九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

随筆  ババ城、陥落す     文科系

2014年09月29日 04時29分48秒 | 文芸作品
 高熱が去り始めた身体をソファに横たえていると、隣部屋の激しい言い争いが途切れ途切れだが嫌でも耳に飛び込んで来る。ぼーっとした頭にもこんなことが駆け巡る。
〈我が家の近くに住んでいる娘夫婦も結婚して六年。お婿さんの太ちゃんも我が連れ合いから見て「家族並み」になったのだろう。最近は、こんな険しいやりとりも起こるようになったな〉
〈争いの発端、原因はこうらしい。最近これも近くに住むことになった息子の車を太ちゃんが借りたその「借り方、態度」に関わって、連れあいが何か苦情を思いついたようだ。太ちゃんは要するにこう応酬しているはずだ。「僕とケンタ君に関することであって、お母さんは全く関係のない話です」。その通り、彼が正しい〉

 さて、我が連れ合いのこの性格は、僕自身長年持て余してきたもの。どれだけケンカの種になってきたことか。例えば、彼女が僕に運転手をお願いして乗せて貰った車の道中でも、助手席から突然こんなことを言い出すのである。「今の角は右に回るべきだった。こっちは道が細くて飛び出しも危ない。あちらへ曲がればずっと速かったはずで……」。対する最近の僕はこの手の声など無視して運転していくけど、一々言い返して必ず終わりのない言い合いになるという長い歴史を持っていた。なんせ、以下のように道理ある反論にも、一向に臆する所がない彼女なのだ。「あなたは地図の読めない女ね。そもそも東西南北も分からないから、斜めの近道なんて分からないはず。僕はと言えば、地図だけで初めての目的地へも一発って、君も知ってるよね」。争いの果てに出るこんな究極の正しい理屈さえも通させてくれないのだから「僕の運転には何も言わない」も守れるわけがないのである。

 ところでさて、この太ちゃんとのことはもう外っておけない。娘のマサコとは同じような言い争いの結末で、すでに三ヶ月ほど前から絶交状態だ。太ちゃんまでそうなったら、孫のハーちゃんが我が家に全く顔を見せてくれなくなる。まず、そのこと自身から話を始めた。流石に彼女もハーちゃんが来なくなることをすでにもー心配していると分かって、まずこれはとにかく、ほっとした。
 これに勢いを得て、一晩かかって考えた内容をこんこんと話し始める。
「貴女は家族に対して、いろんな事がやってあげられる力がある。それはとても素晴らしいことなんだが、その代わりに、自分他人の領域の区別がなさ過ぎる。その結果、他人の領域に普通に入って来て指図する人間と見られて、太ちゃんももういつも構えてるんだよ。マサコが絶交状態なのは、太ちゃんとそうなるよりも自分が先にと警鐘を鳴らしたんだろう。実はマサコよりも他人である太ちゃんの方がずっと驚き、傷付いているかも知れない」
 などなど……と。もちろん、長年の「車のケンカ」などをも題材に使って解説を加えたのは言うまでもない。最後には、こんなとっておきの言葉も用意していた。
「家族に何か言いたくなったとき、一度はこう考えてみてよ。『その話、苦情、指示を貴女が相手にする権利があるかどうか、相手がそれを黙って聞いている義務があるかどうか』ね」

 それから数日後、娘宅をたずねたとき、二人が異口同音にこんなことを告げてきた。
「お義父さん。義母さんに何か言ったの。この前の車の件で電話が来て、なんか謝ってきたよ。母さんが謝るなんて、僕として多分初めて見たことだと思う」
「そうそう、母さんかなり変わったよ。この前の誕生パーティーでもなんか腰が低くなってなかった? 二人でそう言い合ってたんだけどね」

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新聞の片隅に載ったニュースから(170)     大西五郎

2014年09月28日 10時07分11秒 | Weblog
民間給与3年ぶり増 13年 非正規は減、格差拡大(14.9.27 中日新聞)

民間企業で働く会社員やパート従業員が二〇一三年の一年間に受け取った給与の平均は、前年比五万六千円増の四百十三万六千円で、三年ぶりに上昇に転じたことが二十六日、国税庁の実態統計調査で分かった。
平均給与はピークだった一九九七年の四百六十七万円に比べ約五十三万円少ないが、有識者か
らは安倍政権の経済政策「アベノミクス」による景気回復基調が反映されたとの見方が出ている。
一方で、正規雇用者の平均給与は前年比1・2%増の四百七十三万円だったのに対し、非正規
雇用者は0・1%減の百六十八万円で、開きは前年より五万円拡大。非正規雇用者は数が増えた一方、一人当たりの労働時間や時間当たりの労働単価に大きな変化はなく、給与の上昇につながらなかったことが背景にあるとみられる。
男女別では、男性が九万円増の五百十一万円に対し、女性は四万円増の二百七十二万円だった。
一年を通じて勤務した給与所得者の総数は前年比2・0%増の四千六百四十五万人、うち女性
は同3・4%増の千八百九十一万九千人で、いずれも過去最多となった。
給与総額は3・4%増の百九十二兆一千四百九十八億円。給与所得額別では三百万円超四百万
円以下の人が全体の17・4%を占め、最も多かった。(中略・納税額については省略した。)
給与の増減を業種別にみると、「不動産業、物品賃貸業」が8・7%増で上昇率最大、「農林水
産・鉱業」が3・2%減で最も下落率が大きかった。

