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国際経済最大問題、さりげなく   文科系

2014年08月17日 19時25分39秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 原発への警鐘、立憲主義の強調など中日新聞の最近の記事をよくここに紹介してきた。地方紙の見識ある記事を全国に発信したいという意図もあってのことだ。16日に朝刊、夕刊に期せずして、新たな見識が見える思いがする同類の記事があった。世界経済(調整)機関のことを扱っている。朝刊には社説で『国際金融の悪弊を正せ』と題して、『新興国の新機関』などを。これは、ここで最近何度か強調してきたBRICS開発銀行のことなのである。
 夕刊では1面右下にさりげなく『日本の構造改革 早急な実行提言 IMF』という記事があった。こちらは、4~6月期の日本経済急落ち込みへの「対策」なのだから、今最も必要な要チェック記事なのである。
 さて、この二つの記事を並べて観ると、世界の人々の生活にとってのこの最大問題をいろいろと考えさせられるのである。通貨危機やリーマンショックでは必ず叫ばれるヘッジファンドへの世界的規制は、全く進んでいない。バブル破裂でつぶれては、大国の税金投入でまた不死鳥のように蘇って、世界の労働者、消費者から搾取をくり返してきた「1%」の大元、元凶である。

 まず、前の記事の趣旨で、冒頭のこの一文に注目した。言わば、半世紀単位の重要な提言と言えるはずだ。
『戦後とともに確立した国際金融秩序は、もう時代錯誤だ。振興五カ国による独自の開発銀行は現状への問題提起となり得る』
 この「時代錯誤」部分についてのみ記事紹介をしてみると、こう書かれている。戦後国際金融秩序の二つの機関、国際通貨基金(IMF)と世界銀行とには問題が多すぎるとしてのことである。
『両機関のトップは前者が欧州、後者は米国から選ばれるのが常だ。またIMFでは、発言権に直結する出資比率について新興国分を引き上げ、理事会への登用を増やす改革案が2010年に合意されながら、影響力を維持したい米国の議会が批准せず、棚上げ状態が続いている。新興国側が不満を抱くのは当然である』
『IMFの金融支援の条件一つをとっても、緊縮財政や規制緩和、国営企業の民営化など、米国流の価値観の押し付けは通用しないはずだ。韓国やインドネシアのようにIMF支援後に国民生活が疲弊する例が目立つのは、その証左である』

 夕刊の記事『日本の構造改革 早急な実行提言 IMF』は、上のようなIMFが15日に、4~6月期大幅マイナスに落ち込んだ日本へのこういう提言をまとめたという、今時とっても重要な、興味深い報告記事なのである。
『日本企業が社内に積み上げている資金は主要先進国の中で突出して多く、活用が成長の鍵になると強調。社外役員を増やすなど外部の目を取り入れることで積極的な投資が進むとの見方を示した。(中略)
 消費税を10%に引き上げた後も、日本は税制再建に向け大幅な歳出削減が必要になると分析。「2015年以降の具体的な財政戦略を早急にまとめる」ことで、投資家の不安を拭い去り市場金利の急騰を抑える必要があるとも指摘した。
 日銀に対しては、物価が狙い通りに上昇しない場合、速やかに追加緩和に踏み切るよう求めた』

 以上に僕はこんな感想、連想を抱くが、皆さんはどうだろうか。
 今や、ここまで世界経済機関が各国経済に介入しているのである。つまり、それなりに「世界経済計画」があるわけだ。が、今の「計画」とはそもそも一体どんなものか。ここに言う「成長」とは、アメリカ流の「1%と99%」をどんどん進めていくだけのことに思える。特に、BRICS諸国とアメリカ(・日本)との対立が示しているように、物経済に対する金融の支配体制をあくまでも貫いていくのが良い世界経済と言えるのかどうか。

「金融がいつでもどこでも自由に競争して資本投下をすれば、それが(先進国労働者の賃金は減るだろうが)世界の労働者や消費者のためにもなるのだ」という理論は、実際に存在するこんな例で、今や十分な批判ができるはずである。
 金融と結びついた集荷(販売)業者が、生産業者を支配して独占(価格)が生まれてきた。アメリカの養鶏・食肉業や、民間健康保険を通じたアメリカの一部の州の独占医療体制にもそんな例が見られるようになった。コンビニを通じた小売業独占もどんどん進んでいる。先物買いを含んだ石油や穀物もそうなっているはずだ。日本の原子力発電(料金)も同様であろう。このように、自由競争の下でどんどん独占(価格)が進む時、これは消費者のためにもなる合理的経済だとはとうてい言えなくなっている。つまり、市場に任せたら合理的だというのは今や明白な嘘になっている。金融業者がいろんな独占産業部門、小売業部門を育成して、独占価格が形成され始めているのである。生産部門や小売り部門が儲かるというのではなく、金融部門がいろんな産業部門、小売り部門に借金をさせて(「合理的」)生産・販売体制を敷き、広げていけば、金融部門こそが儲けられるという形の「独占価格」ということである。こんな体制は、「99%と1%」をさらに進めるだけであろう。そして、1%が付ける値段で食糧が買えない人々が世界にどんどん増えていく。彼らは国家救済の対象にならざるをえないはずだが、国際金融がそんな国家救済を易々と認めるわけはないのである。「ただ、怠け者なだけ」と、食うや食わずのぎりぎり状態で扱うかどうかさえ怪しいのである。東南アジアやアフリカの諸国などは特にそうだろう。

 こうして、今の世界経済機関には、以上の悪循環への改革をこそ切に期待して未来への一つの窓口にしたいものだが、現状では先ず全く期待できないはずである。なぜならば、こういうアメリカ流の金融、生産、小売り独占体制が、どんどん世界に伝播し始めていくからである。IMFなどは、そういうやり方を広げている。
 以上、これと同じグローバリズム批判を中日新聞がまもなく始めるだろうということを、僕は信じ疑わない。
コメント (11)
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