九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

日独悪玉論の中身   文科系

2017年01月29日 14時39分26秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
Unknown (Unknown)2017-01-28 13:36:19
 第二次大戦前後と限定してみても、日独を黒とし、連合国を白としているが、連合国側の悪(植民地支配など)を軽視しているのは明らかではないか!
日独が勝利していたら悪をなしていたはずという断定も(将来的な変化を認めない)勝手な仮定だしね。
ユダヤ=イスラエルのあり方を見ても、「善悪に揺れがある」という意見には賛成。

僕の白黒論 (文科系)2017-01-29 14:00:03
① 物事の白黒論で僕の場合は、「いつでも。全面的に悪」とかの論理はない。ある面を取り上げてその面からは、という論理しか使わない。また、相対的・総体的に良かったものも、悪くなることなどいくらでもあると考えている。

② 「第二次大戦白黒論」(12日付エントリーのこと)の場合では、人種差別一般の視点から、述べたのではない。ユダヤ、ロマ、身障者などを地上から抹殺してきたのがナチス。既にこれを大々的にやっていた国だから、勝利したらこれを続けると観るのが当然だろう。
 国民という言葉さえなかった「臣民」と天皇の国が作る「大東亜共栄圏」に、どのアジア人が暮らしたいと思うかとも述べた。大東亜共栄圏ができたら、「臣民」がいなくなって「国民」ができ、死刑も含む天皇への不敬罪はなくなったはずとでも言われるのかな? 大逆事件のようなことが無くなったと?

③ これらは、普通の人種差別一般には解消できない、それよりもはるかに酷い問題だろう。日本の場合、国民は主権者でなかったということだから、人種差別と言うよりももっと原始的な、民主主義の欠如という問題である。民主の民がいなくって「臣民」だけがいる国と、帝国憲法自身が謳っていたのである。そんな国との共栄圏をどのアジアの国が望んだかと述べたのである。

④ こういうことすべてを庇う論議など、今時見つかるわけがないと考える。右の人々の無知さ、無邪気さには呆れるばかりだ。それほどに「日本を庇いたい」という感情だけで凝り固まっているのだろう。お話にならない。
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「シリア・アメリカ」を巡る論議から  文科系

2017年01月29日 14時29分28秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 最近あったこれをご紹介します。

Unknown (Unknown)2017-01-18 21:17:58
 ケリー(米国務長官)「我々はアサド政権打倒のためイスラム国を強化した」…我々というのはオバマでありヒラリーですね。「アメリカはシリアのアサド政権を打倒するためにテロ組織ISISの結成を許可した」アメリカが悪だとすると、ロシアは善なのですか? そのあたりはっきり書いてください。

視点で換わる善悪 (文科系)2017-01-19 03:26:48
 善悪論議は単純ではない。善にも悪の側面が、悪にも善の側面が、大なり小なり存在するのが常だからだ。つまり、どの側面、基準を第一において評価、判断するかで、善悪論議の結論も換わってくる。こういう善悪理解を前提として論ずると、僕のこの場合はこうだ。

 国連にも認められたれっきとした独立国に他国が内乱工作を仕掛けるというのは悪である。シリアの場合は、武器供与、軍事訓練までをアメリカはやっている。こんなことが許可できるのは、現世界では国連関連だけだろう。
 独立国への内乱工作をしたというこの点で観て、アメリカをその国連無視とともに、僕は悪と述べたい。
 対するに、今のロシアは良い国とは思わないが、れっきとした独立国シリアの要請で内乱鎮圧に協力したということであるから、この面は悪に対する善と言って良いと思う。

 なお、これは全般的に米ロを悪善と述べたのではないと、念を押しておく。君のこういう論理はどうも、善者は全て善、悪者は全て悪というようにいつも述べているようだから。善悪(判断)とはそんなに単純に述べられることではない。

落ちたアメリカ (文科系)2017-01-27 20:11:43
 アメリカがここまで落ちたのは必然性がある。はじめは、親ソ連のアフガン政権に対して反政府軍を育成して、政権転覆に成功した。それが新アルカイダ政権であり、「暴力革命家」ビンラディンもここで生まれた。つまり、アメリカが元々のビンラディンを育てた。
 2001年に9/11が起こって、アフガンのアルカイダ政権がビンラディンを匿っているということから、アフガン戦争を始めた。原理主義が手なずけれられると思っていて裏切られたということなのだろうが、それにしても、自分が作った政権を今度は大金費やして潰さねばならぬとは、なんたるトロイ誤算、失敗。まーそれだけ、アメリカの醜さをアルカイダが知り、憎んでいたので、これ以外に方法もなかったのだろう。

 次に2003年、イラクを、嘘の理由をでっち上げて国連の制止を振り切って攻めて、潰した。恨み骨髄のフセイン政府軍残党がその後どんどんイスラム国に馳せ参じてきたとは有名な話。

 次いで2011年、シリアで反乱軍育成開始。この反乱軍は、ただ尻すぼみでちっとも成功しなくって、大きくなったのがイスラム国だけ。
 このイスラム国もまた実は、アメリカが育てていましたとは、そもそも一体アメリカは中東で何をやって来たのか! ここが戦乱になると、難民で欧州が分裂すると見越していたのであるか? 難民の多さは、シリア、アフガン、イラクの順である。

 これでは65兆ドルといわれる米国家累積赤字はもう必然であった。この国はこうして、今後落ちていくだけのはずだ。なんでこんな馬鹿な政策を採り続けてきたのだろうかと、そっちの方は不思議だ。

 しかりしこうして「毒をくらわば皿まで」よろしく、化け物トランプの出現。
 こうして、この国は完全に終わったと断言したい。泥舟からは降りることだ。「金さえあれば、女に何でもさせられる」何て言葉を吐いた大統領など、見たことも聞いたこともない。彼は事実身近な女性にそのように接してきたのだろうが、ロシアではこれが仇になったらしい。ということをニュースにしたマスコミは記者会見から名指しで締め出すとか。まー何とお品のよろしいことで・・・。 
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琉球新報より   らくせき 

2017年01月28日 10時15分09秒 | Weblog
【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)は26日、名護市辺野古の新基地建設や米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯建設への抗議行動で、威力業務妨害容疑などで逮捕・起訴され、長期勾留が続いている沖縄平和運動センター議長の山城博治さんの即時釈放を求める国際的なキャンペーンを始めた。賛同者に安倍晋三首相や西川克行検事総長に対し、山城さんの即時釈放や適切な医療提供、家族との面会など求める書簡などを送るよう呼び掛けている。

 思想信条を理由に拘禁された「良心の囚人」に山城さんを認定することも検討している。日本の人権意識が国際社会で問われる異例の事態となっている。
 アムネスティは悪性リンパ腫の治療を続ける山城さんの健康状態が悪化している点を指摘。裁判所が2月20日までの勾留期間を延長する可能性と、家族との面会が許されていない現状を問題視した。
 日本全国の刑事法研究者が「正当な理由のない拘禁であり、速やかに釈放されねばならない」との声明を発表したことも紹介。国際人権規約にある勾留は「合理性」や「必要性」「比例性」の有無で、勾留が妥当か検討しなければならないとし、国際人権法を順守するよう求めた。また日本政府は県民の強い反対にもかかわらず、米軍基地の建設を続けており、山城さんの逮捕は、抗議活動を萎縮させているとの見方を示した。
 アムネスティは「緊急行動」と題して(1)公判までの釈放を適用すべきでないと証明されない限り、即時に釈放(2)速やかに適切な医療提供、家族との面会を保証(3)表現の自由、平和的集会などの権利や拘禁者の人権を尊重-の3点を安倍首相や西川検事総長宛てに書簡やフェイスブック、短文投稿サイト「ツイッター」で求めるよう求めている。
 アムネスティが認定を検討している「良心の囚人」は、これまでミャンマー民主化指導者のアウン・サン・スー・チーさんらが認定されている。