□□――――――――――――――――――――――――――――――――――――――□□

勤労者の給与が上がったといいますが、実際はどうでしょう。この記事の統計は国税庁が課税のために行なった調査で、これとは別に厚生労働省が毎月賃金統計調査を行い発表しています。厚生労働省は実質賃金のデータも発表しています。賃金には名目賃金と実質賃金があります。名目賃金は給与明細票に表示される賃金です。この名目賃金から消費者物価を除した数字、つまり実際上どれだけの購買力があるかを表すのが実質賃金です。
厚生労働省が9月2日に発表した毎月勤労統計調査によりますと、今年7月の現金給与総額は前年比2・6%増の36万9845円でした。これに物価の変動を考慮した実質賃金は前年比1.4%減でした。昨年度の実質賃金は、平成22年(2010年)を100としまと1月が85.7です。6月と12月はボーナスがふくまれますので137.7、169.6という数値になりますが、その他の月は全て80%台です。つまり物価の値上がりが賃金の上昇を上回っているということです。その上消費税が4月から8%に増税されました。個人消費が大きな比重を占めるGDPも今年4-6月は年率換算で前期比-7・1%でした。庶民は財布のヒモを固くせざるを得なくなっているのです。
もう一つの問題は非正規労働者が増えていることと、非正規雇用者の賃金が正規の人の35.5%しかないことです。年間給与が168万円ということは、月に直すと14万円ということです。この低賃金でどうやって人間らしい暮らをしていけというのでしょう。
                                             大西 五郎
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「よたよたランナーの手記」(67) またボツボツ・・・  文科系

2014年09月25日 20時08分52秒 | スポーツ
22日、先週の39度高熱二日続きの風邪から回復2日目になり、やっと走り始められた。13日以来9日ぶりのランとなったが、30分をゆっくりと3.7キロ。このブランクによる衰え程度も分かったので、23日にはちょっと頑張って4.2キロになった。最高速度で言えば、8キロ時と、9キロ時であって、各心拍数は150弱と、160弱と高すぎる。もうちょっとこれが落ちてこないと、スピードも距離も上げられない。

 そして本日、30分で4.3キロまで上げた。まー0.1キロずつ増やしていく積もりでいる。最高速度は前日と同じ9キロ時。ただ、その心拍数は落ちてきたとは言え不安定で、150~160超の間とふらついていた。9キロ時での心拍数が常時150を切るようになれば本調子に戻ったと言えるのだから、まだまだだ。
 毎日のようにほぼ同時刻にジムに来て柔らかく、綺麗なフォームで走る30歳ほどの女の子が空いた隣のマシンで走り始めてこんな会話になった。
「おじさんの年になるまでにはどこかで走れなくなるだろうなー」
「走れる人が走れなくなるのは実にもったいことだよ。肩もこらないし、どんな長い階段でも膝なんかなんともなく気持ちよく上れる。あらゆる成人病予防にもなるしね。第1、10キロ走れる人なら、贅肉が付いた人なんていないでしょ。みんなサッカー選手みたいな顔してるはずだ。つまり、究極の美容ね」
「全部分かるけど、そして頑張れたらイーけど、どうもおじさんには負けそうだ。確か73歳だったよね」
「うん。そう言えば僕も昔こんな会話をしてたことがあるよ。65歳の頃、75歳ほどのおじいさんとね。その人フルマラソンもなんとか出てたんだよ。ホノルルマラソンなんかもね」
 と言いかけて実は「おじいさん」という言葉を「おじさん」に変えていた。今の僕にそんな意識が全くないからである。彼女も「おじさん」と呼んでくれたことでもあるし。
 今日も走れる楽しさを仲間と確認し合いながら自分を乗せて気持ちよく頑張れたが、明日からもまたコツコツと励んでいこう。

 ところで、ジムランニングの直後に久しぶりに体重計に乗ってみて、驚いた。54.6㎏と出ているではないか。これって、ここ10年ほどでは記憶にない軽さである。体脂肪は11・5%ほどだからそんなに減ったわけではなく、高熱で長く食べられなかったから筋肉などが落ちているのだろう。これでよく走れたものと我ながら驚いたが、体重が2キロ減っている分走るのも楽だったのかも知れない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新聞の片隅に載ったニュースから(169)    大西五郎

2014年09月23日 10時16分17秒 | Weblog
殺害の少年悼み40回目の墓前祭 覚王山日泰寺(甘粕事件)(14.9.22 中日新聞)

関東大震災直後の東京で、伯父の無政府主義者大杉栄らとともに、六歳で憲兵隊に殺害された
橘宗一少年を悼む墓前際が、千種区の覚王山日泰寺の墓地であった。
殺害事件は一九二三(大正十二)年九月十二日、震災の混乱に乗じて暴動が起きたというデマ
により、朝鮮人や社会運動家らが弾圧を受ける中、憲兵隊が大杉ら運動家を連行して殺害。教育を受けるため大杉に預けられていた宗一少年も巻き込まれた。主導した憲兵隊大尉の名を取って甘粕事件と呼ばれる。
墓碑は愛知県出身だった宗一少年の父親が建立。忘れられた時期もあったが、地元住民が偶然見つけてから、住民有志らが毎年墓前際を続けている。
四十回目の今回は遺族や住民、学識者ら五十人が参加。墓碑に手を合わせた。大阪教育大の田中ひかる教授(西洋史)が講演し、当時、殺害事件のニュースが広く海外に伝わり、無政府主義者らの活動が世界規模で結び付いていた研究結果を報告した。

□□――――――――――――――――――――――――――――――――――――――□□

甘粕大尉は軍法会議にかけられましたが「大杉らアナーキストが大震災に乗じて政府を転覆しようとするのではないかと恐れ、排除しようとした」と供述しました。当時は軍と政府が事件の詳細や裁判の模様の報道に制限を加えたため、甘粕大尉ら一部憲兵隊員が起こした事件なのか、背後にもっと大きな力が働いているのか、真相を知ることはできませんでした。
関東大震災ではこの他にも社会主義者の川合義虎ら10人が亀戸警察署に逮捕され、殺された亀戸事件や労働活動家も不当に逮捕され、殺された事件も起きました。また「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだり、放火して回っている」というデマが流され、朝鮮人を捕まえて殺す事件もあちこちで起きました。当時朝鮮半島は日本の植民地にされていました。朝鮮半島から日本に渡ってきた人たちは貧しい生活を強いられていましたから、日本人は朝鮮の人たちを蔑視し、当時のことに人権という感覚がなかったことが背景にあって、このような事件が起きました。
これらの教訓に学ぶことなく、今また右翼団体が宣伝カーで平和運動などを罵倒し、在日朝鮮人の特権を許さぬ会(在特会)などが「朝鮮人は日本から出ていけ」などとヘイト・スピーチを行なっています。自民党が大勝した昨年7月の参議院選挙の最終日に安倍首相は東京・秋葉原駅前で演説会を行いましたが、旭日旗を掲げた若者が演説会場を埋めました。旭日旗は昔軍隊が進軍する先頭に掲げられた旗です。ドイツでもナチスが民族純化を唱えてユダヤ人を殺害・排除しましたが、日本でも「わが人種の優秀性を主張する」「攘夷すなわち民族浄化の推進」などとナチスばりの主張を掲げる国家社会主義労働者党も生まれています。(№166で高市総務相や稲田自民党政調会長がこの党の代表ら一緒に写真に納まっていたことを紹介しました。)
日本が「また来た道へ帰ってしまうのではないか」(№168 古賀元自民党幹事長)の言葉を真剣に受け取り、周りの人と話し合って、何をなすべきかを考えましょう。
                                             大西 五郎
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アギーレジャパン(8) 吉田麻也、闘い抜いてチームを2位へ  文科系

