九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

朝鮮日報より      らくせき

2014年04月30日 10時25分16秒 | Weblog


日本で販売している書店が1カ所もないにもかかわらず「ベストセラー」になっている本がある。
自民党による憲法改正案を真っ向から批判する内容の『憲法が変わっちゃったらどうなるの?』という本だ。
「明日の自由を守る若手弁護士の会」が、ウェブサイトを通じて販売しているだけだが、
昨年3月に発行されて以降、すでに20万部が売れている。
ポケットに入るサイズの、全部で8ページの小冊子で、価格はわずか15円。
市民が数十冊ずつ購入して、病院や喫茶店、美容院などに備え付けるケースもある。
また、動画版も動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開されており、この冊子の内容を知っている人はかなり多い。

この冊子を作成した「明日の自由を守る若手弁護士の会」は、戦争を禁じる「平和憲法」の改正を公約している
安倍政権の発足をきっかけに、昨年1月に結成された。
事務局長を務める早田由布子弁護士(31)は「自民党の憲法改正案は、
日本を『戦争のできる国』にするだけでなく、
表現の自由や社会福祉制度まで破壊しかねない、毒素条項の多い案だ。
これを国民に効果的に伝える方法について苦悩し、冊子を作成するに至った」と語った。
これまでの憲法改正に反対する本は、法律の解釈を中心とした堅い文章が多く、
若者たちが手に取りにくいという点に着目し、口語体のやさしい文章を中心とし、天然色の挿絵を多く取り入れた。

「私たちが知らない間に憲法が変わってしまってはならない。みんなが一緒に、憲法について考えてみよう」と
いう文章で始まる小冊子は、国家と国民の関係、自衛軍と戦争への傘下、表現の自由の制限、社会福祉の水準の低下などと
いった項目に分け、憲法改正案を一つ一つ批判している。
そして「自民党の憲法改正案は、国家が定める範囲内に限って(個人の)自由を認めるなど、
現行憲法の根幹を変えるものだ。
憲法が改正され、軍隊が設けられれば、同盟関係にあるほかの国の戦争に参戦し、
国民の行動や財産権が制限されかねない」と主張している。


「明日の自由を守る若手弁護士の会」は、安倍晋三首相が憲法解釈の変更によって
集団的自衛権の行使を本格的に推進しているのを受け、
今年2月には第2弾として『2分で分かる集団的自衛権A to Z』も発行した。
同じようにウェブサイトを通じて15円で販売しており、すでに10万部が売れた。
一問一答式の開設が特徴のこの冊子もまた、動画版が作成され、ユーチューブで見ることができる。
早田弁護士は「憲法改正に反対する市民が自発的に動画版を作成、公開している。
若者たちが憲法問題に関心を持つきっかけになればと思う」と語った。

                   
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偽物の流通     らくせき

2014年04月30日 10時20分20秒 | Weblog
偽札は犯罪。しかし言葉のニセモノに罰則はない。
「自衛隊は軍隊ではない」など、数多のニセモノが流通してきた。
最近の秀逸は「積極的平和主義」であろう。

これ、コトバ通りに解釈すれば、戦争の放棄をうたった9条の精神にそって
平和外交を展開する、という意味になろう。
安倍さんが言っていりのは、逆で、戦争に巻き込まれそうになった
お友達のアメリカを軍事的に援助しようという意味。
これは「平和」という言葉の原義に反する。

にも拘わらず一国の総理の発言として流通している。
新聞などもせめて表記は、積極的「平和」主義、としてほしい。

軍事力で平和を保障するのは平和主義とは言わない。



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随筆紹介 「夫のダイエット」   文科系

2014年04月30日 07時11分57秒 | 文芸作品
 今回ご紹介するのは、「豚汁」「ブカブカ靴」などと同じ作者、K・Kさんの作品です。こんなダイエットがあるって、僕は知りませんでした。皆さん、必要な方はやってみません?

『 夫のダイエット   K.K

テレビで「三十回かむだけダイエット」を見ていた夫。「これなら出来る。やるぞ」。立ち上がり宣言した。彼は数年前、心臓カテーテル手術をした。医者からやせるよう注意されていたのだ。だが、食べる量を減らすのは辛い。「俺は水を飲んでも太るんだ」、開き直っていた。
 その日の夕食から始めた。一口食べて箸を置き三十回かむ。今まで五、六回で飲み込んでいたのだから大変である。口を早く動かしこなそうとする。目をつぶり、集中する。でも、これでは食事がおいしくない。修行僧みたいに無言になるから話もできない。「豆腐まで三十回かむのか?」、面倒臭そうにいう。野菜炒めは「あごが疲れた。もういらない」、半分残した。こうして、今まで晩酌して十分くらいが、三十分かかるようになった。最後のご飯が、お腹が膨れていらなくなった。
 三ヶ月後、彼は二キロ減った。あんなに体重計に乗るのを嫌がったのに、毎日確かめて「良し」、上機嫌である。私もゆっくり食事ができるので体調も良い。
 いい事ばかりではない。会社の食堂で、前は一番に食べ終えたけれど、今は最後になってしまうとか。「お先にどうぞ」と送り、一人寂しいらしい。夫のダイエットは、予想していたより続きそう。頑固な彼を動かしたのは、健康に過ごしたい気持ちが強かったからだろう。夫はもうすぐ古希。生への執着心を見た気がした。』
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水野和夫「資本主義は死期に突入」紹介   文科系