(これは安倍政権がおこなっていること。非人道的な政権の特色がよく出ている。
これで共謀罪などが通ったら・・・・)












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中央日報より  らくせき

2017年01月28日 10時12分13秒 | Weblog
1993年に従軍慰安婦の強制性を認めた「河野談話」を発表した河野洋平氏が27日、日本政府による駐韓大使の一時帰国措置を批判した。

河野氏はこの日、共同通信が主催した講演会で「外交上どんな問題解決方法を持っているのか」と述べ、韓国に設置された慰安婦少女像に対する日本政府の対処は間違っていると皮肉った。

河野氏はまた。「帰れと言うことができず大使不在が続いている」と述べて駐韓大使の一時帰国措置がまねいた問題点を指摘した。

一方、日本政府が韓日通貨スワップ交渉を中断させたことに対しては「慰安婦問題を他の問題に拡大しないようにしようと言っているが、拡大させているのは日本」と批判した。

河野氏は官房長官在任当時の1993年、従軍慰安婦動員の強制性を認める談話を発表したことがある。河野氏は安倍晋三首相の慰安婦関連の立場について「人間性の問題と思う」と述べて批判してきた。
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山本太郎さんの国会質問   らくせき

2017年01月27日 08時57分42秒 | Weblog
自由党共同代表の山本太郎です。

先日、安倍総理が施政方針演説で、「ただ批判に明け暮れても何も生まれない。」とおっしゃりましたので、今日は批判ではなく、政権の今までのお仕事を肯定的に振り返り、褒め殺し気味に、希望の会・自由社民を代表し、総理に質問いたします。よろしくお願いします。

政治の使命は、この国に生きる人々の生命財産を守ること、そう考えます。安倍総理は誰のための政治を行っていらっしゃいますか?安倍総理はきっちりとお仕事をされております。庶民を犠牲にして大企業を儲けさせる。そのご活躍ぶり、歴代の総理大臣を見てもナンバーワンです。庶民から搾り取った税金で、庶民への再分配は最低限に抑え、真っ先に手当をするのは、選挙や権力基盤づくりでお世話になった経団連や大企業など資本家、高額納税者への御恩返し、とことんオイシイ減税、補助金メニューを提供。一方で派遣法を改悪し、働く人をコストとして切り捨てやすくするルール改正などを取り揃える。おかげで上場企業は、あのバブルの時よりも儲かり、過去最高益。一方で、中小零細企業の解散・休業は過去最高。見ているのは大口の支持者のみ。まさに大企業ファースト。これぞ額に汗を流す政治家の鏡ではないでしょうか?



子供の貧困問題を人々の善意・基金で解決しようというウルトラCは、安倍総理が薄情で指導者の器ではないのではなく、総理はただ興味がないだけなんです。今まで国会やメディアで取り上げられてきた厚労省の国民生活基礎調査ではなく、違うデータを持ち出して、総理は子供の貧困率は低下したと演説されました。持ち出したのは総務省の全国消費実態調査。この調査は、非常に面倒な作業を対象者に求めるもので、お金と時間に余裕がある人しか中々対応することができず、低所得者層の実態をしっかり反映しづらいという傾向があるといわれます。厚労省の国民生活基礎調査では、子供の貧困率は16.3%。今年、最新のものが発表される予定ですが、この調査でアベノミクス効果により子供の貧困率がどれくらい下がるのか、総理の予想値を聞かせて頂くとともに、今年、子供の貧困改善の数値目標をお答えください。

ここ数年、奨学金問題、非常に大きくなってきております。OECDなどの先進国グループの中で、教育にもっとも金を出さないドケチ国家の第二位が日本なんです。個人消費を引き上げる意味でも、少子化問題を改善する意味でも、奨学金という名のサラ金地獄から対象者を救い出す必要があるのは言うまでもありません。新たな奨学金国債を発行して借り換える、マイナス金利に合わせて過去の有利子奨学金をすべて無利子に転換するなどは、もちろんやりません。なぜ国が、サラ金のようなシステムで若い人々を苦しめるのか?奨学金の利息収入は、年間390億円ほど、奨学金の延滞金収入は年間40億円ほど。これらで金融機関を潤わし、取り立てを行う債権回収会社に対しても手堅い仕事を提供する。若い者たちの未来には投資をしない、企業の為だ、若いうちの苦労は買ってでもしろ。安倍総理の親心ではありませんか!

安倍政権になってからは、正規の雇用は36万人減って、非正規は167万人も増えています。ですが、安倍総理は以前、正規の雇用が増えたとおっしゃっていました。確かに、2015年、労働力調査を見てみると正規では前年比で26万人増えています。まさにこれこそが、アベノミクス効果ではないですか?この正社員26万人のうち25万人は介護福祉職、介護福祉職のうち福祉施設介護員は、全産業平均より月々11万円給料が安いんです。もちろん安倍総理はここにも改革を進めます。月額たった1万円ほど上げるそうです。現在、労災認定で一番多いのが心の病、その中で労災申請、過労自殺のトップが介護福祉職。現場の悲鳴は聞こえないふり、細かい中身は見ないで頂きたい、表側の数値だけで判断するんです。これこそがアベノミクスの神髄ではありませんか?

安倍晋三閣下は、行政府の長であるばかりか、立法府の長でもあるとご本人が宣言されました。司法の長になられるのも時間の問題ではないでしょうか?そのためにも現行憲法など守っていられませんし、守りもしません。当然です。不都合な真実、事実を声高に叫ぶ人間は邪魔です。オリンピックに向けて火事場泥棒的に治安立法を成立させます。安倍総理、オリンピックを成功させるためには、共謀罪が必要との趣旨の発言がありました。共謀罪をテロ等準備罪と名前を変えるようですが、テロ等準備罪の等、この等とはどういう意味ですか?テロ以外にも適用される余地を残す理由を教えてください。世界一安全な東京とアピールをしておきながら、たった数週間の体育祭を開催するのに、国民を監視し、密告制度で相互監視までさせ、相談しただけでアウトという、権力が思想信条の領域にまで足を踏み入れるとんでもない法律が必要な理由は何なんでしょうか?

