「市場原理」の導入は、バラ色の未来を運んでくるかのように言われた。
競争によってサービスの質は向上、国民の生活はもっと豊かになると。
政府は国際競争力をつけるという名目で、
規制緩和・法人税の減税で大企業を優遇、
その分の帳尻を合わすために、社会保障費を削減した。
その結果、なに起ったのか?
中間層の没落と消滅。
アメリカに倣って市場原理の導入をした小泉さんの日本。
その経緯を振り返ってみると、まずバブルが崩壊して不況に。
経済の後進国だった中国・インドが競争力を増し、
日本の国際競争力が低下したことが背景に。
閉塞感が広がった。
そこで、活性化という言葉がキーワードに。
(最近トント聞きませんね)
企業の活力を回復させるには、より高度な技術開発が最良の処方箋。
しかし手っ取り早い方法が採用された。
規制緩和、市場原理の導入、という名目で。
一番大きな規制緩和は、長年にわたって手に入れた労働者の権利を奪うこと。
安い労働力を国家権力によって作り出した。
企業のなかに何層もの労働者が存在するようになっていった。
終身雇用の共同幻想は消えていった。
この結果、日本人は共同体に続いて、会社という帰属すべき集団を失っていく。
国民の大多数は都会の根無し草となって、さらに漠然とした不安は深くなる。
(ふるさとという言葉の持つ力がドンドン弱くなっている)
社会保障費の削減は、医療の分野で大きな影響を与えている。
医者不足、とくに産科医の不足は深刻。
労働力の再生産も国内では無理で、外国人の労働力が欠かせない経済に。
また老人医療費の高負担は、とくに貧困層の負担増に。
日本も確実に、中産層の没落が始まっている。
こうした国内の空気に敏感に反応する政治家は
マインド・コントロールに乗り出す。
愛国心など、教育の分野へ国家権力が直接介入、日の丸、君が代などの強制。
共同体の崩壊、終身雇用の崩壊による会社への帰属意識に消滅。
マインド・コントロールには新しい共同幻想が必要。
しかし今の小泉さんたちには、そんなブレーンはいない。
そこで古い衣装が復活することになる。
グローバル化という地球的な流れになかに、
天皇国家という、なんともソグワナイ昔の幽霊が再登場するという喜劇に。
(この深刻な事態が喜劇と感じられる悲劇的な日本)
こうした様々な問題が明らかになってきている日本。
問題を解くことは出来るのか?
小泉さんは、解決法を示すことに成功。圧倒的な勝利を手にする。
分かりやすい目標。分かりやすい問題設定。
対する民主党は事態の複雑さに思考がついていけず、
問題設定、分かりやすさで敗北。
しかし小泉さんの問題設定は誤りであったことが明らかになった今、
新たな問題設定が野党に求められている。
一般に、問題を解決するには、問題そのものを正しく設定することが一番大切。
問題が全般にわたって複雑な様相を見せている場合は、
本質的な問題を見抜くことが重要。
では、今日、なにが本質的な問題なのか?
同じ資本主義でも、フランスなどは少し違った道を歩んでいるようです。
みなさんの考えを教えて下さい。