九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

「日本サッカー・希望の星」とザック監督など(26) 脅威の「ワンタッチゴーラー」 文科系

2010年12月31日 11時56分53秒 | スポーツ
 週刊サッカーダイジェスト最新号に面白い記事があったので、ご紹介しょう。題して「ふたりの得点王を丸裸にする」。言うまでもなく、今期得点王を分け合った前田とケネディの比較であって、非常に読み応えがあった。一言で言えば「なるほど・ざ・2年連続得点王!」。
 93年からJリーグが始まって18年で得点王延べ19人のうち、日本人得点王は延べ7人しかいない。また、外国籍選手を含めても2回取った人物は2人しかいない。98年、00年の中山雅史と、前田だけだ。こうして、日本人得点王延べ7回のうち、4回をこの2人で分け合っているということになる。また、この2人には密接な関係があって、前田のジュビロ磐田加入当時の大エースが中山。当然、前田は中山を見て育ったはずだ。不器用な中山と、器用すぎる前田。全く似ていないような2人だが実は、ストライカーとして最も大切な点が同じなのである。
 なお、前田以前の最後の日本人得点王も、02年のジュビロ磐田・原直泰である。これも中山の影響か、はたまた、当時Jリーグ史上最高チームと言われたそのチーム力の結果なのか。
 いずれにしてもこの前田の偉業! サッカーファンがもっともっと沸き立っても良いはずだと思う。彼を代表に据えたザッケローニ監督の目は、流石だという他はない。ここで何度も述べたことだが、Jリーグを見渡した後に、ザックはこんな事を語っている。
「日本は得点力が問題だと言われているらしいが、よいFWも見つけることが出来た。彼らが自分の能力に気付いていないのには驚くが」
 個人への言及は控えるザックだから誰のことなのか明かされていないのだが、前田、岡崎がその筆頭であることは明白であろう。彼の目からは世界トップ水準に見える、それほどの能力なのだと思う。

 さて、この記事の面白いところは、それぞれの計17得点のデータを以下のように4分類している点だ。
1 「左右の足、頭、どこで得点したか」」
2 「ゲームを15分ごとに分けて、どの時間帯で得点したか」
3 「ペナルティーエリア内外のどこで得点し、それぞれの決定率は?」
4 「クロス合わせ、こぼれ球押し込み、PK、ドリブルシュート、セットプレーなど、得点組織形態から見る」

 シュート力、ヘッド得点などの比較
 双方のシュート力を比べてみよう。
 先ず総数が前田70本のケネディ87本。流石優勝チームのエース、ケネディと言ったところだが、これでゴール数が同じということは、決定率で前田に軍配が上がる。前田24.3%、ケネディ19.5%。同様に枠内シュート率も、52.9%と40.2%となり、断然前田の方が正確と言える。
 例えばヘッド得点は、誰でもケネディの方が多いと思うだろう。194センチの彼に対して、前田は183センチなのだ。また、グランパスが「ケネディの頭狙い」をチーム戦術に採用しているのは有名な話でもある。が、前田9ゴール(前田の全ゴールのうち53%)、ケネディ8ゴール(ケネディの全ゴールのうち47%)なのだ。前田のヘッド技術が極めて高いということだろう。
 左右両足比率は、前田が5:3、ケネディ2:7だ。これは、前田の器用さが示されていると言える。
 こうして、ことシュート力ということに限っては、完全に前田が上だと言えよう。ただしこれは、チームへの総合的貢献力ということではないとお断わりしておかなければ、グランパスファンや玉田圭司からお小言が出るだろう。ケネディは闘莉王とならんで、グランパス優勝の立役者なのだから。

 脅威の「ワンタッチゴーラー」
 これだけシュート力が高い前田なのに、不思議な数字がある。ペナルティーエリア外でたまにシュートを打つと入る確率が高くなるケネディに対して、前田は外からの得点ゼロなのだ。中へ入り込んで得点する名手ということだろう。ケネディが1点の「こぼれ球」得点が、前田は4など、前田の17得点中13得点がワンタッチ得点なのである。ダイジェストの結びの言葉にこうあった。
『17ゴールのすべてをエリア内で決め、その内13ゴールをワンタッチで叩き込んだ。中山雅史を彷彿させる”ワンタッチゴーラー”として、ひとつのスタイルを確立させた』
 ゴール時間帯では、最後30分の前田の得点力が光る。前田6点に対して、ケネディ3点である。大評判になっている「チーム1無尽蔵に走る前田」の面目躍如と言えよう。誰よりも最後までゴール周辺を走り回って同点または逆転に貢献してチームを救ってきた「大エース」ということでもあろう。

 2人の証言
 最後に前回も書いた、二つの証言をご紹介する。この証言も含めて、11月10日のこの連載第22回もまた前田遼一のことを書いているので、そちらをも参照されるなら幸いだ。
【 読んだものからいろいろ抜き出してみる。先ず初めは、本年ナビスコカップ決勝戦直前に、サンフレッチェ広島の敵将・ペトロビッチ監督が語ったこと。サッカーダイジェスト最新号からの転載である。
『前田を90分間、抑え切るのは難しい。むしろ、我々は3点取って、彼に2点取られても勝つ。それが広島のサッカーだし、ベストな回答だろう』
 次に、同じこの決勝戦を終えた後の、磐田の柳下監督。出典は同じである。
『コーチ陣と一緒に驚いていた。前田は凄いなと。チームのためにもプレーをしてくれるストライカー。今日は90分を過ぎてから、また一段とあいつの凄さが出たのではないか。もしかしたら、まだできるのではないか。それぐらい今日の前田は本当に凄かった』 】
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ニューヨークタイムズも「小沢国策捜査」と  文科系

2010年12月31日 09時47分43秒 | 国内政治・経済・社会問題

 ここに、米ニューヨークタイムズの東京支局長である記者が、「小沢潰しは、官僚マスコミ連合軍による国策捜査である」旨の記事を書いていました。それも既に、民主党政権発足前の去年5月に書いていたのだから、驚きです。この国策捜査、その後はもっともっと執拗にだらだらと続いています。この動向が、民主党マニュフェストの勢いを弱める方向に働いていることも明らか。
 既に、裁判で決着がついた事件であって、推定無罪よりももっとハッキリした無罪になっている事件です。第五検察審査会なるものをめぐっても、怪しげな動きばかりで、それこそ情報公開して欲しいものと思わざるを得ません。
 こういう記事が、日本の大新聞には載らないことの方が、僕には不思議で仕方ありませんでした。ニューヨークタイムズは、日本記者クラブ権益の外にある、言わば「同等以上のお客様」。自由に書けるのでしょうね。これもアシュラ・サイトに紹介されていたものです。


【 スキャンダル報道で、メディアは情報を流すだけ
  マーティン・フェックラー (By MARTIN FACKLER) 2009年5月28日

  東京検察官が3月に次期総理候補の野党党首小沢一郎の秘書を逮捕したとき、次期選挙で敗北するのが確実視されていた自由民主党 を延命させるかのごとく、民主党にダメージを与えるスキャンダルを誘発させた。多くの日本人が権力の不正行使に抗議したが、大手新聞社やテレビの報道が国民の真の声を覆い隠してしまった。
その代わりに、メディアはほとんど建設会社から野党党首、小沢一郎に渡った違法献金についての検察からのリークに薄くベールをかけた匿名による証言の流れを次から次へと額面どおりに垂れ流した。このような否定的な報道が何週間か続いた後、小沢氏は、民主党の代表を辞任した。

