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バイデン政権最初の戦争  文科系

2021年02月28日 17時12分08秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

  「マスコミに載らない海外記事」のサイトに、「バイデン政権最初の「自衛」戦争」が報道されている。この問題は、ミャンマーとかタイとかの「国内問題」よりもはるかに大きな「戦争という国際問題」なのに、日本のマスコミ報道は実に小さな扱いしかしていない。


『シリアを爆撃しながら、ばかばかしくも自衛だと主張するアメリカ
2021年2月26日 ケイトリン・ジョンストン

 バイデン大統領の命令で、アメリカはシリア内の施設に空爆を開始した。現時点では、正確な死者と負傷者数は不明だが、初期報告では「少数の」人々が亡くなった。
 ジャーナリズムらしきものから遥かほど遠く、欧米マスメディアは、アメリカ当局が空爆について語ることを無批判に繰り返すのを選んだが国防総省報道発表と変わらない。

 ワシントン・ポスト記事は、こうだ。
【 木曜日、バイデン政権は、シリア内の、いわゆるイランとつながる戦士への空爆を行い、テヘランが支援していると思われる暴力と闘う意志を示した。
国防総省のジョン・カービー報道官は、この攻撃、東シリア国境検問所でイラクとシリアでのイランにつながる暴力とされるものと闘うためバイデン政権が命じた最初の動きは「イラク内のアメリカと有志連合諸国人員に対する最近の攻撃と継続する脅威に応えて認可された」と述べた。
彼は、この施設は、カタイブ・ヒズボラと、カタイブ・サイード・アル・シュハダを含め、イランとつながる民兵に使われていたと述べた。
この作戦は、アメリカ当局が、イラクとシリアで活動する、イランとつながる集団によるものだとする最近のイラク内のアメリカ陣地に対する重大な攻撃の後に行われた。今月早々、北イラクでのロケット攻撃で、米軍と働く請負業者一名が死亡し、アメリカ兵士一名が負傷した。】

だから、アメリカが侵略し不法占領している別の国イラクの「アメリカ陣地」に対する攻撃に対し、アメリカが侵略し、不法占領している国シリアへの空爆を開始したと我々は聞かされているのだ。この攻撃は、イラク人戦士が「イランとつながっている」という全く証拠がない、致命的軍事力の正当化に全く無関係の主張で正当化されているのだ。それなのに、どういうわけか、主流ニュース・メディアは防衛作戦として描いている。
(以下略) 』

 ちなみに、アメリカ軍(関係者)のイラク居座り自身が、戦争に等しい国際法違反である。アメリカのイラクにおけるスレイマニ暗殺事件によって、「外国軍はイラクから出て行け」とイラク国会が決議しているのであるから。居座る米軍の戦争行為に対して、その米軍を攻撃して何が悪いのかという国際法の問題である。シリアも同じ事。米軍(関係者含む)が居座るのは当然、戦争行為である。

 これに対して、シリアやイラクの軍や民間、あるいは同盟国家による米軍攻撃は、自衛戦争という国際法上正当な意味を持っているはずだ。これらの問題は全て、その国民が望むとおりに米軍がこんな遠国への不法駐留を止めれば起こらないという、そういうものだろう。こんな米軍に、諸国の民主化とか民主化のための制裁とかなどを要求する資格はない。日本マスコミはどうして、こういう米軍の不法駐留を批判しないのか。

 

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大村知事リコール署名不正の実態  文科系

2021年02月28日 05時47分43秒 | 国内政治・経済・社会問題

 高須院長、河村市長、田中事務局長3人の関係が、おおむね見えてきたと言えるのではないでしょうか。いろんな事実と証言を論理的に付き合わせると、自然とこんな姿が見えてくるはずです。

①維新の国会議員候補である(事件の後辞退したようですから、「あった」と言うべきですね)田中事務局長が署名不正の首班。彼が、高須、河村それぞれを、こう言って運動に引き込んだ。まず河村に「高須がやると言ってます。市長からも会長担ぎ出しなど、一言あれば盤石でしょう」。なお、高須には「河村がヤルと言っています。河村から声があったら、会長などどうです?」と打診してあった。

②署名期限が切羽詰まって数も足りず、急遽代筆不正をすることに。これが始まったのは期限の6日前だったとある。元請け広告会社や下請け含めて1000万円単位の金が動いている。これを企画したのは事務局だろう。こんな危険なことを高須、河村はしないと考える。

③すると、最大の問題はこのこと。田中事務局長を通じてこの事件に維新本部が絡んでいるかどうか。及び、1000万円ほどのこの金の出所である。金を辿ればこの真相は明らかになる。警察がそこまで追究すれば良いのだが、先ずこの金を辿ることはないだろう。

④以上すべてがどう解明されたとしても、この運動を主導したに等しい河村は政治家として責任を取るべきだ。市長選など出る資格は到底ない。

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「世界最強ボランチ」示した長谷部誠  文科系

2021年02月25日 12時31分06秒 | スポーツ

 サッカー外信報道がねじ曲がりすぎている。まるでバラエティー番組のように、「本田・・・」、「久保建英・・・」ばかり。この間にあった37歳長谷部キャプテンのフランクフルトが成し遂げた世界王者バイエルンからの2対1勝利などは、どこからも聞こえてこないのである。

 フランクフルトは、20日にあったこのゲームで4連勝、11戦無敗の勝ち点差3位で、チャンピオンズリーグ出場を視野に収めた。37歳の長谷部がリベロからボランチに戻ったとたんのこの好調なのである。しかもこのバイエルン戦は、同僚で2シャドーの一人鎌田大地が1得点を挙げ、もう1得点にも絡んだのだった。これがどうして日本でニュースにならないのか。ある外信報道では、長谷部の活躍がこんなふうに描かれていたのである。

