五月中旬になんというか、ちょっと得体の知れない故障が始まった。
 まず、右アキレス腱痛の症状。いつもの対処をしたが、「治りかけたら運動再開」というやり方が一年前のようには上手くはかどらず、試行錯誤が続いて行った。根が深いようだというわけでいろいろ調べてみたら、こんな事が分かってきた。三十歳前に左脚付け根腰椎の椎間板を手術をしたのだが、その軽い再発のようで左脚全体が弱っていると。僕の腰に効くビタミンB12を飲み始め、左右アキレス腱のストレッチ、膝や足首の補強運動に加えて、背や腰の姿勢矯正体操までと、やる事がどんどん増えていく。脚の補強運動後にも、アイシングと言って右アキレス腱に十分ほど氷を当てねばならない。こんな苦闘中に身にしみて感じていたのがこれだ。「高齢スポーツも、その怪我のリハビリも、未知との遭遇ばかり」。

 七月中旬、ついにほんとうに治ったかとの感触を得て、二ヶ月ぶりに走り始めた。三〇分走にして、三・一キロ、三・三キロ、そして三・五キロ。そこでまた待っていた災難が、サイクル・ロードレーサーによるこの転倒である。どれほど滅入ったことか。だから、医者に指定された安静期間にも、実は脚の補強運動はしていた。走らないだけで、階段八十往復とか、愛車を転がすとか、などなどに励んでいた。途中で右手首が腫れてきたらやめるつもりで始めたが、腫れなかったから続けられた。こんな事は医者よりも自分の方がよほどよく分かるはずなのだ。階段往復に励みながらも、右手を心臓よりも高く上げるとか、そんな対策もあるのだし。こういう「無理」も、許可が出たら、即まともに走りたかったからである。そして再開。三・六キロ、三・九キロ、八月十一日が四キロで、十三日には四・二キロ。最高速度はまだまだだが、ストライドの広さなど脚の強さは以前よりも増したとの感触も持てた。

「高齢は、未知との遭遇」、この迎え方は至難至極。ある不具合をただ年だからと解したら、老いへとまっしぐらだ。まだ改善策があろうと臨んでいけば、いくらでも道は開けていく。若いころの生活スタイルや発作的病も関わってくるにしても、二十歳ほどの活動年齢差さえもカメがウサギに勝つようなもんだと習ってきた気がする。二十年来の僕の文学の先生が断続的な病床8ヶ月ほどで先週亡くなられたが、この病床直前まで活動年齢を維持されてきた方だった。確か九十歳。合掌。
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新聞の片隅に載ったニュースから(162)      大西五郎

2014年08月13日 19時11分01秒 | Weblog
トヨタG下請けの売上高 7割はリーマン前届かず(14.8.13 中日新聞)

トヨタ自動車グループの下請け企業の七割は、業績が二〇〇八年のリーマン・ショック前の水準まで回復していない―。こんな調査結果を帝国データバンクがまとめた。トヨタ自動車は一四年三月期の営業利益が六年ぶりに過去最高を更新したが、その好調が下請けまで行き渡っていない実態が明らかになった。
調査結果によると、トヨタ自動車やデンソー、アイシン精機などグループ十六社と直接、間接的に取引のある下請け企業は全国で計二万九千三百十五社、従業員数は約百三十五万人。
都道府県別では、愛知県が五千九百七十六社(20・4%)と最多で、東京都が五千四百八十一社(18・7%)、大阪府が三千八百十九社(13・0%)と続いている。
各社の一三年度の売上高を見ると、一二年度比で四割が増収になった一方、減収も四割を占めた。一三年度の売上高が〇七年度を下回る企業は一次下請け先で68・1%、二次下請け先は71・0%に上り、下請け企業の多くが依然としてリーマン・ショック前の水準を下回っている。
帝国データバンクの担当者は「トヨタがリーマン・ショック後に生産拠点を海外に移し、国内の仕事が減った影響が大きい」と分析。売り上げ規模で一億円未満の企業の八割が〇七年度に比べて減収となり、「下請け企業の中でも、大手と中小の企業格差が広がりつつある」と話す。今後、部品などの共用化が進めば、二次以下の下請け企業の選別や淘汰につながる可能性があると見ている。
帝国データバンクによるトヨタグループの下請け企業の実態調査は今回が始めて。自社の企業データベースに基づき、売上高などを集計した。

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「トヨタ自動車は一四年三月期の営業利益が六年ぶりに過去最高を更新した」とありますが、2014年3月期の経常利益は1兆8385億円で、リーマン・ショック前の2007年度の1兆5806億円を上回っています。内部留保も大幅に増やしました。
安倍政権はアベノミクスの三つの矢で日本経済を成長させる。第一の矢「大胆な金融政策」、第二の矢「機動的な財政支出」に続いて第三の矢「成長戦略」を決めました。第三の矢では企業の収益性向上に重きが置かれ、安倍首相は現在35・64%となっている企業の法人税率を数年で20%台まで引き下げる方針です。これを受けて政府税制調査会は法人税率を引き下げる方向です。
しかしそのための財源をどうするかが問題になりますが、税制調査会は現在資本金1億円以上の企業に課している外形標準課税の中小企業への適用や法人住民税の中小企業負担増を含む課税強化策を盛り込む方向です。黒字経営の大企業を優遇する一方で、業績回復が遅れている中小企業の負担を重くすることになるため、中小企業の反発が強まるのは必至です。
安倍首相は大企業が業績を伸ばせば中小企業にもその“しずく”がしたたり落ちるというトリックル・ダウン理論を掲げていますが、“しずく”はしたたり落ちそうにもありません。
                                        大西 五郎
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新聞の片隅に載ったニュースから(161)     大西五郎

2014年08月12日 19時03分27秒 | Weblog
「A級戦犯分祀できず」靖国神社が文書で見解(14.8.12 中日新聞)