東電原発事故による放射能汚染水問題について総理にお訊きします。ブエノスアイレスでのご発言、汚染水は0.3平方キロメートルの港湾内でブロックされている、これにお間違いはないでしょうか?海では潮の満ち引き、潮の流れなどがあり、港湾内の水がブロックされること自体があり得ません。八日間で99%、港湾内と港湾外の水は入れ替わります。大量の海水でゆっくりと希釈された結果、港湾外に出た汚染水の数値は低く見えるものの、垂れ流される汚染の総量に変わりはありません。去年はじめ、静岡県沼津市の漁港で水揚げされたアオザメから基準値の7倍ものセシウムが検出されました。汚染水の影響は明らかに海洋生物にも見られますが、みなさん、細かいことは気にしないで頂きたい。総理がブロックされているとおっしゃってるんですから、それを信じようじゃありませんか?お訊きします。最終的に東電原発事故の収束費用はトータルでいくらかかるとお考えになりますか?将来、もう一か所で原発の過酷事故が起きた場合、国の経済破綻は免れないと考えますが、いかがでしょうか?日本は火山国であり、地震大国です。それでも原発再稼働を進めて大丈夫だと言えますか?言い切れますか?お答えください。

福島東電原発の収束はその方法もなく、現在ではほぼ不可能、費用も今後、桁違いの額になることは容易に想像できます。事故原発の原因も究明しない、安全基準デタラメ、避難基準適当。原発が無くても電力は余っていますが、原発は再稼働します。海外に売りつけるため再稼働します。プルトニウムを持ち続けるため再稼働します。三菱、日立、東芝、鹿島建設、大林、大成、竹中、清水、IHI、富士電機、三井住友銀行、UFJ、などなど、原発に関係する企業の皆さん、安心してください。安倍政権は脱原発など絶対にやりません。安倍政権は、税金と電気料金を湯水のように使える発電方法はあきらめません。

首都圏直下型地震、30年以内にマグニチュード7で発生する確率、約70%。東南海地震、南海地震、30年以内、マグニチュード8~9で発生する確率、約60~70%。日本列島北から南まで、50の活火山が24時間体制で監視されていますが、火山噴火予知連絡会、こうおっしゃってる。「すべての噴火が前もってわかる訳ではない。我々の予知レベルはそんなもんだ。」とコメント。火山予測のプロでもほぼ予測不可能だそうです。

自動車事故、医療事故、過失であれば当然処罰されます。しかし、原発事故では、いまだ過失で処罰された者は、一人もいません。すべては、想定外という魔法の言葉で逃げるおつもりでしょう。次の事故が起きたとしても、安倍総理ならもっと上手に誤魔化せます。

皆さん、安倍総理を信じて、このバスに乗り込みましょう。次の停車駅は、地獄の一丁目一番地です。今回無理をして、批判は避けようと思いましたが、どう考えても無理です。総理、あなたがこの国の総理でいる限り、この国の未来はもちません。最後にお伺いします。総理、いつ、総理の座から降りて頂けるのでしょうか?教えてください。

以上をもちまして、私の代表質問を終わります。
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朝鮮日報より  らくせき

2017年01月26日 09時55分06秒 | Weblog
【ソウル聯合ニュース】旧日本軍の慰安婦問題を扱った著書「帝国の慰安婦」で慰安婦被害者の名誉を傷つけたとして在宅起訴された朴裕河(パク・ユハ)世宗大教授(日本語日本文学科)の判決公判で、ソウル東部地裁は25日、「学問の自由は憲法上保障された基本権」として無罪(求刑懲役3年)を言い渡した。

 朴氏は著書で慰安婦について「売春」「(旧)日本軍と同志的関係」などと記述し、日本による強制連行はなかったと虚偽を記したとして、慰安婦被害者の名誉を傷つけた罪に問われていた。


 地裁は「被告が著書で示した見解については批判と反論を提起でき、慰安婦強制動員の否定論者に悪用される副作用もあるが、あくまでも価値判断の問題のため、刑事の手続きで裁判所が遂行できる権限や能力を上回る」と宣告の理由を説明した。


 また、「公的な問題については表現の自由がより幅広く認められるべきで、名誉毀損(きそん)に対し厳しく審査するとする大法院(最高裁)の判例に照らすと、名誉毀損は認められない」として、「学問的な表現は正しいものだけでなく、間違ったものも守らなければならない」とした。


 その上で、「被告の見解に関する判断は学問の場や社会の場で専門家や市民が相互検証しながら論駁する過程で行われなければならない」として、「慰安婦の真実を明らかにし、(結論に)到達できる十分な能力がある」と述べた。


 地裁は検察が名誉を毀損する表現だと主張した35カ所中、「朝鮮人の慰安婦の中、自発的な意思があった慰安婦がいた」「(旧)日本軍は公式的には誘拐や強制連行により慰安婦にしてはいなかった」などとした5カ所は事実の摘示であり、30カ所は意見表明だと指摘した。


 事実の摘示とした5カ所に関しては、「『(旧)日本軍の公式指示や法令がなかった』とした表現はどう解釈しても被害者の社会的な価値を損ねる内容ではなく、『自発的な慰安婦がいる』との表現は名誉を毀損する事実の摘示になる」と説明した。ただ、「被告は少なければ1万5000人、多ければ32万人に達する慰安婦全体に関する記述をしたため、被害者を特定して名誉を毀損したとは見にくい」と述べた。


 朴氏は判決後、記者団に対し、「名判決だった」とした上で、「裁判官が正義ある判決を下し、感謝する」と語った。


 李容洙(イ・ヨンス)さんらの慰安婦被害者や市民団体関係者は地裁を訪れ、判決を傍聴した。


(名無しさんたちが、慰安婦は自発的だったと言い出しかねないので老婆心から)

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随筆紹介  「弁当男子」    文科系

2017年01月26日 08時04分26秒 | 文芸作品
  弁当男子  K・Kさんの作品です
 
 毎週日曜日に朝、息子夫婦の家へ煮物を届けて何年になるだろう。共働きの家族に少しでも役立てればと、夫が土曜日に作った肉じゃが、筑前煮、かぼちゃなど数種類を持って、車を一時間走らせる。息子家族の予定を邪魔しないように、九時ころ届けたらすぐに帰る。容器に移し替えている間に、六歳と四歳の孫娘たちと話をするくらいである。

 ある日、いつものように届けると、「助かるよ。今俺は弁当男子だから」、息子が言う。外で昼食を食べる所が少ないらしい。「朝、忙しいのに大変だね」私は気遣う。「前の日の残り物とこの煮物を入れるだけだよ」、気にもしていない。自分で詰めるのだと驚いたが、口には出さなかった。共働きの朝は忙しい。二人を保育園へ送り、そのまま出勤するので、八時前には四人一緒に出る。自分の事は自分でするのが当然と教えられる。

 煮物が役に立っているのが判り「作りがいがあるな」、夫も満足そうな顔。実はこのごろ「同じ煮物だし、有難迷惑かな」と、話をしていたところなのである。「明日、煮物を届けるよ」メールすると、「ありがとう。ついでに醤油とマヨネーズをお願いします」、返信があった。「スーパーみたいだな」、夫が苦笑い。面倒だなと思う時もあるけれど、息子家族の様子が判る安心感もある。「今回は薄味だったかな」、呟く夫の煮物を持って走る日々がずっと続きそうである。
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随筆紹介 「初笑い」  文科系

2017年01月25日 23時10分27秒 | 文芸作品
 初笑い   H・Sさんの作品です

一月二日夕方七時過ぎ、年賀状を出そうとポストの前に立った。年賀郵便物の投入口から突然軽快な音楽が鳴り出した。携帯電話の発信音だ。ええー……。ポストの中に携帯電話、何てことだ? 誰かがうっかり年賀状と一緒に投げ込んでしまったのだろう。着信音は、行方不明になった携帯電話を探すため、投げ込んだ当人が呼び出したのだろう。一分ほどで音は止まった。まさか、ポストのなかにあるとは思っていないだろう。その在処に速く気づいて欲しいものだ。私も、この人と同じように、うっかりによる失敗を繰り返しながら一日を送っているのが現状だ。