『今の長谷部は相手のフィジカルコンタクトに一切怯まない。体をぶつけられても保持したボールを体軸の中心に置けるし、たとえ体勢を崩されてもパス精度を落とさずに味方へボールを受け渡せる。おそらく今の長谷部のプレー強度の高さはリベロでのプレーによって培われたのだろう。最終局面でデュエルに挑んだ経験は確かに息づき、ミッドフィルダーとしての長谷部誠を格段にレベルアップさせている。』

 この所の世界クラブ王者・バイエルンの大男達相手にこう描かれる長谷部は、もはや世界最先端強豪中盤選手である。こんな長谷部誠描写を前にした時、「身体がない日本人は、技術で勝負」などとトロいことを言っていた評論家など消えるが良いのである。今のサッカーは攻守含めて格闘技。そして日本人も十分すぎるほどに闘えるのである。長谷部が日本人に示してくれたのは、そういうことだった。宇佐美が使われなかったことや、今久保が使われないのも、守備に弱いからともうはっきりしている。つまり、現代サッカーに関して勘違いをしていた。

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 大村リコール署名は「河村たかし主導」  文科系

2021年02月24日 00時03分51秒 | 国内政治・経済・社会問題

  どうやら標記のことが見えてきたようだ。23日付け中日新聞社会面の記事内容が、そういうことを示した。こんな見出しの二つの記事が載ったのである。
『河村市長3万4000人名簿提供』
『高須氏 不正関与重ねて否定』
  前者の記事も大問題だが、この後者の以下のような高須氏発言内容こそ、今後大問題になっていくはずだ。

『また、高須氏は運動を始めた経緯について、大村知事と対立する名古屋市の河村たかし市長に頼まれたためと明かした。
 高須氏によると、大村知事が会長を務めた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」実行委員会が昨年5月、名古屋市に未払いの負担金を支払うように提訴した直後、河村市長から「知事が名古屋市を訴えてきた。リコールをしたいので手伝って欲しい」と頼まれ、承諾したという。
 高須氏は「最初は応援団のつもりだったが、他に誰もいないので、僕が会長に就くことになってしまった。ただ、全責任は僕にある」と話した。
 河村市長は22日夕、取材に対し「こちらが把握している事実と異なる」などと述べ、自身の依頼でリコール活動を始めたとする高須氏の主張を否定した』

 他方の記事では、そのリード文章はこういうもの。
『名古屋市の河村たかし市長は22日の定例会見で、愛知県の大村秀章知事のリコール活動団体の運動を支援するため、10年前の名古屋市議会リコール(解散請求)の受任者34000人分の名簿を団体に提供していたことを明らかにした。大村知事のリコール活動の署名偽造に流用された可能性は否定した』

 これらの情報が事実としたら、どう見ても河村氏の分が悪い。二つの記事内容の通りだと、河村たかし氏がこの運動の発起人、先導者だったことになる。記者からそう質されたはずなのに、これに対して「こちらが把握している事実と異なる」とだけしか答えられなかったのでは、どうしようもないではないか。

 僕のいろんな状況証拠的推察になるが、何者かが4月に市長選挙を控えた河村氏を発起人神輿に乗せた上で、バイトによる名簿書き写しなど出鱈目に動き回った末に、当初からの計画であったかしてその神輿をいきなり地に衝き落としてみせた。とすれば、4月の市長選挙に向かって彼の政治生命は終わったに等しい。一体誰がここまでのことをやったのだろう。絶好の推理小説材料になりそうだ。しかして、やらせた方も、やった方も、この日本の今の国会・政治世界を嘘まみれにした安倍晋三と同様に、「権力目指した嘘や裏切り」の魑魅魍魎渦巻く世界に換えてしまった。それも、こともあろうに市長選を控えたこの瞬間に舞台裏までが全て丸見えになっていくような仕掛け付きの世界だ。嘘まみれで逃げ回った安倍晋三、ガースーとその元秘書愚息ともども、日本政治世界の今は、もはや世紀末の暗黒にさしかかっている。

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外信「民主化運動」の盲点  文科系

2021年02月23日 11時28分24秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 ミャンマーの、タイの、国を揺さ振る「民主化運動」が日本でも「喧伝」されている。
 ちょっと前までは、香港に台湾、そしてベネズエラにボリビア。こんな喧伝報道はそろそろ控えめにして、別の調査報道視点をも備えてもらいたいもの。

 アメリカが世界に「民主化運動」を作り、広げる組織を多数持っていることはもう周知の事実だ。ちなみに、最近の民主化運動ではアラブの春が歴史にその名を轟かせたが、あの後にまともな民主主義国がはて、できたのか。内戦とか野蛮状態とかに帰った国も含めて、ほとんど民主主義的成果など生んでいないはずだ。「政権を倒せば後は、野となれ山となれ」だった?

 そして今度は、香港、台湾、ミャンマー、タイ、これら全て中国周辺の出来事じゃないか。中東からアジアへと言えば、アメリカの世界戦略が「テロとの戦い」から「対中包囲網」へと転換したはずとか、そんなことは素人でも考え得ることだろう。これら昨今の「運動」には、アメリカの世界「民主化」団体が必ずネット主導的に関わっていると断言できるはずだ。ちなみに、香港でもミャンマーでもCIAとの関わりがアメリカ発外信報道で伝えられている。それを、日本のマスコミはどうしていつもいつも起こった現象だけを大宣伝してやるのか。こんな宣伝をするならば、こういう運動を拡散する手口の調査報道にも少しは励んでみたらどうか。ネットを綿密に辿っていけばCIA傘下の人物に出会う可能性も随分高いはずである。

 トランプからバイデンに代わっても、アメリカの対中国冷戦こそは相変わらず続けていくのだと広言している。こと米中関係に関しては、保護貿易強行などから米国の無理押し悪が目に余るというのに。こういうアメリカの工作の「後追い」にも等しいことをするのではなく、「先取り」することこそアジアの安定のための死活事項ではないか。