小沢氏の辞任は又、さまざまな検察への批判を引き起こした。政治関係者や、普段はめったに公で検察のやり方を批判しない一部の元検察官からさえも批判の声があがった。検察への苦情は、政治的干渉を責めたものから、検察官が単に逮捕のタイミングに配慮が欠けていたことを批判するものまで広範囲にわたった。
しかし、警告として、学者や元検察官らは、検察の情報をこの事件の答えとして流すニュース・メディアの失敗を指摘した。特に、国が半世紀にわたる自民党政治から二大政党制に変わろうとしている日本の民主主義にとって大切なときに、このようなことが行われるとは。
京都大学で国際政治学を教えている保守派学者の中西輝政教授は、「マスメディアは、何が危うくなっているのか、人々に告げるのに失敗した。それは、日本が政府を変えて、政治的閉塞感を打ち破る最高のチャンスを逃そうとしているということだ。それも、国民が全く気づかないうちに」と語った。

今回の逮捕は、有権者の間にベテランの政治的なボスである小沢氏が、政権交代を切望していた自民党に比べて、少しもきれいでなかったのではないかという恐れを確認させることになった。又、それは、9月初旬までに実施されなければならない選挙に先駆けて、一時的に野党を脱線させたように見えた。世論調査での民主党の支持率も下がった。だが、その支持率は、スタンフォードで教育を受けたエンジニアの鳩山由起夫新代表が今月、代表選で選出された後、わずかにはね返った。

確かに新聞は検察を非難する意見も一部載せたが、日本のジャーナリストは彼らの報道が小沢氏にとっては厳しく、検察の捜査に対しては一般に好意的だったことを認めている。しかし、彼らは、ちょうど検察の言いなりになったり、リークされた情報を繰り返し報道しているのではないかという指摘に憤慨する。
ザ・ニューヨーク・タイムズが日本の大手新聞社である朝日新聞に質問したところ、「朝日新聞は検察のリークをそのまま記事にすることは決してありえない。」という返事が書面で届いた。
しかし、ジャーナリストは、報道が、過去にも何度も問われた日本のニュース・メディアの独立性についての問題を認めている。日本の大手報道機関は、国家権力と親密でありすぎることを長い間問題視されてきた。
実際、学者たちは小沢事件の報道のおかげで、例えば、因習打破主義的なインターネット起業家堀江貴文のような、少し前にあえて新しい会社の設立に挑んで逮捕された人々を肯定的に報道することにもつながっていると言う。
上智大学でジャーナリズムの教鞭をとる田島康彦教授は、「ニュース・メディアは権力の監視者であるべきだが、彼らはむしろ、権力の番犬のように振舞っている」と述べた。

米国でも、どこでも、ニュースメディアは政府に近すぎるとの似たような批判に直面しているが、問題は日本でより大きなものとなっている。政府との居心地のいい絆が、「記者クラブ」という仕組みをつくり、一般に、大手メディアのメンバーだけが出入りできるようになっている。
このシステムが、大手報道機関に政府報道を鵜呑みにした記事をかかせることにつながると、長い間批判されている。ジャーナリスト達は、「記者クラブ」にかかわらず、独立性を保っているといっているが、情報へのアクセスを失うことを脅しに、時々、政府寄りの記事を強制して書かせられているとも言われている。
先月、日本の大きな全国紙に比べて小さな日刊紙であるが、しばしば全国紙より政府に批判的である報道で知られている東京新聞 は、小沢氏に献金した同じ会社から寄付を受け取った与党議員についての調査の記事を載せた後、3週間、東京検察官と話すのを禁止された。
東京新聞によれば、単に検察が公表されることを望まなかった何かを報道したことが理由で罰されたと伝えた。「検察官に逆らうことは、最後のメディアタブーのうちの1つ」と、東京検察官の記者クラブの新聞担当報道長官、瀬口晴義は言った。
チェックの働きを怠ったニュースメディアは、検察が説明することなく自由に行動するのを許した、と野党社会民主党衆院議員の保坂展人議員は語った。保坂議員は、今回の検察による調査について、彼のブログ で広範囲にわたって書いている。
保坂展人氏は「小沢氏がターゲットとなったのは、民主党が検察庁を含む官僚機構の簡素化をスローガンに掲げていたからだ」と信じていると述べた。(東京地方検察署は、タイムズが記者クラブのメンバーでないことを理由にインタビューの申し出を断った。)

日本のジャーナリストは、日本の次の首相になる予定だった男について、国民が知る必要があったという理由を挙げて、小沢氏に対するネガティブ・キャンペーンに的を絞り続けた。そして又、ジャーナリストは、リポーターの間では、彼らが調査の焦点である人々についてスクープを得るとより多くの料金をもらえるために、小沢氏についてより多くの記事が書かれたと言う。
「我々がスキャンダルについて書けるだけ書く競争が始まった」と朝日新聞の東京地方検察署担当者、市田嵩氏は語った。しかし、このことは、西松建設が自由党民主党の議員に献金したことに関して深く調査したのが、なぜ非常に限られた記者だけだったのかという説明にはならない。
答えは、ほとんどの日本人記者が承知しているように、検察の言うとおりに書くほうが、独自の記事を書くことによって検察を怒らせるという危険を冒すことより簡単だったからだ。

ニュースメディアは、小沢氏に関する調査についての記事に見られるように、無慈悲に協力しあうので、以前はそんな報道から利益を得ていた元検察官らさえそんなメディアを批判し始めた。
「私が検察官だったときは気分がよかった。」と36年間検察官を勤めて、今は退職している宗像紀夫氏は言った。「でも、今は1人の市民として、騙されたように感じる。」 】
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核保有は道徳的行為である?  らくせき

2010年12月30日 13時37分28秒 | Weblog
核保有は道徳的行為である。

今日の『正論』の広告・キャッチコピーです。
田母神さんのコトバです。

多分、核武装といいたかったのでしょうが、
そこは自制したのかな?

         

田母神さんたちの論理はこうです。

弱肉強食の現実を見よ。世界の現実はこうなっている。

いわく、国の安全をまったきものにするには、戦争に備える必要がある。
軍備も最新のものしておく必要がある。
周辺国の動向に警戒の目を配ること。
隣国の侵略意図を事前にくじくために訓練を怠りなくすべきである。

いわく、国の名誉のためには命もいとわない。
国の名誉を辱めるものには一致して当たる。
国益のためなら、粗悪品でも国産品で我慢する。
仮想敵国の不幸は喜ぶ。

でもちょっと目を開いて見てください。
これって、もう実践している国が、すぐ近くに存在していませんか?

そして核武装は道徳的行為である、まさにしかり。
これが正しいのなら、すぐ近くの某国こそ道徳的な国では?

         

現実は、理想を捨てて、見習うべきものでしょうか?
理想を軽蔑するものは、軽蔑される現実しか作り出せないのでは?



