九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

随筆紹介 成長した   文科系

2023年05月31日 00時49分37秒 | 文芸作品
随筆 成長した  S.Yさんの作品です

 娘と孫たちが久しぶりに我が家に来た。
 彼らはかつて近所に居たのだが、一昨年念願の家を建てて守山区に引っ越していた。ところが引っ越して一年も経たないというのに横浜へ転勤になってしまった。やむなく娘家族は、婿さんだけが行くという単身赴任を選択した。
それからが大変。娘は自身も転職したばかりで研修期間中である。簡単には職場を休めない。孫たちも転校して、学校や地域の環境にもまだ馴染めていない。以前は何かと面倒を見てきた私たちも、娘宅へ駆け付けるには遠すぎる。一切が娘の肩にのしかかってきた。
 娘は頑張ったようだ。研修中の一カ月半、早朝から子どもの夕食を準備して出勤し、帰宅は夜八時になる。その間、上の四年生の女の子が入学したばかりの下の男の子をトワイライトに迎えに行って二人で下校する。そして子どもたちだけで夕食を食べるのが日課となった。一カ月半という期限付きで先が見えているので、とにかく「やるしかない!」と娘は腹をくくって乗り切ったそうだ。
 そんな期間が無事終わり、私はねぎらう意味もあって娘と孫を心尽くしの料理で歓迎したのだ。デザートやケーキも終わり、お腹も満たされて満足感でいっぱい。みんなで久しぶりにくつろいで談笑していたとき、孫たちが何でもないことで口喧嘩を始めた。そのうちヒートアップしたのか弟が姉の頭か顔を殴った(ように見えた)。すると突然、娘がブチ切れた。「なんてことをするんだ!」叫ぶと、弟の頬をビンタした。当然六歳の男の子は「わーん」と大泣き。「何回同じこと言わせるの!」娘は尚も乱暴な口調で男の子を叱っている。はた目には怒り狂っているようにもみえる。さっきまでの和やかな場が修羅場と化した。
 ニコニコと晩酌を楽しんでいた夫も、娘の突然の怒鳴り声に驚いて「まるで瞬間湯沸かし器だなあ」と呟いた。娘は気まずさもあってかその場を離れた。「ママ、怖いね」私が姉のほうに言うと「うん! いつもよく切れるよ」と答える。ずうっと、張り詰めていたからだろうか………。少し気まずさを残して娘と孫たちは帰っていった。

 そして夜遅く娘からメールがきた。ご馳走になったお礼と、怒りにまかせて雰囲気を壊したことを謝ってきた。そうだよ。いくら姉弟喧嘩が度を過ぎたとはいえ、あの怒り方はよくない。子どもたちも、パパもいない、ママも夜までいない寂しさを我慢して頑張ってきて甘えが出たのだろうから、もう少し優しく接してやってよ。そんな思いがあふれた。
「いいよいいよ、そんなこと気にしなくて。子育て中はどこも一緒だよ。みんな子どもを怒鳴り散らして、そうやって子どもは大きくなっていくからね。あなたは今、父親役と母親の両方やって、仕事も家事も大変だよね。あんまり無理しないで、自分を大事にね」と、思いとは違うことを返信した。説教じみたことは言わずに娘に寄り添った言葉を選んだ。

 私って成長したのかも。それにしても瞬間湯沸かし器は父親譲りだと思っている。
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八十路ストーマランナーの手記(463) ゆっくり前進している  文科系

2023年05月30日 08時02分01秒 | Weblog
 ストーマへの尿管が擦れるせいと言われている正常なものなのだそうだが、運動すると尿に血が混じる。ストーマとは人工の体外膀胱袋のことで、僕の場合は尿道拡張のためステントという管が入っていて、それと腎臓との間でそうなるようだ。それで、走るのが遠慮がちになる。が医者のラン許可は出ているし、走れるようになる魅力も大きくて走っている。一昨日も30分3.4キロ×2回で6.8キロを走った。ただし、5月上旬には最高スピードであった1時間のこの距離が、今はLSDになっている。というように、今の僕は着実に前進できている。

 26日には、こんな楽しいトレーニングもあったから、記しておきたい。近所に住んでいる中1になった女孫ハーちゃんと長距離散歩をやった。この辺では最も大きな愛知池まで車で出かけて、一周7.2キロを散歩した。二人でいろんなお喋りをしながらの散歩だった。愛知用水のため池という役割も果たしている所なのだが、周囲は昔通りらしい鬱蒼とした自然がそのままで、歩道を横切る狐も観たものだ。ハーちゃんでさえが「あっ、あれ狐でしょ?」と嬉しそうに叫んでいた。

 こんな風にランが好調だから、ギターの練習もよくできている。あと1か月に迫ったギター教室発表会もかってなく上手くいく予感がある。タレガの前奏曲11番と「エンディーチャとオレムス」、そしてモレノ・トローバの「トリーハ」という3曲を弾く。


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見えてきた、米覇権の揺らぎ  文科系

2023年05月29日 09時22分16秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 いろんな兆候で、標記のことを感じている。なによりもまず、凄まじい米国家累積赤字。15年に元国家会計検査院長、デイブ・ウォーカーが「正式発表の三倍」とすっぱ抜いたこともあったが、これは今さらに深刻になっているはずだ。米GDPの4倍は超えようが、日本の赤字がGDPの2.5倍程だから、その大きさが分かろうというもの。アフガン、イラクなどの膨大な戦費などが積み重なったもので、今これがさらに、米債務上限問題やドル威信低下で国家を揺らしている真っ最中である。現在は、ウクライナ戦争、経済・軍事ブロック化による世界通貨ドルの揺らぎによって、もっと促進されているはずなのだ。