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特に、清和会議員を落とそう   文科系

2021年02月22日 12時27分04秒 | 国内政治・経済・社会問題

 1月24日エントリー「安倍首相、無数の嘘を考える」を、こういう文章で結んだ。

『 森友、加計、桜と繋がって疑惑を全否定する安倍「嘘の履歴」のそれぞれにまた、多くの嘘が連なっている。森友では、そもそもの始まりの国有地大安売りをごまかす嘘や、その「忖度」を打ち消した嘘。加計にも「獣医学部が不足している」という嘘と、「加計しかない」という嘘。桜では、「国家功労者の称賛会」という政府自身が作った看板の下で「個人選挙の功労者会」を開き続けるという大嘘。こういう人物が日本国家歴代最長政権って、トランプの「フェイクと暴力政権」と並んで、それぞれの国民、政党はよほど胸に手を当てて考えてみないといけない。

 安倍にはおそらく、嘘の意味が分かっていないのだ。嘘の常習犯の言葉は信じてもらえない。政治家の武器は言葉である。その言葉が信じてもらえないとは、どんな政策も信じてもらえないということだ。また、嘘は自己(利益)追求、自己損害隠蔽のためにつくものだから、大国における国家的大嘘の常習犯首相とは、ヒトラーと同類の「最も大規模な利己的人間」であり、周囲を巻き込んできたことも含めてその害悪は甚大である』

 さて、今また、管新首相の長男が主導した「汚職」事件で、総務省の次期次官最有力候補らが処分されている。これとても、とことんまでバレなければ嘘がつき続けられ、隠蔽されていたはずのことだったろう。事実、一放送局の案件で次官候補までが出席して10数回も総務省幹部総出が続けられていたのである。

 さて、これだけ政治腐敗とそれにまつわる嘘とが続くということを、もう一度よくよく考え直してみたい。なによりもまともな政治をやる気など全くないということだろう。政治家がそうだからこそ、官僚もその色に染まって忖度に励む仕事、すっかり人気のない職業になってきた。ということで、こういう総体こそが安倍長期政権の最大の産物だったのである。そしてこんな政治とは、結局たった一言「権力願望」なのだろう。政権を維持するためだけの政治といえば良い。その象徴がこれ、桜じゃなかったか。

「桜を見る会」は、国家功労者を招待して、その功績を祝う会として企画されたと聞いた。ところがそこに呼ばれたのは、与党議員の個人選挙功労者達だったのである。それも首相枠招待者がどんどん増えて、「ちょっと歩けば山口県人」という様相があったと報道された。こうして、「桜」は国家功労者が与党功労者に化けていった歴史を持っているわけだ。権力欲だけの政治という、その象徴になってしまった。それがばれたからこそすぐに、この「桜」、取りやめになった。

 国民は今年の選挙に向けてよほど考えないといけない。森喜朗、小泉、安倍の清和会国会議員などは特に大臣病の権力志向なのであって、これに投票してはいけない。よって新聞は、与党候補の所属派閥を必ず明記すべきである。細かいことだがこんなことが大事だと思うから、よく覚えておきたいもの。ちなみに、森喜朗の「あの言葉」は、彼の哲学そのものから出たもの。「日本は神の国」「天皇は男系で」「行きすぎたジェンダー教育(の弊害)」これらは皆、「日本会議」の文書「日本会議がめざすもの」にある言葉だ。清和会には元々、文教族が多いが、こんな理念で文科省を動かして来たのだった。

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書評『人新世の「資本論」』(2)  文科系

2021年02月22日 11時49分01秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 今回の初めに、3章にある四つの「人新世」未来選択肢を紹介しておこう。
・気候ファシズム 現状維持の資本主義的成長路線によって気候が破壊されていく方向。
・野蛮状態 99%の反乱によって、世界がホッブスの言う「自然状態」に落ちていく。
・気候毛沢東主義 野蛮を避けるトップダウン型の中央集権的気候対策であって、自国のことだけを対策するという特徴を示すはずだ。
・X 以降に著者が説く選択肢のことである。

第4章 〝人新世〟のマルクス
 資本論第一巻までのマルクスは生産力至上主義かつ、西欧中心主義であった。そして、資本論の続きを書こうとしていたマルクスは、最近の西欧学会では「コモン」と呼ばれる概念に目を付けていったと語られる。日本語では「共」という意味なのだが、経済学泰斗・宇沢弘文の「社会的共通資本」を思い浮かべて欲しいとも述べている。

 そんなマルクスが具体的研究対象としたのは、当時の農村共同体であった。ドイツのマルク共同体、ロシアのミール共同体、アジアの村落共同体などのことである。これは、生産力至上主義の進歩史観から離れて、持続可能性と社会的平等を目指す将来社会の基礎となるだろうと。これが晩年のマルクスが到達した脱成長コミュニズムの鍵なのだとも、「ゴータ綱領批判」の「協同的富」のことだとも言い直されている。

第5章 加速主義という現実逃避
  脱成長コミュニズムに対して、「左翼加速主義」が欧米では結構持てはやされている。生産力至上主義の現代版と言えるものだが、これは第2章などで述べた「緑の経済成長」など「現実逃避の思考」である。
 また、選挙によって国を変えて・・というだけの考え方も政治主義と言うべきであって、生産点での変革がないから非現実的である。
 現在ある「協同的富」を再建、建設しなおすことによって、資本による労働編成から人々を開放して、労働編成などを自ら考え得る民主主義的想像力を取り戻そうとも述べられてあった。

 こうして、以下の残りの3章へと続いていく。
第6章 欠乏の資本主義、潤沢なコミュニズム
第7章 脱成長コミュニズムが世界を救う
第8章 気候正義という「梃子」
おわりに 歴史を終わらせないために

 

(その3に続く、ちょっと遅れるかも知れません)