靖国神社は、極東国際軍事裁判(東京裁判)で「A級戦犯」とされた東条英機元首相ら十四人について「一度合祀された御祭神をお取り下げすることはできない」として、分祀は不可能との見解をあらためて示した。共同通信の質問に文書で回答した。
A級戦犯は一九七八年に合祀されたが、中国などが反発。国内でも戦争指導者を顕彰することへの批判や分祀を求める声がある。
回答では、先の戦争を「自存自衛のため」と位置づけ、神社の運営形態に関しては「神社創建の由来に鑑みれば、本来国家によって護持されるべきもの」とした。
七月一日の閣議決定で集団的自衛権行使が容認され、今後自衛隊の任務が大きく拡大する可能性がある。自衛官が戦死した場合、合祀する考えはあるかとの質問には「将来においても祭神合祀の伝統が変わることはない」と答えた。
「合祀の伝統」は、靖国神社が七六年に国立国会図書館に提出した資料にある合祀基準を指すという。この基準は先の戦争での戦死者を念頭につくられており、現段階で自衛官合祀をする予定はないとの考えを示した形。
首相や閣僚の参拝については「参拝を希望される方であれば、どなたでもひとしくお迎えする」、天皇陛下の参拝には「粛々とお待ち申し上げる立場に変わりはない」とした。天皇の参拝は七五年以来途絶えている。昭和天皇は A級戦犯合祀に反発して参拝を控えたとの見方が有力だ。
先の戦争の評価を巡っては、神社内の展示施設「遊就館」で現在開かれている「大東亜戦争七十年展Ⅲ」のパネルで徳川康久宮司が「わが国の自存自衛と人種平等による国際秩序の構築を目指すことを目的とした戦い」と説明している。
質問で「神社としての認識か」と尋ねると、解答は開戦時の詔書が「自存自衛のため」としていることを挙げ「当時のわが国は、このような認識も下で宣戦したと理解している」とした。

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靖国神社は明治維新の際の戊辰戦争で亡くなった官軍の人たちを祀るために明治政府が1869年(明治2年)に建てた「東京招魂社」が前身です。戦後国の神社から宗教法人に変わりましたから、誰を祭神として祀るかは神社の判断で行なわれることになり、A級戦犯が合祀されました。
宗教法人である靖国神社が「A級戦犯を分祀できない」というのであれば、第二次大戦で海外で死亡した人のうち身元不明で引き取り手のない遺骨を安置している千鳥が淵戦没者墓苑も含める形で、誰でもが参拝できる無宗教の慰霊施設を国が作るべきです。一時自民党政府の間でそのようなことも検討されたようですが、安倍首相は靖国神社参拝にこだわっているようです。
日本国憲法をはじめ戦後の日本の政治体制は占領軍に押し付けられたものだとして「戦後レジームからの脱却」を唱える安倍首相が靖国神社に参拝したことが、日本の戦争責任を否定するものだとして中国や韓国、アジアの国々から批判されているのです。
                                       大西 五郎
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今一度集団的自衛権  文科系

2014年08月12日 07時22分37秒 | 国内政治・経済・社会問題
 標記の事を今一度まとめてみたい。6月29日のエントリー「集団的自衛権と谷内正太郎国家安保局長」に付けた拙コメントを再掲させていただくという形で申し訳ないが、歴史の転換点と理解するからである。若干の補足をした。

『歴史の教える所  2014-06-30 08:56:27
 一方で法律って後世に一人歩きしていく。他方で、新自由主義世界経済の弱肉強食ぶりは歯止めを知らぬ勢いだ。つまり、1%が99%を犠牲にして止まないように、この法律によってさらに日本がそういう世界の流れの先頭を走っていく。この法律自身が「こういう国際社会」を前提として、これをさらに促進し、世界をそのように乗り切っていくための舟とも言えるのだから。
 こう考えれば、安倍周辺のこの法律解釈なんてずい分甘いもの、楽観的なものと言えなくもない。つまり、出世主義スノビズム連中が競い合って楽観的解釈を競い合いつつ、何となくこれを通してしまおうと狂奔の流れを作り合っていると、そんな風に見える。(後略)』

『中国も、北も? 2014-07-07 14:42:24
 中国とも北とも、ずっと言ってきたように、戦火なんてことはあり得ない。
 中国は既に資本主義の中にいて、日本と何かあったら株価暴落、国債値下げなどから中国の輸出ががたがたになる。輸出が止まったあの国は暴動が起こるはずだ。
 北は既に、フセインもカダフィも観ている。自分がちょっと直接日本などに何かしたら潰されると恐れおののいているはずだ。声だけは高いのは、弱い犬ほどよく吠えるというやつ。
 いずれにしても、一党独裁の腐敗と、首領様独裁の腐敗とでは、やれることはしれているということ。まさか「我が亡き後に洪水の来たれ」と言う具合にも行かないでしょう。子どもも孫もいることだろうし。』

【 米包囲網、やがては・・・  2014-07-18 08:58:09
 マスコミぐるみで嘘の理由を大々的にでっち上げてイラク戦争を起こしたアメリカ。世界に名が轟いている9条を持った日本のそれへの参戦。このアメリカに従った戦争ができるような国に換えた解釈改憲! 同じく参戦した西欧諸国ではたとえば英国でも、「平和に対する罪」運動が今でも続いている。参戦を決めた当時の首相ブレアが今でも告発され続けているのである。
 西欧でも、アラブでも、アメリカはすごく嫌われている。
 さて、この流れに抵抗する一大勢力がずーっと努力続行し、今また一段とその輪が広がった。昨日の新聞ではこう。
『米へ対抗 思惑一致 BRICSと南米諸国』
 ブラジルでBRICS首脳会議が開かれているが、16日にはこういうさらに広い輪の中で、以下のような意志一致をしたという。
『首都ブラジリアに南米の大統領全員が集結して会議に合流。米国主導の世界秩序への対抗姿勢を強めるBRICSと、南米に多い反米左派政権は思惑が一致しており、関係強化に向け強い意欲を示した』

 出席者らが特に重視しあった困難、課題がこういうものであったということ、ここに注目である。
『再デフォルト(債務不履行)の危機にあるアルゼンチンのフェルナンデス大統領は演説で、危機の原因になった米ファンドや米裁判所の裁定を批判し、15日に設立が決まったBRICS主導による「新開発銀行」からの支援に期待を示した』

 ブラジル、ロシア、インド、中国に南アフリカ。これに加えて南米諸国が、日米ファンドによる各国経済破壊にも等しい空売りなどの蛮行を告発したという形なのでもあろう。ちなみに、中南米諸国って、アメリカの今の行き方の被害を通貨危機という形で史上真っ先に受けた被害者なのである。けっして中国やロシアの肩を持つつもりはないが、日米のファンドがいろんな国(の実体経済など)をがたがたにする空売り世界などは、人の道に外れて異常すぎる。

 BRICSプラス南米諸国銀行って、大賛成である。日米一極よりも世界が多重でなければ、世界に民主主義などは決して保証されぬと思うからだ。
 日本もこの谷内のようにアメリカべったりが目立ちすぎて、世界から孤立せぬように願いたい。これらの国に馬鹿にされぬようにということである。日本外務省などがODAをどれだけ使っても、目に余る対米追随がこれらの国々の腹の中ではせせら笑われているはずだ。

 同じ記事中に、こんな文章もあった。
『中国の習近平国家主席はペルーのウマラ大統領との会談で、ペルーとブラジルを結ぶ南米大陸横断鉄道の建設に協力する方針を示した』
 これらの国々が、日米のマネーゲーム経済に抗して、物作り世界経済を復興させることをこそ切に期待したい。人の職業というものは、物作りの中にしかないのだから。金がいくらあったって、人という生物はものがなければ生きられもしない裸の王様だし、投資先を物作りと結びついた銀行に押さえられてしまえば、そんな金融は何もできなくなるはずだ。日米金融は通貨危機などで世界の金を奪ってきた分、世界の物作り、職業をがたがたにしてきたはずで、さらに嫌われないことを祈るのみである。】