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日本記者クラブ、この暗黒の権力者(後編)  文科系

2010年12月30日 07時52分25秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 昨日の続きを掲載する。

【 フリー記者の畠山理仁氏は「開かれた記者会見」を目指して、数年間にわたって各省庁の記者クラブとの交渉を続けてきた。日本最強のカルテル集団である記者クラブとの交渉は悪戦苦闘を極めた。
 記者クラブに直接話しかけても相手にされないかスカされるだけだ。畠山氏は非常手段として大臣の記者会見で「記者クラブ問題」をよく追及する。
 総務大臣の記者会見では10日、17日と連続して片山善博大臣に「記者会見に出られる人と出られない人の基準は何か?」と質問した。
 21日にはこんな質問をした。「掲示板の(A4用紙)発表事項を撮影したら記者クラブの受付嬢(広報課スタッフ)から『画像を削除して下さい』と言われた。それ(発表)は機密事項なのか?」。

 世界のどこにもないような取材規制だ。記者クラブによる規制はことほどさように些細なことにまで及ぶのである。唖然として次にバカバカしくなる。
 まだ内戦が続いていたスリランカの高度警戒区域で写真を撮っていた時のことだった。同区域は軍が指定したもので「写真撮影禁止」の看板が数十メートルおきに立っている。
 案の定、軍の警備隊に見つかった。シンハラ語で怒鳴りあげられパスポートを取られた。それでも「映像を削除しろ」などとは言われなかった。ワンカットたりとも失うことなく無事日本に持ち帰ることができたのである。

 記者クラブは、世界の人権団体が糾弾するスリランカ軍事政権にもまさる弾圧機関と言えよう。

話を元に戻そう―
 片山大臣の回答は3回とも「両者(記者クラブとフリー記者)でよく話し合って下さい」ということだった。
 片山大臣から突き放された10日(1回目)の記者会見の後、畠山氏は記者クラブに幹事社を訪ねた。幹事社からは「忙しいので追って沙汰する」と言われ相手にされなかった。
 山芋のように粘り強い畠山氏が17日に2回目の質問をしたところ、携帯電話に総務省の記者クラブ幹事社から連絡が入った。「フリー記者の方々のお話を聴きたい」と。
 畠山氏は早速、ツィッターやメールで仲間のフリー記者たちにそれを報せた。
 “記者クラブそれも幹事社様がフリー記者やネット記者の話を聞いて下さる” 筆者は天にも昇る思いだった。身に余る光栄だった。でも不安だった。思うところをそのまま言上しようものなら「無礼者!」とお叱りを頂戴しないだろうか。椅子以下のフリー記者は斬り捨て御免だ。

 お手打ちに遭っても恥ずかしくないように、筆者は新しいパンツにはき替えて総務省に向かった・・・。

 記者クラブ幹事社による事情聴取は21日、片山総務大臣記者会見の後行われた。聴取に応じたのは畠山理仁氏、上杉隆氏はじめ6人のフリー記者。

 「任意の聴取」と告げられていたが“油断してはならない”と肝に銘じた。お手打ちに遭っても闇に葬られるだけだ。警察、検察は記者クラブと身内の関係にあり、フリー記者が6人程度行方不明になっても捜査に乗り出すようなことはない。実際、警察幹部から「フリージャーナリストなんてのはなあ、銀バエと同じなんだよ」と言われたフリー記者もいる。
 我ら6人が消えても世間は知りようがない。記者クラブがフリー記者による動画中継を禁止しているからだ。とにかく生きて帰ることだけを考えた。

 聴取が始まった。幹事社のX社・A氏とY者・B氏の2人は至って誠実そうな人柄だった。「ご要望はなんでしょうか?」と丁寧に聴いてきた。畠山氏が記者会見で記者クラブの非常識(記者クラブにとっては常識)を幾度も大臣に質すため座視できなくなったのだ。
 フリー記者側からの要望は大きく分けて二つだった。「動画中継を認めてほしい」「記者会見出席の登録にあたって制限をなくしてほしい」。大臣への質問と同じ内容である。
 動画中継はほぼ1年前から畠山氏が要望してきたものだ。ところがA氏B氏共に「それは聞いていない」というのだ。前の幹事社から引き継がれていないのである。別段驚きはしなかった。幹事社は2~3ヶ月ごとに交代するが、その際の引継ぎ事項とならないのだ。
 畠山氏は何年も前から各省庁の記者クラブに記者会見のオープン化を求めてきた。返事は決まって「クラブ総会にかけないと・・・」だ。そこでクラブ総会の結論を聞こうとすると幹事社が交代している。これが畠山氏と記者クラブとの交渉の歴史だ。歴史というには余りにも内容が空疎すぎて悲しくなるではないか。
  幹事社交代は彼らにとって実に都合のよい「消去装置」だ。X社とY社の幹事社の任期は12月末までという。任期が残り10日になったところでフリー記者側の要望を聞く。返事をしなくても済む。次期幹事社に回答を求めても「聞いていない」だ。
 筆者はそれを見越して次のように迫った。「おふたり(X社のA氏、Y社のB氏)が幹事社のうちに回答を頂けませんか?1年間『聞いていない』で通されたんだから次の幹事社が回答するとは思えない」
 A氏が「クラブ総会にかけてからでないと・・・」と苦しそうに答えた。総会は28日に開かれるそうだ。各社の見解は「会社に持ち帰ってから」となる。会社の上司に相談もしないだろう。したとしても「ダメだ」ということになるのは必定だ。

 来月からは新しい幹事社となる。こちらが返事を聞きに行っても「聞いていない」あるいは「要望は認められない」と答えられるのがオチだ。要望が却下された理由を追及すると「クラブ総会で決まったから」となる。絵に描いたような光景が目に浮かぶ。

 最近、筆者は思うようになった――
「記者クラブ総会」とは国権の最高機関である。憲法改正だって可能かもしれない。】 
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随筆 不整脈ランナーの手記(24)「走れる」  文科系

2010年12月29日 21時02分29秒 | スポーツ
 今までの概容は、こうだ。
 いろんなスポーツはやって来たが、健康のことを考えて59歳でランナーに転向し、これ専門に。有酸素運動の諸効能を重視してのことだった。酸素摂取能力の高さが僕の身体にもたらしていると考えられるものとして、こんなものがあげられる。ギターを3時間弾き通すような毎日でも、どこも痛めたことがない。ブログを3時間やり通しても、目が疲れないし、肩こりも腰痛もない。お酒も弱くなっていないし、毎日飲んでいても肝臓も悪くしたことがない。これらの効能を考えると、ランナーはどうしてもやめられない。ランナーを止めれば、生活スタイルを変えねばならぬような気がするのである。

 さて、最初の公式記録は61歳直前のもので、10キロが49分22秒だった。走り始めて2年ほど経った時、不整脈が出始めた。初めはごくたまに、特別な急加速時などで200を越える頻脈が出始めた。よって、常時心拍型を着け、心拍を確認しながら走ることにする。こんな症状が出ても苦しくはないし、自覚症状も乏しいからである。この頻脈も、1分ほど休むと正常に戻り、また普通に走れるようになる。だましだまし走ったということだ。
 66歳までは、ほぼ毎年の10キロレースを50~4分で走っていた。ただし、1レースに1~3回は、心拍200を越えて歩くということがあったかと思う。この頻脈の多さで記録が変わってきたと言ってもよく、おおむね時速12キロほどで走れていた。67~8歳は、ちょっと症状が進んだようなので、レースを控えて無理をせず、様子見の走りを続けた。やがて68歳(去年)の晩秋にレースを再開してみようということで、ちょっと追い込みをかけ始めた。1ヶ月ちょっとでかってない不整脈症状に進み、やがて本年新春、慢性心房細動の診断が下る。この手記連載は、こういう事態を全く予期していない昨年11月2日、追い込みをかけ始めた時から始まっている。勢い込んで書き始めたこの「手記」が、まさか手術を含めた闘病記にも換わるとは、思ってもみなかったことだ。以降、2月には第1回目の心臓カテーテル手術。効果はあったのだが完治はしていないということで、2回目の手術。この10月1日だった。いずれも、「もう一度走りたい」と医者に申し出て、進められたものだ。そして、完治。先先回10月16日と先回11月13日のこの「手記」は、その後の回復の様子を書いてきた。

 
 さて、回復基調はさらに順調。日誌を拾うと、こんな調子だ。日に6000~9000歩の速歩き散歩が、3日に1度ほど。90往復ほどの階段登りが、週に1度ほど。そして、この24日、25日には散歩中に初めてそれぞれ1キロほど走ってみた。散歩や階段登りで走れる体力は何とか維持してきたから、心臓だけを心配しながら。その心臓もまったく異常はなさそうだった。無理をしない程度であるならば、辛うじてランナーではいられるのではないか。低速で良いから、心臓の疲れを見ながらほんの少しずつ距離を伸ばしてみたい。面白くなってきた。身体の回復とともに、ギターを長く弾いてもまた疲れなくなってきた。