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書評『人新世の「資本論」』(1)  文科系

2021年02月21日 19時45分29秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 水野和夫、白井聡、そして佐藤優までが晩年マルクス(研究)のその先へ到達したとも認めたこの本の要約をする。著者の斉藤幸平は、ベルリン・フンボルト大学の博士課程を修了した哲学博士で大阪市立大学准教授、1987年生まれとある。今回は、昨年9月第1刷発行にして、この2月13日で第8刷となったこの本について、全8章の内3章までを要約したい。
 なお、人新世の意味はこういうもの。地球の地質年代の新生代第三紀を5つに区分した最後の時代を鮮新世(530万年~180万年前まで)というが、それに習って「人がすっかり換えてしまった今という地球年代」の意味で良いのだろう。「こういう地球時代に対して、マルクスの晩期資本論研究がこういう意味を持つ」という壮大な書ということになる。

第1章 気候変動と帝国的生活様式
 資本主義唯一の延命法であった新自由主義は、その負荷すべてをいわゆる南部の国々に押しつけて、帝国国民には見えないようにされている。南は食料も水も奪われ、気候被害を受けても、守る技も持っていない。

第2章 気候ケインズ主義の限界
 ケインズ主義とは新自由主義の「供給サイド経済」に対して「有効需要創出経済」とも言われてきたが、これに気候の語を冠する斉藤はこんな意味を付与している。今のグリーン・ニューディール政策などがこれに当たるが、「緑の経済成長という現実逃避である」と。この観点が後の章において、今必要な脱成長視点が欠けたリベラル風の生産力主義でもあると説いていくことになる。
 なおここで、ロックストローム研究チームが提唱したプラネタリー・バウンダリー(地球の限界)というものが、9項目に渡って説かれている。気候、生物多様性、窒素・リン循環、土地利用、海洋酸性化、淡水消費量、オゾン層、大気エアロゾル、化学物質汚染である。これらを挙げて著者は、脱成長という選択肢を強調する。

第3章 資本主義システムでの脱成長を撃つ
「生活の質と環境負荷の相関関係」で各国がどういう位置を示すかを表した図表がある。環境負荷では、アメリカ、イベリア半島2国、ギリシャが突出、生活の質では、オランダ、オーストリア、フランス、北欧2国、ドイツ、日本などが高い。また例えば、この11国のなかでは、ドイツ、日本で環境負荷が他国よりも1~2ポイント低くなっている事などが読み取れる。逆に、いずれも低いのが、こんな国々だ。フィリピン、イエメン、バングラデシュ、ネパール、チャド、ザンビア、アンゴラ・・・。
 その上で、資本主義の枠内での脱成長などはありえないとしてこんな「しわ寄せされた南部」の現状を示し、脱成長の定常型経済を説いていく。
・総供給カロリーの1%で8億5000万人の飢餓が救える。
・電力が利用できぬ13億人を救っても、CO2は1%増えるだけだ。
・1日2・5ドル以下で暮らす14億人を救っても、世界所得の0・2%再配分で済む。

 こういう現状に対する 「四つの未来の選択肢」が次のように提示される。①気候ファシズム、②野蛮状態、③気候毛沢東主義、④X。
 このXに、著者は「マルクスと脱成長を統合する必然性」、「(そういう)コミュニズム」を持ってくるのだ。つまり、以上の論点への答えが、資本論第一巻より後のマルクスの論考の中に潜んでいると説いてそのことを展開していく、そういうこの本のまさに本論として『第4章〝人新世〟のマルクス』がある。次回の最初は、第3章におけるこの四つの選択肢の解説から始めることにする。

 

(多分、全三回続きになります)

 

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野党躍進のチャンス到来  文科系

2021年02月19日 16時19分03秒 | 国内政治・経済・社会問題

 この7日のエントリー「野党への無力感」の冒頭を抜き出すと、こう書かせていただいた。

『野党への無力感  文科系 2021年02月07日 
 あれだけ酷い言動を吐いて叩かれていても、森喜朗五輪組織委員会会長は居座る方向を決め込んだようだ。「モリカケ桜」、「学術会議」に対しても、与党特大失点というような野党実績はほとんど上がっていない。政治とは、何かを語ることではなく現状諸悪を少しでも変えて、生活を改善していくことのはずなのに、こんな与党自滅言動、失点に対して、野党は何の得点も挙げられないでいるのである。
 この愛知でも、大村知事リコール署名のネトウヨや維新の大失態に対して、こういう動きへの抵抗勢力はやはり、何の得点も挙げられていない。ちなみに、このリコール運動の事務局長だった県議が維新から国会議員候補になっているとは、愛知ではよく知られた話だ。こうして、あのリコール署名運動が野党が強いこの愛知への維新による浸食運動とも観られる面があるのではないか。だからこそ、あんな醜態でよかったのだが。』

 さて、この二つとも、あっという間に「野党サイド成果」が上がったのである。自民池の主・森喜朗が退き、鵺のような河村と維新が味噌を付けた。こうなった原因、誰がこうさせたかは色んな説があろうが、この二つが起こった現在は野党にとって千載一遇のチャンスではないか。これを活かさぬ手はないと思う。追い打ちを掛けろ。

 森の女性蔑視の温床「日本会議のめざすもの」には、大変な女性蔑視文言がある。日本会議は安倍が名誉顧問、管は副会長だ。この文言をこそ今、社会問題すべきである。「ジェンダーフリー教育の横行」が、「特に行きすぎた権利偏重の教育」などとともに「次代をになう子供達のみずみずしい感性をマヒさせ、国への誇りや責任感を奪っています」と書いてあるのだ。この文意自身を追究すべきだ。これを通して、日本会議の本質を世に知らしめ、自民主流の復古体質を暴くチャンス到来なのである。