『 安倍の尖兵、外務省! 2014-07-30 19:50:09
 国家安保局長も外務省出身、内閣法制局前長官小松氏とやらも外務省の出。今や、外務省が外交ばかりか、軍事にもしゃしゃり出てきたり、憲法解釈改憲でさえ内閣をリードしている。出兵して死ぬのは、防衛省なのにね。

 現内閣の軍事文民統制って、外務省の仕事かよ? また、外務省が現内閣官房までを出世互助会のポスト増に使い始めている。
 こんな外務省って、どうせアメリカの入れ知恵で動いているのだろう。ウイキリークスによって、民主党日本政府に対するアメリカ・スパイと言って良い行為が暴露されたことでもあるし。
 日本政府の今後、実にまことに恐ろしいことである! 』


【 ほんとに馬鹿げた集団的自衛権  2014-08-12 06:56:49
 上のエントリーから、集団的自衛権・解釈改憲がいかに馬鹿げているかを今一度示したい。肝心の部分を抜粋する。

『 それで、このアフガンや後に出兵したイラクは、何か安定したのか。大混乱してさらに多くの人々が死んだだけだ。イラク関連では関連死を含めて少なく見ても死者50万人と、現地聞き取り調査などまでしたある団体がはじき出している。
 アメリカとの集団安保で出兵しても、他国の平和をさらに乱した上に、米国製武器などをさらに大きく拡散した上に、自国他国の人々を長い間より多く殺すだけ。これが今、日本が世界平和のためにこそ真に教訓にすべきことではないだろうか。』 


 イラクでは、またしても空爆。これではもう、悪魔が作ったごとき虐殺の泥沼ではないか。これは誰が始めたのか! イスラエルでも、ウクライナでも。こんな世界で集団的自衛権って、それで米国に従っていくって、普通の人間の正気の沙汰とは思えないのである。
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「本田圭佑はミランには行くな」と述べてきたが・・・ 文科系

2014年08月11日 22時10分44秒 | スポーツ
 本田圭佑について僕はここで去年早くからこう書き続けてきた。
「今のACミランなんかに行っても、何も良い事はない。成長もできないし、残り少ない貴重な選手生活を無駄にするだけだ」
 遅れたリーグでは、彼の良さがでないからだとの判断である。彼の良さは広い視野に基づいた世界最先端のチームプレーにあるから、これが欠けて個人プレーに走りがちのイタリアでは、彼の良さは全く発揮されないし、成長もできないと考えたのである。案の定こんな見方が出てきた昨今である。以下は、サッカー・マガジン・ゾーンのサイトから取った。

『ACミランのフィリッポ・インザーギ監督は、メキシコのチーバスとの試合で今季初アシストを記録したMF本田圭佑について「これまで過小評価されてきた」と分析し、現有戦力に対する強い信頼を露にした。イタリア地元紙ガゼッタ•デロ•スポルトが「インザーギの信頼“バロテッリについて何てたくさんのうその報道があったか”」という見出しで特集した。』

『元スペイン代表GK獲得をミラン社長は喜ぶも、地元紙は落胆
 ACミランがレアル・マドリードから元スペイン代表GKディエゴ・ロペスを獲得し、同クラブのアドリアーノ・ガリアーニ社長も喜びを露わにしているが、10日付イタリア地元紙ガゼッタ・デロ・スポルトは「セリエAはもはや加齢の選手が来るリーグ」とリーグ全体の競争力の低下を嘆いている。「ミラン、ゴールを装甲。ディエゴ ロペスを獲得」との見出しで報じられた特集によると、元スペイン代表GKは5日に移籍で合意。年俸400万ユーロという強気の要求をしていた条件については、32歳の守護神がある程度妥協した模様だ。
 昨季レアルの欧州チャンピオンズリーグ優勝に貢献した守護神の獲得を「ヨーロッパ最強のGKだ」と喜ぶミランの強化責任者とは対照的に、地元紙は落胆。「イタリアはもはや特に年齢を重ねたビッグプレーヤーが移籍してくる、という傾向を今回の補強で確認することになった」と報じている。
 欧州での競争力が低下し、UEFAランクにおいてもポルトガルに抜かれ、5位に転落したイタリアだが、リーグのマーケットでも優位性を失っている。期待の新鋭や働き盛りの絶対的エースはイングランド、スペイン、ドイツ、そしてフランスに流れている。』

 このうち上のインザーキの言葉に、今の本田の課題が潜んでいる。果たして、インザーキがあのメンバーにパスサッカーにせよコンパクトプレスからの激しいカウンターにせよ、時代最先端の戦略を徹底する力があるだろうか。僕は無理と見る。インザーキって、FWとしても非常に特殊な選手だったと観ているからだ。自分にパスをくれる選手しか見ていなかったタイプのFWに、時代の最先端組織を指導しきる力があるとは、僕には思えないのである。つまり、彼が本田を大いに評価しても、本田を生かす組織を指導しきれないはずだと思うのだ。

 この予測、前と同じように外れて欲しいと願いつつ書いた。
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琉球日報より       らくせき

2014年08月11日 09時47分06秒 | Weblog
11月16日投開票の県知事選に向け、翁長雄志那覇市長(63)の擁立を
目指す経済界有志が設立した「オナガ雄志知事を実現する同志会」の共同代表を
務める呉屋守将金秀グループ会長と平良朝敬かりゆしグループCEOらは8日、
那覇市内で翁長氏に出馬を要請した。
これに対し翁長氏は「要請をしっかり受け止め、
皆さんの方向性において力を合わせていきたい」と述べ、
重ねて出馬に強い意欲を示した。

                

今回は経済界も反東京。自民党の金権政治もじり貧。
官邸は3000億円の大振舞。
そういえば福島も3000億円だった。
実質的な選挙資金が税金から・・・
納税者としてはNOと言いたいな。



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「よたよたランナーの手記」(60) また、走れる喜び  文科系

2014年08月10日 06時59分08秒 | 文芸作品
 2ヶ月のランニング中断からやっとアキレス腱痛が直って再スタートしたのに、7月31日にサイクルツーリングで転倒、左手首を痛めて医者の命令でまた中断。30分走で3.1キロ、3.3キロ、3.5キロ、3.6キロと復活を遂げて来たのに、歯がゆいこと甚だしかった。やっと一昨日、医者に解禁されて外を歩き・走った。そして9日、ジムへ。