2014年09月23日 04時32分27秒 | スポーツ
 吉田麻也が心身の総力を振り絞るようにして闘っている。ベルギーやルーマニアなどの国代表である同僚CB4人を相手に。日本の守備というと、やはりまず麻也。頑張って伸びて欲しい。往時オランダ代表の名DFだった監督クーマンが良い監督でもあるのだし、学べる物は凄いはずだ。
 以下に紹介するのは、サッカーマガジン・ゾーン・ウェブ22日分からの抜粋。この記事がなかなか良くできていて、20日の対スウォンジー戦場面いくつかを是非ご紹介したいと思い立った。このゲーム、吉田の闘いもあって1対0と切り抜け、チームは2位になった。


『 そんな、あきれるほどまとまった「BOO!」という怒号の中、麻也の顔はきりっと引き締まっていた。そしてその動きからは“この野郎、ブーイングがなんだ!”というばかりの、激しい気持ちがにじみ出ていた。

 この日、吉田麻也にブーイングが集中したのは、日本代表DFが昨季のスウォンジー得点王ボニとマッチアップしたことが原因だった。
 昨季34試合で17得点を記録したコートジボワール代表FWは、アフリカ人らしい俊敏さと強さを持つ、DFにとっては本当に手がかかるタイプのストライカーだ。
 しかし麻也はこの厄介なFWに堂々と立ち回り、結果的にボニを前半39分という、そこで相手を10人にすれば圧倒的有利となる時間帯で、累積退場に追い込んでしまった。

 まずは前半19分のプレー。味方のクリアボールに反応して、ボニが猛然とこの浮き球に突っ込んでくる。スローを見ると、この時のボニは雄叫びまで上げていた。
 そのボールの反対側には麻也がいた。速くてでかいアフリカ人の突進にも目もくれず、いち早くボールの落下点に達して頭でクリアした。ところが勢い余ったボニの体当たりを横っ腹に受けてしまう。ここで1枚目のイエローが出た。
 2枚目のイエローにつながるプレーはその20分後に起こった。中盤に飛び込んでルーズボールをキープした吉田に、ボニが後方から猛然とタックルすると、足首を引っ掛けられて日本代表DFがもんどりうって倒れ込んだ。
 すでにイエローカードを受け取っていたボニの反則で、スウォンジー・サポーターの怒声が倒れた吉田に集中する中、主審は当然といった態度でコートジボワール代表FWに2枚目のイエローカードを掲げ、続いてレッドカードを見せた。

 麻也自身も前半31分にイエローを受けていた。相手のウインガー、ダイヤーの危険タックルの直後、主審に「カードを出せ」と右手をふるジェスチャーをして受けた警告だった。
 ダイヤーの反則に対してレフリーにカードを要求し、味方のエースとマッチアップして沈黙させたあげく、退場に追い込んだ。こうした3枚のイエローにからむ一連の流れで、サウサンプトンの3番をつけたセンターバックは、この試合でスウォンジー・サポーターにとって最大の悪役になった。』

 さて、写真を見るとひげ面で、顔も急に無骨になったような。そう、これでなくっちゃ『雄叫びまで上げて』激突してくるボニに対する仁王立ちマッチアップなどはできないよ。彼が好きそうな優男スタイルは友だちの内田篤人のもの。内田はあの顔で激しいというミスマッチが殊に良いのであって、代表CBの顔である吉田にはやめて欲しいな。ちなみに、この内田が又1対1(ドイツでは”二人の闘い”勝率も選手一人一人の数字を発表している)が非常に強いのだ。ドイツSB全員の中で昨年度確か2位?とか。身体で当たることこそすくないが、前に行かせない、足を出してこぼれ球にして味方に取らせる、シュートならブロックする、あるいはバックパスに逃げさせたりするのである。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

慰安婦問題、当時の関連2通達紹介  文科系

2014年09月22日 01時54分12秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 以下二つは「日本軍の慰安所政策について」(2003年発表)という論文の中に、著者の永井 和(京都大学文学研究科教授)が紹介されていたものです。一つは、1937年12月21日付で在上海日本総領事館警察署から発された「皇軍将兵慰安婦女渡来ニツキ便宜供与方依頼ノ件」。今ひとつは、この文書を受けて1938年3月4日に出された陸軍省副官発で、北支那方面軍及中支派遣軍参謀長宛通牒、陸支密第745号「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件」です。後者には、前に永井氏の説明をそのまま付けておきました。日付や文書名、誰が誰に出したかも、この説明の中に書いてあるからです。