 こんな時間に年賀状を出しに来たのは、昼間外出時、ポストに入れるため手に持っていた年賀状を下駄箱の中に置き忘れ、帰宅したとき出し忘れたから。集配時間は明日十時三十分だが、今出しておかないとまた忘れる。ハンドバッグに葉書の束を入れポストに向かうために家を出た。家の前で、外出先から帰ってきたお向かいの苗子さんに出会った。苗子さんと私は、お喋り友達。いろんなことに挑戦活動をするので苗子さんは情報通の人だ。
「今年もよろしく、お喋りしようね」、挨拶を交わし、数分立ち話をした。「それじゃあ」と、苗子さんとさよならをして、私はポストに向かった。
年賀状を出し終えた後、携帯電話の着信音に気を取られた私は、ポストの前にしばらく佇んでいた。携帯電話がポストの中にありますよと伝えたくても誰のものかわからないので途方に暮れた。今日一日の私の予定は終了、帰るとするかと自宅の方に足を向けた。

 こちらに向かって急ぎ足で来る女の人がいる。暗がりだからはっきりしないが、苗子さんのようだ。やっぱり、苗子さんだった。
「携帯、ポストに入れちゃったみたい。息子の携帯で探知してるの」、別の携帯電話を見せた。「さっき、着信音が聞こえたよ」と、私。「ああ、やっぱり、ちょっと付き合ってくれない」、苗子さんが私に要望。またポストに戻って来た。苗子さんが発信した。ポストの中から着信音が響いた。携帯電話の在処を苗子さんは確信したが、どうしたら返してもらえるのか? 郵便局は祝日で休み。明日の集配時間前にここに来て張り込み、集配のおじさんから携帯電話を受け取るしか方法はないようだ。
「御神籤は大凶。地下鉄では足踏み外す。朝出し忘れた年賀状を帰りに出しておこうとして、携帯をポストに放り込んでしまう。正月早々いいことなし。先が思いやられる」と、苗子さんがこぼした。「貴女は、うっかり間違いをやっても気づくのが早い。私だったらそうはいかないよ」、返す私。お互いの顔を見た。今日一日の行動が似通っている。なんだかおかしくなって、どちらからともなく笑いが噴出してきた。これが私達の初笑いなのかとお互いに認識。余計おかしくなって大笑いしたが、自分のうっかりの集積がネタになるって、ちょっと寂しい気持ちも混じっていた。 

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内田樹の研究室より   らくせき

2017年01月25日 10時20分56秒 | Weblog
なぜトランプ政権のスタッフは嘘をつくのか?

Why Trump's staff is lying?
Bloomberg View 23 Jan 2017
by Taylor Cowen

というタイトルの記事が眼に止まったので、訳したみた。なかなか面白い。

発足したばかりのトランプ政権のもっとも際立った特徴の一つは嘘の政治的利用である。
先週話題になったのは、ドナルド・トランプの報道担当官ショーン・スパイサーが
「トランプは就任演説でアメリカ史上最多の聴衆を集めた」という明らかな虚偽を申し立てたことであった。
この事件をてがかりに、リーダーが自分の部下に嘘を言わせるとき、彼は何をしようとしているのかについて考えてみたい。

誰の目にも明らかなことは、この指導者が大衆をミスリードしようとしており、
彼の部下たちにも同じことをさせようとしているということである。
多くの市民は事後にファクト・チェックなどしないので、大衆をミスリードすることは別に難しいことではない。
というのは、表面的な説明であって、裏にはもっと深い事情がひそんでいる。

自分の部下に虚偽を言わせることによって、指導者は自分の部下たちの自立のための足場を
-それは彼らと大衆との関係の足場でもあるし、あるいはメディアや他の政権メンバーとの関係の足場でもある
-切り崩すことができる。
足場を失った人々はリーダーへの依存を強め、命令機構に対して単身では抵抗できなくなる。
嘘の連鎖を助長するというのは、指導者が自分の部下を信用しておらず、
また将来的にも信用するつもりがない場合に用いる古典的な戦術である。

嘘をつかせるもう一つの理由は経済学者が「忠誠心テスト」と呼ぶものである。
もしあなたがある人があなたに対して真に忠誠心を抱いているかどうかを知りたいと思ったら、
彼らに非常識なこと、愚劣なことを命じるといい。
彼らがそれに抵抗したら、それは彼らがあなたに心服していないということであるし、
いずれ支配者たちの派閥内部に疑惑を生み出す予兆でもある。
トランプが家族を重用するのはそのせいである。

この「忠誠心テスト」は、まだ部下の本性がわかっていない体制発足の初期において、
新しい雇用者に対してよく行われる。
トランプ大統領は別に複雑怪奇な策略を弄しているわけではない。
単にこれまでのビジネスとメディアでのキャリアを通じて有用と知った戦術をここでも繰り返しているに過ぎない。
トランプの支持者たちはこれまでの政権もさんざん嘘をついてきたと指摘しているが、これはその通りである。

嘘の種類がちょっと違うだけで、その通りである。
ただし、「嘘とは言えないが、本当でもない」ことというのはいろいろな形態をとるものである。
これには上層の形態と下層の形態の二つがある。

上層のは、大使や外交官が用いるものである。
大使たちはあとあと面倒を引き起こすのが嫌なので、反論される可能性のある、明白な嘘をつくことはしない。
しかし、もし大使が言った言葉をそのまま鵜呑みにしたら、それはあまりに無邪気である。
大使はふつう複数の聴衆に向かって同時に話す。彼がほんとうは何を言おうとしているのかを知るためには、
その話を複数の文脈に即して聴き分ける必要がある。
言葉を愚直に文字通りに解釈したりすると、言葉の意味をまったく取り違えることになる。
ほとんどの場合、大使たちは一目で知れるような真実は口にしないものだ。
これらの外交官たちの語る言葉は厳密には嘘ではない。
しかし、はっきりとした、生の真実とは間接的な関係しか持っていない。
大使たちや外交官たちがそのような言葉づかいをするのは、彼らが長期にわたって、
さまざまな相手とのデリケートな連携関係を維持できるように最大限の可動域を保とうとするからである。
トランプ政権がこのタイプの「嘘」(と言ってよいなら)を活用することも理屈の上ではありえない話ではない。
だが、この外交官的な嘘はトランプのスタイルではない。
それに、彼の支持者たちの多くは(そう考える理由がないわけではないが)、
彼を重大な真実を喜んで告げる人物だと見なしている。
トランプの敵対者たちはそのことを見落としてはならない。外交官的な嘘と大衆をミスディレクトする
多様な方法の間の社会学的な差異を見分けないならば、彼らはトランプの訴求力を過小評価し続けることになるだろうし、
またその独善性ゆえに彼ら自身が大衆からどれほど不信の目で見られているかをも過小評価することになるだろう。

トランプの専門は「下層の形態」である。もっと破廉恥な嘘、つまり明らかに「Xでない」場合に「Xだ」と言う
タイプの嘘である。
だが、これは実は権力の誇示なのである。メインストリームのメディアや政治的対抗勢力を断固として
無視するという意思表示なのである。
彼の嘘は単なる嘘以上のものとして理解されることを求めている。
一つには、多くのアメリカ人、とりわけトランプ支持者たちは、エスタブリッシュメントの口から出る
「リファインされた」嘘よりも、トランプのがさつな嘘の方をより快適に感じるということがある。