 体育館ランを含めて5キロ強走ることができたのだが、ランニングマシンによる30分走では、3.9キロまで行った。今までの平均時速7キロと言えば歩いているも同じ。が、9日の後半はもう時速8キロ、立派なランニングである。この心拍数が145前後と思ったより低かったし、事後に右踵も痛まないしで、いよいよランニング復活路線に乗れたと、大喜びで帰ってきた。医者が言うには、「アキレス腱痛再発防止対策には、ウオームアップ以上にクールダウンが重要」とのこと。念入りにアキレス腱ストレッチを重ねて、土踏まずの腱を伸ばす足裏ストレッチも規定通りやってきた。これは、アキレス腱周囲炎だけではなく、足裏筋膜炎の予防対策も兼ねているつもりだ。

 これからまた、順にスピードアップしていき、近い将来のいつか30分で5キロ走るのが、強い欲求になった。3年のブランクのあとランを再開して1年半ばかり経ったこの春に僕が到達できた峰が、これだったからだ。
 目標を立てて、あれこれ気にしながらそれに近づいていくのは何でも面白い。が、その目標が身体を使った有酸素運動(機能)となると、さらに格別な喜びになっている。肩や腰がこらないとか脚の軽さとかの日常的な快適さやフィットネスや熟睡効果やなどだけではなく、他にも無数の大きいメリットが感じられてきたからである。
 ちなみに、今の流行語「活動年齢」を伸ばすことになるのか、無理した故障などからいきなりこれを強制閉幕させてしまうことになるのか、こういうことは神のみぞ知る領域。
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2014年8月5日の原爆忌の新聞の社説       大西 五郎

2014年08月08日 09時23分22秒 | Weblog
広島に原爆が投下された8月5日の翌6日の各新聞の社説は原爆問題を論じるのが通例ですが、今年は朝日新聞が5日の朝刊でこれまでの従軍慰安婦問題の報道で「済州島から女性を従軍慰安婦にするために強制的に連衡したという山口県関係者の証言が捏造の疑いが濃くなり、証言に基づく記事を取り消す」と発表したため、読売新聞と産経新聞が朝日新聞を非難する論説を掲げました。
以下各社の社説のポイントを紹介します。

【朝日新聞】被爆69年の夏に 核兵器の違法化・禁止を
過去2年間、核を巡る国際会議が4回開かれた。非人道性に関する共同声明がその都度、提案され、賛同国は16、34、80、125と膨らんだ。そして今年2月、メキシコのナヤリット。核の非人道性を問うこの会議に5大国こそ参加しなかったが、145もの国が集まった。
日本政府は核の非人道性批判する共同声明について、賛同を3度見送った。広島、長崎の両市長をはじめ市民の非難を受けて4度目にやっと姿勢を変えた。広島市長が会長を務める平和首長会議には今、世界で6千を超す首長が参加する。核リスクへの危惧は確実に強まっている。安全保障の問題だからと国任せにしない。人の道に外れているかどうかを決めるのは、普通に暮らす私たちである。そこを強く自覚していきたい。

【毎日新聞】原爆の日 記憶を継承しよう
長崎市の平和祈念式典で読み上げられる今年の平和宣言は、集団的自衛権など安全保障をめぐる議論の中で、戦争をしない被爆国の原点から外れ、平和国家のあり方が変わるのではないか、との不安が国民に広がっていると指摘する。
一方、広島の平和宣言は「平和主義をうたうことで、十分言及できる」(松井一実市長)として集団的自衛権に触れないものの、日本が平和主義のもとで69年間戦争をしなかった事実を重く受け止め、平和国家の道を歩み続けるよう求める。
表現に温度差はあっても、共通するのは、安全保障政策の転換に伴って再び戦争の悲劇を招く危険性が高まるのではないかという懸念だ。安倍政権は被爆地の思いをしっかり受け止めてもらいたい。
戦争を回避し、核兵器をなくすために何が必要か。「最後は人間の英知が問われる」。「核なき世界」に一歩ずつでも近付くため、被爆国としての英知を示したい。

【中日新聞】原爆忌に考える いつもの夏と違って
長崎の平和宣言は、起草委員が集まって、議論しながら内容を詰め、一編の文章に編み上げる。委員は学識者、被爆者、関係団体の代表など十五人。今年五月の一回目の会合で長崎市が示した文案には「集団的自衛権」の六文字はありませんでした。政権を支持する議員が多くを占める市議会との関係が、市長を悩ませたと言われます。しかし委員の間から「避けて通れない」との声がこもごも上がり、市長は受け入れました。
なぜ起草委は、そこにこだわったのか。「被爆地の権利と義務だから」と、田上市長の背中を押した委員の一人、元長崎大学学長の土山秀夫さん(89)は語ります。土山さんは兄一家四人を原爆で失いました。当時の政府がもう少し早く降伏を決断していれば、そもそも戦争などはじめなければ、原爆は落ちてこない。広島と長崎は愚かな政治の犠牲になった。だから今、政権に物申す権利がある。
自衛の名目で始めた戦争が最後にどこへ行き着くか、世界中でヒロシマとナガサキだけが、知りすぎるほど知っている。だから、訴える義務もあるのだと―。

【日経新聞】核廃絶への関心を高めたい
原爆の恐ろしさを忘れないことが核廃絶への原動力になる。そのためにも、貴重なる被爆者の声に耳を傾けたい。教育の場で核問題を学ぶ機会も確保したい。
来春には世界中の国が集まって核兵器廃絶を議論できる核拡散防止条約(NTP)の再検討会議が開かれる。唯一の被爆国である日本が、生き証人の声を基に核廃絶を訴えることができる最後のチャンスにもなりかねない。
3年前の大震災に伴う原発事故で日本はまた放射能被害と向き合うことになった。原爆と原発は同列に論じられる問題ではないが、無関心や慢心が悲劇につながるという点では同じではなかろうか。核問題に関心を持ち続けたい。

【読売新聞】朝日慰安婦報道 「吉田証言」ようやく取り消し 女子挺身隊との混同も認める
朝日新聞は1982年9月、「最終島で200人の若い朝鮮人女性を『狩り出した』」とする戦時中労務報国会下関支部動員部長だった吉田清治の発言をうのみにして報じた。
今回、吉田証言を始めて虚偽と判断し、それをめぐる記事をようやく撤回した。92年に疑問が指摘されながら、20年以上にわたって、放置してきた朝日新聞の責任は極めて重い。慰安婦の強制連行があったとする誤解が国際社会に拡大する一因となった。
朝日新聞のもう一つの重大な問題は、慰安婦と女性を軍需工場などに動員した「女子勤労挺身隊」との混同である。今回はじめて混同の誤りを認めた。
疑問なのは、「強制連行の有無」が慰安婦問題の本質であるのに、朝日新聞が「自由を奪われた強制性」があったことが重要だと主張していることだ。フィリピンやインドネシアなども含め、戦時中に多数の女性の名誉と尊厳が傷つけられる行為があったことは確かである。政府・軍の強制連行はなくとも、現在の人権感覚では、許されないこともあっただろう。しかし、「戦場での性」の是非と軍の強制連行があったかどうかは区別して論じる必要がある。広義の強制性があったとして日本政府の責任を問うことは、議論のすりかえではないか。