 次いでG7の威信低下。すでに普通のマスコミにさえ「G7は時代遅れ」と表現され始めた。元々旧帝国主義白人国家に日本が加わっただけの組織に過ぎないのだが、対中国では仏独が独自言動を取り始め、ウクライナ戦争への態度でもきしみが現れている。ウクライナを対中国問題と結びつけようとする日米の動きに抵抗が始まっている。その抵抗がG7よりもずっと強くG20諸国から起こっていることが、今はとても重要と観る。

 広島サミットに呼ばれ「懐柔工作」を拒否したに等しいブラジル、インドネシアはもちろん、対米独歩を続けて来たトルコやインド、労働党政権になったオーストラリア、急な離米が始まったサウジ。これら全部がG20国なのであり、米との距離を大きく取り始めている。つまり、今注目のグローバルサウスがほとんどそうなのであって、一種の離米雪崩現象と言えなくもない。

 アメリカは、台湾問題での「対中戦争」などもう起こせないだろう。台中間には、ウクライナのような国境をめぐる積年の戦争状態などは存在しないし、米ドルの威信はますます下がっていくのだから。これに熱心なのはもう日英政府ぐらいのものというのは、何かどう言うか世界の珍現象になっていくのではないか。


 米中覇権問題で強硬論を説くロバート・ケーガンの対中外交論はもう駄目で、ポール・ケネディの論が実践されていくことを心から望むものである。
 ケーガンはこう述べた。
『国際的秩序は進化の産物ではなく、強制されるものである。一国のビジョンが他国のビジョンとの葛藤においての勝利に起因する。・・・現在の秩序は、それを是とし、その恩恵を蒙っている人たちが、それをとことんまで防衛する意思及び軍事能力があってのみ、存続できる』

 対して、「大国の興亡」のケネディは遠慮がちにやんわりと、こう述べる。
『西洋からアジアへの、権力の地殻の変動のような移行は逆行させにくい。しかし、米国議会およびホワイトハウスがもし合理的な政策を取れば、このような歴史的な転換期の浮き沈みの度合い、暴力の度合い、不愉快さの度合いをかなり軽減できる。私のような「斜陽主義説の輩」にとっても、まあ慰めになると思う』




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戦略的要塞都市・バフムート決戦の結末  文科系

2023年05月28日 00時49分12秒 | #ウクライナ戦争#マウリポリ陥落#アゾフ大隊
 CNNが22日、こんな見出しの記事を出している。『ウクライナ陸軍司令官、バフムートの大半は支配下にないと認める 2023.05.22 』

 CNNは、こう報告している。
『 ウクライナ陸軍の司令官は21日、ウクライナ軍が東部の激戦地バフムートの大半を支配していないと認めた。だが、同市を取り囲む態勢を維持しているという。
 司令官のオレクサンドル・シルスキー上級大将は軍メディアセンターを通じた声明で、「我々が支配しているのはバフムートのわずかな部分だが、その防衛の重要性は変わらない。それにより状況が変われば我々に同市に入る機会を得られ、それは必ず起きる」と述べた。
 シルスキー氏によると、ウクライナ軍はバフムート周辺に沿って進み、市の「戦術的包囲」に近づいているという。「状況は困難だが統制下にある」としている。
 ロシアの民間軍事会社ワグネルのトップ、エフゲニー・プリゴジン氏は20日、バフムートの完全掌握を宣言した。
 一方、ウクライナのゼレンスキー大統領や政府当局者はロシア側の主張を否定。ウクライナ軍は同市最西端の小さな地域を維持していると述べていた。
 CNNは戦地の状況を独自に検証できていない。』


 さて、バフムートを調べたら、去年の春から激戦が続いてきた東部交通要害の地。なぜこんなに長く持ったかというと、以下のようにドンパス地方全体を見張るべき「戦略的重要拠点」として、東部防衛の軍備万端を整えていた都市だったからである。以下はウィキペディアで調べたことだ。

 NATOの支援で全都市がコンクリート要塞化されて、武器・弾薬・ミサイル・戦車などの備蓄基地でもあって、地雷原、対戦車障害物などで堅固に守られていた要塞都市。現地司令官からはかなり前に撤退が要請されたが、ゼレンスキーが「死守せよ」と命じたところでもあった。ちなみに、ここが陥落しそうだから「5月反転攻勢」が鼓舞され続けていたのではなかったか。それが今では、この要塞の大部分にロシア兵が立て籠もり、ウクライナ兵がこの周辺を取り巻いて奪還の隙をうかがっていると司令官自身が語っているわけだ。「今度こそ春の攻勢を成功させる」と声明しつつのことである。できるのか?

 日本マスコミのアメリカ流大本営発表では、以上の決戦地状況の戦況はほとんど報じられていない。その上で「2014年時点での国境地処理に返るなど論外で、そんな和平案を受け入れるなど笑止」と論陣を張っているのだから、ウクライナ不利のままにその国民がどんどん死んでいくことにしかならない。今やほとんどの武器を提供しているアメリカの代理戦争をさせられているのである。日本もそんな報道ばかりをし続けていて良いのか?