もう一つ理由がある。それは周縁にいる部外者にとっては、今さらトランプ連合に参加するためのハードルは高く、
政治的対抗者たちにとってトランプ陣営との結びつきなどは考えられもしない。
ということは、トランプ政権はあからさまな嘘をつくことを通じて、支持者たちに向かって、
他の陣営と通じる橋を焼き落とせという、忠誠心を試すシグナルを送っているのである。
この下層の嘘もまた短期的な戦略である。これらの嘘の多くはその場の使い捨てのものであり、
何が真実であるかがますますわかりにくくなっているという環境の下では、
そもそも何一つ長期にわたる信頼性など求められていないのである。
だからと言って、ひとたび私たちがトランプのさまざまな非行を責めることに飽き飽きして、
それを止めてしまったら、それこそ彼の思うつぼだということをわきまえておいた方がいい。

要するに、トランプ政権は自ら指名した閣僚たちも、彼の支持者たちもどちらも信用していないのである。
そして、この信頼の欠如がトランプ自身に向けられるような相互不信の状況を作り出しつつある。
これは何かを始めるというよりは、何かを終わらせるための戦略である。
だとすると、トランプ政権の最初の100日は破局に向かう日々だということになるだろう。


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「従米か愛国か」、孫崎享の2書の要約 ④   文科系

2017年01月21日 07時45分54秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 7 今後の日本に関わって

 ①孫崎享の提言

『アメリカに潰された政治家たち』の終章は『本当の「戦後」が終わるとき』となっている。そして、その最後のセクション4ページちょっとが『民意が変われば政治が変わる』と題されているから、これが孫崎の今の日本国際政治への望みなのだろう。以下は、そこから抜粋する。最初に言っておけば、外務省の国際情報局長を経て防衛大学教授だった人がこういう考えを持っているというのは、ちょっと嬉しいことと感じたものだ。

『私は1日も早く、1人でも多くの日本人が、アメリカに対する幻想を捨て、対米従属のくびきから逃れてほしい願っています 』
『 自主路線の政治家は再び現れるのでしょうか。いま、政治家に求められる条件とは以下のようなものだと思います。
 第一に、修羅場から逃げないことです。失うことを恐れないこと。今、政界を見渡して、「すべてを失ってもいいから勝負してやろうじゃないか」という政治家はいません。
 第二に、若い候補であることです。国民は古い政治家を見放しています。これは時代の流れです。若い世代の支持を獲得できる政治家が出てこない限り、風は吹きません。
 第三に、政策的に国民が求めている「原発再稼働反対」「消費増税反対」「TPP反対」を断固やる、という姿勢です。
 以上の条件を踏まえた上で、実現しないという前提であえて申し上げれば、小沢新党が森ゆうこ議員あたりを首相候補に掲げれば、国民的な風が吹く可能性があります。彼女はそれらの条件をすべて備えているからです 』

 読んでいるうちに、孫崎享が鳩山や小沢のブレインの1人のよう感じられないだろうか。

 ②僕の総体的感想──「アメリカは案外もろいのではないか」

 孫崎は、アメリカの日本への基本戦略をこう述べている。
『前章で述べたとおり、「在日米軍基地の削減」と「対中関係で先行すること」はアメリカの”虎の尾”です。これで怒らないはずがないのです 』
 この虎の尾2本の本質を、この根強さとか永続可能性とかを、そもそもどう捉えたらよいのだろうか。こんなものが一体なぜ、小沢への執拗な抹殺行動へと繋がるのか。普通に考えれば、産軍政複合体が、仮想敵国設定とかそれに向けての経済大国日本の軍事化とかを図って、その自己増殖を遂げていくことがこの虎の尾の動機だと見られよう。が僕は、それだけとはどうしても思えないのである。
 そもそもこれでは、冷戦後のアメリカの指導者たちが、こう考えていたことと合理的に合わないのである。「冷戦体制が終わった今、他国の軍事力などで怖いものはもう存在しない。本当に怖いのは、日本の(今は多分中国の)経済力である。これからは軍事産業から民需経済に変えるべきである」。そう、軍事力だけが強くても、経済が衰えたらその軍事力さえ維持できないのだ。当時そう語った一人が、ポール・ケネディ、「大国の興亡」。アメリカはなぜ民需に変わらなかったのか。この矛盾にこそ僕は、アメリカの不可思議、不条理を見る。経済力に武力で対抗したら、戦争ばかりしていなければならぬことになるのだし、経済の軍事化はやがて経済自身の停滞を呼ばずにはおかないだろう。今時、こんな政権、戦略に永続性があるわけはないだろうと言いたい。そして、この不条理をどうやったら説明できるかということに、僕は腐心してきた。そして、こんな結論に達した。
 アメリカの伝統的ワスプなどのエスタブリッシュメントが、その一方は産軍複合体へ、他の一方は現物経済より手っ取り早いファンドによる金転がしに走っただけなのだと。
 そこにさらに、こんなことも加わるのではないか。「アメリカ西部流マチズモ」。象徴的例示で言えば、全米ライフル協会。その精神がアメリカ議会を席巻しているようなものではないか。いくら銃による悲劇が起こっても、銃への愛着が捨てられない。あげくは「学校自体も銃で武装せよ。要員はわれわれが派遣する」などと言い出す。こういう一種の選民思想と相まって、「アメリカ西部流マチズモ」を他国にひけらかして、相手を押さえつけたような気になる優越感が手放せないのではないか。それだけエスタブリッシュメント2、3,4世が退廃しているのではないかと思いふけっていたものだ。

 定めた目的の実現には恐ろしく強くとも、人間の目的そのものを深くは考えられないとは、アメリカ生まれのプラグマティズム哲学の本質。今のアメリカは退廃し、かつばらばらになっていて、案外もろいと思わざるをえない。

(終わり)

 長く読んで下さった方、有り難うございました。この間4日のアクセスが160~190ほどになったのが嬉しかったことでした。
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新たな名なしさんへ『「慰安婦」「南京」の大状況』  文科系

2017年01月20日 09時13分26秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 新たな名なしさんが、また右流歴史論をここで振り回し始めた。「9条」の名を冠したここを始めてもう同じ論議を何度繰り返してきたことか。今回も、南京虐殺は2万人だなどと日中学者会議の日本学者側認定数字2万~20万人の最少数字をわざわざ上げられて、「南京の人口がこんなに少ないのに?!」といういつもの右流論理も臭わせつつ、例によって鬼の首でも取ったように。反論として先ず、以下の過去拙稿をあげておこう。 

【「慰安婦」「南京」の大状況を見る 文科系 2015年02月17日 |

 反米保守さんと今、この二つの問題が論議になっている。これらの論議でいつも思うある事を今日は書いてみたい。
「強制もなかったし、虐殺も通常の戦時ていどである」と右の方々が語る時、いつも或る事を忘れているような気がしていた、そのことを。慰安婦問題にしても南京虐殺にしても、それが起こった非常時の背景など、今の人には分かりにくい大状況のことである。裁判などでは事件の事実認定を徹底するが、同時に背景、動機なども同じくらい重要なものとなるはずだ。特に、植民地とか激戦時とかには、今の普通の感覚では分からないようなことが無数にあると思う。