 前にも書いた、この「手記の意図」の一つを、改めて抜粋、加筆して、再掲させていただく。
 【この手記、元々はまず不特定のランナー仲間を意識して書き始めたもの。だから、今となっては、次の目的も果たせようから、バックナンバーを載せておく。ランナーには心房細動が多いそうだ。仲間で同じ病気を抱えることになった方、どうか参考にして欲しい。
 また、分かる限りどんな質問にも応じる。 
 その①11月2日、②3日、③8日、④12日、⑤28日、⑥12月8日、⑦21日、⑧1月18日、⑨30日、⑩2月11日 (⑪2月28日、⑫3月28日、⑬31日、⑭4月12日、⑮19日、⑯25日、⑰5月3日、⑱18日、⑲7月5日、⑳26日、㉑9月30日、㉒10月16日、㉓11月13日) 】
 このブログでは、以上の全てを読むことができる。各々へのアクセスは、求める原稿の年月日でやるのが最も近道だ。右欄外の最下方に、このブログ誕生05年秋以来の年月を書いた欄がある。スクロールしながら必要な年月を探し出し、クリックする。すると、欄外最上方のカレンダーがその月のものに変わる。そのカレンダーの中からお求めの日をクリックすると、その日のエントリー(投稿原稿)が全て出て来る。よろしく。


 
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日本記者クラブ、この暗黒の権力者(前編)  文科系

2010年12月29日 08時12分45秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 以下はアシュラ・サイト掲載の「田中龍作ジャーナル」記事とあった。表題の内容を表現して余りある酷さと言えよう。こんな前時代的な悪代官制度は、一刻も早くなくすべきだろう。政府に巣くう「怪物」である。
 官僚と大新聞(系列テレビを含む)が結託して民主党を変質させてきたことが、なるほどと頷けるのだ。
 裁判で決着がついている小沢問題をことさら引っ張り続けて民主党支持率を下げることによって、民主党を変質させてきた。「普天間」も、「防衛構想」も、「東アジア」も、「消費税の急展開」も。はたまた、「ダム」「思いやり予算」「高速道路」「子ども手当」などなども。こうして、民主党マニュフェストは、官僚が望む方向でどんどん裏切られてきたのである。このことに比例して、官僚・マスコミ連合軍の権力がますます強くなってきたと思われるのである。


【 「記者クラブ制度」とは、ひとことで言うと土佐藩の身分制度である「上士」と「下士」のようなものである。省庁での取材活動においては、上士にあたる記者クラブが下士であるフリー記者やネット記者の“生殺与奪”を握っているからだ。
 総務省の記者会見を例に挙げてみよう。フリー記者、ネット記者が記者会見に出席するには、先ずクラブ幹事社の許可を頂かなければならない。幹事社が「よし」と首を縦に振れば「登録」されたことになり、めでたく出席可能となる。
 21日、この「登録」をめぐってちょっとした“事件”があった。フリージャーナリストの上杉隆氏は総務省の「ICT検討委員会」のメンバーだったことから館内通行証を持っている。有効期限は平成26年(2014年)までだ。
 ジャーナリストであることを証明する「館内通行証」なので、記者会見室に入った。ところが幹事社の知るところとなりお咎めを受ける羽目に。幹事社のX社と Y社の記者が2人して上杉氏に詰め寄った。「ここは記者クラブ主催なので・・・」と言い、「(入室は)登録をしてからにして下さい」と暗に退去を迫った。
 (途中経過省く)上杉氏は“退去勧告”には従わず、最後まで片山総務相の記者会見に居続けた。これが無名のフリー記者だったら間違いなくツマミ出されていただろう。

 晴れて登録されても「オブザーバー資格」というのがある。雑誌協会、専門紙協会、インターネット報道協会などの組織に属していない場合だ。「オブザーバー」は質問権がない。ただ黙って聴くだけだ。質問権のあるフリー記者、ネット記者が「二等市民」とすればオブザーバーは「三等市民」となる。
 ご法度と「身分差別」だらけなのが総務省記者会見だ。それを世間に知られると困るのか、記者クラブはインターネット報道協会以外の記者がネット中継することを認めていない。

 今年1月「Business Media誠」のディレクターが原口一博大臣の記者会見をウェッブカメラで中継した。(この模様は拙稿にまとめているのでご覧頂きたい※)
 案の定、記者クラブから中止命令が下った。幹事社がディレクター氏に「次から認めませんからね」と告げたのである。
 フリー記者の畠山理仁氏は「ネットの動画中継を認めて欲しい」と記者クラブに懇願し続けて一年が経つ。
 このほど記者クラブ幹事社から畠山氏に「フリー記者たちの意見を聞きたい」との連絡があった。事情聴取である。
 『やっと願いがかなうのだろうか?』畠山氏はじめフリー記者たちは期待に胸膨らませて総務省に出かけたのだが・・・・・・つづく】
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「日本サッカー・希望の星」とザック監督など(25)代表23人決定! 文科系

2010年12月28日 00時31分30秒 | スポーツ
 24日に発表された代表23名

・キーパー 川島、西川、権田
・DF 岩政、伊野波、槇野、今野、吉田、長友、内田、酒井
・MF 遠藤、松井、長谷部、藤本、細貝、本田拓也、本田圭佑、柏木、香川
・FW 前田、岡崎、李

 さて、選考基準である。ザック自身は「伸びしろのある若い選手を選んだ」と語っている。この基準から、DFの吉田(オランダVVV)、酒井高徳(新潟)や、MFで柏木、藤本が入り、中村憲剛や阿部が落ちたと言えるのだろう。
 FWが少数精鋭で、その分日本の強み・MFが多いというのも、新しい代表の特徴だろう。
 DF陣が、MFと同じく、パス能力や攻撃能力を備えている顔ぶれであるのも、よく分かる。センターバック候補も皆、縦パスが上手いメンバーと言えるからだ。DFも含めて、ザックが最も強調する『チームのバランスを重視したい。攻めながら守り、守りながら攻めるチーム』というメンバーなのでもあろう。
 当たり負けない厳しさは岡田ジャパンから踏襲し、敵ボールへの「身体の向きと追い込み方」を新たにしっかりさせた守備。「高い位置でボールを取った瞬間に縦へ速くパス」とか「敵DFの裏に斜めに抜けるなど、敵を下げさせる走り」、さらには「サイドチェンジ技術の向上」などの攻撃。こういうザック戦術に合ったメンバーということだろう。スピードなど走力が基礎になっていることも言うまでもあるまい。
 
 使って欲しい選手

 DFでは何と言っても、吉田麻也を使って欲しい。グランパスではセンターバックでありながら、オランダではボランチをやらされることもあるほど技術が高い選手だ。また、その身のこなしには小野伸二を思わせるような柔らかさと、その上スピードも備えていて、一種天才肌の選手と思う。まだ22歳。身長189センチは、今度のDF陣のなかでも最長だ。育成が上手いザックに鍛えられたらどこまで伸びるかという、そんな夢を抱かせてくれる。日本にかっていなかったようなスケールのセンターバックに育つのではないかと、期待している。

 攻撃的MFでは、まず香川をおいて他にはなかろう。これは、前24回のこの欄(11月19日投稿)でご報告した通り。右欄外カレンダー下の「前月」をクリックすると11月カレンダーに替わるので、その19日をクリックしていただけば、当日の原稿が全部出てくるはずだ。ドイツの本年度前期で、MVPの活躍ぶりをとくとご覧あれ。