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偏向したウクライナ報道  文科系

2023年05月27日 06時11分45秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 ウクライナ報道が急に少なくなったと思われないだろうか。明らかに理由のあることなのだと確信している。ウクライナが敗戦へと大きく傾いたからだ。そして、これまでウクライナ勝利に「偏向して」、「(米流)大本営発表」記事しか書いてこなかったからでもある。それが書けなくなってきたから、戦況記事が減った。

 こう観る理由はこんなものだ。
 大々的に喧伝されてきた「5月反転攻勢」に戦意高揚のための嘘があると観ていたが、事実嘘であったと証明されたのである。反転攻勢の最大焦点、決戦の地がバフムートであるとは、ウクライナ大統領自身が執着・声明してきたところであって、そこでウクライナが負けた。現地の撤退希望に対してゼレンスキーが「死守せよ」と命じたその土地を戦略的拠点とした「5月反転攻勢」に敗れた。ここを平定したロシアは、ワグネルが既に後方に退いて正規軍に入れ替わって、地雷の除去まで始めたのである。
 ちなみにバムフートはドンパスの交通要害。NATOの支援で全都市がコンクリート要塞化された武器・弾薬・ミサイル・戦車などの備蓄基地であり、地雷原、対戦車障害物などで堅固に守られている。

 偏向しない書き方もあるはずだ。双方の命を助けるために早く終わらせるとか、そのための事実を掻き集める客観的報道とかの視点もあるのではないか。ちなみに、元々ロシア人在住が8割とかの地域、「国土」よりも、ウクライナにとってさえ国民の命の方が遙かに大事なはずだし、「支配者が悪いロシア人はどんどん死ね」ともならぬはずだ。若者がどんどん死んでしまっては、国民の生活再建も難しくなっていくばかりだろう。ロシアがいかに悪いにせよ、一刻も早く停戦協定に入って欲しい。
 この点に関しては、明らかにアメリカは妨害者、これが主導する西欧よりもブラジル、トルコ、中国らの方に今はずっと大きく期待できそうだ。ただしドイツは、西欧にあるドイツ製戦車をウクライナに渡す最終許可をまだ出していない。中国貿易も含めて、独仏がアメリカとは一定の距離を置いているのは希望が見えることである。こんなニュースも今の日本にこそ必要なものなのではないか。下手をすると日中場面における日本が、ウ・ロ戦争のウクライナにされる可能性も大きいと見てきたからである。斜陽アメリカを止めるためなら何でもやると、アフガン、イラク、ウクライナで示されてきたとおりである。ウクライナ戦争の発端になった2014年マイダン暴力革命政変後のウクライナ政府人事。これをアメリカが決めていたとは、西欧政界では周知の事実である。


 追加部分  このエントリー掲載が6時過ぎ。今7時前現在、マイクロソフトビーイングのWeb検索画面に既に掲載・紹介されていることを確認できた。少なくともガセ記事ではないと認められたと解しておこう。僕にとっては、喜ばしいことである。

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掌編小説紹介 「宇宙からの伝言」   文科系

2023年05月26日 10時24分53秒 | 文芸作品
掌編小説紹介 宇宙からの伝言  S.Hさんの作品です


 旅館の湯殿から海が見える。
 ちょっと熱めの風呂からあがると汗がポタポタ落ちた。
 風呂場の入り口の反対側に小さな通路があり、扉を開けると海がひらけた。ここは知多半島の先端部分だからこの海は伊勢湾である。曇り空におりからのたそがれ。雲間から淡い夕日が漏れて海面に漂っている。
 ゴールデンウイークの最後の日に東京に住む孫一家を連れてここに来た。
 七十六歳、この歳月をかみしめながら波間を眺めている。海岸道路を少し歩いて突堤に辿り着いた。突堤に登り海の方へ少し進む。いつもは穏やかな湾であるが、突堤に上がると相当強い波がしらである。
 私はたそがれ、少しくすんだ海面に慈光がさしているのを眺めた。

 ここへ来る前日、昨日のことがふと浮かんだ。本来ならこの旅館に一緒に泊まるはずであった。いや、泊まってほしかった。娘夫婦とその孫である。
 その昨日の正午は或る料理屋の個室で、この旅に来た次男家族に加えて娘家族も一緒だった。娘は十歳の孫を頭に三人の孫を持つ。問題はその一番下の二歳児であった。次男も私も前々から聴かされてはいたが、重度の末期癌なのである。生まれて半年もたたない内から嘔吐に始まってやがて脳内に腫瘍があるのが見つかった。すぐに希少性小児癌と宣告された。あれから約二年間娘夫婦は、癌に侵され続けてきた小さくけなげな自分の娘の命と向き合ってきた。頭蓋骨を切り裂いて癌の除去手術。弱いながらも放射線治療。そのたびに入退院の繰り返し。挙句の果ては癌の全身転移でもはや手の施しようがないから自宅に帰り静かに暮らすように、主治医から言い渡されて現在に至っている。
 その子の名前は陽菜(ひな)という。娘に抱かれた陽菜は既に嚥下能力もないことから喉を切除し、そこから栄養剤の点滴の管を差し込んでいた。表情はぼんやりとしていた。黒目は真ん中に寄っていた。娘によれば脳の基底部に発生した癌細胞が脊髄にも転移しているらしい。多分もう聞く能力も衰退している。目が寄っているのは患部が視神経に当たっているからだという。笑う表情も消えた。表情を形成する神経も侵されているという。でも何となくわかるらしい。
〈陽菜ちゃんと顔を合わすのはこれが最後かもしれない〉
私は陽菜と会い、娘からそういう説明を受けた時、とっさに思った。その暗いジーンと胸を締め付ける想いから黙って戦っていた。そういう不安がよぎった。次男もそう思っているのかもしれない。
娘婿はもう二年以上介護休暇を取っていて陽菜の誕生日には介護休暇もなくなるという。とつとつと説明する彼の顔を正視するのはどうしても出来なかった。
 私にはそういう娘夫婦の必死さを、それにも増して包み込むような健気な表情がむしろ痛々しかった。笑顔すら交えて陽菜の様態を説明したり、痰を陽菜のか細い喉のチューブから吸い出す、娘のしぐさをじっと眺めながら胸が締め付けられた。
この二歳の子どもが直面している事態が娘夫婦の絆を固くしている。娘が母としてますます鍛えられ、ますます母となって行く。
私は敢えてそう考えようとしていた。年寄りの私が陽菜に付き添って看護できるはずもない、自分に出来ることはこれからも元気で子どもたちに心配させないことだと自分を納得させじっと娘の姿を眺めていた。