 さて、こういう大状況を慰安婦問題では14日のエントリーにこう書かせて頂いた。
『③次いで、僕が最も力説してきたのはこのことだ。朝鮮は1873年征韓論・西郷隆盛の出兵騒動を経て1875年江華島事件以来東学教徒鎮圧など数々の皇軍暴力を経て、1910年に植民地にされた。その後はまたさらに、35年間植民地だった。その間日本への反乱、反抗行為は絶えず、女囚房も含めた政治犯刑務所なども「大盛況」であった。こういう国の女性が「任意の自由意思で売春婦になった」と植民地にした側の人間が現在語っているのだが、あまりにも違和感がある。1929年の世界大恐慌以降は、日本でも「娘売ります」があったことを考えれば、朝鮮半島では同じ事がもっと多かっただろうと十分に推察できるからだ。つまり、植民地宗主国が広義にはそういう事態を多く作ってきたとも言えるのである。政治犯として家の主などが殺された例なども数知れずだったのだから、少なくとも広義の強制は絶対にあったと言いたい。
 以上から、平時の「(保護者の意思も含めた)任意自由意思の売春婦」のように日本人が語るのは、道義的には全く許されないどころか、犯罪的行為とさえ思うものだ。ドイツが、占領したフランスに今ヘイトスピーチをやるのと同じ行為であるという事実を、少しは考えてみたらよい。』

 南京虐殺にはこんな大状況があったとは、歴史家たちも指摘する所である。
『 上海大攻防戦は37年8月(13日)に始まり11月(9日)にほぼ一段落した。その直後12月から翌年まで続いたのが、南京虐殺である。上海攻防戦自身が、揚子江沿いのすぐ上流にある首都南京防衛の為とも言えて、二つは切り離せないということ。
 こうしてここでは、南京の人口が急に増えた事が肝心だと言いたかったのが分からないのかな?』(拙コメントから、一部追加、修正)

 つまり、3ヶ月続いた大激戦から、揚子江沿い上流の南京に向かって潰走して行く南京政府軍と、それを追って先陣争いの日本軍という構図が存在した。なお、この上海と揚子江流域にはドイツ式の装備・訓練による最精鋭部隊30万の中央軍が配備され、上海戦への延べ中国軍投入兵力は70万といわれて、第一次大戦最激戦であったベルダン要塞戦にも例えられる激しさと聞いてきた。
 なお、南京政府軍15万は、12月12日夜から13日朝にかけて日本軍包囲網からの退却を図ったが、揚子江を渡れた将兵は極めて少なかったと言う。

 こういう大状況下の日本兵の心境、捕虜への態度などを、華中方面従軍作家石川達三はこう描いていたという。
『南京は敵の首都である。兵隊はそれが嬉しかった。常熟や無錫と違って南京を乗っとることは決定的な勝利を意味する』(岩波新書日本近現代史全10巻シリーズの第5巻、加藤陽子東京大学大学院人文社会系研究科教授著「満州事変から日中戦争へ」から)
『不十分な補給のままの追撃戦による鬱積、中国兵への蔑視の感情が日本側にはあった。作家の石川達三(北支の従軍記者だった)は兵士の感情をよく観察していた。「殊に兵隊の感情を苛立たせる原因となったものは、支那兵が追いつめられると軍服をすてて庶民の中にまぎれ込むという常套手段」。(中略)また、兵士たちは捕虜の取り扱いに窮した。石川は率直に「こういう追撃戦ではどの部隊も捕虜の始末に困るのであった」と書いていた。この混乱の渦中に南京事件は起きた』(同上書)

 なお、33年に陸軍歩兵学校が頒布した「対支那軍戦闘法の研究」には、こういう一文があるという事実も付記しておきたい。わざわざ、兵にこう教えていたのである。
『「支那人は戸籍法完全ならざるのみならず、特に兵員は浮浪者」が多いので、「仮にこれを殺害又は他の地方に放つも世間的に問題となること無し」と書かれていた(藤原彰『餓死した英霊たち』)。』(同上書)

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「従米か愛国か」、孫崎享の2書の要約 ③   文科系

2017年01月20日 08時58分23秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 5 対米自主派の消滅

 ②官僚(①は前回書いた)
 細川、福田、鳩山らの上記のように不思議な辞任には当然アメリカが関わっていよう。なんせ、90年代以降にCIAが扱う仕事の4割が国際経済問題なのであって、当時のその最大ターゲットが、以上に見てきたように日本だったのであるからだ。
 さて、政治家の次には、日本政治のシンクタンクと孫崎も呼ぶ官僚が狙われることになったということだ。強面の元駐日大使アマコストが90年代半ばにこう語っていると、孫崎は書く。
『「政治環境から見て、これまでより規制緩和がしやすくなったのに、現実の前進はまことに微々たるものである。その理由を求めるのはむずかしくない。最も巧妙かつ執拗な抵抗は、他ならぬ官僚機構によるものである。日本の経済と政治を牛耳ることを許している規制緩和制度を抜本的に変えようという動機は、官僚側にはほとんどない」』
 ここに1998年官僚制度の牙城大蔵省で有名な「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」が摘発され、官僚たたきの声がかってなく激しくなっていった。
『わずかに残っていたシンクタンクとしての官僚機構を崩壊させられた日本からは、国家戦略を考える組織が完全に消滅してしまったのです』

 ③マスコミ
 こういう官僚から日々レクチャーを受けているに等しいマスコミ政治記者などの自主派も、落日を迎えることになった。孫崎は自分自身の中央公論との関わりを一例に取って、これを説明するのだ。
『私は2003年、「中央公論」5月号に「『情報小国』脱出の道筋」と題した評論を書き、間接的な形でイラク戦争を批判しました』
『私は中公新書『日本外交 現場からの証言』で山本七平賞をいただいてから、中央公論社から毎年2~3本の論評を掲載しますといわれていたのです。しかし2003年5月の間接的な批判ですら受け入れられなかったのでしょう。このあと中央公論から論評の依頼はなくなりました』
「アメリカに潰された政治家たち」に3人の座談会が収められていて、そのうちのひとり高橋洋一は、こう語っている。大蔵官僚出身で、内閣参事官(総理補佐官補)をやった人物だ。
『政治家の対米追従路線の中で、霞ヶ関ではアメリカのいうことを聞く官僚グループが出世していく。彼らは自分たちの立場、利権を守るために、アメリカは何もいっていないのに「アメリカの意向」を持ち出す。とくに財政や金融に限っていうと、そうしたケースが非常に多い。霞ヶ関では財務省のポチができるとそれが増殖する。メディアもポチになって、ポチ体制が確立すればその中から出世する確率が高くなる。そうするとさらにポチ集団が膨らんでいくという構図です』

 なんのことはない。従米派増殖は出世が動機なのだ。そして、在任期間が長かった首相、吉田茂、池田勇人、小泉などを見ると、アメリカの支持がその最大要件であったように、アメリカこそ今の日本の権力者たちを作っていると、孫崎は述べているのである。


 6 小沢一郎の”油断”