 守備的MFでは、清水の本田拓也。躍進清水で中盤守備の要を努めるアンカーマン。ザックが各チームを走り回って選手観察をしていた時、最も気に入った守備的MFと言われている。彼が入れば、長谷部、遠藤が水を得た魚のように活躍出来るだろう。ちなみに、ウィキペディアではこういう紹介がしてあった。
『視野が広く、長短のパスを使いこなして展開力に優れるボランチ・ディフェンシブハーフ。中盤の底でのプレーを得意とし、ディフェンスラインの裏を突く絶妙なフィードも持ち味である。守備時の対人能力の高さも一級品で、中盤でバランスを取り、守備を安定させることができる。』

 FWは、もう何と言っても前田遼一。万能FWであって、そのドリブルなどに見えるように一種の天才。なんせ外国人得点王ばかりが続いてきたJリーグで、02年原以来の日本人得点王を去年取った、と思う間もなく、今年もまた得点王。2年連続なのである。ブラジル人助っ人の極上FW並の力があるということだろう。ザックがこれだけ若返りを進める中で、29歳の彼を選んだことに ザックの前田への期待の大きさが分かろうというものだ。彼ついてもここで書き尽くしているので11月10日のこのシリーズ第22回を参照願いたい。

 これから1月に、9日ヨルダン戦、13日シリア戦、17日サウジ戦。待ち遠しいことだ。  
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ウィキリークス(10) 米大手銀1,2が潰れる! 文科系

2010年12月27日 11時08分09秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 これは、27日午前6時発表の毎日JP記載記事。本文にもある通りに『ウィキリークスは来年早々に米大手銀行の役員のパソコンのハードディスクから得た5ギガバイトにのぼる情報を暴露する』という予告です。アサンジュ氏が『「米銀行の目に余る不正や非倫理的な行為」が暴露され、「1行や2行はつぶれる」と話しており、米大手銀は戦々恐々だ』とも述べているます。こんな弱肉強食社会で、銀行のような強者が法を破り、不公正を働く時、アサンジュ氏の行為は、ますます弱者の味方と見えてきます。
 弱者はすべからくウィキリークスに注目し、これを社会的話題に上げるべきだと思います。大新聞、官僚など、日本の最大既得権益者も今や、戦々恐々。ことさらにウィキリークスを無視しているようです。
 駐日米大使館の公電情報が世界米大使館でイラクとトルコに次いで多いそうだし、発表されたのはそのほんの一部。不当な格差や、不公正や、特権を怒る庶民から、内部告発情報もこれからどんどん流されていくのではないでしょうか。楽しみなことです。


【 クローズアップ2010:「米銀行の不正暴露」 ウィキリークス予告

 米外交公電を暴露し続けている内部告発サイト「ウィキリークス」が、今度は米大手銀行に関する秘密情報の暴露を狙っている。創設者のジュリアン・アサンジ容疑者(39)=性犯罪容疑で拘束、保釈中=は「銀行幹部は辞任するだろう」と予言しており、標的の一つとされる「バンク・オブ・アメリカ」の株価は下降気味になっている。巨大国家や大銀行を情報暴露で翻弄(ほんろう)する構図は、少数者が大国を脅かすテロとうり二つで、攻守の大きさが釣り合わない「非対称」な情報戦争との指摘も出ている。【ロンドン笠原敏彦、カイロ和田浩明、欧州総局】

 ◆アサンジ容疑者「1、2行つぶれ幹部辞任も」

 報道によると、ウィキリークスは来年早々に米大手銀行の役員のパソコンのハードディスクから得た5ギガバイトにのぼる情報を暴露する。アサンジ容疑者は英タイムズ紙が21日に報じたインタビューで「責任ある経営が行われているなら(幹部の)辞任はあるだろう」と述べた。同容疑者は米フォーブス誌との11月のインタビューで、「米銀行の目に余る不正や非倫理的な行為」が暴露され「1行や2行はつぶれる」と話しており、米大手銀は戦々恐々だ。

 ◇バンカメ標的?
 同容疑者は暴露対象の銀行名は明かしていないが、米最大手バンク・オブ・アメリカが取りざたされている。バンカメ側は、ウィキリークスが同社の情報を得た「証拠はない」と否定するが、18日にはウィキリークス関連の取引を停止するなど事実上、対抗策を取っている。暴露情報としては、証券大手メリルリンチの08年の買収劇▽買収への米政府の関与▽450億ドル(約3兆7000億円)にのぼる公的資金投入▽高額な役員報酬--などが想定され、米政府への波及も避けられない。バンカメは顧客預かり資産2兆ドル(165兆円)で米国最大級。

 米公電など公的情報の暴露で名をはせたウィキリークスだが、保有する内部告発情報の半分は民間のものだ。メキシコ湾で原油流出事故を起こした英BPなどの情報も持つとされ、今後の暴露の影響は計り知れない。

 ◇編集加え「報道」
 一方、ウィキリークスは報道機関としての色彩を濃くしている。公電暴露では既存5メディアと歩調を合わせ、ローマ法王庁の実情(22日)▽核物質の密輸(19日)など、地域やテーマに沿って公電を公開、情報源の個人名を伏せるなど暴露に編集作業を加えている。最重要情報を暴露する第1段階が終了。現在は各国にとって重要な「地域情報」を公開する第2段階に入っている。同容疑者は「情報を公開するのがジャーナリスト」と「報道機関」を自称する。

 ◇日本関連も焦点
 現在、米公電25万1287件のうち0・7%程度の約1900件しか公開されていない。アサンジ容疑者は暴露を「スピードアップする」と話す。6700件余りある在日米大使館発の公電は200件程度しか公開されておらず、残りがいつどのような形で公開されるかも注目される。

 ◆米、数人に翻弄され テロに酷似 威信低下を象徴

 「アサンジ容疑者は1人で米国に闘いを挑んだ。対テロ戦争の“非対称性”と似ている」。元米国務省高官は苦々しげに語る。

 ◇本音外交に障害
 米公電やアフガニスタン・イラク戦争の情報を入手したのは、陸軍上等兵1人。ウィキリークスの中心メンバーも数人。それが米外交に「厄介」(ゲーツ国防長官)な影響をもたらした。その構図は攻守の大きさが釣り合わない「非対称性」で対テロ戦争と共通する。
 最新鋭の兵器を持つ米国と、自爆テロなどに頼るテロ組織という非対称性。ウィキリークスの場合も民間人に超大国の威信が「人質」に取られる異例の様相で、米国の威信低下を強く印象づける。
 先の元米国務省高官は「米外交官も対話の相手も本音を話すのをためらうことは間違いない。外交にも悪影響が出る。超大国の外交が停滞すれば、安全保障問題などで世界全体にも影響を与えかねない」と憂慮する。バイデン米副大統領は19日、アサンジ容疑者を「ジャーナリストというよりハイテク・テロリスト」と非難した。

 ◇資金源根絶狙う
 米国も手をこまねいているわけではない。米陸軍対敵情報センターは08年3月に「ウィキリークス--テロリストの参考書?」とする秘密報告書をまとめ、ウィキリークスが米軍関連の秘密情報を公表することが「利敵行為」にあたるとの認識を示した。ウィキリークスの求心力の源泉は「信頼」で、通報者を見つけ出して訴追して信頼を破壊すれば、内通者の抑止につながると指摘。募金で活動をまかなうウィキリークスの資金確保能力が向上すれば、匿名での情報暴露を可能にする通信能力が向上すると分析。資金源を断ち、技術基盤を弱める必要があると間接的に示唆した。
 米インターネット決済サービス「ペイパル」やマスターカードの取引停止、米アマゾンのサーバー提供停止、性犯罪での起訴など、ウィキリークス側への攻撃は、資金源締め上げ▽技術基盤弱体化▽情報源排除と信頼の破壊--という報告書の提案と符合する。

 この米秘密報告書は皮肉なことにウィキリークスに暴露された。“非対称情報戦争”の勝敗の行方はいまだに見えていない。】

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名古屋市長選挙の意味をどこに?   らくせき

2010年12月27日 10時57分04秒 | Weblog
今回の名古屋の河村さんの仕掛けた選挙は
複雑な問題を抱えているようです。

政党も、河村さんに対抗し、閉塞した状況を打ち破るビジョンを
打ち出せずにいます。
いわば保身に回っている感じです。

これは保守・革新と呼ばれる、どの政党も同じで、
保革というコトバが完全に死語になっているような気がします。

河村さんが提起した、この新しい政治の動きを、どう考えるのか?
みなさんの意見を、是非、伺いたいと思います。

一体、なにが争点なのか?
あるいは、争点とされている問題は、擬似争点なのか?