 昨日の想いからふと我に返り。海を眺めた。
 ハラハラと熱いものが頬を伝わり足元の砂に浸み込んでいった。地球誕生から繰り返していたであろう寄せては繰り返す波がしらが私の心に迫ってきた。
 いつしか夕暮れになっていた。対岸の三重県の街から薄ぼんやりと灯りが見えた。

 宇宙の彼方から、今は亡き妻や母のまなざしが私を包んでくれているような気がした。
               
(完)
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八十路ストーマランナーの手記(462) さー、これからだ!  文科系

2023年05月25日 10時24分51秒 | #ランナー
 12月30日の退院以降ジムに行ったのは、2月に速歩を主として9回、3月は身体に問題があって全休、4月以降昨日までで10回走ったことになる。間遠になっているのは、身体に負担が少ないような体力強化を階段往復などで別にやっているから。そして、ゆっくりゆっくりだが成果はちゃんと上がっている。昨日は75分で8.2キロ走った。この時速6.5キロ程度が今の僕のLSD(ロング、スロウ、ディスタンス走力強化法)なのだ。青山学院のランニング部でもこれが中心というあの練習法である。この程度のLSDが、翌日の今日ほぼ疲労を残さないから中1日で可能になったと、これが現在の僕の心肺強化法になっていく。これだと、当然故障もないことになる。

 筋力が付いてきたせいか、7.5~8キロ時(このスピードはまだまだ短距離しかできないが)でも脚のどこかに違和感が生じるということはなくなった。問題のストライドもかなり戻ってきたということだ。今後は、中に1~2日置いてのLSD走り込みになるのだが、身体の様子を見ながらだ。

 何度でも言うけれど、走れるようになると「物事への意欲」が違ってくると痛感している。ギター教室発表会に向けての練習も、同人誌作品への取り組み姿勢も、飲み会やランチ会などを含めて友人との付き合いなども。つまり、他人の目から見て大きな手術をやった人間とは見えないということで、これは皆にたびたびそう言われてきた。

 自分に言い聞かせるのだが、8キロ時で長く走れる程度には回復できると目論んでいる。ただし、クレアチニン数値が高いという意味で腎臓にちょっと問題があるし、オプチーボという免疫力を高める抗がん剤が血液に影響するということから、慎重に、様子を見ながらということなのだ。


 

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ブログ記事の評価?   文科系

2023年05月24日 09時02分21秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 僕のブログ友や、ブログを書いている皆さん、標記のこと(のようなこと)をマイクロソフトがやっていることを知っていますか。ご存知の方がほとんどかも知れませんが、念のために。

 それぞれのブログ記事題名を青転して「webで検索」をクリックすると「マイクロソフトビーイング」と名の付いた画面に替わって、関連記事がずらーっと紹介されてきます。紹介された記事はそれぞれ、クリックするとその記事画面そのものに転換、これが出てくるような形で。
 さて、普通のブログ記事もグーブログである限りはこのなかで紹介されています。が、実はここにマイクロソフトビーイングの掲載不掲載判断があるようです。というのは、こんな実験をしてみましたから分かったんです。
 自他のブログの「良い」と思った記事はほとんど載っていますから。というよりも「マーマー」と思ったらもう紹介されています。いくつかのブログ友の記事についてもこれをやってみましたから、先ず間違いない。特にその文章を僕が親しんで来た良いと思ったブログの記事はほとんど載っている。ブログにもマイクロソフトとしての信用度があるようです。僕が以下をよくやるのですが、例外があって、とても良い記事でも題名を変えた二重投稿のようなのは、落ちることが多いです。その場合は古い方がすぐ下にのせてあります。だから、ちゃんとチェックもされているわけだ。

 とこんなことを書くと、この僕の「マーマー」というその判断力が問題になりますが、一応の自信はあります。一応旧帝大の流れを組む大学一つの文学修士(哲学でとりました)で、とあるちっぽけな文芸同人誌の編集長を永年やってきて、いろんな文章批評に慣れているんです。評論のような論文も、文芸文にも。ちなみに、僕を編集長に任命した同人主宰は、元新聞社学芸部員でテレビ脚本などをよく書いていて、新聞社の方を早く辞めたプロの作家だった方です)
 そんなわけですから、近い内のいつか、マイクロソフトの「ブログ記事紹介の評価基準」のような物を書いてみたいと目論んでいます。

 なお、ここでついでに一言。グーブログ編集部に文句です。「いいね」とか「役立った」とかに編集画面では評価クリックが入っていても、実際画面にはそれが不掲載、反映されていないことが結構多い。何時間経ってもこれがあると分かったから、ミスではなく作為的なものなのかと思いました。としたら失礼だが、このことに関するかぎりでは、マイクロソフト(なのかグーグルなのか)が「検閲」をやっていることになる。


 後から追加です。この記事が掲載されたのが9時2分で、今10時7分現在、もうこの記事自身が「web検索」に掲載されていました。流石、「双方向」創造が望むところのようだと、そう申し上げておきましょう。
コメント (7)
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随筆  彼の「音楽」    文科系