 
『 皇軍将兵慰安婦女渡来ニツキ便宜供与方依頼ノ件
 本件ニ関シ前線各地ニ於ケル皇軍ノ進展ニ伴ヒ之カ将兵ノ慰安方ニ付関係諸機関ニ於テ考究中処頃日来当館陸軍武官室憲兵隊合議ノ結果施設ノ一端トシテ前線各地ニ軍慰安所(事実上ノ貸座敷)ヲ左記要領ニ依リ設置スルコトトナレリ
        記
領事館
 (イ)営業願出者ニ対スル許否ノ決定
 (ロ)慰安婦女ノ身許及斯業ニ対スル一般契約手続
 (ハ)渡航上ニ関スル便宜供与
 (ニ)営業主並婦女ノ身元其他ニ関シ関係諸官署間ノ照会並回答
 (ホ)着滬ト同時ニ当地ニ滞在セシメサルヲ原則トシテ許否決定ノ上直チニ憲兵隊ニ引継クモトス
憲兵隊
 (イ)領事館ヨリ引継ヲ受ケタル営業主並婦女ノ就業地輸送手続
 (ロ)営業者並稼業婦女ニ対スル保護取締
武官室
 (イ)就業場所及家屋等ノ準備
 (ロ)一般保険並検黴ニ関スル件
 
右要領ニヨリ施設ヲ急キ居ル処既ニ稼業婦女(酌婦)募集ノ為本邦内地並ニ朝鮮方面ニ旅行中ノモノアリ今後モ同様要務ニテ旅行スルモノアル筈ナルカ之等ノモノニ対シテハ当館発給ノ身分証明書中ニ事由ヲ記入シ本人ニ携帯セシメ居ルニ付乗船其他ニ付便宜供与方御取計相成度尚着滬後直ニ就業地ニ赴ク関係上募集者抱主又ハ其ノ代理者等ニハ夫々斯業ニ必要ナル書類(左記雛形)ヲ交付シ予メ書類ノ完備方指示シ置キタルモ整備ヲ缺クモノ多カルヘキヲ予想サルルト共ニ着滬後煩雑ナル手続ヲ繰返スコトナキ様致度ニ付一応携帯書類御査閲ノ上御援助相煩度此段御依頼ス
(中略)
昭和十二年十二月二十一日
         在上海日本総領事館警察署 』


『 本報告では、1996年末に新たに発掘された警察資料を用いて、この「従軍慰安婦論争」で、その解釈が争点のひとつとなった陸軍の一文書、すなわち陸軍省副官発北支那方面軍及中支派遣軍参謀長宛通牒、陸支密第745号「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件」 (1938年3月4日付-以後副官通牒と略す)の意味を再検討する。

まず問題の文書全文を以下に引用する(引用にあたっては、原史料に忠実であることを心がけたが、漢字は通行の字体を用いた)。

支那事変地ニ於ケル慰安所設置ノ為内地ニ於テ之カ従業婦等ヲ募集スルニ当リ、故サラニ軍部諒解等ノ名儀ヲ利用シ為ニ軍ノ威信ヲ傷ツケ且ツ一般民ノ誤解ヲ招ク虞アルモノ或ハ従軍記者、慰問者等ヲ介シテ不統制ニ募集シ社会問題ヲ惹起スル虞アルモノ或ハ募集ニ任スル者ノ人選適切ヲ欠キ為ニ募集ノ方法、誘拐ニ類シ警察当局ニ検挙取調ヲ受クルモノアル等注意ヲ要スルモノ少ナカラサルニ就テハ将来是等ノ募集等ニ当リテハ派遣軍ニ於イテ統制シ之ニ任スル人物ノ選定ヲ周到適切ニシ其実地ニ当リテハ関係地方ノ憲兵及警察当局トノ連携ヲ密ニシ次テ軍ノ威信保持上並ニ社会問題上遺漏ナキ様配慮相成度依命通牒ス』


 さて、これを皆さんはどう読まれるでしょうか。なお、この文書関係当時の北支関連国内分募集人員については、ある女衒業者の取り調べ資料から16~30歳で3000名とありました。内地ではこうだったという公的資料の一部です。最初に日本各地の警察から、この個々の募集行動(事件)への疑惑が持ち上がって来て、それがこの文書の発端になったという所が、大きな意味を持つように僕は読みました。

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新聞の片隅に載ったニュースから(168)    大西五郎

2014年09月21日 18時46分44秒 | Weblog
古賀氏が改めて首相批判 (14.9.21 毎日新聞)

古賀誠・元自民党幹事長は20日、宮崎市内で講演し、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し
た安倍晋三首相について「戦後生まれの初の総理。(戦争を)知っていることと経験していることは違う。憲法議論の前に身内だけの閣議で決定した」と批判した。
さらに、「集団的自衛権に風穴を開けたら(穴は)どんどん広がっていく。軍部の暴走を止められなかった大東亜戦争への突入と同じように、また来た道へ帰ってしまうのではないかという危機感を持っている」と述べた。

□□――――――――――――――――――――――――――――――――――――――□□

新聞の政治面に前日首相はどのような会合に参加したか、誰と会ったかなどが記録されれる「首相動静」(朝日)、「首相日々」(毎日)、「首相の一日」(中日)という欄があります。広島で土砂災害が起きた日の前夜に安倍首相はフジTVの日枝久代表取締役会長らと会食していたことや、当日日枝氏や森喜朗元首相らと山梨県でゴルフをしていたことも記録されていました。
最近首相がマスコミ関係者とよく食事をするなど接触を深めて、マスコミを抱き込もうとしていると云われていますので、私もこの首相の動静の記録を注意して見ています。そうしたら20日の首相日々に19日午後0時21分東京・高輪のグランドプリンスホテル新高輪。宴会場「飛天」で、内外情勢調査会の全国懇談会で演説。というのがありました。どんな演説をしたのだろうと思って内外情勢調査会のホームページを開きましたら、9月19日安倍首相講演というのがありました。クリックしてみたら首相官邸のホームページにつながり、首相の会見・演説コーナーに内外情勢調査会での安倍首相の演説の全文が載っていました。
安倍首相は「経済再生を最優先に、三本の矢の政策を、次々に射込んでまいりました。その結果有効求人倍率は1.10倍で、バブル崩壊以来2年ぶりの高水準になっています。今年の春は、連合の調査で平均2%を超える賃上げが実現しました。」とアベノミクスの効果を強調する一方、「集団的自衛権について、『日本を戦争をする国にしようとしている』といったいわれなき批判があります。『戦争に巻き込まれる』果ては『徴兵制につながる』といった全く根拠のない、不安を煽るだけの批判もあります。」と言っています。
安倍首相は閣議だけの決定で憲法解釈を変更したことに対する批判が高まったことに対して、国民に丁寧に説明して理解を得る」と云いましたが、長崎の原爆慰霊祭のあと、被爆者団体の代表から「集団的自衛権は呑めません」と云われると「見解の相違ですな」と切り捨てました。
国民の過半数は集団的自衛権の行使容認に反対しています。「日本が戦争に巻き込まれる」という心配は「全く根拠のない、不安だけを煽る批判」でしょうか。古賀元自民党幹事長が云うように「戦争を経験していない首相」に謙虚さが足りないと思います。自民党の元最高幹部の一人が「また来た道へ帰ってしまうのではないか」という危機感を持っていることにどう答えるのでしょうか。多くの国民が聞きたがっていることです。
                                           大西 五郎
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アギーレジャパン(7) 岡崎得点、単独1位!  文科系