啄木ではありませんが、たしかに時代は閉塞状況です。
これは誰もが一致する点でしょう。



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辺野古と消費税    らくせき

2010年12月26日 13時28分35秒 | Weblog
今年を振り返ってみると、民主党政権の変化が一番、印象に残っている。

まず鳩山さんの沖縄基地返還への取り組みと見事な挫折。
これはホントウに見事な挫折。勲章モノ。

二つ目が菅さんの消費税発言。
意気揚々と打ち上げた花火・・・
しぼんでモトノモクアミ。よかった。
この辺りから菅さんは、完全に草冠が取れて官さんになってしまった。
会社にはやさしい、法人税の値下げ。
失業者には、もう年末・年始の支援を打ち切って、冷たい政治。

これらの動きの裏側には、政治家の野望とそれを読みきった官僚の抵抗がある。
どうも、後半は、官僚の逆転勝ちで終った模様。

さて2011年は?

辺野古への移転は、沖縄県民の意思表示で一挫折しているが、
民主党政権は、自民党と同じ手を使って、
名護市を兵糧攻めに、戦局は長期戦に入った模様。

消費税は、脅しと誘導で、いよいよ値上げへ動き出しそう。
どこかの経済人が日本の長所として、国民が大人しいことをあげていたが、
ヨーロッパでは大人しくない国民が抵抗中。
2011年の行方は、大人しい日本国民の感情にかかっている・・・



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ギター、僕の暗譜法 文科系

2010年12月26日 09時54分59秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 
 ギターを先生に習い始めて7年、当初から自分なりの暗譜法を工夫し、習慣づけてきたことで、69歳の身にどれぐらい助かっていることか。弾いているうちに自然に覚えてしまった若いころには到底考えられないような努力のタマモノなのだが、今回はそのことを書いてみたい。必要な人がこれを読まれているかも知れないと、大いに期待してのことだ。

 僕がこんな事を言うと、「うそーっ!」と笑うギター関係者が多いだろう。普通にクラシック楽器を習った人には、こういう人が案外多いからだ。「10年以上も習っているが、今すぐ何か弾いてと言われると、案外弾ける曲がない」。
「全くのギター一人習いの後、定年後に先生につき始めて7年の69歳だが、今習っている大聖堂全楽章(6ページの曲です)を暗譜でほぼ弾ける。アラビヤ奇想曲とか魔笛とか、郷愁のショーロとかの大曲も含めて20曲ほどを、ほぼ暗譜している」
 こんな心許ない経験でこれらの曲をほぼ弾けるということ自身を、普通のギター関係者は信じないはずだ。これは、僕の場合間違いなく、暗譜習慣が身についているからのこと。この習慣がなかったら僕のギター演奏に今のような喜びは全く感じられなかったと確信している。強弱、緩急をアレコレと思いついては、試し、楽しむ余裕も持ちにくいからである。根気さえあれば誰でも出来るこの暗譜法は、以下のようなものだ。

 当然のことながらこれは年寄り発心者の苦肉の策であって、これからギターを志す若い人の道ではない。以下のようなやり方を取ってきた僕は、読譜能力育成を犠牲にしているし、いわゆるコード知識に至ってはゼロに等しいのである。逆を言えば、楽譜をぽつぽつとしか読めなくて、コード知識が皆無でも、これぐらいは出来るということだろう。今振り返れば、コード知識ぐらいはマスターすれば良かったかと思うが。

1 ある曲に初めて着手する時から、このように取り組む。1~2小節ずつを覚えるまで繰り返す。20回でも50回でも。ほぼ完全に覚えたら次の1~2小節に進むという要領。この「確実」ということが、何かと後で助かる。よって、次の日はまず前日までの成果確認・完成から始めるのが常だった。

2 そして次には、曲の最初の繋がり段落まできたら、そこまでを繋げる。その繋がりが暗譜で容易に弾けるようになるまでは、次へは行かない。すると、大体の曲は1週間以内で1ページを暗譜できるのではないか。よって、普通の曲なら1ヶ月以内で全部が繋がってくるはず。その曲の全貌が見えた時の、嬉しいこと、嬉しいこと! これ以降の自由な楽しみのために、上のような「急がば回れ」の苦労をやってこられたのだから。

3 以上の際、上手く弾けない技術的難所を残しても、拘らないで進む。「1曲が繋がる」までは、着実な暗譜優先を第一の目的とするというのが、得策だと思っている。  

4 こうして、1曲を暗譜してから初めて、弾き込みに入る。暗譜していればむしろ、弾き込みは容易になるからこそ、全く腕に余る曲にも挑戦できたのだと確信している。また、いったん暗譜したら楽譜をなるべく見ないことが大切。覚えにくい所も、思い出す回数が多いほど、定着しやすい。

5 過去に暗譜した曲のうち特に好きなものを僕は「暗譜維持群リスト」に納めている。それらの曲それぞれを順番に、月に数回りずつは弾いている。度忘れもたびたびで維持の苦労が増えた最近は、大小20曲ほどに減ったのだが。これらを「今日は、これとこれにしよう」などと、その日の気分に合わせて弾き回せることが、僕の音楽生活をどれだけ楽しくしてくれたことか。この楽しさを僕の人生にとってどれほど大きいものと理解しているかについて、12月2日拙稿「随筆 死にちなんで」をご覧頂けると嬉しい。この作品をらくせきさんが「幸福論」の一種とコメントしてくださったが、幸福論自身はいつかここでも討論しあってみたいと思っている。

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随筆 ちっちゃなコンサート 文科系

2010年12月25日 08時58分11秒 | 文芸作品

 ここに何度も書いてきた「大聖堂」を、小さなコンサートで初めて弾いた。隣り街のギター同好会クリスマス会で、1,2楽章だけだったが。僕が定年後にギター教師につき始める前からずっと親交が続いてきた同好会なのだ。出席者は、同好会員7名、隣町のアンサンブルの方々3名、僕と僕の同門生2名の、合計13名。会場は、その街郊外の大きな大きな喫茶店2階の一部屋。アルコール抜きのケーキとお茶付きだ。

 くじ引きで演奏順番を決める。僕は7番。順番が来た。まず初めに、用意してきた随筆を読む。5月23日のここにも載せた「音楽の友だち」を。これは、同じ文化活動に彩りをそえようという僕なりの工夫であって、同時に自分のリラックスも狙っている。読み終わってから最後に「この随筆のNさん、今日ここにいらっしゃっているあの方です」と、きちんとこの親友の紹介もできた。彼はといえば実に、津軽海峡冬景色他1曲と、演歌を弾いたのだった。