2023年05月23日 11時28分05秒 | 文芸作品
 さっきからここを、彼は何度弾いていることか。今練習中のクラシックギター曲三つの第一曲目、その出だしの四分の二拍子のたった二小節を、今日もかれこれ三〇回は弾いたはずだ。悪い癖が付いているのにその発見が遅れて放置してきたというそのツケに対して、この一週間悪戦苦闘してきた。それでも直らないのは、彼のいくつかの悪癖が集中して衝かれる箇所だからだとようやく気付くという始末。左小指の形が悪くて押さえが甘くなって旋律音が死んでしまう。それを正そうとするとその小指移動が遅くなってリズムが乱れがちになる。加えるに、この旋律音を装飾する和音の低音を鳴らす右親指の振幅が大きすぎて、その爪部分が時に隣の弦に触り、いわゆるビビった音が出る。さらには、その装飾低音の消音を忘れていると発見する始末。よく響く装飾用の低音開放弦を装飾不要になった時点できちんと消さないと、次の旋律がきれいに聞こえないのである。あと二日の五月二四日で八二歳になる彼には、その曲のこの部分で三つも重なって気になる悪癖を治すのは至難の業なのである。この三つの小曲を選んだ今年の発表会は六月二五日、あと一か月に迫っている。
 
 退職後の六二歳にギター教室入門をした彼は、その当初から独特な教習方法をとらせてもらってきた。暗譜主義というやり方である。年取って習うのだから楽譜を見ながら弾くのではいつまでたっても「音楽」にならないだろうと考えて、好きな曲だけを選んだその最初から機械的に丸暗譜する作業に入っていく。六〇歳代には楽譜一ページをおよそ一週間で暗譜できたが、一曲を暗譜してから弾きこんで曲にしていくというやり方なのだ。すると、その時々の腕に余る相当難しい曲でも、中のあちこちに傷は残っていても、一応はこなせるようになっていくものだ。こうして、どうしても傷を治して上手く弾きたいと思った曲だけを選んで暗譜群としてキープしてきたのである。つまり月に数周りは弾きこむと決めた曲の群れなのだが、その中で「あれを落とし、新たに覚えたこれを入れ」と二十年やってきて、今は大小難易とりまぜて二四曲ほどになっている。こんなやり方で腕が上がってくれば、いつまでたってもとうてい無理だと昔に落とした曲でももう一度編入ということも起こるものだ。こういう暗譜曲群のうちのどれかが「ほぼ聞ける程度にはなっているな」と思えるようになったときに、これを仕上げて発表会で弾いてきたわけである。ただし、今年の三つの曲に限ってはすべて過去の発表会のどこかで弾いたものばかりになった。と言っても古いのは十年前、新しいのでも三年前に弾いたものだから、気づくのはギターの親友たちくらいのものだろう。それらを前よりも上手く弾いてやろうという構えなのである。

 クラシックギターは、ピアノの兄弟のような和音楽器としての楽しみ、楽しみ方がある。和音楽器というのは、旋律を(和音)伴奏で飾っていくという、いわば一人、一楽器で合奏していく楽しさを生み出してくれるものだ。ピアノは伴奏音を含めて最多十の音が同時に出せて、ギターはそれが六という違いがあるが、旋律の情感を伴奏和音でもって引き立たせていく楽しみは同じものだ。
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G7はほんとに、おかしいことだらけ   文科系

2023年05月21日 17時52分17秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 ほんとに、ウクライナ戦争へのG7をめぐってはおかしいことだらけだ。ウクライナへの軍事援助だけが戦争を続けさせているという事実を誰も見ていない。口は美しいが、G7はこう振る舞っているのだ。
「兵器はどんどん送るから、ロシアが音を上げるまでウクライナの若者はどんどん死んでくれ!」

 日本のマスコミも全くG7寄りで正体が見えた気がする。この戦争を懸命に仲裁しようとしているトルコは悪者、独裁者とだけに描いているし、ウクライナ支援決議で態度が「アイマイ以上」の百国近くを、中ロとの経済的利益だけで結びついているように描いてきた。アラブやグローバルサウスが、自然と以下のように考えているとは、ほんのちょっとも示して来なかったのである。

「ウクライナ戦争のロシアよりも、アフガン戦争、イラク戦争のアメリカの方が遙かに酷い。そんなアメリカが支配するG7の何が正義か? どうせ・・・・」

 そもそもこのグローバルサウスの中でもアメリカのお膝元中南米が反米左翼政権ばかりになっているのをG7諸国はどう考えるのか。南米のG20国・ブラジルはBRICS国だし、もう一つのG20国・アルゼンチンも近くここに加盟の方向だ! アメリカに物申せず、「経済的利益だけ」は、むしろG7の方じゃないのか?

 うがった見方を一つ。
「アメリカにもの申すと、クレディスイスのようなことを起こされる。あそこの最大株主はサウジアラビアだったはずだが、中国の仲裁でイランと仲直りしたサウジは、クレディの社債でどれだけ損した?」

 さらにもう一つ、何度でも言う。世界の経済・軍事ブロック化は人類史上いつも、相互が憎しみを投げかけあい、募らせあっていく体制として、世界戦争への一里塚ではなかったか。G7国唯一の非白人国家、日本が、G7を一種世界的・全人類的な組織と見せる役割を担っているだけに、その国民の1人としてことさら危惧するものである。G7って、日本を除いたら欧米圏だけで地球のほんの一部、ごく狭い白人だけの組織でしかない。 

 
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G7は、おかしい   文科系

2023年05月19日 05時41分21秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 今日から広島でG7首脳会議が開かれ、ウクライナ戦争が大きな議題になるはずだが、G7の今はちょっとおかしくないか。そういうごく素朴な疑問を呈してみたい。