【産経新聞】朝日慰安婦報道 「強制連行」の根幹崩れた これでは訂正になっていない
朝日新聞が慰安婦問題の報道について、一部の記事が虚構だったことを認めた。だが、その中身は問題のすり替えと開き直りである。これでは日本がいわれない非難を浴びている原因の解明には結びつかない。
平成4年に現代史家の秦邦彦氏が済州島で現地調査を行なった結果、地元の古老らが吉田証言を否定した。産経新聞は、この秦氏の調査結果を報じた。
朝日の報道が日韓関係悪化の発端となったにもかかわらず、「自国の名誉を守ろうとする一部論調が、日韓両国のナショナリズムを刺激し、問題をこじらせる原因をつくっている」とここでも責任を転嫁している。
※私が疑問に思うには、済州島における強制連行が事実でなかったとしても、それで「強制連行問題」全てを否定できるのか、という点です。別に従軍慰安婦だった人の「強制」の証言があります。

                      2014.8.7 日本ジャーナリスト会議 大西 五郎
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一個人に喰らわれたアルゼンチン  文科系

2014年08月06日 01時54分58秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 アルゼンチン・デフォルトは、弱肉強食が極まって、現世界の象徴的大事件。なんせ、一ファンドという「強食」が、一国家を「弱肉」として喰らっているのである。それもアルゼンチンという南米の雄の1国を、2001年一度ならず今回の二度までも。
 一企業、いや一個人が、国家を喰らう。喰らわれた国家は莫大な税金を失うだけでは済まない。例えば、二度目のデフォルトを起こしたこの国は、ここの国債を多く持っていてくださった国々にも大変な迷惑をかけることになる。そういう国の通貨もどんどん下がるからだ。以下の文章冒頭には、そういう国名も上げてある。このアルゼンチンデフォルトはしたがって、ここの国債を多く持っている国の通貨も暴落という形で、ファンドによる空売りを招いたのではないか。タイから始まったアジア通貨危機と同じ事が起こったとも言えるだろう。

 そしてなによりも、このアルゼンチンのデフォルトくり返しこそ、今のアメリカのTPP押しつけの行く末、将来世界を暗示していると言えるのではないか。
 以下は、阿修羅掲示板から取った。かなり詳しい物で、僕が今まで書いてきたことと矛盾した点もない。

『 7月30日には懸念されている通り、アルゼンチンがデフォルトとなりそうです。ただ今回は、かなり特殊な事情があるためテクニカル・デフォルトといわれています。

 アルゼンチンといえば、通貨ペソが本年1月22日~23日に1ドル=6.5ペソから一時8.5ペソまで急落し、それにつられてトルコ・リラ、南アフリカ・ランド、ロシア・ルーブル、インド・ルピー、インドネシア・ルピアなどが軒並み下落し、NYダウや日経平均もかなり下落した記憶が新しいところです。

 今回の問題の発端は2001年で、アルゼンチンは920億ドルという「人類史上最高額のデフォルト」を引き起こしました。その中には1900億円のアルゼンチン政府発行の円建て外債(サムライ債)も含まれていました。
 1991年にペソを等価(1:1)で米ドルに固定して外貨流入を図ったのですが、インフレが低下せずペソが割高になっていたところ、1999年に同じように通貨レアルをドルに固定していたブラジルが変動相場に移行したため一気に輸出競争力を失い、経済が破綻してしまいました。
 ようやく2005年と2010年に平均75%の債権カットを93%の債権者が呑み、アルゼンチン政府も返済を始めました。現時点で残債が150億ドル程度となり、アルゼンチンの外貨準備も(本年初めのペソ急落でだいぶ減ったのですが)280億ドルあり、このままだと順調に返済は進むものと思われていました。

 ところがアルゼンチンがデフォルトした前後に、米国人投資家のポール・シンガーがいくつかのヘッジファンドを通じて債権(アルゼンチン国債のようです)を額面の数%で大量に買い集めていました。
 そして一切の債務交渉に応じず、利息を含めた元本全額の13億3000万ドルの支払いを求めてNY連邦地裁に提訴していました。驚くべきことに2012年11月にNY連邦地裁のトーマス・グリーサ判事がアルゼンチン政府に対して全額支払い命令と、同時に他の債権者(75%の債権カットを呑んだ債権者です)への支払いを停止する命令を出しました。
 米国では地裁の判事が売名のために「過激な判決」を出すことは珍しくありませんが、もっと驚くべきことに本年6月に米国最高裁がアルゼンチン政府の不服申立を却下してしまい、グリーサ判事の判決が確定してしまいました。

 アルゼンチン政府は、6月30日に予定していた和解済みの債権者に支払うべき8億3000万ドルを支払えず(そのうち米銀に預けていた5億4000万ドルは凍結されたはずです)、30日の支払い猶予期限が切れる7月30日にはデフォルトとなってしまいます。
 ここで複数のヘッジファンドが全額支払いを求めていると報道されていますが、債権者はポール・シンガーただ1人です。  
 日本でも貸付債権などを大幅ディスカウントで買い集めて猛烈に回収する業者がいますが(例えばJトラスト)、ポール・シンガーは国家を相手に1000億円の「勝負」を仕掛けていることになります。まあ道義的には大変に問題がある「勝負」に米国裁判所が加勢したという「驚くべき構図」となります。

 ポール・シンガーは日本ではあまり知られていませんが、米国では著名な投資家の1人です。旗艦ファンドのエリオット・アソシエイツを通じて、サブププライムローン危機でも空売りでかなり儲けたはずです。
 また2011年の大統領選挙では共和党候補者のミット・ロムニーを支援していましたが、もともとロムニーも大富豪なのでそれほど資金を「無駄にした」わけではなさそうです。
 日本では、昨年9月には2度目の会社更生法の適用を申請していた三光汽船のスポンサーに名乗り出ています。

 さてアルゼンチン政府はポール・シンガーに屈してしまうと、せっかく和解した投資家も全額返済を求めてくるため、デフォルトとなっても頑張るしかありません。
 しかしアルゼンチン政府は、凍結の恐れがあるといってもドル決済をやめてしまうわけにもいかず、長期戦は不可能です。
 落としどころは全く想像がつきません。
 世界の金融市場に対する影響は、今回はアルゼンチン経済そのものの問題でもないため、限定的なものとなるはずです。』
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TPPのISDS条項   文科系