 さて、出来は? 事後の交換メールを、脚色無しでお伝えする。と言っても、相手のブログで当日の報告がされて、それへのコメント交換である。
【 Hさんがお迎えに来られるとは! 敬意を表して、彼の車に乗らせていただきました。ワイスさん、御免ね。ともあれ、イー会だねー。
 一人習いで、月光しか弾けなかった僕が(その月光も人前で到底弾ける代物ではなかったんだけど)、先生につき始めて7年経った。もう、発表会も含めて緊張する舞台はやめて、ホームコンサートだけにしている。でも、このクリスマス会は、今日も言ったように、死ぬまで出るよ。今日の演奏準備でも、あれでかってないほど細かくやったしね。部分練習を凄くやった。僕の腕を越えた曲だったから。で、指が震えて5割ほどの出来だったけど、まーあんなもの、満足。
 自分の教室発表会は出ないんだけど、来年のそちらの演奏会には出させてもらおうかななんて、今日思った。その時には、3楽章が弾けるようになっていると良いけど。でも、あんな速いのは、やはり年寄りの発表会向きではないね。また、でも、この3楽章を中心とした大聖堂の練習10ヶ月で、いろんなことがいっぱい身についたと思う。ますますギターが楽しくなったね。
 ともに、頑張ろう。】

 お返事は、この会のワイスさん。ここでも何回かメールなどを紹介したギター友だち、同年齢の女性の親友だ。
【 お二人は真っ直ぐ帰られましたか?
Tちゃん(僕のこと)、しっかり弾けていましたよ。大聖堂は普通1・2・3楽章を通して弾くか 2・3楽章 もしくは3楽章のみが一般で1.2楽章だけの演奏は始めて聞きました。今度は絶対に3楽章を弾かなくっちゃ。素人が演奏会で3楽章弾くには2年はかかるでしょうね。私のアラビア奇想曲みたいに。 頑張って! 】

 次いで僕。
【 まっすぐ帰ったって? こんなとんでもないことやったよ!
 駅前の例のイタリア料理屋さんへ入った。飲み物しかないという。ワインとナッツ盛り合わせだけで、盛り上がったね。客が二人だけになったから許可を得て、聴衆はのぶりんだけの臨時演奏会。2曲弾いた。ラグリマとKさんが弾いたプレリュードね。のぶりんに褒められたねー。特に後者が。アレとアラビヤと17番と魔笛辺りが、僕の暗譜群難曲の筆頭だからね。大聖堂も郷愁も必ずそこに入れて見せます。
 こんな事も含めて、楽しかった、有り難う。 】

【 クリスマス会で私もメチャ震えました。他の人も震えたと言ってました。自分で感じるほど聞いている人にはわからないみたいですね。 】

【 もう一言 (中略)
  試行錯誤をくり返し粘っていると、いろんなことが見えてきて、まだまだ出来ると思った。ちょっと幸せ!
 ぼんやりと「年だな」と思った難しい箇所などに、「原因があり、対策が打てる」と思えるようになった。ただ、その対策が若い人よりも難しく、時間もかかるんだよね。その分、頭を使わないといかんのね。
 第3楽章だけど、ここ1週間の右P、a(注 それぞれ親指と薬指のことです)の改善で、急に先が見えてきた。全体として両指の欠陥が邪魔していたみたい。昨日は、あの6連16分音符を60近くで弾けた。これが安定すれば、ホームコンサートなら、もうどこでも弾けるだろう。あと2ヶ月で1年だから、頑張るよ。 】
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鴻門宴 らくせき

2010年12月24日 19時06分57秒 | Weblog
韓国・中央日報が、中国・国営新華通信の「韓国と日本は
米国から何を得ているのか」という特集記事を紹介。

通信は「北朝鮮の砲撃事件が発生した後、米国・日本・韓国は
軍事・外交・情報分野で迅速に連係を強化している」と診断した。
また「米国はもっともらしい各種名目を並べて、
自国の条件に合うようにいろいろ変身しながら、
韓国と日本に鴻門宴を開いている」と主張した。

鴻門宴は、秦が滅びた後、楚の項羽と漢の劉邦が天下の覇権を争った渦中に、
項羽が宴会を施すふりをしながら劉邦を除去しようとした故事に由来する。
表面的には華麗に見えるが、中は殺意で満たされ、
表裏が異なる状況を皮肉る比喩としてよく使われる。

米国は表面上は韓国・日本の安全を保障するふりをしているが、
実際は北東アジアで米国の戦略的利益を得ようとしていると、
強く批判しているのだ。

             

中国の話は日本人には分かりやすいですね。
でも今の若い人はあまり中国の史記などは読まないか・・・
日本にとっても韓国にとっても戦争は一円の得にもならない。
しかしアメリカにとっては、どうか?
ということかな?








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重大ニュース,「ロシア大使更迭」  文科系

2010年12月24日 14時58分07秒 | Weblog
 24日未明にこれを書いているが、24日朝刊の全てにこの記事は載っている。ネットサイトで調べたから間違いない。ちなみに中日新聞では、1面下方に『駐ロシア大使を更迭 北方領土対応が不十分』とある。
記事内容はこうだ。
 ロシアのメドベージェフ大統領がこの11月1日に、ロシア国家元首としては初めて北方領土を訪問した。日本の強い抗議を無視する形で、「返還には応じないぞ」というロシアの意思表示が示されたものだ、と。この訪問は既に、9月下旬から明言されていたにもかかわらず、駐ロシア日本大使館は何も内閣に報告しなかったどころか、ずっと「具体的計画にはなっていない」という態度を続けてきた。これによって政府が、返還に有利になるような何の対応も取れなかったから、その責任を大使に取らせるというのである。

 この事件、現在日本の政治にとって、かなり大きいものだろう。いわゆる「外務省内ロシアスクール」の最高幹部・ロシア大使更迭とは、政官癒着の自民党政権下では滅多に起こらなかったような事件ではないか。官僚と政治の関係という観点の問題として、意外に重大事件と見うる。論理的には、以下のような推論も当然可能だろう。
・この事件は、外務官僚たちが、民主党政権による北方領土返還前進業務をサボタージュしたものであり、それに対して内閣の側が信賞必罰に及んだ行動と見ることも出来る。
・この事件はまた、官僚たちが公然と繰り広げている内閣批判行動の一環ともみなしうる。内閣による記者クラブ開放方針への官僚の反旗とか、長妻前厚労相が、サボタージュに及んだに等しい局長を更迭したとかの事件をも想起させるものだ。
・また外務省に対する旧来のやり方を変えたという意味では、中国大使への民間人起用とか、天木直人ブログで語られた「船橋洋一前朝日新聞主筆のアメリカ大使就任予測」などと同類の物として、外務官僚としては非常に面白くないことなのではないか。

 中日新聞は3面にも「一風変わった?」解説風詳論を載せている。見出しはこうだ。『大使更迭 対ロ関係改善不透明 「官」に責任転嫁、批判も』。更迭した政治の側よりも、更迭された官僚側の「対ロ関係改善」策の方が良くって、官僚が政治に反発して当然だと言うが如き書き方が、「一風変わった」やり方と思った。マスコミ・官僚連合の、最近の民主政権こき下ろし流儀を感じるということである。丁度、消費税も含めて「民主党よさらに変質を! さもないと協力しないぞ!」と語って、小沢攻撃と並行して進められている昨今の民主党マニュフェスト変質狙いなのだと言えなくもない。

 こういうことが起こると、僕はこう観ることにしている。日本の政治の中で最も国民本位からほど遠いという意味で遅れた官僚制度に対する、政治の側からの改革であると。選挙で選ばれた国会、内閣に対して、当然のことながら官僚は従属すべきだ。内政と違って「対外的行動は一元的であるべき」とよく言われるが、外務官僚こそ新政権に従うべきなのであって、サボタージュなどは論外である。
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ウィキリークス(9) 米の習近平国家副主席像  文科系