2014年09月21日 05時35分49秒 | スポーツ
岡崎が昨日また得点して4ゲーム4得点。今度は正真正銘、得点ランク単独一位になった。しかもこの相手が、香川も出場した強豪ドルトムント。この強豪を2対0と追い落としてさらに順位を上げたチームも、2位へと急上昇である。ドルトムントはただ、先日CLでアーセナルと闘って勝ったばかりだから、その疲労が残っていたことは否めない。チーム総得点が7、そのうち4が岡崎というのだから、押しも押されもせぬ大黒柱である。

 このチームも岡崎も、今年は相当行けそうだ。チームは2勝2分けと負けなしなのだし、岡崎という異能にチームがますます合わせられるようになったということだからである。「生涯ダイビングヘッド」と自ら語る異能。敵が予期せぬ所へ知らぬ間に走り込んで来る異能。敵の目から一瞬消える技術も一流なら、そこからシュートポイントへ走り出すスピードも超一流ということである。そしてひょっとしたら、ドイツDFの弱点をなにかとうとう見つけたのかも知れない。去年からの大化けは、そんなことも思わせるのである。

日本代表の核弾頭は当分確保されたようだ。なんせ世界1位のドイツで、この成績なのである。その競争相手も、アルゼンチンとかカメルーンとかブラジル、コロンビア、クロアチアなどからの諸外国代表トップFWの方がドイツ人よりもずっと多いのである。つまり、世界の代表的FWを従えて、昨年度7位とか、現在1位ということなのだ。改めて、凄い! 岡崎に負けずに、香川も大迫も頑張れ。特に大迫は、その素質十分と識者皆が言うはずである。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

琉球日報より    らくせき

2014年09月20日 11時00分49秒 | Weblog
スコットランドの住民投票。沖縄の人には他人事ではないようです。こんな記事がありました。

(・・・)住民投票にまで至る過程は沖縄にとっても学ぶ要素が多い。現地を訪れている沖縄関係の識者や、英国在住の県系人は、沖縄の状況と重ね「大きな示唆を与える」などと話した。今後もスコットランドの独立への動きは「止まらない」との見方だ。
 「一度統合された地域が主権を回復する権利があると自己決定権を主張し、その権利を平和的に獲得してきた先進事例だ」。調査のため現地を訪れている島袋純琉球大学教授(政治学)は、琉球王国が1879年に日本に併合された「琉球処分」と対比した。「独自の文化、言語、歴史を持つ地域の人々が、自分らの国では民主的要求を充足できないという場合に、自分らの民主的な政府をつくる手続きのモデルになる」と指摘、「沖縄にとって大きな示唆を与える」と話した。
 一方で「接戦だったということは、独立の可能性をまだ秘めている。これは草の根の要求であり、パンドラの箱は開かれた。この要求は止められない。今後、確実に独立に向かうだろう」と予測した。
 琉球大学で長年教壇に立ち、現在はスコットランドのエディンバラ大学に客員教授として赴任している江上能義早稲田大学教授(政治学)は「政体を守ることができた連合王国派は安どしているが、これで英国における長年の政治課題が決着したとは到底、思えない。現地で観察・取材してきたが、独立運動はもう止めることはできず、近い将来、再挑戦が始まるだろう」と話した。
 「独立は難しいんだと念を押されたようで落胆した」と語るのは、英国イーストアングリア地方在住の我部貴子さん(37)=主婦=だ。「スコットランドと沖縄の置かれている状況がよく似ているので『もし沖縄が独立した時は…』と重ね合わせて見ていた。国民投票で二分されたスコットランドが一日も早く一つになってほしい」と願いを込めた。(・・・)

沖縄には日本派、中国派、独立派の3つの流れがあるそうです。独立派が勢いを得て、独立への工程表が真剣に検討されるでしょうね。
日本政府は大反対でしょうが・・・
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「よたよたランナーの手記」(66) 絶好調と風邪  文科系

2014年09月18日 06時26分52秒 | 文芸作品
 8月20日、1時間走を怪我以降3ヶ月ぶりにやって、8キロ。その後の1時間走コツコツ前進だけとれば、こんなふうだ。9月4日、1時間で8.5キロ、7日に8.6キロ、そして13日が8.8キロまで行った。常用速度は時速9キロで、そのピッチ数が160、心拍は150を常時切るようになった。
 怪我以前3月ごろの最高潮時期に身体の感じは次第に近づいているが、3月15日の9.85キロにはまだ隔たりがある。スピードを上げるとまだアキレス腱が痛いので、慎重になっている。最高速度を上げないで平均速度を上げてここまで来たというやり方だ。ただ、これがランニングの要諦だと学び覚えている。こういう上げ方ならば、故障したアキレス腱も徐々に鍛えられていき故障することはないだろうという目論見がある。

 10日は久しぶりに、思い切り愛車パナレーサーを転がしてきた。じっくりと時間をかけて走ってきたが、時速35キロでしばらく走れたりして気持ちよかった。顔をすれすれに寄せたハンドルとともに涼しくなった空気を突っ切って走る時、耳をよぎる風音が僕の心音に同調して喜んでいるように聞こえた。