 大村リコール運動の事務局長は維新の国会議員候補であって、広告会社を通じた署名代筆に数百万円の金が流れていると報道された。吉村大阪知事も、この運動の熱烈支援者を買って出ていたはずだ。こうして、このリコール運動があまりにも軽薄すぎたと分かったにせよ、国会野党が強いこの愛知の政治地図をこんなに大金出してまで切り裂くという目的があったことも明らかになったはずだ。そして、鵺のような河村を落とす願ってもないチャンスも到来した。

 

 

 

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エクアドル大統領選挙  文科系

2021年02月18日 11時43分31秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 7日に表記のことが行われた。新大統領は決まらず、4月の決選投票に持ち込まれることになったが、注目は現在の中南米の例に漏れず、親米・反米どちらが勝つか。というのは、ここ2代の大統領がくっきりと明暗を分けてきたからだ。

 今の大統領モレノは、前大統領コレアがロンドンのエクアドル大使館にかくまったウイクリークス創始者のジュリアン・アサンジをイギリスに売り渡すなど、親米政策へとどんどん舵を切り直していったお方。そのようにはっきりとした変節のせいですっかり人気が落ちてしまって、今回の選挙には出馬断念。コレアの副大統領として、コレア路線を引き継ぐと宣言して当選したのにこれを裏切ったと観られたから、無理もないのである。それでさて、7日の選挙結果はどうなったか。

 1位はアラウスと言い、コレアの系統の人。2位はラソというモレノの系統。そして3位が原住民出身のペレスとあった。それぞれの得票率は、後2者が各20%ほどに対して、アラウスは32%となっている。決選投票は4月11日だが、アメリカの妨害を乗り越えて、アラウスが当選すると確信する。間にペルーを挟んで隣国のようなボリビアで、大統領選挙不正口実の親米クーデターによって亡命させられていたモラレス大統領派が去年10月の選挙で大統領と国会をともに奪還したように。このボリビア大統領選挙では、得票率で2倍近くとモラレス派が圧勝していた。

 前世紀70年代のチリを典型として、キューバ、ベネズエラ、ボリビア、アルゼンチン、このエクアドルなどなど、アメリカが自分の国のように中南米を食い物にしすぎてきたことへの反発なのである。ブラジルの〝トランプ〟ボルソナロも間もなく失墜すると確信する。

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「赤木ファイル」提出、政府逃げの一手  文科系

2021年02月17日 13時26分22秒 | 国内政治・経済・社会問題

 これは、本日の朝日新聞記事の拡散を目的とするものだ。「嘘の連発で権力キープし続けた安倍政権」の告発、これをどこまでも続けていきたいから。こんな男を五輪組織委員会会長なんて話があるが、世界への恥さらしである。

 いわゆる「赤木ファイル」は、森友忖度から「教育勅語学園に国有地大安売り・その経過記録改ざん」という大事件を、当事者であって自殺した財務省末端職員、赤木俊夫さんが遺した記録であって、いわば彼の遺書。「首相の嘘、空約束の連発」の一つ「私か妻が関係していたら、首相どころか国会議員も辞めます」が生んだ悲劇であった。このことはもう、日本国民ほとんどが知っていることだ。ちなみに、僕はこの事件を含んだ首相の嘘を、どこまでも追いかけていくつもりだ。こんな嘘でキープしてきた政権が戦後最長だなんて、21世紀のわが国、日本国民の恥だと考えるから。マスコミも心して追究し続けて欲しい。安倍はいつも、国民が忘れてくれるのを待っているのだから。そして、再登場?・・・とんでもない!

 さてこの事件の今日の見出しは『赤木ファイル非開示 野党「二枚舌」と追求 衆院財務金融委』というもの。「赤木ファイル」について、こんな二枚舌を使っているというのである。国会では「遺族との裁判に影響を与えないように、存否も含め答えられない」、赤木雅子さんが国に対して起こしている訴訟では「裁判に影響がないので、提出の必要を認めない」。同じ人物なら自分でも笑いながら言うしかないこんなふざけた態度は、赤木ファイルはできる限り隠蔽これ努めると語っているのである。

 国、財務省は、どこまで逃げおおせる積もりなのだろうか。公正であるべき国家が、安倍と同じく小学生にも恥ずかしい「国民が忘れるのを待つ」やり方を取っている。この「赤木ファイル」、さっさと提出し、安倍(婦人)忖度をはっきりさせて、安倍をすぐに辞めさせよ。赤木俊夫さんへのせめてもの供養になる。

 なお、この赤木雅子さん訴訟については、最近の当ブログに二つのエントリーがある。12月28日と1月8日分だ。いずれも本人にいわれのない夫の死因を誤魔化してきた財務省に、これを明らかにせよと迫っているごく自然な家族の情に端を発するものだ。

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八十路ランナーの手記(344) 現状維持?へと方針転換  文科系

2021年02月16日 22時42分59秒 | スポーツ

 色々やってみた末に、過去のタイムに戻ることは諦めて、今後の走りの目標を現状維持と決めた。まず、僕の走力を今後は、アップ・ダウンは別にして5キロ程度で見ていこうと。目標速度は外走りでキロ6分25秒、マシンでは6分15秒ほどか。これを今の目安として、今後いつまで維持できるか、どう衰えていくかという目標に換える決断をした。もちろん、来年冬にはもっと目標を下げることになるかも知れないのだが、そういうことも含んでのことである。

 59歳でランナー入門をして以来、僕は元々10キロレースにしか出たことがない。そして、慢性心房細動・カテーテル手術前後からそのレースも止めてもう13年になるが、これまで10キロ以上はほとんどまともには走ったことがないから、10キロを目安に今までその都度の走力を確かめてきた。が、今は自分の老いを素直に認めて、日々のラン・スタイルを上のように換える。換えた動機は、疲労が酷いことと、この走り方ではいつかどこか身体を悪くすると感じたこと。それで、無理は止めようと思ったということだ。いつまでも走りたいというのが最大の目標なのだし。