 そもそも、世界のためとか、特に世界平和に向けてはとかの問題では、国連(のような存在)、その「発展」が不可欠のはずだ。さらには、この国連を発展させうる多国間主義討論の場としては、中ロやBRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)も加わったG20も存在している。
 今この二つを差し置いて、なぜこれほどG7が話題に上らねばならないのか。G7が今や、以下のように世界の緊張を高める存在になっているから、こんな疑問を持つのである。


 米中関係の今後に重大懸念がある現在の世界において、G7は米側だけの諸国で形成されている。その上で例えば、欧米の軍事組織NATOの連絡事務所なるものが近く日本にも置かれるのだそうだ。考えてみてほしい。中ロとかBRICS諸国とかの軍事組織があったとして、その連絡事務所がメキシコと言わぬまでも、ブラジル辺りに置かれたら、アメリカはどう感じ、どう反応するだろうかと。この一事を見るだけで、G7,NATOの傲岸不遜が分かる。
 さらに言えば、現在の国連は、例えばそのウクライナ戦争決議などを見ると、欧米側90、ロ中側40、中間60に別れるなどとも言われて来た。つまり、G7が国連の最重大問題において過半数国さえ握れないのである。つまり、欧米側の意見が国連で通っていかないからこそ、逆に国連軽視・G7独走が強行されているのではないのか。

 さて、G7は今やこのように、世界の軍事・経済について2ブロック(への分裂、対立)化を強力に推し進めているのである。それも、ロシアという国連常任理事国を先ず血祭りに上げ、「次には何を?」という勢いを示しつつのことだ。世界各国がそう感じるからこそ、ロシアの戦争犯罪を告発するという誰もが分かる国連ウクライナ決議において、過半数が難しかったりするのではないか。

 とこのようなG7独走を日本も先頭に立って世界に押し出しているわけだが、世界でこんな経済・軍事ブロック化を急に進めていけば、この行く末は世界戦争しかないではないか。あるいは、世界戦争の恐怖を使って、一国の運命にも関わるような何かの要求を相手側に押しつける暴力? 世界の経済・軍事ブロック化は人類史上いつも、相互が憎しみを投げかけあい、募らせあっていく体制として、世界戦争への一里塚ではなかったか。G7国唯一の非白人国家、日本が、G7を一種世界的・全人類的な組織と見せる役割を担っているだけに、その国民の1人としてことさら危惧するものである。G7って、日本を除いたら欧米圏だけで地球のほんの一部、ごく狭い白人だけの組織でしかない。

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米中争覇と日本の運命   文科系

2023年05月18日 10時35分19秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 左右の老人政治論がネットなどで盛んだが、僕が今最も気になっていることを書いてみたい。日本人の明日の生活のため、孫子のために「日本の運命を左右する最大問題」としてということだ。表題の問題は、ネットで盛んな右の論者には全く欠落しているものである。

 正しい知識は構造を成すといわれるが、これは日本の政経、国民生活を見、考える場合も同じことだ。「社会・世界全体をより根本的・長期的に規定する要因」と、短期規定にすぎぬ要因、その中間などがあるからである。そして人には、目前の「今とここ」はわかりやすいが、時空的に遠いものは学習も必要で知りにくい上に、人々も目前の困難対処に迫られる激動の時代では、なおさらこれは見えにくくなるからだ。こういう時の世界諸国の政治がまたさらに、選挙勝利に繋がる利権政治、ポピュリズム政治になっていくから、世界各国がともに、一種の悪循環に陥っていくものだ。

「現実的」と称される目の前の保守、わが国だけのことに目が行っていれば、いわゆるグローバリゼーション経済の本質、金融利益最大化方針資本主義も、米中争覇も見えてこない。が、このふたつは今や、日本の生活・世界全体の生活を、長く深く規定していく最大の要因になっている。それも大変悪い方向へ。ネットなどで政治を論ずる老人は、時間だけはあるのだからこれを論じないでどうすると、僕はずっと言いたかった。

 さて、米中争覇は、日本の政経、国民生活をめぐる最大問題になっていくだろう。同時にこの問題は、現行の新自由主義経済グローバリゼーションの最大原理・株主利益最大化方針を市民生活に即して改善していくのに不可欠な「タックスヘブンを使った脱税を止めさせる」や「金融取引税の世界的設定・拡大」などをめぐっても、これらを死守したい英米日が中国と対立するところだ。なぜなら、中国は自分のモノづくりを英米日金融に支配させないだろうからである。アメリカにこれができなければ、米中争覇は中国の勝ちだ。世界のモノ作りは中国にどんどん集まっていくのだから、その金をGAFAMらが奪えなければ、米世界覇権は敗北する。金融資本それ自身は富を生まず、株や為替で他人が生み出した富を取るだけだから。これが分かっているからこそ、コロナやウクライナ戦争というどさくさを口実にして、アメリカが世界経済のブロック化(と言う貿易保護主義)を強引に進めた来たわけである。

  こんな中でロシアのウクライナ侵攻がおこった。振り返れば二〇一四年、ウクライナ・マイダン暴力革命に端を発してすでに一万人が亡くなったと言われるウクライナ・ドンパス紛争によって、G8がロシアが追い出して、G7になった。以降のロシアはあからさまに中国よりになっていく。中ロが結びつけば、中国のアメリカに対する最大弱点・エネルギーも、エネルギー資源国ロシアの富も確保されるのである。将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。マイダン革命後のウクライナ政権人事がウクライナ駐在米大使らによって決められていたと言うニュースは、ヨーロッパには知れ渡っている。その狙いは、NATOを通じて親中ロシアを滅ぼすこと。ところがウクライナ戦争の後には、ロシア・ルーブルは全然下がっていないどころか上がっている。戦争以前一ドル七五ルーブルだったが、戦後一時一五〇ルーブルに下がって、六月末には五三ルーブルに上がりなおした。中国やインドがロシア原油などを超大幅に買いましたからだ。ロ・ウ戦争はこうして、ロシア制裁をめぐる世界経済のブロック化とともに、軍事ブロック化も進めているのである。日本を規定してきた金融株主グローバリゼーション時代が、世界史上ろくなことがなかった「ブロック経済」、「軍事ブロック」世界時代へと、ロ・ウ戦争によって幕開けたのであった。この経済・軍事ブロック化に関わって、ロ・ウ戦争で新たな事態がどんどん顕かになっている。