2014年08月05日 14時22分33秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 昨日のエントリーでらくせきさんから質問があった件を、洗ってみました。以下は愛知県弁護士会会長名で出されたTPPへの意見書の一部、ISDS条項に言及した部分です。以下のような「国際法規」が結ばれていれば、アルゼンチン政府決定が米連邦裁判所判決に負けるということも起こりえます。
 以下2~4それぞれの文末に結論が書いてありますから、まずそこから読んでいくと分かりやすいですよ。なおこの資料はブログ「街の弁護士日記」(名古屋市守山区の岩月浩二さんのブログ)から取らせていただきました。岩月さんありがとう。


『 第2 ISDS条項(投資家対国家紛争解決制度条項)の問題について

(意見の趣旨第3項)

1 ISDS条項とは

TPP協定には、ISDS条項(Investor-State Dispute Settlement)が含まれることが確認されている。

ISDS条項とは、外国投資家に対して、協定に違反する、投資受入国政府(地方自治体、政府投資機関を含む)の行為(不作為を含む)により、損害を被った場合に投資受入国の裁判所ではなく、投資仲裁手続に付託する権利を事前に包括的に付与する条項である。

2 憲法76条1項との関係

憲法76条1項は「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」と司法の統一的帰属を定める。

司法権とは、具体的な権利義務に関する紛争(以下、「具体的争訟」という)に関して、法を宣言して適用することによって紛争を解決する国家の作用をいう。ISDS条項は、本来、わが国の司法権に属するわが国の国内の具体的争訟について、わが国の司法権を回避して私的な制度である仲裁制度に付託する権利を予め包括的に認める。

わが国の管轄内の具体的争訟で、国際法によりわが国の裁判所に第一次裁判権が認められない例は、わずかに外交官特権にかかるもの(外交関係に関するウィーン条約)、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(以下、「日米地位協定」という)に基づくものしか存在しない。深刻な問題が指摘されている日米地位協定も、協定文言上は、わが国の裁判所の第一次裁判権が否定されるのは、米軍内部の犯罪及び隊員等の公務執行中の犯罪に限るなど、わが国司法権に与える影響を最小限にするように配慮されている【※4】 。

また、政府は、TPP交渉参加問題が表面化するまで、国連自由権規約選択議定書が定める個人通報制度を締結しない理由として、「司法権の独立」(憲法76条3項)を挙げていた【※5】 。すなわち国際法上の理由で、司法権に制限を加える場合でも、憲法に反する場合があり得ることを認めていた。基本的人権を充実する方向での条約締結には消極的な一方、社会権を初めとする基本的人権の侵害を招きかねない外国投資家の投資財産や活動を特別に保護するISDS条項を締結するのは日本国憲法の原則と矛盾する対応である。

今日、わが国国内で事業を展開し、あるいはわが国に投資し、または投資しようとする外国投資家は、多数かつ広範囲にわたる。したがって、ISDS条項を締結することは、かつてない広範囲な第一次裁判権の放棄を承認することを意味する。

3 投資仲裁の実体規定(仲裁規範)

投資仲裁において用いられる実体規定(仲裁規範)は限られており、外国投資家に対して公正かつ衡平な待遇を与える義務、間接収用法理などの抽象的な規定が具体的な紛争解決基準として大きな役割を果たしている【※6】 。

これらの実体規定は、自由貿易と公正な競争市場の形成によって、諸国民の福利が最大化するとの規律原理を有する国際経済法の立場【※7】 から立案されている。また、アメリカの2002年超党派大統領貿易促進権限法【※8】 によれば、「米国の法律が、全体として、国際法が要求するレベル以上の保護を投資に与えている」(2102条(b)(3)柱書き)との認識の下、「米国の法理及び慣行に基づく公正かつ衡平な取扱いに対する基準の設定を求める」と規定しているように、仲裁に関する実体規定は、投資受入国に対して、外国投資家にかかる高度な投資の保護、経済活動の自由の保障を求めるものである。公正かつ衡平な待遇を与える義務には、国際慣習法上、たとえば「外国投資家の投資財産保護に関する慎重な注意」、「投資家の正当な期待の保護」が含まれるとされている。上記大統領貿易促進権限法によれば、アメリカ企業・アメリカ投資家を当事者とする投資家仲裁では、米国の法理や慣行に基づく高度な投資保護が求められる可能性がある。

以上を前提とすれば、投資家仲裁における基本ルールは、外国投資家の投資やその活動の自由を特段に保護することを一方的に求めるものとなる可能性が高い。

4 日本国憲法との整合性

わが国憲法上、経済的自由に対しては、合理的な政策目的による制限を認め、制限に関する裁量が認められる一方、民主主義の基盤となる精神的自由については、やむを得ない場合に限って制限が認められ、その場合においても制限は必要最小限のものでなければならないなど、厳しい制約を課している(精神的自由優位の二重基準)。ところが、ISDS条項の実体規定は、これとは逆に、外国投資家に対して特別な保護を与えることを認めるものであり、日本国憲法の基本的人権秩序に深刻な混乱をもたらす可能性が高い。とくに外国投資家に対する特別な保護は、これと対抗関係にある社会的基本権を侵害する結果をもたらす恐れが否定できない。

さらに、外国投資家に投資家仲裁廷に付託する特権を与えることは、国会の立法活動にも深刻な影響をもたらす。条約は法律に優位することから、公正かつ衡平な待遇義務に違反する法律は、改廃すべきであるところ、概念が広汎であり、いかなる法律がこれに反するかの判断には著しい困難が伴う。係争事案が生じ、仲裁判断がなされるまで判明しないこともあり得る。また、今後の立法活動に当たって、公正かつ衡平な待遇義務に違反する立法はなし得ないため、この概念の広汎性は、立法活動に著しい制約をもたらす可能性がある。さらに、巨大な多国籍企業の場合、勝訴の見込みが低くても、巨額の賠償を仲裁付託し、あるいは仲裁付託する旨、政府に通告することによって、国会の立法活動、内閣の行政活動、さらには司法の活動を萎縮させることも生じる【※9】 。

投資家仲裁廷における仲裁人は、原告である外国投資家と、被告である投資受入国政府がそれぞれ仲裁人を1人選任し、両者の合意で第3の仲裁人を選任するものであるが、仲裁廷は、その事件限りのものであり、裁定を下せば解散し、上訴制度も存在しない。絶対的な権限を与えられる仲裁人の資格や選任手続も厳格なものではない【※10】 。国家の制度や慣行を裁くにも拘わらず、仲裁人は誰にも責任を負わない。にも拘わらず、裁定には被告である投資受入国の国内の確定判決と同一の効力があると規定されている例もある【※11】 。国家の制度、規制や慣行を裁く制度であるにも拘わらず、適正かつ慎重な制度設計になっていない。

以上を踏まえれば、ISDS条項は、憲法76条1項に違反する疑いが強いとともに、国会の立法活動をも大きく制約する可能性が高く、国民主権原理を侵害するおそれがあるとともに、基本的人権尊重主義に深刻な混乱をもたらすものである。

よって、ISDS条項の締結には反対である。』
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アルゼンチンデフォルトが示すこと  文科系

2014年08月04日 15時17分39秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 今世界の経済界で、このデフォルトのことが大騒ぎになっている。世界に知られた1国が債務不履行に突入するってなかなかないことだから、事の難しい本質が初めて万人に見えるように浮かび上がっている。それも、現代世界最大問題と言うべき本質が。

 元凶の米ヘッジファンドの行動は、日頃人を出し抜くためにすべて隠密裏に行動するから一般人には何も見えないもの。そういう隠密行動の凶暴性が事の詳細な経過も含めてバーンッとばかりに、誰の目にも見える形で世に飛び出てきた。
 中日新聞の本日5面の社説が、この難しい問題をうまく解説している。要約すればこんな所だろう。

 国がその信用をかけて借金した相手に渡す債務証券・国債証券への返済が難しくなった。この国債を買った人々にアルゼンチン政府が相談を持ちかけて、9割の人々が借金減額に応じることになった。ところが、1割の減額に応じない人々の国債を米投資ファンドが安く買い集めて、その全額返済を求めて米連邦地裁に訴訟を起こしたのである。出た判決は、ファンドに全額返済しなければ、減額に応じた人々への返済も認めないというもの。アルゼンチン政府は米最高裁に上訴したが退けられたと、こういう経過をたどった。アルゼンチン政府が「減額相手以外の債権者とよりよい条件を結ぶことは禁止」という契約を減額契約相手と結んでいたから、ファンドの要求も飲むことができない。こうして、一部返済期限が過ぎたものがデフォルトと見なされたわけである。
 さて、この社説が展開した批判を上げておこう。

『まず、「米国の裁判所はおかしい判断をした」というのが一般的な見方である。(中略)債権者の大半が同意した借金減額案を反故にする。あまりにファンド寄りの判決に疑問の声が強いのである』

 アルゼンチン政府も、多数の債権者の合意で全体を縛れる「集団行動条項」を契約に入れておくべきだったと国際金融筋は指摘しているとも、書いてあった。

『高額報酬の弁護士らで強力な訴訟対策をとり、法の盲点を探る。「全額返済(約千三百億円)を勝ち取れば十六倍もの利益が上がる。まさにハゲタカ」との批判は免れまい。ファンドの意に沿う判決を出した米司法制度や、強欲主義を黙認するような米社会への不信感も高まった』

 さて、私見だがここには現代世界の大問題が全て含まれているように思う。
 生き馬の目を抜くような競争と、そこにおける弱肉強食性とが、極限にまで達しているという問題。
 これを、世界最強のアメリカ国家がまるまる是認し、側面援助しているように見えるという問題。つまり、国連にも最大影響力を持った世界最強国家を、こういう金持ち達が所有しているように見えるという問題。
 この競争に関わって、情報量の差によって小さくない一国家に一企業が勝利を収める事態にさえなっているという大問題。こうした事態は、その国家の未来の予算までを浸食することを通して国民の不幸に連なっていくだろうという大問題。
 これでは、昔から唱えられてきた人間的道義などはどんどん吹っ飛んでいくのではないか。アメリカの大統領候補が選挙演説で堂々とこんな思想を述べたように。「オバマは貧乏人のためにのみ政治をやっている」。こう言いながらその一方でどんどん中進国、中間層などを世界から蹴落としていくのであれば、金持ちだけのための政治でもって地球を握るも同然ではないか。

 アルゼンチンのような一国をさえ蹴落とすような金融の威力によって格差がさらに極限にまで進んだ時、税を払えない人々、そういう人々ばかりの国は一体どう生きよと言うのだろうか。「死ぬ人々が無数に出るのも仕方ないこと」。イラク、パレスチナなどへの仕打ちを見る時、そんな声も聞こえてくるようだ。ロムニー前大統領選挙候補者、共和党論客などはきっとそう考えているのだろう。

 どんな物事にも軽重があるが、アルゼンチン・デフォルトはこうして、現代世界、社会の諸問題の根源を鮮やかに示したとは言えまいか。前世紀末から無数に引き起こされた諸国家の通貨危機と同様に。今回のこの大難問は、果たしてどんな結果に行き着くのだろうか。ファンドの望む結果になるのかどうか、世界子孫の近い将来生活・展望を懸けて大注目である。
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随筆紹介「児童虐待に思う─一里親の所感─」  文科系  

2014年08月03日 17時16分29秒 | 文芸作品
 児童虐待に思うー一里親の所感  N.Kさんの作品

なんと悲しい事件だろう。五月三十一日、中日新聞、夕刊。「六年に死なせた」父逮捕。男児衰弱死、救えた命。「遺体発見は十三回目の誕生日」。父子家庭で、男児に水や食糧を与えず、餓死させた。五歳の男の子は父を待ち、どれだけ空腹に耐えていたか、寂しかったことか、計り知れない。名前は理玖ちゃん。
 児童虐待とは、ネグレクト(育児放棄)・暴力・性的暴力・暴言などを言う。
 平成十七年二月四日。「児童虐待最多二二九件、被害六歳以下が五割」と、紙面に大きく取り上げられている。事件が起きると、行政は「判断が甘かった」と陳謝をくり返す。新聞によると(テレビでも放映)、当時三歳の理玖ちゃんが午前四時ころ、Tシャツ、紙オムツにはだしで歩いているところを近所の人が発見、警察に通報。翌日母親が引き取りに来る。この時点で児童相談所が介入し、強制保護をしていれば、後に死に至らなくて済んだものを──。実は報道されるのは氷山の一角で、多くの子どもたちが虐待で児相に保護され、一時保護所、施設、里親へと措置されている。

 私事であるが、一つの例を記させていただきたい。
 平成十一年秋、五人の子を置いて母親が失踪。母子家庭。母親はそれまでにも数回家出をくり返していたが、二日ぐらいで帰宅していた。
 上は高校生から下は小学生に、多くの借金。すでに、電気、ガス、水道は止められていた。冷蔵庫は空。数日が過ぎ、〈お母さんは戻ってこないかも知れない〉と警察に届けた。すぐに児相の職員がかけつけ、学校等関係機関と連携。休日にも拘わらず動いてくれたと、後にわが家にきた子が話してくれた。そして、児童養護施設、里親宅へと手配。高校三年の男の子がわが家に。