 ちなみに5キロをこれぐらいで走れれば、普通のサイクリング100キロは可能と考えている。去年は、70キロまでだったが、これは初めて組んだ相棒の限界だったから。僕はまだ十分に余裕があった。もっとも、速度は25キロ時程度だったけど。

 とは言え、この1年かかって身につけた正しい長距離走法は、とても嬉しいもの。今では、この走法でマシンでも自然に走れるようになったが、過去の同じスピード時より心拍数が10は低いという能率の良さである。時速7キロでは130が120前後に、10キロ時でも165超が150ちょっとになった。つまり、走った後の心臓の疲労感が違う。だから、毎日でも走れるようになった。また、人の身体に合った走り方だからなのか、体調がとても良い。これによって僕のラン人生がより長くなったことは確実だ。

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「桜犯人」秘書を使い続ける安倍   文科系

2021年02月15日 20時19分17秒 | 国内政治・経済・社会問題

 長周新聞2月5日号に、「桜」で犯罪人になった安倍の第一秘書について、こんな記事が載った。「配川はピンピンしてるぞ!」(2月5日「コラム狙撃兵」長周新聞より)。全文ご紹介したい 

『 「配川はピンピンしてるぞ! 〇日前に電話で話したばかりだ。謹慎なんてするわけないじゃないか!」「配川が筆頭秘書を辞めるわけがない。誰が替わりをやるっていうんだ。畑村ではとても無理。続投だよ、続投!」――。下関の安倍派の皆さんったら相変わらず意気軒昂で、桜を見る会を巡って略式起訴(罰金100万円)された安倍代議士の公設第一秘書・配川博之は、どうやら「秘書を辞職」したのではなく、厳密には「公設第一秘書」を辞職したのであって、引き続き地元の安倍事務所の筆頭秘書(私設秘書)として暗躍するのだそうだ。まぁ、山口県政界や4区の事情を考えれば切れるわけもなかろうし、薄々そんな事であろうと地元のみんなはヒソヒソ話題にしてきたけれど、見事にビンゴであった。東京界隈や世間を欺くためなのか、「公設第一秘書は辞めた(が秘書を辞めるとはいっていない=私設秘書として続投する)」をやっているのである。例の如く「ご飯は食べていない(がパンは食べた)」で知られるご飯論法の応用編なのだろう。

 「本人の申し出によって公設第一秘書を辞職し、しばらくの間謹慎する」。この文脈を理解するためには幾つもの注釈が必要なようで、どうやら正確には「本人の申し出によって公設第一秘書を辞職し(たが私設秘書を辞めるわけではなく)、しばらくの間(期間は明確にしない)謹慎する(が謹慎後には筆頭秘書として復帰する)」になるのだそうだ。安倍晋三って、どこまでも安倍晋三だな…とある意味感服したくなるほどの詭弁体質を見せつけられている気がしてならない。嘘をつくことへの躊躇のなさという点において、年季が入っているとでもいおうか、磨き上げられた味わいすら感じるから不思議である。これは何も褒めているわけではなく、唖然とするほかない心境でそう思うのである。だって、日本中のほとんどの人が、「秘書がぜ~んぶ悪い!」で切り捨てられた配川博之は表舞台から消えたと思い込んでいるだろうし、まさか地元で引き続き筆頭秘書として君臨しているだなんて思っていないだろうからである。まんまと欺いているのだ。

 安倍事務所の体質をご存じない他県の皆様のなかには「トカゲの尻尾切り(口封じ)で秘書が自殺するんじゃないか?」「赤木さん(公文書改ざんで自殺に追い込まれた財務省職員)の二の舞になるのでは…」というような言説までネットで飛び交っていて、それに対して「配川が死ぬわけないじゃないか」と安倍派の皆さんったらおおいにウケていたし、これには安倍派のみならず、林派の皆さんだって笑っていた。要は一連の検察の捜査と幕引きなどすべて出来レースであり、配川がすべて悪いことにして代議士としては露払いをやり、その配川もこれまでと同じように地元家老としてのポジションはそのままというのである。もともと公設第一秘書といっても東京に詰めている訳でもなく、地元を任せられている秘書のトップであり、その地位が公金で養われる第一だろうが第二だろうが、代議士の私費で養われる私設だろうが、握らされている権限が変わらなければ大勢に影響などないのであろう。

 「配川博之はピンピンしている」――。桜を見る会のほとぼりが冷めるのを待って寒い冬をこしたら、また開花しちゃった――みたいな話である。それにしても他に成り代わる者がいないとはいえ、ちょっと開花は早すぎるだろうし、美しさとは対義の意味で、え? 咲き乱れ過ぎてんじゃないか? と思うのである。

吉田充春  』

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ボリビア、親米右翼クーデター政府の崩壊   文科系

2021年02月14日 11時45分53秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

「マスコミに載らない海外記事」のサイトに12日、標記のことが報道された。2019年に「不正選挙大統領」としてクーデターを起こされて亡命したモラレス大統領派が、昨年10月、大統領選挙、国会選挙いずれも大勝利したその前後の様子である。長い記事だが、全文をご紹介する。

 

『2021年2月12日 (金) 協調的な政治と経済に向かって進むボリビア 
ロン・ライデナー 2021年2月8日 Strategic Culture Foundation

 ボリビアの収入の半分は、依然天然ガスと石油だ。農産物は二位だ。アルセは経済多角化を望んでいるとロン・ライデナーが書いている。

 2020年10月18日、共同体主義で先住民が基盤の社会主義運動 (Movimiento al Socialismo MAS 下記メモ参照)が、アメリカに支援される右翼クーデター政府を破り政府支配を取り戻した。エボ・モラレス大統領(2006-2019)の経済・財務相ルイス・アルセと、外務相デビッド・チョケファンカが、55%の得票(340万)で、大統領と副大統領の座を勝ち取った。最も近い競争相手は、28%の保守的なカルロス・メサ元大統領(2003-5)、14%の右翼でクーデター画策者ルイス・フェルナンド・カマチョだった。世論調査で、8%による可能性が判明して、クーデター独裁者、ヘアニネ・アニェスは選挙選を降りた。
 MASは議会両院の過半数も奪回した。下院議席130のうち、75議席、上院議席36のうち21議席。上院は今女性が過半数だ。だがMASは、モラレス在任期間に起きたような、3分の2の大多数は実現できなかった。