 ウクライナ戦争の対ロ制裁に賛成していない国がアジア、アフリカ、中南米などにも意外に多い。「アジア諸国の中国寄り情報」もどんどん入ってくるようになった。ちなみにここで、中国にインド、そしてG20国の一つインドネシアを加えると、将来世界の一般消費のどれだけ分になるかを考えてみればよい。世界最大のマーケットは中国圏の中と言えるのだ。アメリカは中印関係を裂こうと腐心し続けてきたが、インドはBRICS加盟を止めず、アメリカでなくロシアから大型ミサイル兵器をつい最近輸入した。さらには、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで形成するこのBRICSに、G20国の一つアルゼンチン、イランなどが加盟を申し出ている。同じくG20国の一つ、トルコも米ロ関係においては微妙な立場を取り、最近ロシアから高価なミサイルセットを買った。
 次に、そのインドネシアなども含めた東南アジア諸国はそういう中国に近づき、むしろアメリカには警戒している。そもそも東南アジアでウクライナ戦争に対する対ロ制裁に加わったのはシンガポールだけだったし、その多くが「日米以上に中国がパートナー」とふるまっている。むしろ「アセアンが団結して米中圧力を排し、中立の立場で」と繰り返してきたと、最近の新聞に報道されている。

 大国争覇の攻防史は常に血みどろだったとは、歴史学史上「トゥキディデスの罠」として知られたものだ。が、民主主義が発展した二〇世紀にはふたつの平和的な大国後退が生まれたと言われている。第二次世界大戦後に当時の大英帝国がその膨大な植民地をほぼ平和裏に手放し(覇権国の地位から降り)た。次いで、米ソ冷戦時代は、ゴルバチョフが「負けた」と手を挙げたことによって、ソ連邦解体までほぼ平和裏に進んだ。今アメリカが仕掛け始めた「中国相手の経済・軍事ブロック化」というチキンレースは、一体どういう進行、結末をもたらすのか。日本が今のまま金融利益最大化方針資本主義でアメリカについていけば、その対中覇権闘争の突撃部隊に押し上げられることは必至である。日本やその政治家諸個人は積年の対アメリカ重大弱点も握られていて、それらがいつでも脅迫手段になりうるだろう。傾きかけていく世界通貨ドル体制死守の目的で、日銀が行ってきた禁じ手「財政ファイナンス」や政府が先導してきた官製の「株バブル」がアメリカ金融によって衝かれることも、なおありうるだろう。それは、経済全盛期日本をどん底に突き落とした「一九九〇年代の日本住宅バブルの破裂」や東芝の今などを見てもわかることである。日本はトリプル安という形でいつでも捨て去られる国になっている。

 日本でノーベル経済学賞にもっとも近かった人物の一人、森嶋通夫は晩年の二十世紀末から、こう提言してきた。「日本はアジアにこそその将来を求めるべきだ」。日本の政治の貧困から「精神、金融、産業、教育の荒廃」が起こっていると。それを止める唯一つの救済策が東北アジア共同体であると。


(2022年7月26日の拙稿を改編、再度掲載)


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八十路ストーマランナーの手記(461)ストライド広げ中  文科系

2023年05月17日 03時29分47秒 | #ランナー
 ステージ2の癌のため膀胱全摘手術の長い入院前、僕のストライドは90センチ近かった。それが今年に入って復活の再出発時点では、50センチ台に落ちていた。90センチが60センチになれば、9キロ時ランが6キロ時になる理屈だ。ピッチ数が変わらなければのことだが、ピッチを上げるのはそれはそれで大変なのである。復活目指してきて体力もやっと付いてきたこととて、ここのところはストライドを広げる努力をしている。


 16日のジムでは、30分2回で3.6キロと3.3キロ、合計6.9キロになった。前半のウオームアップからの走行ではストライド広げに努め、後半はLSDである。ここのところ次第にスピードを上げてきて、7.5キロ時常用になんとか届くようになったが、この30分継続がまだまだきつい感じだ。

 今日のストライド広げは、30分走行の平均が75センチほどになっていたと思う。これのピッチ数はランニングウオッチに誤りがなければ1分150歩強ほど。これで計算した時速はやっと7キロ時というところだ。今日帰路について思ったことだが、当面の目標ピッチを僕のリズムである160歩になんとか持っていきたい。それで継続できる範囲のストライドを目指そうという目論みである。これで走り込んで心肺機能が上がっていけば、ストライドも自然にもっと上向いていけるのではないかと、そんな計画を立てていた。


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トルコ政治のが日本よりマシなのに?  文科系

2023年05月16日 05時30分29秒 | #ウクライナ戦争#マウリポリ陥落#アゾフ大隊
 トルコ大統領選挙について、日本マスコミの扱いがどうにもおかしいと思う。「酷い政権!」と描き、明らかに「エルドアン、負けろ!」という論調なのだ。敢えて言えばこれは、「G7に特有の偏った政治観」なのではないか。エルドアンは例えばウクライナ戦争について、誰もできなかった良いことを二つやっている。