2014年04月29日 10時11分00秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 長くなって申し訳ないが、貴重な記事なのでご紹介したい。日刊ゲンダイのサイトにあった標記のものである。僕の問題意識としては、『「求めてきた内容」の本 (2014-04-14 )|』と同じものである。百年単位で世界を観るときは確かに、資本主義は死期に突入したのである。特に日米マネーゲーム経済の衰退、腐朽化とは、そういうことだと観られる。この語り手がまた面白い。こんな経歴肩書きまでが付いた人である。『元三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト』。
 なおリーマン・ショック以降は特に、この水野氏と同じ事を語る学者が非常に増えている。その根拠は何よりもこういう事のはずだ。マネーゲーム経済が地上から職場というものを奪うだけの非常に不健全なものであること。それが先進国で中産階級を没落させ、新興国にも通貨危機を作って中産階級没落に励んできたこと。こうして、地上の有効需要というものを、どんどん削り取って経済の悪循環を作ってきたこと。他方そういう不条理への「世界99%の反乱」を腕力で抑えつけるべく産軍政複合体を強化育成していかざるをえないこと、などなどである。
 世界経済腐朽期の権力は一見非常に強く見えても実はとてももろいものであるとも、改めて力説したい。1929年の世界大恐慌からのし上がってきたヒットラー、東條政権のように。では、


【 日大教授・水野和夫氏が語る(上) 「資本主義は死期に突入」
http://gendai.net/articles/view/news/149784   2014年4月27日 日刊ゲンダイ

 資本主義は死に近づいているのではないか。最新著(「資本主義の終焉と歴史の危機」=集英社新書)で、こう問いかけるのは、元三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフエコノミスト水野和夫氏だ。バリバリの金融マンとして活躍、その後、内閣審議官(国家戦略室)などを歴任し、大学教授へ。現場、統計、理論を知り尽くしている人の発言だけに重い。資本主義の死とは何を意味するのか。だとすると、アベノミクスとは何なのか。全サラリーマン必読――。

―まず、資本主義の死とは、どういう意味なのでしょうか?
 投下した資本が自己増殖していくのが資本主義のメカニズムですが、いまや、資本を投下しても利潤を生み出さない時代。資本主義の死期に突入しています。なかでも日本は最終局面を迎えています。なぜなら、利潤率とほぼ一致する10年国債の利回りがほぼゼロ。ゼロ金利が20年近く続くのは世界史上初のことです。他の先進国でも「日本化」は進み、英米独の国債利回りも超低金利現象を起こしています。つまり、資本主義というシステムが音を立てて崩れようとしているのです。

■いまや利潤を得られるフロンティアはどこにもない
―ちょっと待ってください。世間はアベノミクスで景気が良くなったと浮かれていますよ。
 株価が上がったという事実だけで、アベノミクスが成功していると考えるのは誤りです。実体経済での需要がなくなり利潤が出ない状況なのに、無理やり株価だけをつり上げている。米のサマーズ元財務長官は「バブルは3年に一度、生成し、はじける」と言っていますが、バブルで得をするのは金融資産をうまく運用できる一握りの富裕層だけです。バブル期には設備投資や雇用は膨らみますが、バブルが崩壊すれば、設備は一気に過剰となり、人々はリストラにあいます。つまり、バブル崩壊のツケを払わされるのは、99%の私たちです。アベノミクスに限らず、経済が永遠に成長を続けるという「成長教」の誤りにそろそろ気づかなければなりません。

―成長ができないというのは、新たな市場=需要がもう見当たらないからですか?
 その通りです。資本主義は常に「中心」が「周辺」というフロンティアを広げることで、利潤を上げてきました。かつては北の先進国が「中心」で、南の途上国が「周辺」でした。しかし、「アフリカのグローバル化」が叫ばれる今、さらなる地理的フロンティアは残っていません。もはや実体経済において投資をして利潤を得られるフロンティアがないため、資本の側は利潤を得る先を実体経済から金融経済にシフトしました。世界中からマネーを集めて1万分の1秒単位で投資し、利潤を求めるようになったのです。
 しかし、金融資本主義はバブルの生成と崩壊を繰り返し、99%の人々を苦しめるだけです。銀行が破綻すれば、その救済に巨額の公的資金が使われる。人々から広く重く税金を取り、生き残った人々の富を増やしていく。一体、何のための資本主義なのでしょう? 投資する意義は何なのか。それを問わねばいけないと思います。

■国債金利2%割れという異常事態
―資本主義の限界に気づいたのはいつごろですか? どういう兆候があったのでしょうか?
 おかしいと最初に感じたのは、10年国債の利回りが2%を下回った1997年です。その後、ITバブルが起きても、小泉政権で戦後最長の成長を経験しても、利回りは2%を超えません。国債金利≒資本利潤率ですから、従来の景気循環と異なる資本主義の死期に突入したと感じたのです。それで世界の金利の歴史を調べると、17世紀のイタリアのジェノバでも超低金利現象があり、11年間にわたって金利2%を下回る時代が続いていました。この時のジェノバは山のてっぺんまで先端産業であるワイン製造のためのブドウ畑になっていた。つまり利潤が得られるような投資が隅々まで行き渡ってしまった現代と同じように、フロンティアがなくなっていたのです。

―当時の地中海世界はその後、大航海時代を迎え、新しいフロンティアを広げていきました。しかし、いまはそれができない?
 1970年代にベトナム戦争でアメリカが事実上敗北し、自分たちの思うようなフロンティアを広げていくことはできなくなりました。また、オイルショックなどで原油価格が上昇し、西側先進諸国が成長するメカニズムが崩れたと思います。もはやかつてのように途上国を「周辺」とすることはできませんから、先進国は国内に「周辺」をつくっている。つまり、ひと握りの投資家が中産階級を食い物にし、没落させているのです。(つづく)