 ①新政権発足直前の問題発言からたった7日で秘書の逮捕
 
 以下は、孫崎の「アメリカに潰された政治家たち」からの抜粋を中心として進むが、事の起こりは民主党新政権09年9月発足前の小沢の発言であったと言う。夏の総選挙を控えた2月24日、強気になっていた小沢は奈良県でこんなことを記者団に語ったのだ。
『 「米国もこの時代に前線に部隊を置いておく意味はあまりない。・・・極東におけるプレゼンスは第七艦隊で十分だ。あとは日本が自らの安全保障と極東での役割をしっかり担っていくことで話がつくと思う」・・・・この発言を、朝日、読売、毎日など新聞各紙は一斉に報じます。(中略 ここに、共同通信のアメリカ関係者の反発発言が細かく紹介されている)・・・発言から1か月も経っていない09年3月3日、小沢一郎の資金管理団体「陸山会」の会計責任者で公設秘書も務める大久保規と、西松建設社長の國澤幹雄ほかが、政治資金規正法違反で逮捕される事件が起きたのである。』
 僕は、こういうことが書ける所に、この著者のアンテナの鋭さを見たいと思う。「この発言は危ないぞ」という認識力が情報部門責任者を務めてきた人らしいと。ちなみに、僕がいままでも紹介してきた孫崎の持論「アメリカの虎の尾2本」のうちの一方を、小沢の発言が踏んだということになるのである。発言と秘書逮捕との間隔も、孫崎が言うように「発言から1か月も経っていない」どころか、たった7日目のことではないか。それも政権交代が噂された超微妙な時期の、次期首相を噂された人物の発言とその秘書逮捕となのである。

 さて今振り返れば、この発言と秘書逮捕によって民主党初代小沢内閣の目が消えたわけである。日本政界にとっては、新政権の話題性も相まって戦後ちょっとないような大変な出来事だったと言えるのではないか。問題の疑惑というのがまた、3年以上も前の話だ。まるで、彼のアラを見つけ出し、取っておいて、このときとばかりに告発すると、まるで首相の目をなくするための「予防拘禁」のようなものに見えないか。挙げ句の果てが、今日現在までずるずると小沢を引っ張り続けるなどあらゆる手を尽くしても、有罪にできなかったと言うおまけまでついた話である。米CIA得意の手法の一つなのであろうか。

 ②反撃に出た小沢
 
 孫崎はこう語り継いでいく。
『ここから小沢はアメリカに対して真っ向から反撃に出ます 』
 この反撃部分は全文抜粋しておく。外務省最高の情報責任者であった孫崎が「アメリカの2本の虎の尾」と見てきたものを相次いで踏み越えていこうとした小沢が、今の僕には痛快この上なく見えるからだ。
『鳩山と小沢は、政権発足とともに「東アジア共同体構想」を打ち出します。対米従属から脱却し、成長著しい東アジアに外交の軸足を移すことを堂々と宣言したのです。さらに、小沢は同年12月、民主党議員143名と一般参加者483名という大訪中団を引き連れて、中国の胡錦濤主席を訪問。宮内庁に働きかけて習近平副主席と天皇陛下の会見もセッティングしました。
 鳩山首相については次項で述べますが、沖縄の米軍基地を「最低でも県外」に移設することを宣言し、実行に移そうとします。
 しかし、前章で述べたとおり、「在日米軍基地の削減」と「対中関係で先行すること」はアメリカの”虎の尾”です。これで怒らないはずがないのです 』

 ③僕の感想

 僕の感想を少々。小沢は合理的なだけに考えすぎて、敵を見誤ったのだと思う。戦後半世紀の冷戦体制が終わってもこれまでの軍事力以上のものを世界に持ち続けているというアメリカの不条理な意図をば、普通の人間の判断力で解釈しすぎたと。僕にはそう思えて仕方ないのである。他方それに加えて、こんな気もする。
 田中角栄はアメリカ、ニクソン大統領にぎりぎり先駆けて日中国交回復をなしたことへの報復としてロッキード事件の憂き目を見た。彼の電撃的な日中国交回復とは、その寸前にこの動きを察知したキッシンジャー国務長官が他国政治家と同席の場所でものすごい呪いの言葉を発して罵倒したもの。このことは、いまやもう有名な話だ。小沢一郎は、師匠角栄のロッキード裁判を全部傍聴したたったひとりの国会議員である。そこで僕はこんな推察もする。小沢が若いころ、すでにこんな決意をしていたのではないかと。いつか力をつけて、日中友好をもっと進めて見せよう。それまではすべて我慢だ。そして47歳で自民党幹事長になった。「まだまだ早い」。50歳を超えた1993年にベストセラーになった「日本改造計画」を世に出しても、まったくアメリカの意向に沿う内容だけだった。そして、新政権確実となって、かつ冷戦後20年近くなったという勇み足から、アメリカの世界戦略をば常識的に判断しすぎたのではなかったか。さらに加えて、日本の検察がここまでアメリカに抱き込まれているとは、内部の者以外には決して分かることではなかったはずだ。孫崎も書いているように『西松建設事件・陸山会事件を担当した佐久間達哉・東京地検特捜部長(当時)も同様に、在米日本大使館の一等書記官として勤務しています』という事実があったとしても。

(続く)
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孫崎享の2書要約の目次   文科系

2017年01月19日 01時26分09秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 標記の記事が今日で2回目になります。あと何回か続きますが、全体の目次が分かると読みやすく、理解も進むもの。それをエントリーとして書いておきます。なお、表題の2書とは、「戦後史の正体」(12年8月刊)と「アメリカに潰された政治家たち」(12年9月刊)のことです。

 
1 前置き
2 冷戦後の米最大課題二つ
3 冷戦終了直後、日本こそアメリカ最大の脅威だった
4 アメリカの本音シフトと陽動作戦
5 対米自主派の消滅  ①歴代首相のこと ②官僚 ③マスコミ 
6 小沢一郎の‘油断’ ①新政権発足直後の「問題発言」から、秘書の逮捕 ②反撃に出た小沢 ③僕の感想
7 今後の日本に関わって  ①孫崎享の提言 ②僕の総体的感想


 なお、孫崎享とは、以下のような極めて興味深い人物。第一回目に紹介した経歴をここにも掲げておきましょう。
『孫崎享はこういう人物だ。43年生まれで外務省に入省し、ウズベキスタンやイランの大使を歴任し、外務省国際情報局長から、最後は防衛大学教授を務めていた。日本最高レベルの対外情報掌握者であって、かつ冷戦直後の93~96年にウズベキ大使を務めていたとなれば、冷戦後のアメリカ、その恥部などを最もよく知っている人物と言えるだろう。そういう人物が退職後の晩年に近くなって離米物を書くとすれば、これは一読の価値ありというものである』

 
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「従米か愛国か」、孫崎享の2書の要約②   文科系

2017年01月19日 01時18分17秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 3 冷戦終了直後、日本こそアメリカ最大の脅威だった

 このことについて孫崎は以下のような象徴的例などを挙げていく。今から見れば、当時の日本経済力は恐ろしく強かったということであろう。
 一つは、ニューヨークのロックフェラーセンタービルが89年に三菱地所に買収されたこと。そして、コロンビア・ピクチャーズがソニーに買収されたこと。当時のコロンビアは米国文化の華である映画会社において、ロックフェラーセンターと同様に名門中の名門であった。また米国産業の中心である自動車と鉄工業も日本に追い抜かれていたのだと、孫崎は解説を加えていく。

 併せて、孫崎のこの書にはこんな1991年の世論調査結果が記載されている。シカゴ外交評議会の「米国にとっての死活的脅威は何か」という以下四項目の選択調査である。「日本の経済力」、「中国の大国化」、「ソ連の軍事力」、「欧州の経済力」。この四つの順位が、一般人では多い方からこの通りで、60,40,33,30%となっているが、指導者層はちょっと違って、こうである。63,16,20,42%。つまり指導者層内部では、こんな結論になったと言えるのだ。これからのアメリカ、怖いのは他国の軍事力などではなく、その経済力の方がよほど怖い、と。軍事スパイ機関のはずのCIAが、以降経済スパイ機関の様相を強めていく背景はこんな所に求められると、孫崎は述べている。
 さて、こういう情勢認識からこそ、冷戦後の本音の方針が出てくるのである。