 好事魔多し。こんな絶好調が戻ってきた二日後、15日月曜日夜、風邪の症状で全身に悪寒。16日に検温したら38度になっている。16~18日辺りは寝ているしかないと覚悟した。風邪ってこんなに気持ち悪いもんだったかという感じで、なんというか全身が違和感で震えるのだ。悪寒を避けるためには布団をかぶって寝て汗をかいているしかないというわけであって、こんな悪寒もずいぶん久しぶりだ。これも年の現れなのだろう。どこか悪い所でもなければよいのだが、しばらく様子を見るしかない。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新聞の片隅に載ったニュースから(167)    大西五郎

2014年09月17日 19時04分51秒 | Weblog
過度の朝日批判危惧 都内で集会「メディア萎縮する」(14.9.17 中日新聞)

東京電力福島第一原発事故の調書や慰安婦問題をめぐる朝日新聞の誤報問題を受け、一部新聞
や雑誌などで朝日新聞批判が過熱していることについて議論する集会「もの言えぬ社会をつくるな 戦争する国にしないために」が十六日、参院議員会館で開かれた。出席者は「過度の批判はメディアの萎縮をもたらす」と訴えた。
民主、共産、社民各党の国会議員が企画し、メディア関係者ら十五人が登壇した。月刊「創」
の篠田博之編集長は、雑誌などが「国賊」などの表現を使って朝日新聞を批判している現状について「メディアによる場外乱闘。国の方針に逆らうと売国奴というのは、戦前の論理と同じ。深刻な状況だ」と危機感をあらわにした。
朝日新聞への批判により、慰安婦問題そのものがなかったのように印象付けられることへの懸
念の声も相次いだ。「女たちの戦争と平和資料館」(東京都新宿区)の渡辺美奈事務局長は「慰安婦問題で日本が批判されているのは、朝日新聞の影響ではなく、2007年に安倍晋三首相が『狭義の強制性はなかった』と発言したことが原因」と述べた。
清水雅彦・日本体育大教授は「特定秘密保護法が施行されれば、ますますメディアが情報に近づくことができなくなる。その一方で、メディアがミスをすればたたかれる嫌な時代になる」と話し「いい記事を書いたら激励するなど(市民が)メディアを支えることも必要」と訴えた。

□□――――――――――――――――――――――――――――――――――――――□□

紹介された集会での発言の通りだと思います。
朝日新聞が誤った報道をしたことについて、当初は記事の誤りを発表しながら謝罪の言葉がなく、朝日新聞に対する批判が高まる中で“やっと”謝罪したことが、批判のボルテージを高め、メディアによっては(特に週刊誌で)批判というよりは非難、罵倒の言辞も目立ちます。
批判(非難)の中には朝日新聞の誤った記事が諸外国に日本に対する誤解を生み出したなどと、「慰安婦問題」などはじめから無かったかのような主張も見られます
日本ジャーナリスト会議・東海は「従軍慰安婦問題でメディアは真実の追究を競え」という声明を発表し、「『慰安婦』とは日本軍の管理下にあって、無権利状態で拘束され、将兵たちの性の相手をさせられた女性のことで、重大な女性への人権侵害です。このような女性の名誉回復のために、事実の解明が重要であることは、言を待ちません。」と全てのメディアが「慰安婦」問題の事実解明に力を注ぐよう要請しました。
なお、この集会について朝日新聞も17日朝刊で報道しましたが、29面に「テレ東・大江キャスター結婚」「シャープ製エアコン不具合」などと一緒の短信欄に小さな文字の1行見出し、15字26行で短く報じました。朝日新聞の読者でも気がつかなかった人が多いのではないでしょうか。朝日新聞はなにを遠慮しているのでしょうか。「萎縮せずに頑張ります」と堂々と宣言すべきです。それが朝日新聞への信頼を回復する道だと思います。
                                       大西 五郎
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第3次世界大戦       1970

2014年09月17日 16時27分05秒 | Weblog
ISISを核にしたイスラム勢力の蜂起は収まらないようである。
英米のジャーナリストの首を刈りその様をユーチューブにアップする。
オレも観たよ。その惨いさまを。
そしてISISは世界中から約3万人の兵士を集めたという。
資金もあるんだね。サウジやあちこちの中東にシンパがいるようだ。
重い腰のオバマはようやくシリアのISIS拠点を空爆することを決めたようだが、遅いな。
もう遅い。
第3次世界大戦の火蓋はここからだろう。
第1次、第2次もきっかけはちょっとしたことから。第3次もそんなことからだろう。
9.11でアメリカが腹いせからイラクを攻め、その収集を付けられず、オバマにバトンを渡した所からこりゃ危険だなとは思ったが
とうとう導火線に着火したようだ。
ISISはちょっと違う。
thirdwarの始まりになるのは殆ど間違いないだろう。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「フクシマ」、悪行一覧表(4)  文科系

2014年09月17日 00時31分33秒 | 国内政治・経済・社会問題
保安院の大罪(92)「フクシマ」、悪行一覧表(4) 
2012年11月17日 | 国内政治・時事問題

3 悪行一覧表のまとめとして

①日本人は信用を重んじる
 フクシマ原発事故を巡る我が国の論争には、細かい実証的な諸論争以前に大きな二つの前提的命題で対立があるように思う。一つは、脱原発がエネルギー不足を招くとか国の経済命運がかかっていると主張する論点。今ひとつは原子力村はどれだけ信用できるのかということだ。なお、この二つは対立関係にある。電力不足が長期にわたり決定的なものならばムラを信用するも何もないのだし、ムラが決定的に信用できないならば石にかじりついてでも日本の高度技術力でもって日本版グリーン・ニューディール政策を成功させねばならない。こういう観点の討論の入り口として初めに、あらためて日本人論を少々述べてみたい。