(下) 「ブロック経済の備えを」 http://gendai.net/articles/view/news/149811 2014年4月27日 日刊ゲンダイ
―そんな前から資本主義は限界を迎えていたのですか? となると、その後の40年というのは?
 先進国が自国のために資本主義の延命策をとり、もがいた時代として位置づけられるべきでしょう。

―しかし、リーマン・ショックでいよいよ、ニッチもサッチもいかなくなった?
 その通りです。米国は資本主義がこうやって終焉を迎えつつあるのをはっきり認識して確信犯として行動しています。

―安倍首相もわかっている?
 わかっているとは思えません。米国のウォール街が「中心」に、日本の中間層が「周辺」になろうとしているのに、その認識がないように見えます。「グローバル化は止められない。最後のバスに乗り遅れるな」という首相の考えは間違っています。流れが止められないのではなくて、米国が金融資本を自己増殖させるために人為的にやっているわけです。後戻りできないというのはマジックです。グローバル化で幸せになるのは1%で、ほとんどの人は取り残される。だから、あちこちでデモが起こっているのではないですか。

―グローバル化で大企業が稼げば、いわゆるトリクルダウンが起きるのでは?
 グローバル化を唱える新自由主義とは、政府よりも市場の方が正しい資本配分ができるという考え方です。資本配分を市場に任せれば、労働分配率を下げ、資本側の利益を増やします。ですから、富むものがより富み、貧者はますます貧しくなる。格差が広がっていくと、民主主義の土台が腐っていくという大きなマイナスもあります。こんな資本主義なら早く死期を迎えてもらってしまったほうがいい。そのためにも次のシステムを用意しておかなければいけない。

■中韓と対立する安倍外交の危うさ
―中国やインドなどの新興国も経済成長は期待できませんか?
 市場は新興国が先進国並みに豊かになることを期待していますが、無理です。新興国の人々が先進国並みに自動車を所有し、電気冷蔵庫を購入し、鉄を消費するには莫大なエネルギーが必要になる。10カ国程度の新興国が先進国並みにエネルギーを消費するだけで現在の発電能力を2倍にする必要があるのです。

―その前に、資本主義の限界が露呈するのでしょうね。となると、資本主義はどういう形で終わるのでしょうか?
 核兵器があるので、戦争によるフロンティア開発競争は考えにくい。G20が暴走する資本主義にブレーキをかけるシナリオも、米国が反対するから難しい。となると、中国のバブル崩壊というハードランディングになるのではないでしょうか。その後、世界はグローバル化ではなく、保護主義的にブロック経済化していくと思います。

―日本はどうしたらいいのでしょうか? 
 無理やり成長しようという発想を捨てることです。1歩前に出ようとすると3歩下がることになる。前に出なければ、後退はない。バブル崩壊もありません。もうひとつ、ブロック経済化に備えて、中韓関係を大事にすることです。中韓と敵対し、周辺国ばかりに行っている安倍外交は、資本主義の今後を見据えて行っているとは到底思えません。

▽みずの・かずお 1953年生まれ。元三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト。博士(経済学)。現在は日大国際関係学部教授。「資本主義の終焉と歴史の危機」(集英社新書)など著書多数。】
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新聞の片隅に載ったニュースから(番外編ⅩⅣ)    大西五郎

2014年04月28日 19時00分59秒 | Weblog
オバマ氏発言で「誤訳」が独り歩き 日本のメディア(14.4.27 琉球新報))

 24日の日米共同記者会見で、オバマ大統領が尖閣列島問題について「事態をエスカレートさせるのは『重大な誤りだ』と語った部分について、多くの日本メディアが「正しくない」と訳して報じている。公式の同時通訳で「正しくない」とされたため、そのまま使われている形だが、尖閣問題に関してオバマ氏が安倍晋三首相に直接指摘した重要な言葉が、「誤訳」のまま報道されているとの指摘も出ている。
 会見でオバマ氏は、米メディアからの「中国が尖閣に軍事侵攻したら米国は武力を行使するのか」という質問に対し、「日本の施政権下にある領域に(日米安全保障)条約が適用されるという同盟の条件は、他の複数国との間の条約における標準的な解釈だ。われわれは単にこの条約を応用しただけだ」と説明した。
 その上で、「同時に私は安倍首相に直接言った。日中間で対話や信頼関係を築くような方法ではなく、事態がエスカレーションしていくのを看過し続けるのは重大な誤りだと」と述べ、首相に平和的解決を強く求めたこいとを明らかにした。
 共同会見では日本政府が通訳機を用意し、日本メディアは同時通訳を通してオバマ氏の発言を確認。同時通訳が「重大な誤り」を刺す「profound mistake」を「正しくない」と訳したことを受け、本誌(註:琉球新報)が記事配信を受ける共同通信などを含む多くの報道機関が、そのまま発言内容を報じた。
 沖縄の基地問題などを日本語と英語で積極的に発信している平和団体ピース・フィロソフィーセンター(カナダ)の乗松聡子代表は「オバマ氏が安倍首相に直接くぎを刺した言葉を、日本のメディアの多くは重視せず、正確に報じていない。読者、視聴者に誤解を与える」と話している。
□□――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――□□  
 共同記者会見が行なわれた翌日(25日)の新聞各紙は、会見の中身を大きく伝えましたが、
新聞の見出しだけを読んでいますと、「尖閣の防衛義務大統領言及」(朝日)「安保では協調演出」(毎日)「『尖閣防衛』強い決意」(読売)「米大統領『尖閣は安保対象』」〈中日〉で、オバマ大統領が尖閣列島を守ると言明し中国を牽制したと日本のメディアは高く評価しています。
しかし記事を丹念に読みますと、「中国に対抗するため、米国の強い関与を求めた日本側に米国が応じた」とした朝日新聞も「オバマ氏は『この問題がエスカレートし続けるのは大きな過ちだ。日本と中国は信頼醸成措置をとるべきだ』と強調(全国紙では朝日新聞だけが「大きな過ちだ」と訳していました)」と、オバマ大統領が安倍首相に、中国に対抗的な態度ではなく、対話により事態の悪化を防ぐべきだと提言したことがわかります。
またオバマ大統領はアメリカのメディアの質問に答えて「尖閣諸島に日米安保条約が適用されるという同盟の条件は、他の複数国との間の条約における標準的な解釈だ」と答え(琉球新報)、日本のメディアが言うように日本だけ特別に手厚くするのではないと言っています。
日本のメディアは政府や官の見解を大きな疑念も持たずにそのまま報道する傾向がありますが、「米国が尖閣防衛を約束したことが首脳会談の成果」という政府発表に従って、オバマ大統領の「注文」には注意を払わなかったようです。
※この番外編は中京大学の平川宗信教授から情報を頂いて作りました。
                                    大西 五郎
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「よたよたランナーの手記」(47) やはり、一進一退  文科系