2010年12月24日 04時01分46秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 アメリカ大使館が外国要人について、そのパソコンパスワードや銀行暗証番号、虹彩の色などに至るまでの秘密情報を詳細に調べ上げていることは、公然たる事実となった。今回のウィキリークス情報は、米大使館が語る習近平国家副主席像である。ドイツの週刊誌シュピーゲルに載った報告文を紹介しつつ、著者がまとめた文章である。ビグローブ国際版にあったこの文章には、「筆者:宮家 邦彦」とあった。4回連載を1回でお伝えする。


【 覚悟せよ日本、次の中国トップは手強いぞ 米国が伝える習近平の素顔
    〜中国株式会社の研究〜その90 JBpress 12月24日(金)0時55分

 当分ウィキリークス関連の話題は「封印」しようと思ったのだが、またまた面白い記事を見つけてしまった。今回は胡錦濤総書記の後継者に事実上決まった習近平国家副主席の素顔に関する在北京・米国大使館発電報についてご紹介したい。
 この電報、元々はドイツの週刊誌「シュピーゲル」が報じたものだが、なぜかウィキリークスのサイトに原文はない。探し方が悪いのかもしれないが、もしかしたら情報源の特定を恐れていまだ掲載していない可能性もある。(文中敬称略)

習近平のイメージ
 既にいくつか日本語の書籍も出版されているが、習近平について日本では様々な評価があるようだ。
 一般には「幹部の子弟ながら庶民派」、「おおらかな性格」、「リベラル」、「苦労人」、「寡黙で慎重」、「政治感覚は鋭い」、「官僚の腐敗に厳しい」、「政治的にも経済的にも開放的」といった好意的な分析が多いようだ。
 これに対し、一部には「凡庸」、「小心者」、「頭が悪い」、「曾慶紅の傀儡」、「保守派で対外強硬派」、「ウルムチ騒乱事件では武力鎮圧を主張」などといった否定的評価も少なくない。
 一体どちらが本当の習近平なのだろうか。

学生時代から野心家?
 冒頭ご紹介したシュピーゲル記事のヘッドラインは「紅より赤い(Redder than Red)」である。意訳すれば「共産党より共産党的」といった意味だろうか。まずは同記事が引用する在北京米国大使館情報提供者の発言をご紹介しよう。
 ちなみに、この情報提供者は「習近平に近い」共産党関係者とされているが、以下の発言内容から見ても、かなり若い頃から習近平と身近に接してきた「太子党」仲間の1人ではないかと推測される。
                                           筆者:宮家 邦彦
彼によれば習近平は、
●極めて野心的であるが、良い人間である。
●幼少の頃から「いつか中国の指導部で然るべき地位を得る」と考えていた。
●下放から戻ると、生き残るために「共産党以上に共産党的」になると決めた。
●共産党入党は太子党の仲間たちから裏切り行為と受け取られた。
●マルクス主義に関する学位が本物でないことは公然の秘密である。

 どうやら習近平は昔から野心家であったらしく、出世のためなら犠牲を厭わなかったようだ。下放から北京に戻り、太子党の仲間たちが自由な生活を謳歌し始めた頃、習近平はあえて共産党官僚の本流を目指す道を選択する。
 習近平は「共産党八大元老」の1人である習仲勲・元国務院副総理の息子であり、幼年時代から生活は比較的裕福だったはずだ。
 しかし、文化大革命で父親が批判され、1969年、16歳で陝西省に「下放」されてからは人生観が変わったらしい。
 父親が投獄中の1974年に共産党に入党したことや、勉強したくもないマルクス主義で「学位」を取ったことを周囲は冷ややかに見ていたようだ。
 すべてが共産党員として出世するための手段でしかないことを友人たちは見抜いていたのかもしれない。

結婚と離婚
 情報提供者の発言を続けよう。習近平は、
●外交官の娘との結婚後、2人の間では毎日のように喧嘩が絶えなかった。
●離婚後、北京で敵を作ることのリスクが非常に大きく、(出世するためには)父親のコネだけでは不十分であることに気づいた。
●北京の派閥政治を離れて地方で経験を積まない限り、職業政治家にはなれないと考えた。
●地方勤務時代、仏教、気功、武術に関心を示し、超自然的パワーを信じていた。
●姉はカナダに、弟は香港に住んでおり、外国の事情は承知している。
●1987年にワシントンを訪問したが、米国に対し特に強い印象は持たなかった。
●中国国内の事情に精通し、自分は国内でしか活躍できないと考えている。

 習近平にとって結婚は出世の手段でしかなかったのか。外交官の娘と離婚してからの習近平は、「国際派では出世が見込めず、政治力をつけるなら国内を押さえる必要がある」という共産党党内政治の本質を理解していったのかもしれない。
 1986年、アモイ市長・習近平は軍の歌手・彭麗媛を見初めて結婚する。
 彼女は現在解放軍歌舞団団長(少将)、春節前夜の有名な歌番組「中央電視台春節聯歓晩会」のレギュラーで、国民的人気を誇る。政治的に見れば、これ以上の良縁はないだろう。

腐敗とは無縁
 情報提供者はさらに続けてこう語っている。習近平は、
●腐敗しておらず、既に十分金持ちである彼にとって金銭は重要ではない。
●ほかの共産党幹部とは異なり、酒や不倫のような遊びにも関心はない。
●汚職と無縁であったため、江沢民派により上海市党書記に抜擢された。
●最初から党中央での出世を望んでおり、習の戦略は最終的に実を結んだ。
●隠し持つ切り札を最後に冷徹に切るような現実主義者、実用主義者である。
●胡錦濤総書記と同様、女性からは「退屈な男」と見られている。

 「金持ちになったら、もっと稼ぎたい」と思うのが中国では普通だと思うが、この点、習近平は極めて真面目なようだ。
 それとも、政治家として出世するためなら物欲も性欲も犠牲に出来る強い「自制力」を持っているのだろうか。
電報からだけでは真相は分からない。しかし、似たような境遇にある太子党の連中が金儲けや愛人作りに勤しんでいる時に、習近平が全く違う道を歩いてきたことだけは間違いなさそうだ。

中国版「ノブレス・オブリージュ」?
 情報提供者はこうも語っている。習近平は、
●党幹部の腐敗をよく承知しており、金銭欲と中国の新興富裕層を嫌悪している。
●新たな自由市場時代によって中国人が尊厳と尊敬心を失うことを恐れている。
●他方、党内で出世するために、こうした個人的な考えを表に出そうとはしない。
●党内権力闘争には勝利したものの、中国のゴルバチョフになる気はない。
●民主改革にはほとんど関心がなく、太子党こそが革命の正統な後継者だと考えている。
●少数エリートだけが中国の社会的安定と将来の発展を実現できると確信している。

 以上から推測できることは、「太子党」は「太子党」なりに一種のプライドと責任感を持っているということではないか。習近平を単なる「冷徹な野心家」と評価することは簡単だが、どうもそれだけではないような気がしてきた。
 習近平の生き方は、共産党幹部子弟の中国版「ノブレス・オブリージュ(身分の高い者はそれに応じて果たさねばならない社会的責任と義務があるという道徳観)」の結果なのかもしれない。
 そうだとすれば、習近平は、これまでの「リベラル」、「開放的」、「凡庸」、「小心」といった評価とは異なる、腹の据わった筋金入りの政治家である可能性もある。どうやら習近平時代の中国は諸外国にとって相当手強い相手になりそうだ。 】
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