・まず、マウリポリの製鉄所にこもったアゾフ大隊(ロシアが「ネオナチ」と呼んできた典型的な集団である。その初めは、米ロの軍隊会社のように私兵集団としてスタートしていた。どこから金が出ていたのか?)が壊滅させられたときに、実質人間の盾のようになっていた一般人らに「生還の道」を創ってみせた功績。
・次いで、ウクライナとロシアの農産物を黒海経由で積み荷として輸出させる道を作った功績。
・この二つの功績はともに国連の下で行われることになったのだが、国連介入があったからこそ現に起こったいくつかの妨害を廃して成功することができたのである。そして、国連をそこまで動かしたのが、このエルドアンだった。つまり、エルドアンがいなかったら、この二つは実現しなかった。そして、この二つともが悲しいことが多いウクライナ戦争下では、嬉しいという意味で非常にユニークな出来事ではなかったか。

 さて、こんなエルドアンが日本マスコミによってどうして悪人、悪政とだけ描かれるのだろう。G7や、トルコも属するEUとは違うユニークな動きがアメリカの気に入らぬという事、それに日本が迎合しているところから発しているだけのやり方ではないのか。ちなみに、この度のトルコ大統領選挙投票率は9割近く、そのほとんど50%をエルドアンが獲得しているのだ。投票率が5割で、そのうちの比較多数と言うだけの日本の自民党よりも遙かに国民の支持も厚いのである。普通選挙が民主主義の徴表だとすれば、日本よりもトルコのほうがはるかに民主主義度が高いと言える。ちなみに、国としてのこのトルコは歴史的成り立ちからして東西文化の交差点として文化度の高い国であった。確か世界の三大料理の一つはトルコ料理で、僕が旅行をした印象だが多様なスープがとても美味く、非常に親日の国である。

 最後になるが、このエルドアンについては、アメリカ在住のある宗教要人による政権打倒(未遂)という大事件が起こり、政治家とか軍人とかの多数の要人が逮捕されたと世界の話題になったことがあった。また、この国の悪評の一つ、超インフレも、過去に何回もこれが起こったアルゼンチンのそれと同じで、外交的に仕掛けられたものと僕は推察している。
 マスコミは、G7の視点からだけの「勧善懲悪報道」をやるべきではない。

 ここでおまけを一つ。「ブログ しんばし写真館」を推薦します。野鳥、昆虫などの素晴らしい写真を僕は長く観てきました。検索して覗いてみてください。


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米の〝新しい(世界)コンセンサス〟 文科系

2023年05月15日 05時54分50秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 冷戦終結以降の世界で30年以上続いたワシントン・コンセンサス、新自由主義経済世界(体制)を、アメリカが換えるのだそうだ。既に2019年8月に米主要企業経営者らの最大団体・ビジネスラウンドテーブルが、新自由主義経済最大の柱「株主利益最大化方針」を反省してその転換が必要だと内外に表明したものだが、その新たな形がこの度やっと現れて来たようだ。現代ビジネスが、米のサリバン大統領補佐官による4月20日のある講演内容を紹介しているが、その最も短い要約はまず、次のようなものだとのこと。なお、2019年の米経済界の大きな反省なるものは、当ブログ2019年8月21日に紹介してある。

『自由貿易や規制緩和による市場重視の経済政策から、補助金を使った産業政策への大転換を宣言した。これは「新しいワシントン・コンセンサス」と呼ばれている』

 さて、この新しいワシントン・コンセンサスとは一体何か。旧来のワシントン・コンセンサスの諸要素、「貿易自由化」「海外直接投資」「(各国)政府事業の民営化」「規制緩和」「各国家の財政規律の維持」などなどは以降どうなっていくのか。これら「ワシントン・コンセンサス」諸要素がこれまでの世界をどれだけ規定してきたかを思えば、アメリカのこの大転換は日本の明日を規定する最重要事項にもなっていく。

 サリバン大統領補佐官が唱えた「新しいワシントン・コンセンサス」の中身は、バイデン大統領が直面している4つの挑戦に応えるものなのだそうだ。①米国産業基盤の空洞化、②地政学的安全保障競争、③気候変動危機下のエネルギー改革、④不平等とそれによる民主主義への打撃。
 
 ①と②は、中国の挑戦によってもたらされたものと従来から吹聴されてきた。③と④とは、アメリカ自らが先頭に立って、日本や西欧、さらには搾取されたグローバルサウスを含めた世界に招いてしまったものである。

 これらを具体的に進める方向として上がっているのが、半導体製造をG7などに囲い込むこと、および、気候変動対策などを重点とした莫大な(国内)補助金ということだ

 なお、これらの方向に内外から批判が上がっていることも、現代ビジネスは紹介していた。貿易保護主義にはマクロン仏大統領やイギリス・マスコミなどが猛反発し、サマーズ元米財務長官もこんな批判をしていると言う。
『外国製品への関税を強めるのは、我々の生活水準や米製造業の生産性を下げるものだし、第二次大戦後の米伝統、多国間主義を放棄しているものでもあって、失望した』

 さてさて、この「新しいワシントン・コンセンサス」によって世界が長く、大きく変わっていくことは確かだろうが、日本保守政治陣営は、日本国民のためになるという意味でこれに正しく対処できるとは思えないのである。旧ワシントンコンセンサスをそのまま取り入れさせられた日本では、アジア通貨危機、住宅バブル破裂などを通して、中産階級がアメリカ以上に、ずっと前から没落していて、それによって50歳まで未婚男子が多くなって、それに対応した未婚女子、子なし女子も増えたのである。これによって、韓国と並んで一路小国化の道を辿ったのであった。


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