 2019年11月、軍指導部が、武力でエボ・モラレスを排除すると脅した際、右翼上院議員アニェスがクーデター指導者の地位に就いた。モラレスは、留まれば起こるだろうと予知した大規模流血を避けるため亡命(最初はメキシコ、次にアルゼンチン)した。
 このアメリカに支援されたクーデターから数日後、モラレス支持の抗議参加者が軍兵士やヘリコプター射撃手に射殺された。少なくとも3ダースの反クーデター活動家、主に先住民が、一年にわたる独裁中に殺された。

 11月8日、新政府が就任した翌日、エボは帰国した。彼は「多国籍企業は我々が自身の天然資源を国有化したことを許さない、リチウムが、アメリカがクーデターを支持した理由だ。」と国民にコチャバンバ州で語った。
 モラレスはMAS議長に復帰したが、新政府の一員ではない。

 初期改革進行中

 ヘアニネ・アニェスの支配は、ボリビア先住民に対する権威主義的攻撃と侮辱のパターンが特徴だった。彼女はアイマラ族の儀式を「悪魔のようだ」と呼び、それは人種差別主義者を元気づけ、彼らはアイマラ先住民のウィファラ旗を燃やした。
 ボリビアのクーデター政府は、国民に、49億ドルの外国、国内負債を残した。コロナ・ウイルス流行と、退行的な経済政策や富裕層減税が特徴の独裁支配で、2021年、世界銀行は、6%の景気後退を予測している。

 ルイス・アルセは中産階級の教師家族出身だ。彼は大学で経済学位を得ている。最初の10年間、モラレスの経済相として、アルセの計画には、天然ガスと石油の国有化があり、極端な貧困を人口の38%から、17%に減らした。 Quién es Luis Arce, el presidente electo de Bolivia – Noticias económicas, financieras y de negocios – El Cronista
 アルセは先住民とは見なされておらず、穏健マルクス主義者と見なされている。
「14歳の時から、私の考えがあって、カール・マルクスを読み始めた。その時以来、私のイデオロギー的立場は変わっておらず、私は他のものに変わるつもりはない」と10月、アルセはロイター・インタビューで述べた。In Evo’s shadow, Bolivia’s new president Luis Arce promises moderate socialism (msn.com)  (エボの影の中、ボリビアのルイス・アルセ新大統領は穏健社会主義を約束(msn.com))

 経済相として、アルセは多くの部門の国有化を推進し、ボリビアを4.6%の年平均成長率に進め、中南米で最高の一つにした。妊婦、学童、高齢者に、特別手当を支払い、天然ガスと、電池用リチウムの工業化と、原子物理学に投資した。
 アルセは400万人以上を救う新たな「飢えに対する特別手当」を再開した。受益者は公共・民間団体から収入を得ない18歳以上の人々、障害者、母親とユニバーサル・ボーナスを受ける人々だ。Bolivia: President Arce Approves Bonus Against Hunger | News | teleSUR English. (ボリビア:アルセ大統領は飢えに対する特別手当を認可|News | teleSUR English)
 多少の緊縮策が必要だと認めているが、アルセは公共支出は削減しないと約束した。彼は「MASとして、憎悪なしに、我々の過ちを学習し克服する変化プロセス[再開]」を宣言した。
 全収入の半分は、依然天然ガスと石油だ。農業生産は第二位だ。アルセは経済多角化を望んでいる。彼はボリビア人全員が十分に食べられるよう保証するため、食料輸出を止めた。彼はインフレを抑制するため、為替レートを固定した。
 「新[アメリカ]政権と、我々の国民の福祉を意味する、より良い関係を予想している」とアルセは、ツイッター・アカウントで書いた。オバマ政権は2008年に大統領に就任するや否や大使交換を止めた。

 ボリビア統一農民労連Confederacion Sindical Unica de Campesinos de Boliviaと、先住民農民運動Movimiento Campesino Indigena指導者のデビッド・チョケファンカ副大統領は、1961年に、ラパスのアイマラ族社会で生まれた。前外務大臣は7歳の時にスペイン語を話すことを学んだ。モラレス閣僚時代に、彼は米州ボリバル同盟(ALBA)の議長になった。中南米八カ国の協力志向の同盟からアニェスが離脱した後、ボリビアはALBAに復帰した。ボリビアは、イラン、ベネズエラ、キューバとニカラグアの左翼政府との外交、友好関係を回復した。アニェスは700人のキューバ人医師と医療労働者を追放していた。

 人口の半分は先住民だ(一部の情報源は、この比率をより多くしている)。モラレス大統領の初期、草の根の参加で新憲法が作成された。それは36の民族を先住民として認め、スペイン語とならんで、彼らの言語の三つを国の公用語にした。ケチュア族が先住民の半分を占める。アイマラ族は41%だ。
 とはいえ、17人の大臣のうち、先住民は一人だけで、女性は四人だ。ケチュア組合活動家サビナ・オレジャナは、文化・非植民地化・脱家父長化大臣に任命された。
 大統領就任10日後、アルセはクーデター画策者やアメリカに忠実な軍の右翼を解雇した。彼は国民と憲法に忠実だとされる士官で、彼らを置き換えた。