2014年04月28日 08時29分36秒 | 文芸作品
4月7日の「万博記念会場ツーリング、サイクリングコース3周回」までを10日に書いて以降その後はこれというニュースもなくて、何も書けなかった。が、細々と走ったりしてはいた。こんなふうに。
 10日8.8キロ,、12日9.2キロ、14日9.4キロ、19日8.4キロ、そして21日はちょっと頑張って9.6キロ、24日9.0キロと走った。その間にサイクリングが、16、17、26日である。一時の右脚違和感は去ったが、今度は43年前に椎間板の手術をしてから抱え続けてきた持病の腰痛がこの二十日ほど久しぶりに出ている。軽微な症状であり、宥め方、鎮め方に慣れているので走れていると言えるが、普通なら前兆を放置してギブアップに至っていたと思う。宥めつつ走っている理由は、いつも述べてきたように走れることの生活全般に与える諸効能を失いたくないからに他ならない。
 でも、16,17日のように身体が愛車にピッタリとフィットした絶好調サイクリングはまだまだ続けられる。時速30キロで走り続けるというのは、ランニングよりもよほど楽なのだ。サイクリングはかなり頑張って漕ぎ続けても自分の最高心拍の8割ほどまでしか上がらないから、心拍130程度のツーリングならば軽いのである。これも、走れるからこその幸せの一つ。家の中で我が愛車と目が合うときいつも身を震わせて催促しているように感ずるのだが、これもサイクリングが我が青春の象徴だったからでもあろう。いつまでもいつまでも応え続けていきたい。

 と、ここまで書いた後27日ジムへ行って、9.7キロ走ってきた。腰を自己流牽引で伸ばすとか、その柔軟体操とかをこの数日励んだ上のことだ。その甲斐あってか30分×2で9.7キロって、僕の今の最高スピードに近いのだが、別に難なくできた。嬉しかったこと! 特に嬉しかったのはこれ。時速10.5キロでも心拍150だった。および、時速11.3キロで3分ほど走ってみた。春は日によって調子の波が大きいから慎重な身体調整が必要なのだけど、時速10キロから上はどうもそろそろ限界が来るような気がする。高速の筋肉などきっちり体調管理をして冬の10キロマラソンがぎりぎりやっと1時間というのが今の実力だろう。そして、この力が、4日間でもさぼれば急激に衰えていくはず。加齢というのはやはり、寂しいものだ。
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ザックジャパン(155) 岡崎慎司と内田篤人が偉業!  文科系

2014年04月27日 11時06分33秒 | 文芸作品
 先ず何よりも、「おめでとう、岡崎14得点! 歴代渡欧日本人シーズン得点王」。

 岡崎はこれで、得点ランク8位。6位の2人および3位の3人とはそれぞれ、1および2得点の差に過ぎない。よって、まだ上に行く余地がある。なんせ今期の岡崎は1ゲーム2得点が5度もある。味方が彼の走り込みに注意していてくれさえすれば得点と、そういうことなのだ。
 このゲームでチームがまた、ヨーロッパリーグ杯出場圏内に入った。ボルシアのゲーム結果を待つ暫定成績だが、このボルシアが今夜多分負ける。今夜の相手がCL出場権がかかった内田のシャルケだからだ。また、マインツというこの新興チームがチーム得点王でもある岡崎の力でヨーロッパリーグ出場権を得るとなると、これも大変な功績、実績になる。泥臭く、地味な鈍足男に、かってなく華々しいスポットが当たった瞬間である。

 さて、昨26日、サンケイスポーツが標記の記事を伝えている。内田篤人もやはり凄い! 分かる人には分かる選手ということだろう。現ドイツ代表が世界2位で、クラブ外人選手水準ではイングランドに次いで世界的名選手が集まっていると思われるドイツのベスト11って、世界有数の選手ということだ。多分、時代それぞれの世界サッカー界で日本人最高選手になったということである。ヒデはもちろん、本田や香川よりも世界で高く評価された! そういう記事を全文ご紹介するから、お読み願いたい。なお、内田のこの表彰はこれで2度目かと思う。

『 ブンデスリーガ・シャルケの日本代表DF内田篤人(26)が26日までに、同リーグの英語版公式サイトで今季のベストイレブンに選出された。ファン投票で決まるもので、内田は右サイドバック部門で72%の票を集めて堂々の首位。バイエルン・ミュンヘンのブラジル代表DFラフィーニャらが続いた。