 日本人は今でも、一般ピープルが世界一時間を守る民族だと、これは例えばJRダイヤに象徴されていること。江戸時代から強固に築かれた社会的信用を大事にするという習慣から来ていると観てきた。サッカー用語でいえば、相手をリスペクトする点において世界一の民族だと思う。日本のサービス業の質の高さもここに淵源があるといわれている。
 さて、原子力村はすっかり社会的信用を無くしたのだ。独占価格で創り出した他人の金で社会に安全神話を形成し、ばらまいてきた。それなのに自らの安全管理については「規制の虜」に示されたように実にルーズだった。例えばこれだけの事故を前にして未だに、津波ではなく地震自身の事故原因程度すら、真面目に調査・公表する態度も見えない。国民へのリスペクトが決定的に欠けていると告発したい。
 そもそも一体、原発存続論者らは、こういう彼らを信用するのか。日本人として、そこのところが全く理解不能である。何度も言ってきたが、特に官僚を中心とした原子力村の信用は地に落ちたのである。こんな彼らに、日本の原子力の明日をもう託せないのだ。
 たった一度起こしても信用ゼロになる過ちというものはあるはずだ。福島事故の悲惨な結果、その事後処理における国民無視の隠蔽や悪あがき、これらの原因としての「規制の虜」問題はそういうものだと言えよう。が、こういう意見への反論者たちは僕と違ってもう一回だけでも彼らにチャンスを与えようと語っているわけだ。それは違うだろう。以上2までに観てきたように、彼らにはこんな疑念さえ湧いて来るのだから。日本版グリーン・ニューディール政策決死隊を成功させ、電力不足を完全に解消できると見通していてさえ、「脱原発は50年不可能」などと言いかねない連中であると。自分らの死活問題として、あるいは、自分らの傷ついたプライドを守るためにも、そんなことをやりかねない連中だと、僕は観ている。以下はその論理的傍証として、以上観てきたこと全ての背景説明の積もりで述べる。

②「社会主義国家」的な経産官僚
 電力会社は、独占価格を政府が決めているに等しい大独占企業である。そして、この大独占企業関連群の膨大な領域に、官僚たちの最も高級な再就職口が無数に散りばめられている。さらに、福島事故後の処理経過が示したものは、こういう原子力ムラが政治家やマスコミに強大な力を行使してきたという事実だった。内閣官房長官の発言さえどうどうと否定してみせる官僚群は、日本有数の新聞の論説幹部にも数々の陰湿な脅迫行為を働くのである。福島県の佐藤栄佐久前知事は、「収賄額0円」で有名になった不可解な(冤罪)事件で退職を余儀なくされた。これは、プルサーマル計画への彼の度重なる注文行動などからだったと、その著作によって断言されている。この点については、本年4月20日~25日の間、5回に分けた拙稿「知事抹殺」要約をご参照されたい。

 さて、これではまるで社会主義体制ではないか。旧ソ連や現代中国の国家ぐるみ企業集団のようなものなのだから。また鳩山と菅両首相の追い落としとか民主党変質とかに示されたように、今のところこの力がどの政党の力よりも強いのだから、原子力村は日本最強の政治集団とも言える。つまり、官僚が全面的に荷担するこの勢力の前には選挙なんて儀式のようなものであって、民主主義などはとっくの昔に撥ね除けられているのである。これは日本当面の諸悪の根源であって、グローバリズムの害悪とか資本主義的諸悪とか何とか言う以前の、苦しい国家予算を恒常的にして超高額にピンハネしているという大問題ではないか。

 国会事故調査委員会は、福島事故を「規制の虜」が呼び込んだものと断罪した。これは、電力会社の原発のあり方を規制する政治の側が逆に規制される企業側の虜になっていたと告発されたということなのである。この力が上のようなものであってみれば、一定力を持った全政党を含めて今は日本全体がこの力の虜になっていると断言しても良いのだろう。それは、国民が意識しようと否とにかかわらず客観的にそうなのである。
 
(終わり)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「フクシマ」、悪行一覧表(3)   文科系 

2014年09月16日 13時37分52秒 | 国内政治・経済・社会問題
保安院の大罪(91)「フクシマ」、悪行一覧表(3)  
2012年11月15日 | 国内政治・時事問題

2 事故処理経過での「失敗」とか「工作」とか

今回の一覧表は事故処理経過における数々の「失敗」とか「工作」とかをあげてみたい。こんなに違う2つの言葉を並べなければならぬのは、こういうことなのである。福島の事故処理経過を観ていくと、失敗なのか、確信犯つまり怠慢や失敗を隠蔽する工作(がばれた)ということなのか、その区別が全く付かない点もあるのだ。単なる天災のようなものだけというのならば、こんな執拗に僕も追わなかったろう。「天災といくらかの失敗と言い合わせてはいるものの実は起こったことをできるだけ隠し通そうとする確信犯」ばかりに見える。こんな重大事故処理にあまたの頭脳が関わっていて、失敗と言うには単純すぎることばかりが目立ち過ぎるのである。すべてが責任回避とか、ガス抜きのように思えて、あまりにも国民を国民として扱っていないような無責任な言動ばかりが目だって、どんどん腹が立ってきたのである。
(2の以上の前置きは、一昨日の前回も書いた物だが、一部修正して再掲しておく)

⑤地震原因証拠の隠蔽工作
さて、地震原因証拠隠蔽工作というのがある。1号機の揺れが耐震設計基準内だったところから、他原発全ての安全基準見直しに波及する大問題点なのである。昨年12月16日の拙稿から、例によって中日新聞要約部分などをご紹介しよう。1号機は津波以前に地震動によって自動冷却装置が無効となり、手動操作に切り変えねばならなかったということだ。以下で重大なことは、このことを保安院がやっと渋々認めているという点にある。以下の文章で本日分末尾まで『』がついたものはいつものように、中日新聞の抜粋である
【 記事内容の主たる流れは、ここに至るまでの関係者の長い努力と、保安院の『しぶとい』抵抗を暴き出していると言える。こんなふうに。
『この件は三月二十五日にさかのぼる。川内(博史衆院議員・福島原発事故調査委員会両院議院運営委員会合同協議会幹事)氏らが主催する国会議員勉強会に招かれた田中(三彦・サイエンスインストラクター)氏が「地震で重要機器が損傷した可能性は高い」と指摘した。(中略)
 当時、衆院科学技術・イノベーション推進特別委員長を務めていた川内氏は原子炉のデータを東電や保安院に要求。ようやく1号機の初期データを持ってきたのは五月になってからだった。
 そこには地震発生後、非常時に原子炉を冷やすICが自動起動。運転員の判断で手動停止するまでの約十分間で、原子炉内の圧力と水位が急降下する様子が示されていた』
『東電は、運転員の操作は「手順書通り」と言い張った。「ならば見せろ」と川内氏。これが、手順書の”黒塗り騒動”に発展する』
 なおこの記事の焦点は、この「手動停止」にある。冷やすICが自動起動したとき、圧力と水位が急降下していた。そこから、地震動でどこかが破損したと判断して、手動停止せざるをえなかったということなのだ。この点を説明する新たな仮説として今回保安院に川内氏、田中氏らが認めさせた内容は、こういうものである。
『地震によって原子炉系の配管に面積0.3平方センチメートルの亀裂が入った可能性があるということだ』 】