 完全回復を阻止するコロナ

 欧米の主流メディア(MSM)は、コロナと洪水に関する多少の報道以外、選挙以来のボリビアにおける大半の進展を無視している。この安価なワクチンを購入する50カ国の一つ、ボリビアに、ロシアがSputnik Vワクチンを供給しているので、MSMはロシアとボリビアを一緒くたにしている。Russia to supply Algeria, Bolivia with Sputnik V vaccine | Coronavirus pandemic News | Al Jazeera (ロシアはSputnik Vワクチンをアルジェリア、ボリビアに供給 |コロナウイルス流行ニュース|アルジャジーラ)
 ボリビア政府はアストラゼネカのような欧米製ワクチンも注文しているが、ロシア・ワクチンより三倍も高い。
 2月始め、218,000人が検査結果で陽性だった。人口は1150万だ。およそ50人が毎日亡くなっている。エボ・モラレスの姉で、70歳のエステルは、ウイルスで亡くなった。

 経済崩壊を恐れて、アルセは多くの人々が切望するほど多数の企業を閉鎖していない。医療労働者は気が動転している。病院は一杯で、満員に近い。最も保守的なサンタクルス地域の医療労働者が、ウイルス蔓延と、突然変異を防ぐため、社会のより広範な一時封鎖を要求して、部分的な24時間ストライキ(2月2日)を行った。Médicos bolivianos hacen paro en región golpeada por COVID – Infobae.
 多くの人々は、3月7日に予定されている地域と地方議会選挙延期を望んでいる。政府は多数のコロナ感染不安にもかかわらず、日程を維持するつもりだ。

裁かれるクーデター画策者

 選挙勝利の10日後、議会上院と下院が「センカタとサカバ大虐殺」最終の報告を承認した。報告書はアニェスを大量虐殺のかどで起訴することを勧め、彼女の大臣11人の犯罪起訴を提案した。エバ・コパ上院議長は訴訟のため報告書を検察官に提出するよう指示した。
 新しい反汚職検察官ルイス・アタナシオが告訴を準備する中、独裁者アニェスや重要閣僚や軍幹部を含む何人かのクーデター画策者が一時拘留され、出国を阻止された。訴訟は、ようやく始まったが、主にコロナ流行のため延期された。President Luis Arce Appoints New Military Leadership in Bolivia | News | teleSUR English. (ルイス・アルセ大統領はボリビア軍の新指導体制を任命| News | teleSUR English)

メモ:

 MAS(社会主義運動)は、1998年に、刺激物として、特に運転手が使う(コカインではなく)コカの葉をかむ土着の伝統を持続しようとするコカ農民の苦闘の産物として、エボ・モラレスが設立した。MASの戦いには、水を自由に使う権利や、資本主義の極端に強欲な競争を変えさせるものがある。共同体主義は、個人を共同体と結び付け、自由競争主義政策を拒絶し、共同の意志決定と協調的経済を目指している。この未来社会構想を「ユートピア社会主義」や「21世紀の社会主義」と見るむきもある。この考えは、18世紀、19世紀、20世紀の激しい革命の回避が狙いだ。労働者階級による支配は、資本/企業の支配のない、全ての市民による支配で置き換えられるのだ。集会での直接投票は、永久支配者にならない指導者を選ぶのに望ましい方法だ。
 共同体主義は、ベネズエラ人の軍事・政治指導者シモン・ボリバル(1783-1830)が率いた汎ヒスパニック解放運動の派生物だ。この反乱は、ベネズエラ、ボリビア、ペルー、エクアドルとコロンビア(パナマ)で、スペインの植民地支配を追放した。大コロンビアGran Colombiaはボリバル指導下で1821年に作られた。この連盟は、現在のベネズエラ、コロンビア、パナマやエクアドルの多くを含んでいた。彼は1824年に、ペルーの支配者に指命され、1825年に、ボリビアが成立した。』

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ガソリン車、エンジン車、電動車、EV    文科系

2021年02月12日 15時46分52秒 | Weblog

 これから10年、日本では標記のこんな区別に頭を悩ますことになる。本当は、エンジン車とEVだけで良いのに、何故こんなことが問題になるのか? 答えは簡単、電動車という概念を広めて、なんとかエンジン車(の一部)が通用する期間を長くしたいからだろう。エンジン車は、EVよりかなり高値になるというのに。モーターだけでエンジンの不要な車は、エンジン関係部品全てひっくるめて不要になる分とても安価に生産できるから、全く同型の車なら断然EV車が安くなるだろう。
 ちなみにこんな言い方もある。
「電気を化石燃料に頼る国は、EVでもCO2を出す」
 と言い張ったところで、ドイツのように自然エネルギー中心に換えてきた国では、「電動車」などという言葉を使う必要などあっという間になくなってしまうのである。エンジン車をあっという間になくせるからだ。

 CO2が問題になり始めた時代のアメリカを振り返ってみよう。ガソリン垂れ流しのでっかく高価なアメ車がステイタスシンボルの意味もあって、売れていた。その車が、ガソリン効率が良い日本車にあっという間に席巻されてしまった。それでもリンカーンコンチネンタルやキャデラックが日本においてさえしばらく売れていたのは、世界のステイタスシンボルという名前、習慣があったからだろう。今の日本で、そんな車「風習」がまたまた再生産されていないだろうか。家はなくとも、「ステイタス」シンボル。より安い新車よりも、中古のシンボルを! 所有する物で自分を「偉く」、金持ちに見せる野暮なスノッブ風習と言えるのではないか。

 一昔前のリンカーンコンチネンタルと日本車が、ちょっと後世の電動車とEV? そんなふうになって、日本の自動車産業が斜陽にならぬ事を祈っている。「雇用のためにも電動車とその補助金の継続を」などと言い出さず、自らの起業家精神そのもののイノベーションで早め早めに手を打って欲しいものだ。ちなみに、すぐに補助金というのは、社会主義国のやり方である。アメリカは今、中国のそれを批判している。さらに、ちなみに、原子力発電の廃棄物はCO2以上に始末が悪いはずだ。

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