 ボランチ部門ではヘルタの日本代表MF細貝萌が29%で次点。ブラジルW杯1次リーグで日本と対戦するライバル国からはギリシャ代表DFパパスタロプロス(ドルトムント)が選出された。
 ベストイレブンは以下の通り。
 ▽GK ノイアー(ドイツ代表、バイエルンM)
 ▽DF 内田篤人(日本代表、シャルケ)、パパスタソプロス(ギリシャ代表、ドルトムント)、フンメルス(ドイツ代表、ドルトムント)、アラバ(オーストリア代表、バイエルンM)
 ▽MF シャヒン(トルコ代表、ドルトムント)、ロイス(ドイツ代表、ドルトムント)、ラーム(ドイツ代表、バイエルンM)、ロッベン(オランダ代表、バイエルンM)、リベリ(フランス代表、バイエルンM)
 ▽FW レワンドフスキ(ポーランド代表、ドルトムント) 』

 最後に一言、らくせきさんたちへお願い。当たり前のことですが、僕のエントリーに構わずどんどん投稿して下さい、お願いいたします。例えば今の僕はここで前に要約紹介などを予告した本を読んでいて、好きな文化記事以外はなかなか書けません。こういう時にこのブログ趣旨により合致した他の記事もあると、僕も救われた気分になります。よろしく。
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中央日報より。    らくせき

2014年04月26日 19時42分38秒 | Weblog
今回の沈没事故をうけて、日本ではちょっと分かりにくい議論が韓国で起こっているようです。
三流国からの脱却を。国家改造が必要という声です。

中央日報の「時視各角」でこう述べています。

              


改革も革新でもない。改造だ。すべて壊して再び創るという意味だ。
今の体系を壊して全く違う姿に変えようとする時にこそ正しい表現だ。
このような厳重な話が政界の核心部から出ている。
セウォル号惨事の収拾策をめぐって「システム革新」「パラダイム刷新」
「内閣総辞職」のような表現は出てきた。

「国家改造」はこれをはるかに越える巨大で野心に満ちた単語だ。
本当にするだろうか。そうなるだろうか。
国改造論の先駆者である安昌浩(アン・チャンホ)先生(1878年-1938年、号は島山)にその道を聞く。

「…全てをすっかり改造しなければならない。われわれの教育と宗教も改造しなければならない。
われわれの農業も商業も土木も改造しなければならない…さらにわれわれの河や山までも改造しなければならない」。

1919年、中国上海で安先生は「民族改造論」を展開する。反復表現からは悲壮な決意が感じられる。
「日帝に国を奪われたみじめな現実を勝ち抜くには力を育てるべきだ。
そのためにはわれわれの全てを変えなければならない」と安先生は絶叫する。
島山(トサン)アカデミー院長の白斗権(ペク・ドゥクォン)高麗(コリョ)大教授は
民族改造論が出てきた背景を次のように説明する。

「島山(安昌浩の号)はわれわれ民族の力が足りなかったため亡国を招いたと考えた。
旧韓末、為政者の無能・堕落と社会全般のウソ文化が国を滅ぼしたと診断した。
したがって信頼・正直・実力を基礎に全てをやり直してこそ列強の手の中から抜け出すことができると先生は考えた」

李明博(イ・ミョンバク)前大統領は在任中に安昌浩の改造論を数回引用した。
2009年1月、全国の市長・郡守・区庁長と会った時に次のように話した。
「4大河川事業は経済危機克服のために地方自治体がすぐにでも開始できる事業だ。
安昌浩先生も山河改造論を強調されるほど先見の明があった」。
その後も李前大統領は4大河川事業が改造論の一環であることを何度も明らかにした。
緑色ニューディールの権威を島山思想に求めようとすることについては厳しい視線が多かった。
本当に4大河川の底辺に島山改造論のような時代の切実さが流れていたのだろうか。

金泳三(キム・ヨンサム)政権の1993年にも国家改造論が突如として登場した。
建国以来、最大の災難が韓国を襲った年だ。航空機の墜落と列車の脱線、旅客船の沈没で数千人の死傷者が発生した。
すると与党の実力者の口から「建国する気持ちで国を改造しよう」という主張が出てきた。
それからは災難対応システムを一新して、目を引くような対策を次々と繰り出した。
私たちはその結果がどうなったか、ちゃんと知っている。政権の責任をまぬがれるための臨機応変の策に過ぎなかった。

2014年に出現した国家改造論の意味と未来はどうだろうか。
やはり危機脱出用の“魔術マント”なのか。
検察のひどいやり方に犠牲者が出て、ワールドカップ(W杯)サッカーが始まるころになれば
消える集団痴呆性スローガンなのか。
国家システムをまるごと直していくという執権勢力の宣言に対して国民の立場から反対する理由はない。
その真意が疑われるとしてもひとまず見守ることだ。
ただし国家改造どころか災難システム改造もできずに終わった時、その苦々しい記憶はまた歴史の中に長く残るだろう。

安先生は誰が、何を、どのように改造しなければならないのか明確に提示した。
指導層のリーダーシップだけでなく国民意識、社会システム、国土環境皆すべてが改造対象だと考えた。
推進主体も他人ではなく、“自分自身”であることを強調した。
安先生はまた、漠然としたスローガンではなく、教育・訓練・行動を通じて具体的に実践してこそ改造が可能だと感じていた。

朴槿恵(パク・クネ)政府は自問しなければならない。「国家改造」意味に見合う悲壮さを持ち合わせているのかどうか。
そのような覚悟と実力はあるのか。
幸いにもそれがあるというのなら、国家改造には野党や市民社会勢力と手を取り合って取り組まなくてはならない。
内閣総辞職程度ではなく、官僚マフィアを破った後に後れた社会システムはもちろんそのような国民意識とも戦わなくてはならない。
他の分野を圧迫する前に、自分自身を変えなければならない。96年前の安先生の民族改造論は行く道を示してくれている。

                      

正確を期すために全文を転載しました。

今回の国家的な危機意識は日本に併合されるという歴史から端を発しているようです。
これは日本人には、なかなか理解しにくい心情のようですが、
日本がそのトラウマの元凶であることは知らないでは済まされない時です。
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新聞の片隅に載ったニュースから(146)    大西五郎

2014年04月26日 19時08分45秒 | Weblog
教育勅語の徳目「今も十分通用」 文科相、国会で持論(14.4.26 朝日新聞)

 教育勅語をどう評価するか――。衆院文部科学委員会で25日、そんな議論が交わされた。下村博文文部科学相は、勅語が示す徳目について「至極真っ当。今でも十分通用する」などと持論を展開する一方、「そのまま復活する考えはない」と述べた。宮本岳志氏(共産)に対する答弁。
 下村氏は、教育の理念を示す「よく忠に励みよく孝を尽くし、国中の全ての者がみな心一にして代々美風を作り上げてきた」(現代語訳)の文言を、「日本の国柄を表している」と評価。「万一危急の大事が起こったならば、大義に基づいて勇気を奮い一身を捧げ」(同)の部分は「わが国が危機にあった時、みんなで国を守っていこう。そういう姿勢はある意味では当たり前の話」と述べた。
 一方、勅語で使われる「我が臣民」「皇室国家につくす」(同)などの表現は、「現憲法下における国民主権を考えると適切でない」などと指摘した。
 教育勅語は1890年に発布。「孝行」「義勇」など12項目の徳目を示し、戦前の修身教育の指針とされた。

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教育勅語は戦事中は小学生でも暗記させられ、修身の時間などに暗誦させられました。私は今でも諳んじることができます。それ位徹底的に教え込まれたのです。
 下村文科相が「よく日本の国柄をあらわしている」と言った「我ガ臣民克(ヨ)く忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世々厥(ソ)ノ美ヲ濟(ナ)セルハ此レ我カ国體ノ精華ニシテ」(原文)はまず天皇に対する忠節を第一番に挙げています。戦事中は国民に忠節を強いました。
 下村文科相が「わが国が危機にあった時、みんなで国を守っていこう。そういう姿勢はある意味では当たり前の話」と言った部分は原文では「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉ジ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」です。「みんなで皇室を守れ」と言っているのです。
 安倍首相は「戦後レジームからの脱却」「日本をとりもどす」を政治の目標に掲げていますが、首相補佐官や内閣官房参与に首相と同じ考えの側近を据え、NHKの経営委員にも百田尚樹氏や長谷川三千子氏などの右翼的な考えの人を推すなどしてその歴史認識が問題とされています。下村博文氏も日本会議国会議員懇談会幹事長や創生「日本」副会長を務め、神道政治連盟国会議員懇談会にも属しています。島根県松江市の教育委員会が「はだしのゲン」の学校での閲覧制限を行なったことを文科相として「適切であった」と擁護するなど、いわゆる安倍人脈の一人です。
 教育勅語の中には「常ニ国憲ヲ重シ国法ニ遵(したが)ヒ」(原文・現代語訳では「いつも憲法を重んじ、法律に従いなさい」)がありますが、この部分は下村氏はどう受け取っておられるのでしょうか。「教育勅語の徳目は今も十分通用する」と云うのであれば、安倍首相が内閣が憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認しようとしていることについ首相に忠告することはないのでしょうか。都合のいい部分だけ取り入れようとしていませんか。
 大西 五郎
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随筆紹介  「豚 汁」   文科系

2014年04月26日 13時14分59秒 | 文芸作品
 今回はK.Kさんの作品です。農村と言うよりも伊吹山の麓で育ち、農産物のおいしさに詳しい方です。

『   豚 汁
木枯らしが路上の落ち葉を舞い上がらせるころになると、豚汁が恋しくなる。大根、人参、ゴボウなど、身体を温める根菜を入れ、大鍋でたっぷり作る。味のしみる翌日がよい。
 今年はこの豚汁に里芋が仲間入りした。お嫁さんの生家から届いた物である。でも、共働きの息子夫婦は時間に追われ、ゆっくり料理もできない。ダンボール箱にぎっしり詰まった土付の里芋を見て「どうする?こんなに」と、悩んだらしい。「レンジでチンして、皮をむくしか思いつかないよ」と、ぼやく。「これ、食べられるようにしてくれないかな?」と、息子に頼まれた。近くで一歳と三歳の子どもの世話をしながら、お嫁さんも「お願いします」と顔を向けた。
里芋とイカの煮物もいいけれど、豚汁に入れてみよう。皮をむくと白い身が出てきた。当たりである。里芋は皮をむくまで分からない。赤い筋のあるごぢ芋だとがっかりする。お嫁さんの祖母が作っていると考えると、一つ一つが大切に思えて、丁寧にむく。豚汁に入れるととても合う。ねばりがあって歯形が残るほどもっちりしている。
 次の終末に届けた。「子どもが豚汁の中の里芋も食べたんですよ」お嫁さんは嬉しそうに言う。でも、「できればもっと小さく、一口サイズだと食べやすいのですが……」と、彼女は遠慮がちに言った。それならばと、より小さく薄味にした。ところが夫は、「大きい方が歯ごたえがあっていいなあ」と、つぶやく。「そうね」と言いながら、聞き流す。』
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アメリカは日本を守ると約束したのか?    らくせき

2014年04月26日 09時21分50秒 | Weblog
安倍さんの努力でオバマさんは国賓として滞在。
TPPは先延ばしでしたが、尖閣は安保の適応。
一応の成果を。
しかし韓国では慰安婦問題に理解を示すオバマさん。
アメリカの国益にそった発言です。

中国と日本を天秤にかけた時、アメリカはどちらを選択するでしょうか?
安保は保険になるのでしょうか?


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韓国マスコミの沈没事故への「過剰な」反応は何を表しているのか?   らくせき

2014年04月25日 10時49分38秒 | Weblog
事故は痛ましい。あってはならないこと。

しかし、なぜ「三流国」とまで言わねばならないのか?
お隣で見ているとチョット不思議な感じ。

フクシマの事故も「三流国」かもしれないが、そういう言い方はしなかった。
(いまの政府の対応を見ていると確かに三流国ではあるが。)

ちょっと近代化ガスがたまりすぎているのかも・・・
ひとつの転換点かも。



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ザックジャパン(154)アジアCL、山口蛍  文科系

2014年04月25日 04時26分48秒 | 文芸作品
 いよいよ日本のクラブもACLに本気で取り組み始めたと実感した。アジアチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに向かって、3チームが予選リーグ戦を勝ちぬいたのである。広島、川崎、そしてセレッソ。特に、川崎の最後が、予選リーグ戦総ての相手からの3連勝と見事だった。広島も、最後の4戦は2勝2分けで乗り切った。いずれも一皮剥けたのではないかと思わせる。どう剥けたのかは明白だ。
 日本相手には反則覚悟で身体勝負に徹してカウンターと、強く当たってくる韓国、中国などアジア勢には、先手を取った速い球回しで対抗したからよかった。そのためにはボールを受ける第三の動きがとても大切だと観てきたけれど。これが特に上手い川崎や広島は、完全にアジア用のコツを掴んだのではないか。かと言って、球際の競り合いにもけっして後れを取ってはならないのである。何せ相手は日本相手のここぞの場面では、怪我をも覚悟の体当たり敢行というやり方。対しては、「文句一つ言わない涼しい顔」が最も良い。往年の中田英寿のやり方である。彼曰く、「抗議、苦情を言うのは、嫌がっている証拠。嫌がっているならもっとやってやれと、南米勢などはかえって厳しくなるだけ」と、そういうことなのである。こんなこと慣れてるよ!というか、そっちは大丈夫?というくらいがよいのだろう。たとえ、やせ我慢でも顔には出さない。ヒデこそそうであったと、彼の言葉も含めてそんな記憶がある。その伝で言えば、いまセレッソの山口蛍、日本人としてはユニークなセンタープレーヤーが現れたものだ。

 南ア大会以前からザックジャパンの顔と言っても良いダブルボランチ・コンビに、とうとう対抗馬が現れた。まるで満を持していたというように去年秋のヨーロッパ遠征で得たチャンスをしっかりと、かつ鮮やかに掴み取ってみせた23才の山口蛍は、遠藤とも長谷部とも違う、日本ボランチには全く珍しいタイプと観た。しかも、そういう自分の長所をしっかりと自覚している頭の良さは、急激に名選手に育っていく最大条件とも見える。そういう彼の、興味深い言葉を色々と拾い上げてみよう。
『まず運動量があるのが自分やし、ピッチを幅広くカバーできて、ボールも奪えて、インターセプトもするっていうのも自分やし。そういうのが、自分らしさやと思います。例えば、いつもなら行けてる距離でインターセプトできなかったときには、自分のなかで
あんまり調子がいいときじゃないのかなっていうバロメーターにもなっています』(ナンバー844号)
『(日本代表戦出場の感想として) ボールを奪い切る、というプレーはまだまだ足りないと思いますが、たとえボールを取れない場合でも、ボールにしっかり身体を寄せたり、寄せを早くしたり、そういう部分も含めてできたんじゃないかと思います』(サムライサッカーキング2月号)
 こういう言葉は、着眼点も、表現の仕方も含めて、従来の日本選手には珍しいもののように思う。日本選手が従来最も弱い部分「ボールを奪い切る」ことは、守備以上に攻撃のために重要なことなのだが、これに第一に着目、言及して、これほどこの事を重視してちゃんと表現した人にはあまりお目にかかったことがないからだ。だからこそ、(自分と異なる)遠藤、長谷部などをばよーく見て、その特長を上手く表現してもいる。
『ヤットさんとハセさんと、自分のプレーの特徴は全く違います。(中略)代表に呼ばれた時はいつも、ポジショニングだったり、パスを出す際にどこを見ているのかだったり、そういった細かい部分を日頃のトレーニングから見て、学ぶように心掛けています』
『(ヤットさんは、敵に寄せられて)「あ、取られるかも」と思うんですけど、平然と一瞬で逆を取ったりするケースがすごく多いんです。それをもう見ていて「すごいな!」という一言しか出てこない。いったいどういうタイミングで相手の動きを見極めているのか、見ていて分からないですからね(苦笑)』(以上二つ、サムライサッカーキング2月号)
 日本のセンタープレイヤーでは珍しく守備から入っていく人らしい。トップ下もやってきたし、事実できるのにそうなのだから、さらに珍しい人なのだ。そこが僕には好もしくて仕方ないのである。それも「ボールを奪い切る、というプレーはまだまだ足りないと思います」などと言われると、何と言うか、もう堪らない。こんな人物が中央にでんと居るわけだから、セレッソはACLも含めてまだまだ強くなる気がする。前後に向かっていろんな指示も厳しく出しているはずだし。

 さて、こんな人物がヤットのことを、こう語るのだ。
『いったいどういうタイミングで相手の動きを見極めているのか、見ていて分からないですからね(苦笑)』
 確かに、遠藤保仁って途方もない選手だと分かる一言だ。遠藤の頭の中には「さっきあそこにいた敵のアイツは、今はここに来ているはずだ」というような総合判断論理がびっしりと無数に、しかもきっちりと整理されて、詰まっているのだろう。彼が、「フィールド全体が見えている」というのは、実際に見ていることだけではなく、こういう論理、判断を含んでのことなのだと思う。
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随筆紹介 「借金」  文科系

2014年04月24日 07時55分00秒 | 文芸作品
 僕が属している同人誌の仲間の随筆を紹介していますが、今回はS.Nさんの作品です。

『 昨年のことだ。梅雨入りが近いころだったか、高校時代の友に、久しぶりにメールをしてみた。その時の私は、義母の介護をやりに、渋々、夫の里に行き始めたころだった。姑の暴言に心が疲れていた。相手は認知症だから、とわかってはいるが、それに耐えるほど精神的に強くない。誰かに言いたい、わかってもらいたいと思っていた。
 私をよく知っている彼女に向けてキーを叩き、愚痴を並べた。「いろいろあるんだね。苦労しているんだね」すぐに返事がきた。短い文だが、私に寄り添ってくれる気がして、少し楽になった。彼女は二十代のころ、同居していた姑との仲が原因で、結婚一年足らずで離婚した心の傷を抱えている。だから私の気持ちもわかってくれるのだろう。しかし、その返事には続きがあった。彼女の近況を綴った文面に見入った。
「借金地獄に突入しました」、と始まる文。何があったの。自営業の男性と再婚した彼女は、二人の息子を育てながら幸せだったはずだ。東名高速道路をとばして、一家で愛知万博にも来てくれた。大柄で人のよさそうな連れ合いは、長身の彼女に似合っていた。なのに、どうしたというのだ。文は続く。
 不況の影響で仕事がうまくいかなくなった。銀行からの多額の借り入れに、どうやって返済したらいいか。生活が派手な夫は自分が遊ぶ金まで借金し、危機感がないという。「寝ていても、お金のことばかり考えて」夫に、もう借りないで、と言っても聞き入れてくれない。生活費もストップ状態なのに、六十万円、という毎月の返済をどうしたらいいのか。一人で悩んでいる様子が浮かぶ。鬱にならなければいいが。
 彼女とは、高校時代はクラスも部活も同じだった。お互い、勉強や片思いの恋など、あの時も悩みや不安はあった。だけど今思えば、それらはたいしたことではなく、少なくとも生活の苦労など感じていなかった。ともに若さを楽しんでいた素晴らしい時期だった。だけど、今の彼女にあの時の明るさはないだろう。そして、姑にいじられている私の愚痴なんて、ちっぽけな事だと思うだろう。
 私が大富豪なら、なにげなく振った服のポケットから落ちてきた札束を渡せるのに。と夢のようなことを思ってみた。だけど、現実には何もできない、助けられない。いや、もし余裕があったとしても、貸さないほうがいいだろう。借りたことで、彼女が負い目を感じてはいけない。貸し借りの関係でいるより、今まで通り対等の関係でいたい。
「人生は楽しいことばかりじゃないよね。心も体も疲れているだろうけど、自分を大切にして」これぐらいの返事しかできない。陰で心配しているよ、心に余裕ができたらメールして。そういう意味を含めた。それ以上の言葉はいらない。過度の励ましや慰めは、かえって彼女を傷つけるかもしれない。本当の苦しみは、直面している者にしかわからないだろうから。
 彼女がこんな状況から解放される日が、早くくることを祈るだけだ。』
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「集団的自衛権・解釈改憲」への見事な反論例  文科系

2014年04月24日 07時51分40秒 | 国内政治・経済・社会問題
 本日遅く起きて中日新聞を読んでいたら、標記のことで非常によい記事があった。いろんな識者が日替わりで出て来て論じている「われらの憲法」という連載コーナーである。今日の論者は、元内閣法制局長官・阪田雅裕氏(70)とあった。早速、いつも新聞をよく読んでいる連れ合いに、「今日の、集団的自衛権への反論記事、読んだ?」、「読んだ、読んだ。とてもしっかりした記事ね。分かりやすくて丁寧だし!」とのやりとり。文字通りそういう記事だから、全国に向けて全文そのまま発信したい。

『集団的自衛権の行使を認めていない現在の憲法解釈は、内閣法制局が勝手に考えたわけではありません。吉田茂内閣以来、歴代の首相が一貫して言い続けてきたことです。
 それがいかに妥当な解釈なのか。私は内閣法制局の長官を務めていたころ、官房長官だった安倍(晋三)さんに直接説明しました。解釈改憲に意欲的な今の姿を見ていると、十分にご理解いただけなかったと考えるしかありません。
 自衛隊はなぜ「自衛隊」なのか。読んで字の通り、実力行使が認められるのは自らの国に武力攻撃があった場合に限られます。外国に出かけていって戦争に加わるようになれば、他国の軍隊と変わりません。政権が本気でそれを目指すのであれば、「日本は平和主義をやめる」と国民にはっきり言うべきです。
 行使を認めようとする人たちは「(同盟国が)殴られているのに助けないのか」と言いますが、殴られているんじゃなくて、他の国が勝手に殴り合いをしているわけです。仲裁することはあってもどちらか一方に味方する行為を、日本の国民は望むでしょうか。
 「解釈改憲}や「限定容認論」という言葉から、100%の平和主義を90%に緩めるだけで「九条はちゃんと残る」と思っている人も多い。でも、違います。解釈を変えたらすべてを失うことになる。オール・オア・ナッシングだと理解してほしい。
 改憲に必要な国民投票で過半数の賛成を得る自信がないからといって、九条の解釈を一方の理論で変えてしまうのは政治の王道ではない。政治的に数が多ければ解釈すら自在に変えられるという考え方は、立憲主義の否定です。
 解釈を変えるなら、合理的に説明できるものでなければならない。安倍さんがしようとしていることは、その矩(のり)を超えています。』
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