 4 アメリカの本音シフトと陽動作戦

 こうして、冷戦後のアメリカには、軍事力を半減したその力を経済に回し日本に対抗せよという意見も多かったということだ。が、結局は軍事力を維持増強し、世界の覇者となる道を選んだと、孫崎は述べていく。ちなみに孫崎は、当時検討されていたもう一方の別の道として、マクナマラ元国防長官のこんな上院予算委員会発言を紹介している。
『ソ連の脅威が減少したいま、3000億ドルの国防予算は半分に減らせる。この資金は経済の再構築に回せる』

 さて、軍事力維持強化の道を選んだとすると、経済的脅威・日本にはどう対していったのか。アメリカの片棒を担がせ、そこに金も使わせることによって日本経済を発展させないようにするという道なのである。「ならず者国家」と呼ばれたイラク、イラン、北朝鮮などと戦うべく、応分の負担をせよということなのであった。最初の例がこれ、91年に始まった湾岸戦争で日本が130億ドル負担してもなお「あまりにも遅すぎ、少なすぎ。人も血も、出せ」というようなものだ。この道は次いで、イラク戦争への協力、参戦へと繋がっていく。
 この後の20年、日本が先進国では唯一名目経済成長率がゼロとなった原因がここにあったのかと、僕などは改めて振り返っていた次第だ。

 なお、90年当時の日本の経済力をアメリカにとってこれほどの脅威と捉えていれば、今の中国はアメリカにとってもう怖くて堪らないはずだ。軍事増強の根拠として最大限に利用しつつあるのだろう。そしてその論理が、日本にも押しつけられることになる。日中間に波風が立つわけだ。アジア友好外交を進めた民主党政権や、新政権発足直後の小沢訪中団が憎まれたわけもここにあったのだろう。膨大な相対的貧困家庭数を抱えて、何とも不条理なアメリカだななどと、腹立ちを伴って思わざるを得ないのである。)

 5 対米自主派の消滅

 ①歴代首相のこと
 孫崎享「戦後史の正体」は端的に言えば、歴代首相を従米と自主派に分けて見せる作業と言って良い。同「アメリカに潰された政治家たち」は、題名の通りに潰された自主派を描き、併せて「戦後最大の対米追随政権」として野田内閣を描くことで終わっている。こういう書の中から僕は、自分の最大関心事項「冷戦以降」90年代からの米世界戦略転換をここまで読み込んできたと言える。
 さて、このアメリカ半世紀ぶりのこれほど不自然な世界戦略転換は、日本政財官マスコミ界などとも軋みを起こして、当然これを引きずり回すことになっていく。首相で言えば以降は、たった4人の自主派(側面)が出たというのがその軋みに当たるのだろう。クリントンと1対1を含めて何時間も『対等以上の態度で交渉』と書かれた宮沢喜一。『「日米同盟」よりも「多角的安全保障」を重視』したがゆえに『つぶすための工作』を仕掛けられたと、細川護煕。この細川は、佐川急便の借入金返済疑惑で辞任したのだった。ついで、福田康夫への表現はちょっと長くて、複雑なものだ。こんなふうに。なお彼の辞任も急すぎて何か不可解なものだったことは、僕もよく覚えている。
『福田康夫首相時代、米国はアフガニスタン戦争への自衛隊ヘリコプターの派遣を強行に要求しました。さらにその後、破綻することが確実な金融機関への巨額な融資を求めました。福田首相は辞任することによって、この要求を拒否したようです』
 この金融機関とはリーマンショック後のファニーメイのことなのであって、認めていれば数兆円の金をどぶに捨てることになっていたはずだと、孫崎は書いている。
 そして最後の自主派が、言わずと知れた普天間の鳩山由紀夫だが、これ以外、特に小泉前後からはもう、「従米」のオンパレードとされている。小渕、森、小泉、安倍、麻生、菅、野田。

(続く)
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「従米か愛国か」、孫崎享の2書の要約①   文科系

2017年01月18日 18時24分16秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
1 前置き

 このブログをやり出してからずっと、一つの疑問があった。近年の世界情勢認識において誰が考えても最大の問題のはずだが、50年ぶりの冷戦終結後もアメリカの軍事力はなぜ減っていかなかったのかという問いだ。なんせ、リーマンショク以降も、世界の恐慌状態やますます深刻になる貧困層対策を尻目に、冷戦時以上の軍事充実ぶりである。世界の不幸の大本のひとつと述べても良いのではないか。これは日本にとっても最大の政治情勢問題なのであって、ここの正しい認識を抜きにしては日本のどんな政治・経済、社会問題も何一つ正確には分析できないという性格を有していると考えていた。そこへ格好の著者の好著が出て来たから、すぐに買って、読み始めていた。孫崎享の「戦後史の正体」と「アメリカに潰された政治家たち」である。前者は12年8月、後者は9月の第一版第一刷発行である。悪書を読むのは人生最大の浪費と言うが、この著者と著作が僕の問題意識から言ってその正反対のものではないかと、まず示しておきたい。
 
 孫崎享はこういう人物だ。43年生まれで外務省に入省し、ウズベキスタンやイランの大使を歴任し、国際情報局長から、最後は防衛大学教授を務めていた。日本最高レベルの情報掌握者であって、かつ冷戦直後の93~96年にウズベキ大使を務めていたとなれば、冷戦後のアメリカ、その恥部などを最もよく知っている人物と言えるだろう。そういう人物が退職後の晩年に近くなって反米物を書くとすれば、これは一読の価値ありというものである。この2冊の本をしばらく紹介していきたい。

2 冷戦後の米最大課題二つ

 はじめに、冷戦後のアメリカと、その対日政策の始まりの部分を見てみる。以下『 』は、僕のエントリーでいつものように著作の抜粋だ。「戦後史の正体」第6章「冷戦終結と米国の変容」からとったものである。

 孫崎はこの章の書き出し近くで、こんな文章を引用している。後のアメリカ統合参謀本部議長コリン・パウエルが、議長就任の前年1988年春にソ連のゴルバチョフから打ち明けられた話なのである。
『「1988年春、ゴルバチョフは私に『将来私は冷戦を終わらせるつもりだ。あなたは新しい敵を探さなければならない』と述べた。『信じられない。しかし彼は本気だ』私は口にこそ出さなかったがこう思ったものである」(中略)
 米軍がこれまで維持してきた膨大な兵士や兵器は不要になります。ソ連を仮想敵国として作られてきた軍事戦略も意味のないものになります』
『こうした状況のなかで米国が考えるべきことは次のふたつです。ひとつは「ソ連が崩壊したあとも、われわれは強大な軍事力を維持する必要があるだろうか。もし維持しようとした場合、国民の支持が得られるだろうか」という問題です。もうひとつは「日本の経済力にどうやって対抗するか」という問題です』

 終戦直後の日本の戦後方向を、アメリカ、占領軍が途中から転換させ始めたというのは有名な話である。足腰立たぬように押さえつける方向から、冷戦に対して活用していこうと。そのためにこそ、天皇を中心とした戦前からの種々の体質なども、一定温存し始めたのであった。これは、戦後史の定説になっているはずだ。その時以来の、日本の方向転換が冷戦終結によってなされ始めたと、そういうことなのである。どんなふうにして?  


(続く ここへの初出13年1月3日。その再掲です。5回程に分けて続けます。)
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