 「里親の家なんかヤダ」とふて腐れ、腰パン、ズボンの裾は擦り切れ、前髪垂らし、上目づかいに私をみた。片方の目玉がチラリ。〈まあ、ゲゲゲの鬼太郎みたい〉私は微笑んだ。つられて、腰パンはニイと笑った。おもろい子だ。
 私はせっせと弁当を作り学校へ送り出し、次第に心を開いてくれるようになった。学校から帰ると「『おい、このごろ弁当持ってきて、どうしたんだ。一口くれ』と、今日友だちに取られたんだよ」、愉しそうに話してくれた。それまではコンビニでぱんを買っていたという。
 本人によれば、小学校はよく休み、中学二年のときは、ずっとひきこもり。三年になり─やっぱり高校へ行きたい─と猛勉強。塾にも通ったと聞く。けれども高校に入ってからも二ヶ月ばかり休んだ。公立高校だからこれだけの欠席は響く。わが家にきたからには高校だけは卒業させたい。
 「前から、福祉関係の大学に行きたかったのに。お母さんが出ていっちゃったからもう……。大学へは行かせてあげると約束したのに」、目を伏せた。あと一年余りもあるじゃない。がんばれ」、勉強は本人がするもの。私はごはんを作ることしかできないけれど、トライする意味はある。学校へ通い、アルバイトにも精を出した。高三の秋、大学OAテスト受験、合格。
 平成二十五年春、大学生になった。児相が一年間の措置延長を認めてくれて、学校に、アルバイトに、多忙な日々を送った。
 授業料は奨学金を充当し、なんとか頑張れそうである。

 現在、児童養護施設で暮らしている子どもたちの大学進学率は低い。学力があっても、経済的な面であきらめざるを得ないこともある。
 平成二十六年春、大学二年生。わが家から二時間離れた大学近くにアパートを借り、アルバイトで貯えたお金とこれからのアルバイトで生活する自信があると断言してくれた。

「困ったら帰ってらっしゃい」。
 新緑に向かって「行ってきます」と腰パンは巣立って行った。
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大嘘「中国脅威論」に、また大嘘の積み重ね!  文科系

2014年08月02日 00時02分10秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
昨日「中国脅威論の大嘘」を掲載したら、早速「反論」と、飛びついてきたダボハゼがいる。「世界一の軍拡国家が脅威ではない?」と大音声してご登場だ。それも、僕が昨日書いた具体的事項には何の言及、反論もなく、ただ僕が嘘をついたの連発で来られた。片や原子力空母11艘の所有国、此方ディーゼル空母1艘だけ所有の国。そう、僕は書いたはずだ。これで、前者(と、その連合国と)にとって後者が「侵略の脅威」って、どう説明するのかな? 逆なら非常によく分かるけども。


 さて、中国のこの20年の軍拡は、その高度経済成長とともに、「それに遙かに遅れて」伸びただけだ。確かにこう伸びた。まず右翼は「こういう数字だけ」を上げるのだが、驚くような数字ではある。
 80年代年平均軍事費は197億元。これが90年代には平均613億元で、00年代になるとものすごい伸びで、2,660億元平均である。だが、同時にその「経済」も、「国家財政」全体も、どこよりも多人数の「兵士の給料」も、高度成長下ではこんな数字を遙かに凌駕してものすごく伸びたのであった。よって、国家財政全体に占める軍事費割合は、低下の一途をたどっている。こうだ。
 80年代、11.6%。90年代、9.8%。00年代、7.34%。
 ちなみに、同じ日本の数字は10年度で8.9%である。これでも「世界一の軍拡国家」と言うかね、名無し君?

 さらに、この中国軍事費を、よく引き合いに出される対GDP比で見てみよう。すると、その現状は日本とほとんど変わらないのである。
 50~70年代平均は6.35%であったのが、経済が好調に変わるとこうなっていく。80年代平均2.3%が、90年単年度には1.4%で、同じく12年度には1.24%だ。対GDP比で1%枠を持つ我が国だから、その技術力からしたらまー日本の軍事力の方が強力だと思うよ。あちらは巨大な国で、こちらはちっぽけな国だから、「国防」、兵力で見るなら陸軍が遙かに大きくなるはずだしね。


 以上出典は全て、進藤榮一(筑波大学名誉教授・国際アジア共同体学会会長)著「アジア力の世紀」(岩波新書)である。
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中国脅威論の大嘘  文科系

2014年08月01日 15時53分03秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 標記のこと、その例をお一つ。そして、この例から今後のこういう「大嘘論」の見分け方を少々。

 ロケット兵器や飛行機、艦船や核兵器、兵力などなどの数だけをいくら数え上げてみても、相対的脅威、戦争を仕掛けられる現実性などは、分かるわけがありません。これは暴力団がとてもよく知っていること。一例ですが、近距離しか使えないピストルを30丁持っていたって、機関銃1丁が敵にあると分かれば、大騒ぎになるでしょう。拳銃百丁のヤクザが、機関銃3丁のそれとの白兵戦に持ち込まれれば、多分射程距離とその正確さから言って、後者か絶対に勝利する。これを、「(中国)脅威論」などの、これからの判断材料にお使い願いたいと言うわけです。脅威論があまりに作為的にして、嘘だらけ、金儲け商売から来る誇大宣伝のようなもんだから、ついこちらも馬鹿にした口調になってしまいますが、対するに一つ、今世界の空母比較を。これはまー、ピストルに対する究極の機関銃のようなものだから。

 アメリカには、超巨大な原子力空母が11艘。対して、他国でこれを持っているのはフランスの1艘だけ。他の空母保有国は8国で、合計9艘です。日本マスコミが大騒ぎしている中国の14年就役1艘とは、旧ソ連ウクライナから、ディーゼルエンジン駆動の旧型空母ワリャーグ(約6万トン)を買い取っただけのこと。
 ここで一つ、日本自衛隊戦力の特記事項を。満杯で2万トン近くになる「空母」を、空母とは名のらずに持っているのだ。ヘリ搭載護衛艦と名乗り、全通甲板構造であり、小型空母よりも大きくって、戦闘力が優れているとあっては、相手国から見れば完全な空母だろう。ヘリと言っても最近は超強力なヘリもあることだし。このこと、軍隊を自国では自衛隊というような言葉のすり替えである。そこの所を防衛省自身も大いに心配するらしく、ウィキペディアにはこんな事が書いてある。問題の護衛艦は、09年と11年就役の「ひゅうが」と「いせ」なのだが、前者の説明にこんな文章があった。

『 なお、従来の軽空母や強襲揚陸艦の一部をも上回るほど巨大な船体を備えていることから、ハリアーのようなSTOVL型の戦闘機を運用する軽空母と比較されることも多いが、防衛省は本型での固定翼機の運用については公式にいかなる発表もしておらず、また、自衛艦隊司令官経験者からも、空母とはまったく本質を異にする艦であると指摘されている』
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