 なお地震原因説究明にかかわっては、国会事故調査委員会が、東電テレビ映像などの証拠資料を提出してくれなかったと抗議めいたことを並べたもの。国権の最高機関・国会が委託した委員会さえも無視した奴等が、国会議員の国政調査権に屈した一幕ではなかったか。それは以下⑥も同じである。

⑥国会への提出資料の黒塗り事件
 東電の国会提出証拠の黒塗り事件というのは、何度も有名になった。こんな大胆な行動には、事前準備段階から保安院が絡んでいることは明らかだろう。国会には国政調査権というものがあって、提出義務があるのだから。その後は提出するようになった事について、国政調査権を改めて示唆、指摘されたからという経過も有名になった。こんな自明のことさえも東電は一旦は無視して見せたのである。
 こういう法制上の事実を前にするとき、以下のことはどうしても不思議でならない。国会事故調査委員会が⑤の地震原因説にかかわって東電テレビ会議資料などを十分には調査できなかったと不満を漏らしていた。国会事故調を官僚たちが助けなかったとか、その調査を妨害したとか、僕にはそう思えてならないのである。

⑦凄まじくかつ陰湿な言論抑圧の一例。長谷川幸洋氏の体験談
 表題のことをあげてみよう。東京新聞・中日新聞論説副主幹/長谷川幸洋氏の経産官僚との凄まじい闘いである。
 事務方である経産省官僚が上司である枝野内閣官房長官を公然と批判した「オフレコ」発言(注)を、長谷川氏が公表した所から始まったものだった。枝野官房長官が、政府案決定後の会見で銀行に債権放棄を求める考えを示したのだが、そのことに反対する重大発言なのである。
 まず、経産省から長谷川の上司に抗議が来た。長谷川はこの抗議も公表した。今度は、経産省クラブ詰めの東京新聞記者への懇談出入り禁止処分という報復が来た。長谷川はこれも公表した上で、海江田経産大臣官房に直訴に及んだのである。経産大臣室を通した経産官僚の答えは、こう。「記者が自主的に懇談出席を見合わせているのです」。
 大臣室と正論の力で、この出入り禁止処分はすぐに(こっそりと)解かれたのだが、長谷川幸洋氏が行ったまとめを抜いておこう。
『役所は自分たちの都合が悪い記事が出ると、平気で記者を出入り禁止処分にする。それで旗色が悪くなると、話そのものをなかったことにしようとする。とても先進国では考えられない事態である。霞が関の能力低下はここ数年、とみに目立っていたが、ここまで落ちぶれてしまったのである』
『 官僚の世界では、自分たちの既得権益を守るために戦った人間は、たとえ世間で批判されても、かえって評価されるのだ。そういう官僚こそ「黒光りする」と言って、誉めたたえるのが「霞が関の掟」である。
 官僚の世界は世間の常識が通用しない。それほど暗闇の奥が深い。ちなみに「黒光りする」という霞が関でしか通用しない隠語の意味を私に教えてくれたのは、彼自身もまた官僚と戦った元首相である』
注「オフレコ発言」  長谷川はこの場合の「オフレコ発言」関わって、こう反論している。
『まず問題の論説委員懇談会は経産省の記者クラブとなんの関係もない。私は記者クラブに加盟もしていない。また多数の論説委員が出席している場で、官僚が一方的に「これはオフレコで」と宣言したところで、オフレコは成立しない。
 オフレコがありうるのは、基本的に他の第三者がいない場で両者が明示的に同意した場合だ。多数が出席する公開の場では、だれかがオフレコ内容を匿名で外に漏らしたとして、だれが「犯人」と分かるのか。初めから守られない可能性があると知ったうえでのオフレコは、官僚が一方的に匿名で相場観を広める手段にすぎない』
(以上は、昨年6月18~19日拙稿より)

⑧原子力規制委員会のこと
 これはもう詳論の必要もあるまい。原子力村の住人ばかりだとか、現に彼らはみんな原発会社などからこれだけ金をもらってきたではないかとかいろいろ言われてきた。だが、それ以上の問題がこの事だと僕は観ている。この組織の独立的強権の問題である。内閣からさえ一定独立したような形だけは強大権限の組織であるが、その実態は非専従5人の委員にすぎないのである。ところが、その下に事務局として置かれた原子力規制庁は膨大な組織だ。なんせ、経産、文科など各省部門に別れた現関係組織を1つに統合したものだからである。つまり、強大な権限を持った5人の非専従を、全省庁官僚統合組織が操ると、そんな意図が感じられてならない。原子力規制庁の官僚たちによる関東軍化、暴走。これは、国民にとっては恐怖そのものだろう。まるで、江戸大火のどさくさのまっただ中で、自らをさらに強大な物に作り直した大泥棒組織のような。

(次回で終わりです)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地方の独立運動    らくせき

2014年09月16日 09時18分02秒 | Weblog
スコットランド、カタルーニア、クルド、ウクライナなど
事情は様々ですが、中央政府からの独立を目指す動きがさかん。
沖縄にも独立論の動きがおおきくなってきているようです。
琉球日報はスコットランドに特派員を送っているとか。

21世紀は、国境が融解していく世紀と言う説もありましたが、
この背景にはなにがあるんでしょう?
東アジアは、これに一周遅れてナショナリズムヘひた走っていますが・・・

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする