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ミサイル防空訓練を思う  らくせき

2018年02月28日 | Weblog
戦前のジャーナリスト桐生悠々が書いた社説を思い出しました。

関東防空大演習を嗤う   桐生悠々  です。

一度目は悲劇。二度目は喜劇。カール・マルクス


 防空演習は、曾て大阪に於ても、行われたことがあるけれども、一昨九日から行われつつある関東防空大演習は、その名の如く、東京付近一帯に亘る関東の空に於て行われ、これに参加した航空機の数も、非常に多く、実に大規模のものであった。そしてこの演習は、AKを通して、全国に放送されたから、東京市民は固よりのこと、国民は挙げて、若しもこれが実戦であったならば、その損害の甚大にして、しかもその惨状の言語に絶したことを、予想し、痛感したであろう。というよりも、こうした実戦が、将来決してあってはならないこと、またあらしめてはならないことを痛感したであろう。と同時に、私たちは、将来かかる実戦のあり得ないこと、従ってかかる架空的なる演習を行っても、実際には、さほど役立たないだろうことを想像するものである。

 将来若し敵機を、帝都の空に迎えて、撃つようなことがあったならば、それこそ人心阻喪の結果、我は或は、敵に対して和を求むるべく余儀なくされないだろうか。何ぜなら、此時に当り我機の総動員によって、敵機を迎え撃っても、一切の敵機を射落すこと能わず、その中の二、三のものは、自然に、我機の攻撃を免れて、帝都の上空に来り、爆弾を投下するだろうからである。そしてこの討ち漏らされた敵機の爆弾投下こそは、木造家屋の多い東京市をして、一挙に、焼土たらしめるだろうからである。如何に冷静なれ、沈着なれと言い聞かせても、また平生如何に訓練されていても、まさかの時には、恐怖の本能は如何ともすること能わず、逃げ惑う市民の狼狽目に見るが如く、投下された爆弾が火災を起す以外に、各所に火を失し、そこに阿鼻叫喚の一大修羅場を演じ、関東地方大震災当時と同様の惨状を呈するだろうとも、想像されるからである。しかも、こうした空撃は幾たびも繰返えされる可能性がある。

 だから、敵機を関東の空に、帝都の空に、迎え撃つということは、我軍の敗北そのものである。この危険以前に於て、我機は、途中これを迎え撃って、これを射落すか、またはこれを撃退しなければならない。戦時通信の、そして無電の、しかく発達したる今日、敵機の襲来は、早くも我軍の探知し得るところだろう。これを探知し得れば、その機を逸せず、我機は途中に、或は日本海岸に、或は太平洋沿岸に、これを迎え撃って、断じて敵を我領土の上空に出現せしめてはならない。与えられた敵国の機の航路は、既に定まっている。従ってこれに対する防禦も、また既に定められていなければならない。この場合、たとい幾つかの航路があるにしても、その航路も略予定されているから、これに対して水を漏らさぬ防禦方法を講じ、敵機をして、断じて我領土に入らしめてはならない。

 こうした作戦計画の下に行われるべき防空演習でなければ、如何にそれが大規模のものであり、また如何に屡しばしばそれが行われても、実戦には、何等の役にも立たないだろう。帝都の上空に於て、敵機を迎え撃つが如き、作戦計画は、最初からこれを予定するならば滑稽であり、やむを得ずして、これを行うならば、勝敗の運命を決すべき最終の戦争を想定するものであらねばならない。壮観は壮観なりと雖も、要するにそれは一のパッペット・ショーに過ぎない。特にそれが夜襲であるならば、消灯しこれに備うるが如きは、却って、人をして狼狽せしむるのみである。科学の進歩は、これを滑稽化せねばやまないだろう。何ぜなら、今日の科学は、機の翔空速度と風向と風速とを計算し、如何なる方向に向って出発すれば、幾時間にして、如何なる緯度の上空に達し得るかを精知し得るが故に、ロボットがこれを操縦していても、予定の空点に於て寧ろ精確に爆弾を投下し得るだろうからである。この場合、徒らに消灯して、却って市民の狼狽を増大するが如きは、滑稽でなくて何であろう。

 特に、曾ても私たちが、本紙「夢の国」欄に於て紹介したるが如く、近代的科学の驚異は、赤外線をも戦争に利用しなければやまないだろう。この赤外線を利用すれば、如何に暗きところに、また如何なるところに隠れていようとも、明に敵軍隊の所在地を知り得るが故に、これを撃破することは容易であるだろう。こうした観点からも、市民の、市街の消灯は、完全に一の滑稽である。要するに、航空戦は、ヨーロッパ戦争に於て、ツェペリンのロンドン空撃が示した如く、空撃したものの勝であり空撃されたものの敗である。だから、この空撃に先だって、これを撃退すること、これが防空戦の第一義でなくてはならない。


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マスコミ報道の歪み(12)シリア情報は「日本人権監視団発」ばかり   文科系

2018年02月28日 | 国際政治・時事問題(国連・紛争など)
26日のアクセス355! 
「南北朝鮮接触に関連した日本マスコミの歪み」や、福島原発事故による子ども甲状腺癌多発ニュースが重要視されたようで、嬉しい!


 さて、シリア停戦決議が、国連安保理事会ですったもんだの揚げ句採択された。シリアの首都ダマスカス近郊の東グータという「反政府派の拠点地域」が政府・ロシア軍の爆撃などから「残虐な虐殺地帯」と化しているのを一時止めさせようという決議なのである。民間人虐殺は良くないことだから、決議は好ましいことであるにしても、それだけでは済まない歴史的問題が、シリアには存在すると思う。以下のように。

 この東グータ関連ニュースのほとんども、日本マスコミは例によっていつものように「シリア人権監視団」なる在英民間団体サイドのものを流している。僕がこのブログでこういう疑問を投げかけた団体である。
 例えば中国に「日本人権監視団」なる団体があって、それが日本政府に反対する国内勢力側から見た日本ニュースばかりを世界に流すとしたら、それでもってこの国の歴史的実情が最も良く分かるというものだろうか、と。
そしてもう一つ。シリアの反政府派とは、サウジ、アメリカなどが金も兵器も与え、軍事訓練も施したりと、おんぶに抱っこで育ててきたという、公然たる歴史的事実が存在する。つまりこういうことだ。日本人に流されているシリア情勢とは、反政府派の情報ばかりなのである。

 さて東グータ地域とは、こうした反政府派の自治区ということだ。どうだろう、こんなことを考えてみていただきたい。日本に外国の肝いりで武装した反政府派が作られ、その自治区が出来たとしたら、それが黙っていつまでも放置されていくものだろうか、と。つまり、シリアにはこういう悪循環が続いてきたという歴史的構図も存在するのである。

①アラブの春の下で反乱軍が生まれた。外国が金も人も兵器も軍事訓練も施してきた反乱軍である。政府が、イラク戦争から生まれてシリアにも進出してきたイスラム国対策で手一杯の内に、反乱軍は大勢力になり、自治区まで作ってしまった。彼らは当然、自治区住民を人質に取っている。
②反乱軍地域から政府崩壊に繋がるような大規模軍事行動が起こると空爆とかを徹底するしかない。反乱がさらに大規模になる度に軍事抑圧もエスカレートせざるを得なかった。
③こういう情勢の中で「シリア人権監視団」とは、反乱軍サイドのニュースばかりを、その映像も含めて世界に流してきたわけである。シリア政府がいかに残虐であるかというニュース専門といって良いだろう。

 こうして少なくとも、鶏と卵とどちらが「先」かではないが、反乱(革命)軍事行動と対する政府の「残虐」鎮圧攻撃とのどちらが歴史的に「先」であったのかとか、反乱軍はどの程度外国に依存してきたのかなどが、重要な問題になるはずだ。日本の新聞はそこを全く問うて来なかったはずである。

 結論である。政府側の言い分も、彼らが見る「わが国現状までの歴史的経過」という形で知らせて欲しいものである。そんな日本マスコミのニュースを、僕は見たことがない。

 ちなみに、「アラブの春」でリビア(石油埋蔵量世界9位の国である)のカダフィなどが軒並み潰されたが、シリアはその試練を生き延びた国である。そして、この「アラブの春」は、中東、北アフリカに大変な混乱しかもたらさなかった。サウジのような身分制国家ではないリビアでカダフィが国民に配っていた石油売却代金は、今誰の手に落ちているのだろうか? 潰れる前のリビアは、サウジのような王制国家よりもずっと多い石油代金が回って来た国民が近隣でもっとも豊かな生活をしていたというのは、有名な話である。
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マスコミ報道の歪み(11)重ねて、歪みすぎた朝鮮報道  文科系

2018年02月26日 | 国際政治・時事問題(国連・紛争など)
 今日の中日新聞にも2つの歪み記事があります。それも、大変歪んだ、ファッシズム前夜とさえ言えるような。以下、そういう論証を試みてみました。

 なお最初に言っておきますが、僕は北の残酷な独裁体制をば、心から憎む者です。が、一国の政治体制はその国民が決めるものだと考えています。よって、他国が革命を輸出するとか、ましてアメリカが同じ「ならず者国家」イラクに戦争を仕掛けてその国を潰したとかの蛮行をば、もっと憎む者です

 さて、本日新聞記事見出しの一つは、
『(北が)米韓軍事演習 中止狙う』
 今一つが、『「訪韓 金英哲氏は艦船撃墜主犯」韓国内反発強く』
 この二つの記事に「ファッシズム前夜」を見つけるのは難しいのですが、以下のようにその事を論証してみました。

①米韓軍事演習は、「ならず者国家」を「完全に破壊する」と述べてきたアメリカ方針の下では、元来同胞国である朝鮮両国が敏感に反応して当然ではないでしょうか。それをこう書くのは、歪みにしかなりません。
『融和姿勢をアピールすることで、北朝鮮への制裁強化を優先する米国に、朝鮮半島の緊張激化の責任を押し付ける思惑もある』
『(金英哲氏の発言は)演習の中止や先延ばしを実現させるために、米韓を揺さぶるものだ』
 この二つの文章は、アメリカが「北の破壊」を宣言して南北戦争情勢を作ってきた責任を取り除いてやるようなものではないでしょうか。何度でも言いますが、北の核開発は国際法上の「開戦」理由にはなり得ませんし、アメリカもこう述べてきたのです。「ならず者国家」だから破壊すると。

②二番目の記事は、日本という外の国から「韓国内にも融和反対派がこんなに存在する」と世に訴えるものであって、他国の「反政府的な」と述べても良い民間の動きをアピールしているという意味で、「客観報道を装った、かなり作為的な記事」と読みました。
 こうして、現情勢ではいずれの記事も南北朝鮮融和を牽制して緊張を激化させ、「ならず者国家」を「完全に破壊する」としてきたアメリカの方針を側面援助する役割を果たしてると言えないでしょうか。

③ちなみにこの「対北開戦側面援助」は、本日の新聞にある日本政府の強行姿勢にこそ合致しています。意識しているか否かに関わりなく、そうなるのではないでしょうか。
『瀬取り 米韓も監視を 政府、北制裁へ分担要請』
 この記事内容を最も短く要約すれば、こういうもの。「今の北制裁の最先端、瀬取り監視を、米韓は日本並みに強化せよ」

 なんのことはない、北制裁に世界で最も熱心なのが日本政府とマスコミですね。「政府行動を客観的に伝えただけだ」と(以上の僕の論証に)反論するとしても、もう少し批判的な書き方もあり得るはずです。
 ここでは是非、「アメリカによる石油禁輸が日本の真珠湾奇襲・太平洋戦争の最大原因」と報道された我が国の歴史的事実なども思い起こして欲しいもの。つまり、国連が認めた以上の日米独自制裁強化とは、もう、戦争を仕掛けているのと同じ事なのだと思います。
 こういう日本のマスコミを含めた外交情勢全体が、トランプの「ならず者国家」への強行姿勢と相携えて、なにか朝鮮戦争前夜へと向かっていくようなものと述べたら、言いすぎになるでしょうか。折しも今の安倍政権は「対米弱気でズブズブ」と言う有様。これも当たり前だと思う理由に、僕はこういうことを想起しています。
『日本国民1人当たりGDPがこの20年ほど一国負け続けの世界第2位から30位へ。全てアメリカへの輸出依存、対米金貸し、内需の柱・一般消費の低迷という経済体制を組んできたからこうなったのですが、今トランプが言い始めたように対中国同様の自動車輸出規制をかけられたら、日本国、完全に、アウト』
 かくて日本国が現政権を続けるためには、アメリカの言う通りに外交政策上何でもありと、そう観るのはうがちすぎでしょうか。
 
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福島・子ども甲状腺癌・論争は止まない(2) 文科系

2018年02月25日 | 国内政治・時事問題
 22日拙エントリー『忘れまい、「福島発子どもの癌」に対して、neoさんは以下のような反論コメントを寄せられました。

『平成29年9月1日に発表された「子どもの放射線被ばくの影響と今後の課題」(中略)は福島の放射線被ばくに対する最終報告です。
これは国内の科学者の代表機関「日本学術会議」の報告であり、単独の学者ではありません。
文科系さんは全くの素人にもかかわらずこれに異を唱えるということですか?
いい加減にご自分のイデオロギーだけに従いこういった科学的分析を無視することはやめてもらえませんか?
あなた方の責任で今でも福島に対する偏見が除かれていません。僕も科学者の一人として見過ごすわけにはいかないのです』

 さて、僕は昨日この文書を読み、こんな抜粋を作っています。
『国連科学委員会は、福島原発事故を受けて、一方、甲状腺がんについては、最も高い被爆を受けたと推定される子どもの集団については理論上そのリスクが増加する可能性があるが、チェルノブイリ事故後のような放射線誘発甲状腺癌発生の可能性を考慮しなくとも良い、と指摘している。・・・・
しかし(福島原発事故による)小児甲状腺がんについては、福島県「県民健康調査」の集計結果の解釈の違いとともに、検査の在り方などが問題になっている。・・・・
福島県の県民健康調査の結果では、放射性物質放出から4年以内で、小児甲状腺がんが超音波検査によって多数検出されている。県民健康調査の検討委員会は、これはスクリーニング効果であり、放射線被ばくの影響とは考えられないとして、その根拠をいくつか挙げている。一方『スクリーニング効果だけではこの数値は説明つかず、放射線被ばくの影響である』とする報告もある。・・・・この論争が決着するには、甲状腺検査を継続して、経時的変化から判断するか、福島県以外の県で同規模の同様の甲状腺検査を実施して比較する方法が考えられる。現状では前者が現実的との考えが有力である』

 さて、以上の報告抜粋は、neoさんが紹介された文章内容とは大変異なっているとしか僕には読めません。

まず、言われたような「福島の放射線被ばくに対する最終報告」とは、どこを指して述べておられるのか? 『「県民健康調査」の集計結果の解釈の違い』があるから、『この影響の有無に関して(暫定的であれ)結論を得るには10年程度が必要』、『この論争が決着するには、甲状腺検査を継続して、経時的変化から判断する』 
次いでneoさんのこの表現「文科系さんは全くの素人にもかかわらずこれに異を唱えるということですか?」。僕がどうして異を唱えたということになるのでしょう。本文は、僕のような異論があることを明記した上で、こう書いてあります。
『この論争が決着するには、甲状腺検査を継続して、経時的変化から判断するか』

 なお、僕等への反論論拠としてのスクリーニング理論とか、チェルノブイリとの関係(切り離し)とかも、今までの国際的理解では・・という程度のことであって、福島の論争決着がどうなるかによって、流動的なものとされているはずです。

 ということも含めて、この報告を出した分科会自身に僕は疑義を持っています。その次第については、当ブログエントリーの以下を参照されたい。

『保安院の大罪(93) 福島県健康調査座長の不思議な謝罪 2012年11月20日』
『規制の虜復活(15)書評「福島原発事故 県民健康管理調査の闇」2013年11月16日』
『フクシマ健康調査、一事が万事 2014年05月28日』

http://blog.goo.ne.jp/9vs9qvsq/e/3f028b56076acf8f7409f5fab19e8680
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福島・子ども甲状腺癌・論争は止まない 文科系

2018年02月24日 | 国内政治・時事問題
 一昨日のエントリーにneoさんコメントが指摘した古い資料の反論は、第一巡目調査結果によって、いろんな仮説を立てそれに基づいた上で、原発との因果関係を否定したもの。
 そういう反論のずっと後にさらにこんなマスコミ報道もあったことを報告しておきたい。

。福島の子どもらについて「悪性癌またはその疑い累計数」(ほとんど転移の恐れから手術を要した症例)は、第一次検査(先行検査)における発見数の2倍に近づいていく勢いで増えている。 これでは、「因果関係否定派」(おそらく原子力村になんらか組織されたものだろう)がどれだけ世論沈静化を図っても、止むはずがない。
 チェルノブイリでも事故数年後から癌患者が急増したが、そもそも先行検査で異常がなかった子どもにおける最近の癌急増ぶりが、異常なのである。因果否定派がいかにも作為的にわざとらしく、以下のように述べてきた根拠などは既に、とっくに吹っ飛んでいる。
『従来の「子ども甲状腺癌発生」数字は発現率であって、実際の発生率に比べてうんと少ないはずだ。福島はかってどこもやったことがない一地域の全員検査に近いから発生率と言える。数が増えて当たり前なのである』
 先行検査でなにもなかった子どもに手術を要する癌がこれだけ増えているのが普通の全国的発生率と言えるなら、世間の子ども甲状腺癌病院は今の数では到底追いつかないはずである。沈静化派は何を置いてもそういう詰問に答えるべきである。


『東京電力福島第一原発事故後、福島県が実施している「県民健康調査」の検討委員会が(2017年3月)5日、開催され、事故当時18歳以下だった福島県民38万人に実施している甲状腺検査の新たなデータが公表された。それによると、2巡目の検査で、悪性または悪性疑いと診断された子どもは、前回の69人より2人増え71人となった。また3巡目の結果も公表され、4人が悪性または悪性疑いと診断された。1巡目から3巡目をあわせた数は、甲状腺がんの悪性または悪性疑いが191人。手術を終えた人は7人増え、1人をのぞく152人が甲状腺がんと確定した。
 
「経過観察」の症例把握の方法を検討へ
福島県の甲状腺検査をめぐっては、2次検査の時点ですぐに穿刺細胞診を実施せず、「経過観察」となった子どもが、その後、甲状腺がんと診断された場合、検討委員会へ公表しているデータには含まれないことが、今年3月に発覚。県の担当者は会議の中で、「検査後の経過観察の中でがんが判明した場合などは追跡が困難であり、個人の情報の問題もあり、報告していなかった」と説明した。
 
これに対して委員からは批判が殺到。甲状腺専門医の清水一雄委員は、「根拠のあるデータに基づいて検討しなければ、この検討委員会の議論は空論になる。事実がわからなければ、何のために検査をしているかわからない」と指摘。また、国立がん研究センターの津金昌一郎委員も「公表されていない症例を除外したデータでは、国際的な論文は書けないと思う。当然、それらのデータは共有していただきたい」と述べた。また環境省の梅田珠実環境保健部長も、「保健診療に移行すると、別ルートとして扱われるというのは由々しき事態。この検査の信頼性に関わる。現在、実施しているサポート事業には、基礎資料として把握するという目的もあり、把握する努力をすべきだ」と提案。他の委員からも、「個人情報に配慮しながらできるかぎり把握すべきだ」との意見が相次いだ。
 
星北斗座長は、「できるだけ早期に、枠組そのものを見直すべきかもしれない。全国に散らばる患者を追いかけるのかなどが、今後の検討課題だ」とした上で、現在のデータからこぼれている症例の把握や報告方法について検討する方針を示した。
 
サポート事業に報告症例外が3例
検討委員会ではじめて、「甲状腺検査サポート事業」の実施状況についても報告があった。福島県民健康調査で2次検査となった、主に18歳以上の患者の医療費を助成する事業で、2015年7月に開始している。報告によると、医療費の助成を受けたのは、2015年度で延べ121件、2016年度で延べ104件の計225件で、交付人数は192人。そのうち、甲状腺がんの手術費用の助成を受けたのは62人だった。また、そのうち3人が、検討委員会でデータが公表されない「経過観察」後にがんが見つかった患者であることも報告された。

 市町村別のデータ公表見合わせ
今回初めて、公表された3巡目の甲状腺検査結果。この結果の公表方法が、これまでと大きく変わった。これまで市町村単位で公表されていた結果報告を変え、避難指示が出るなどした13市町村、中通り、浜通り、会津地方の4つの地域に分けて、人数を公表したのである。
 
甲状腺検査を担当している福島県立医大の大津留晶教授は、「レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドラインでは、人口2000人以下の市町村別によるデータの開示をしないこととされている」などと変更の理由を説明したが、福島大の清水修二委員が「相当、重要な変更だ」と反発。「これまで通り市町村別の数字を追跡する必要があるのではないか」との見方を示した。また、山梨大学の加藤亮平委員は「4つの地域に分けた理由は何か。」などと質問。これに対し。大津留教授は、4つの地域分けが、行政単位の実務的なものであると認めた。また、国立保健医療科学院の﨔田尚樹委員は、「検討のデザインや追跡方法をあらかじめ決めておかないと恣意的になる」と批判。さらに広島大学の稲葉俊哉委員も、地域分けが大きすぎるのではないかと指摘し、「具合いの悪いデータを隠しているのではないか疑われる恐れがある」と懸念を表明した。最後に、清水委員が再び発言し「私が心配しているのは、この県民健康調査の信頼性を下げること。それは避けたい。非常に重要なことなのに、急に変更するというのは、この調査の信用性を低下させる」と警鐘を鳴らした。星座長は、これらの意見を受け、発表方法について引き続き議論するとした。
 
IARC内で福島の甲状腺検査結果を検討
甲状腺検査の評価をめぐり、星座長が12月の検討委員会で提案した中立的、国際的、科学的な「第三者機関」については、県や国が直接、設置することは見送り、国際がん研究機関(IARC)が検討を行うことを、県民健康調査課の鈴木陽一課長が報告した。環境省の梅田環境保健局長によると、検討のメンバーは、加盟国から委員で構成され、無症状の甲状腺がんをスクリーニングすることの是非など、被曝後における甲状腺モニタリングの方向性を議論するという。検討内容は翻訳され、福島県に報告される予定。検討の結果、甲状腺検査の不利益が強調されれば、甲状腺検査は縮小ないし中止となる可能性もある。IARCは、国連の専門機関である世界保健機関(WHO)の外部専門機関。福島県立医大の山下俊一副学長が昨年、同機関で、福島県の甲状腺検査について講演を行っている。
 
委員は改選へ
今回で、検討委員会と甲状腺評価部会は任期切れとなる。放射線や甲状腺、疫学など、各分野の機関から推薦を受け、次回以降の委員を選定することが公表された。甲状腺評価部会の部会長を務める清水一雄委員は「バランスの良い構成にして欲しい。甲状腺の臨床医を増やす必要がある」と提案。また、津金委員からは「生命倫理の専門家や法律家」、﨔田委員からは「患者の代表」を委員に含めるよう、それぞれ提案された。』
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マスコミ報道の歪み(10)南北朝鮮報道はやはり歪んでいる   文科系

2018年02月23日 | 国際政治・時事問題(国連・紛争など)
 今日の中日新聞でも例によって表記のことが観られた。五輪を巡る南北朝鮮接近問題についての新聞報道はほとんど歪んでいると思う。見出しの『五輪利用、「なし崩し」狙う』も、そのなかのこんな記事文章も。
『韓国は五輪に際し、国連安全保障理事会が渡航禁止の制裁対象に指定する崔輝国家体育指導委員長の受け入れや、独自制裁対象の貨客船「万景峰92」の入港を次々に例外措置にした。金英哲氏の訪韓も同様に扱う方針で、北朝鮮による韓国の「武装解除」は奏功しつつある』

 どう歪んでいるかを表現してみたい。
①北が核兵器を開発しているという理由で、アメリカが「北に先制攻撃か?」という諸情勢を作った。「北は完全に破壊する」とまで言い切ってきた事もこれに重なってくる。対するに親兄弟が別れ別れになったようなこの両国で「戦争は嫌だ」と振る舞い返して当然である。現にアメリカは、大量破壊兵器保持というだけでイラクに戦争を仕掛けて潰した国だからである。それも国連の制止を振り切って。ちなみにその国が北に対して「国連決議を守れ」などとは、片腹痛い。イラク、シリアを観ても分かるように、核兵器所持よりも戦争の方が遙かに罪は大きいと考えるから、南北両国の現在の接近は人として当然の外交と愚考する。

②①の観点からすれば現在のアメリカや日本マスコミ論調は「核兵器開発は罪」という観点の教条主義にも等しい頑なな思考、言論だと考える。こういう方々に聞きたい。では、この所持ゆえに「対北先制攻撃」を広言したアメリカの行為をどう判断するのか。アメリカは「北は完全に破壊する」とまで言い切っていたはずだ。こういうアメリカの態度に対して「南は今北と仲良くするな。それは北の策略だ」というマスコミ論調は、アメリカの先制攻撃を側面援助するものとさえ愚考する。

③ちなみに、北の核は自分からは決して撃てない物であるとも付け加えたい。戦後73年、どこの国も撃てていないというのは、核以外の大量破壊兵器が憎まれていることと並んで、それだけ世界の民主主義の力が進んだからだとも主張したい。また、米国の北攻撃は核が原因とさえ言えない。それも含めて「ならず者国家」と名付けたことが原因なのである。このままであれば、アメリカは北だけでなく、同じ「ならず者国家」イランとかシリア、ベネズエラでさえ潰すだろう。そうならないためにも、僕はこの際南北接近を擁護したいのである。なお、1国の政治体制が「ならず者国家」か否かを決めるのはそこの国民以外にはないなどは当たり前の国際原則である。「(外から潰しても良いような)ならず者国家」などは、今の国際法では余程のことがなければありえないはずだ。
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忘れまい、「福島発子どもの癌」   文科系

2018年02月22日 | 国内政治・時事問題
(以下は、2016年1月、同人誌月例冊子に掲載の作品です。なお、福島原発に関わる政府などの悪行一覧表がこのブログにはあります。2016年1月1日から4日までの4回連載が確か、三度目の掲載だったかと。これへのアクセスはこうやります。
 右欄外当月カレンダーの直下「バックナンバー」と書いた年月欄で2016年1月にスクロールしてクリック。すると、上の当月カレンダーがその月の物に換わりますので、例えばその1日をクリックして頂けば、このエントリー本欄が「2016年1月1日のエントリー」だけに替わりますので、お求めの物をお読み願えます。これもお読み願えれば幸いです。)


一一月三十日、福島県民健康調査委員会が、第二巡目の子ども甲状腺癌調査の中間結果を三九名と発表した。一四年四月から一五年九月末までに発見された、悪性甲状腺癌確定とその疑いとを合わせた子ども数である。これで合計数は一巡目の先行調査による一一三名を加えて一五二名になる。この三九名のうち一五名がすでに手術を済ませているのは前回と同じで、ほとんどにリンパ節転移、甲状腺外浸潤が起こるので手術せざるを得なかったということのはずだ。一巡目調査でも手術数が確か百名を超えていたはず。この百名の例からも分かる通りに、今回まだ手術していない二四名も哀しいことだがこのままでは済まないだろう。転移が速く多いという意味で悪性度がこれほどに高いという点が、チェルノブイリとそっくりなのである。

 この二巡目の本格調査結果中間発表数の多さによって、事故との因果関係はますます深まるばかりになった。一巡目の先行調査では見つからなかったこの新たな患者は、まったく新たに発生したものと見なしうるからである。また、この二巡目の本格調査が始まったのは一四年の四月からで、先行調査に要した日数から判断すれば、まだ対象の半数ほどが調査済みという段階にすぎない。つまり、患者数はまだまだ増え続けるだろう。
 さて、ここにいたってもなお、癌が福島事故によるものという因果関係をこの委員会は否定している。それどころか、発病数が「多すぎる」という表現をすら、論議の末に中間報告書には書き込まなかったようだ。一体、どういうことなのだろうか。事故以前は子どもの甲状腺癌の発生率は百万人に一人か二人と言われていたのである。それを今は、こんな理屈で逃げ回っているのである。
「以前の数字は『発現率』であって、正しい発生率の数字など今まではどこにもなかった。虱潰しの調査などどこもやったことがないからである」
 こんな苦しい理屈は、調査対象三八万人から悪性甲状腺癌発生一五二名という事実を前にする時、虚しいものに響く。僕の孫のハーちゃんがこんなことになったら、この老骨が替わってやりたいと思うことしかできない、本当に、悲しいことなのだから。

 ちなみに、去年のノーベル文学賞受賞者はベラルーシのスベトラーナ・アレクシェービッチさん。僕も彼女の受賞作品「チェルノブイリの祈り」を最近読み終えたが、その彼女が授賞式前のストックホルム記者会見で、福島のことをこう評していた。
【チェルノブイリと同様、福島の事故でも、住民らを「政府が欺いた」】(一二月七日中日新聞朝刊)
 チェルノブイリはウクライナにあるが、最大の被害はその北のベラルーシ国民が受けた。事故当時これらの国も加わっていたソ連邦は、全体主義国家。その「全体」を守るだけの政治を進めていた政府は、多くの人々の命を犠牲にして応急措置を施し、事故前後から事故を徹底的に隠蔽してきた。日本政府もこれと同じ事をするのだろうか。住民本位の正当な批判まで押さえようというような「風評被害」という言葉が、ソ連邦にあったかどうかは知らないが。


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マスコミ報道の歪み(9)「日本人権監視団」?? 文科系

2018年02月21日 | 国際政治・時事問題(国連・紛争など)
 ここで何回か扱ってきたが、日本マスコミのシリア関連ニュースは、イギリスにある「シリア人権監視団」発表というものばかりだ。今日もそんなニュースが載っていたが、その見出しはこういうもの。
『空爆死者210人に シリア反体制派支配地』
 というように、「シリア人権監視団」が出すニュースはすべて「アサド政権は、いかに残酷であるか」というものに限られてきた。日本のシリア関連テレビ映像などでも、この団体が映したものがほとんどなのではないか。反体制派支配地域の残酷な映像などはすべて、政権側が起こした惨劇と扱うとして、有名になってきた。イスラム国が起こした事件さえ、そのように扱うことがあったと言われている。

 さて、日本に置き換えて考えてみて欲しい。日本のある「反政府団体」があり、これを支持する「日本人権監視団」なるものが中ロなどに存在したとして、誰がこのニュースばかりを「シリア唯一の真実」のように世界に流すだろうか、と。曰く「山城議長、不当長期拘留」、曰く「籠池夫妻も、同じく長期不当勾留」「こんな日本の共謀罪は、不当逮捕、不法人身拘束を続出させる」(などなどは、真実であるにしても)!! しかも、「シリア人権監視団」が存在するイギリスとは、以下のように中東の石油利権に長年携わってきた国なのである。

 イギリスは、アメリカの熱望に応えてイラク戦争に有志国参戦を敢行して多くの若者を死なせ、「参戦は誤りであった」という総括、懺悔までを、金も時間もかけて行った国である。
 ちなみに、この戦争によって米英に潰されたイラクは石油埋蔵量世界第5位の国。シリアの背後にいるとされる「ならず者国家」イランは同4位の国である。また、これが世界1位の国ベネズエラもシリア同様に内乱が起こっており、アメリカから「ならず者国家」扱いをされている。これも、既に世界に知れ渉っていることだ。ちなみに、この三つの国を英米の支配下に置けば、世界の原油価格を自由に操ることが出来るようになると僕は考えてきた。
 これと対照的な例を挙げてみよう。石油埋蔵量2位のサウジアラビヤは確実に「ならず者国家」と言って良い。北やイスラム国並みの強権政府であり、婦人の地位などは北よりも遙かに低いはずだ。が、この国に対して「ならず者国家」呼ばわりは全くない。石油政策で、基本的には英米に同調してきたからであると愚考してきたものだ。

 弱肉強食の今の世界では、必需品には値段があってないようなもの。「世界独占価格を自由自在操作」ということになるのだろう。

 「日本人権監視団」と名乗るも同然のいがわしい団体が出すニュース専門などというマスコミは、愚かを通り越していると言いたい。
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随筆紹介 幸福に生きる Ⅱ    文科系

2018年02月21日 | 小説・随筆・詩歌など
 幸福に生きる Ⅱ  S・Y さんの作品です 
  (14日紹介作品の続きに当たります)


 二十年来の友人は知り合ってすぐに打ち解けたわけではない。最初はどこか互いによそよそしかった記憶がある。たしか神戸まで行くバス旅行で並んで座ったとき、彼女がいきなり私に訊いてきたのだ。
「失礼なこと承知の上だけど、あなたは生きていくのに男の人が必要だったの?」
面食らったが、彼女のことはおおよそ知っていたし、私が再婚だということを知っていて質問してきたようだった。彼女は私の返事を待たずに自分の生い立ちを話し始めた。
――私はね。子どものころから母親の男に殴られていたの。ろくな働きもしないで、母親の稼ぎを当てにして、あげくに母親の洋装店で働いているお針子さんたちにも手を出す女たらしで…。なぜあんな男と母親は別れないのか、どうしても私にはわからなかった。だから、あなたのようにそれまでの恵まれた暮らしを捨てて、なさぬ仲の子どもたちを育てるなんて、わざわざ苦労を買ってまでするなんて… 私にはどうしても理解できないの。女は男なしでは生きていけないってことかしら? ー― 
そんなことを一気に話した。
 このときのことがきっかけで私たちは急速に親しくなった。性格も似かよっていたということもある。

 彼女が「私は産まれてから、いえ産まれる前から誰からも愛されたことがなかったの」そう言ったことがある。母親は胎内に子どもがいるとわかったとき、必死で流産しようとしたという。だが彼女は産まれてきた。誰からも歓迎されずに。父親も胎内に宿った命の存在を知らずに爆撃で亡くなっている。物心付いてからは悲惨な生活でいいことは何ひとつなかった。むしろ子どもが知らなくてもいいようなドロドロの男女関係を見せられてきた。だから後々、愛されたことも愛したこともない自分が結婚できるとは到底考えられなかったという。
 しかし私の知る彼女は明るくて人見知りもせず、誰とでもすぐに仲良くなれる人だ。話しも上手いが、なによりとても聞き上手である。
「持ち前のいい性格だよね。羨ましい」と言った私に彼女は、一瞬顔を曇らせた。
「ずうっと誰からも愛されず、友達もできず、相手にもされない子どもだった。だったら自分から誰にでもどんどん話しかけてみよう。いつも笑顔でいよう。あるときからそう自分に誓ったのよ」。
 子どものころ受けた暴力で彼女は片方の聴力がない。聞き取れないことで周りに阻害されないよう、人一倍笑顔で努力をしてきたのだという。

 私は彼女が人生の途中で夫さんに巡り会えたのは、神様からの贈り物だと思っている。


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こんな話が   らくせき

2018年02月19日 | Weblog
マイケル・ムーアはアメリカ社会が銃を手放せない理由を、黒人や先住民族を迫害・弾圧してきたからこそ不安と恐怖をどうしても拭えないのだと喝破した。つまり勇敢ではなく臆病なのだ。だからこそ抑止力にすがる。その抑止力が結果的に自分たちに牙をむく。
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マスコミ報道の歪み(8)南北朝鮮あるニュースの扱い   文科系 

2018年02月18日 | 国際政治・時事問題(国連・紛争など)
 今日の中日新聞国際面に、小さいニュースだがこんな見出しが載っていた。
「南北首脳会談は急がず」

 で、この記事内容の中心である韓国・文大統領の言葉はと言うと、こうだ。以下、一つの歪んだニュース扱いと読むゆえんを書いてみたいということである。

『北朝鮮の五輪参加を契機とした南北会談を振り返り「相当の成果を上げたので南北関係はさらに改善されるのではないか」と語った。ただ、南北首脳会談は急がない姿勢も示した』

 この言葉からさて、「会談は急がない」が見出しとして強調されたわけだ。これに対して僕は、こちらの方が国際情勢としては遙かに重要な言葉と読んだが、どうだろう。

『相当の成果を上げたので南北関係はさらに改善されるのではないか』

 僕がこちらを重視するのは、以下のような判断の尺度を持つからである。南北関係が良くなれば、あるいはこの関係が良い間は、アメリカによる北への先制攻撃は起こせないと。

 対するに「南北首脳会談は急がず」という見出しは、そういう僕から観るとこう映るのである。むしろ、改善に向かって進んでいるわけではないというように。まるで安倍政権の感情を忖度しているように読めないか。
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慰安婦 史実は隠せない   文科系

2018年02月17日 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 慰安婦問題で「恒久的、不可逆的解決」? それも愚かな大統領を相手にして、結果的に欺したような強引手法で? いくら隠しても史実は史実。当時のこんな政府文書も厳然と残っている。今後こういうことにならぬようにするためにも、歴史教科書ではしっかりと教えるべきだろう。


『 慰安婦問題の当時の政府文書二通   文科系 2018年01月27日

 日朝関係史、南京虐殺と続けてきましたから、慰安婦問題でもある決定的資料をそのまま再掲しておきましょう。以下の文書には、強制のことも軍がこのように認めています。このように。

『故サラニ軍部諒解等ノ名儀ヲ利用シ為ニ軍ノ威信ヲ傷ツケ且ツ一般民ノ誤解ヲ招ク虞アルモノ或ハ従軍記者、慰問者等ヲ介シテ不統制ニ募集シ社会問題ヲ惹起スル虞アルモノ或ハ募集ニ任スル者ノ人選適切ヲ欠キ為ニ募集ノ方法、誘拐ニ類シ警察当局ニ検挙取調ヲ受クルモノアル等注意ヲ要スルモノ少ナカラサルニ就テハ


【 慰安婦問題、当時の関連2通達紹介  文科系2014年09月22日

 以下二つは「日本軍の慰安所政策について」(2003年発表)という論文の中に、著者の永井 和(京都大学文学研究科教授)が紹介されていたものです。一つは、1937年12月21日付で在上海日本総領事館警察署から発された「皇軍将兵慰安婦女渡来ニツキ便宜供与方依頼ノ件」。今ひとつは、この文書を受けて1938年3月4日に出された陸軍省副官発で、北支那方面軍及中支派遣軍参謀長宛通牒、陸支密第745号「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件」です。後者には、前に永井氏の説明をそのまま付けておきました。日付や文書名、誰が誰に出したかも、この説明の中に書いてあるからです。

『 皇軍将兵慰安婦女渡来ニツキ便宜供与方依頼ノ件
 本件ニ関シ前線各地ニ於ケル皇軍ノ進展ニ伴ヒ之カ将兵ノ慰安方ニ付関係諸機関ニ於テ考究中処頃日来当館陸軍武官室憲兵隊合議ノ結果施設ノ一端トシテ前線各地ニ軍慰安所(事実上ノ貸座敷)ヲ左記要領ニ依リ設置スルコトトナレリ
        記
領事館
 (イ)営業願出者ニ対スル許否ノ決定
 (ロ)慰安婦女ノ身許及斯業ニ対スル一般契約手続
 (ハ)渡航上ニ関スル便宜供与
 (ニ)営業主並婦女ノ身元其他ニ関シ関係諸官署間ノ照会並回答
 (ホ)着滬ト同時ニ当地ニ滞在セシメサルヲ原則トシテ許否決定ノ上直チニ憲兵隊ニ引継クモトス
憲兵隊
 (イ)領事館ヨリ引継ヲ受ケタル営業主並婦女ノ就業地輸送手続
 (ロ)営業者並稼業婦女ニ対スル保護取締
武官室
 (イ)就業場所及家屋等ノ準備
 (ロ)一般保険並検黴ニ関スル件
 
右要領ニヨリ施設ヲ急キ居ル処既ニ稼業婦女(酌婦)募集ノ為本邦内地並ニ朝鮮方面ニ旅行中ノモノアリ今後モ同様要務ニテ旅行スルモノアル筈ナルカ之等ノモノニ対シテハ当館発給ノ身分証明書中ニ事由ヲ記入シ本人ニ携帯セシメ居ルニ付乗船其他ニ付便宜供与方御取計相成度尚着滬後直ニ就業地ニ赴ク関係上募集者抱主又ハ其ノ代理者等ニハ夫々斯業ニ必要ナル書類(左記雛形)ヲ交付シ予メ書類ノ完備方指示シ置キタルモ整備ヲ缺クモノ多カルヘキヲ予想サルルト共ニ着滬後煩雑ナル手続ヲ繰返スコトナキ様致度ニ付一応携帯書類御査閲ノ上御援助相煩度此段御依頼ス
(中略)
昭和十二年十二月二十一日
         在上海日本総領事館警察署



『 本報告では、1996年末に新たに発掘された警察資料を用いて、この「従軍慰安婦論争」で、その解釈が争点のひとつとなった陸軍の一文書、すなわち陸軍省副官発北支那方面軍及中支派遣軍参謀長宛通牒、陸支密第745号「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件」(1938年3月4日付-以後副官通牒と略す)の意味を再検討する。
 まず問題の文書全文を以下に引用する(引用にあたっては、原史料に忠実であることを心がけたが、漢字は通行の字体を用いた)。

支那事変地ニ於ケル慰安所設置ノ為内地ニ於テ之カ従業婦等ヲ募集スルニ当リ、故サラニ軍部諒解等ノ名儀ヲ利用シ為ニ軍ノ威信ヲ傷ツケ且ツ一般民ノ誤解ヲ招ク虞アルモノ或ハ従軍記者、慰問者等ヲ介シテ不統制ニ募集シ社会問題ヲ惹起スル虞アルモノ或ハ募集ニ任スル者ノ人選適切ヲ欠キ為ニ募集ノ方法、誘拐ニ類シ警察当局ニ検挙取調ヲ受クルモノアル等注意ヲ要スルモノ少ナカラサルニ就テハ将来是等ノ募集等ニ当リテハ派遣軍ニ於イテ統制シ之ニ任スル人物ノ選定ヲ周到適切ニシ其実地ニ当リテハ関係地方ノ憲兵及警察当局トノ連携ヲ密ニシ次テ軍ノ威信保持上並ニ社会問題上遺漏ナキ様配慮相成度依命通牒ス

 さて、これを皆さんはどう読まれるでしょうか。なお、この文書関係当時の北支関連国内分募集人員については、ある女衒業者の取り調べ資料から16~30歳で3000名とありました。内地ではこうだったという公的資料の一部です。最初に日本各地の警察から、この個々の募集行動(事件)への疑惑が持ち上がって来て、それがこの文書の発端になったという所が、大きな意味を持つように僕は読みました。】


 この冬期オリンピック競技直前に訪韓した日本首相の、何と恥ずかしい外交行動であったことか。いわく「米韓軍事演習を延期するな」?? アメリカのポチも良いところである。いや、アメリカ以上に高圧的なこの発言、態度に、「それは内政干渉。話を受けたとさえ言えません」と言う内容の門前払いを返された。安倍さんは、朝鮮戦争がまた起こればよいとでも考えているのではないか。そうすれば日米の膨大な国家累積赤字が帳消しになるかも知れないとか? そんな心で、日米が以心伝心??』
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随筆紹介 「看取り」   文科系

2018年02月17日 | 小説・随筆・詩歌など
 看取り M・Aさんの作品です


 古希に近くなると、周囲の知人で亡くなる人が多くなった気がする。病院などに入院しても、短期間で亡くなってしまう人があって、不謹慎ではあるがある意味幸せかもしれない、と思うようになってきた。

 人生の終わりの仕舞い方が高齢者の間で話題になり、自然と同様に生命の終わりも必然だと受け入れるように勧める医師や先達も多い。確かに、それは頭では少しだけ分かってきた気がする。それに伴って、最期の臨終を自宅で迎えたいと願う人もあり、また医師もそう願う人々の診療に、自宅回診で応えている立派な人もいる。今夜もラジオでそういう医師の話を聞いた。なるほど理想であるかもしれない。
 だが、片や独居老人が誰にも知られず亡くなっていく現実もあるのだ。実際に連れ合いを亡くし、老々介護で一人取り残されている老人がいる。またそうではなくて子供がいる場合でも、必ずしも看取ることは可能なのかという現実問題がある。テレビなどでも放映されていた。親が病院や施設にも入れずに自宅でヘルパーさんを頼みながら子供が面倒を看ても、子供が働けずに共倒れになっているケースがあるのだ。

 現実的に、自宅で最期まで看取られながら死ねる人は多くないと思うが、どうだろう。できる人はそうすればいいことであり、他人がどうこう言えるものではない。私の場合でも、二人の息子がいても、二人とも自身の生活、働くことだけでも大変な日々で、むしろ今親が手助けしている方である。
 だからといって、私が病になり最期を迎えるとしても、私は自宅で最期を希望しない。自宅で看取るということがどういうことか。看る人の自由を奪うことになり、生活も困窮するのだ。自分の夫でもできない。私自身が請け負えないことを、どうして子供に望むことがあろうか。
 私自身、実の父を施設に入れ、病院で看てもらってきた。冷たいようだが、各々の人にそれぞれの生活がある。私はそれを認め合うことが大切だと思っている。
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「ハルノートこそ開戦理由」とした狙い   文科系

2018年02月15日 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 表記のことをまたまた書きたい。ハルノートについて「これが日本の開戦理由、我慢の限界」というようなエセ歴史理論が横行しているからである。このブログ広告にもこのエセ理論種本の宣伝らしきものが再三出て来ることだし。以下の詳しい論述は、本年1月29日拙稿をご覧下さい。

『 米国務長官ハルの覚書が駐米日本大使に手交されたのが41年11月26日、外務省がこれを翻訳して関係方面に配布したのが28日でした。対して当時の日本政府はその行動を、このように説明してきました。ハルの、この4要求を「最後通牒」で「高圧的」と断定。それゆえ「自存自衛の為」(12月8日、宣戦の詔勅)の開戦を、12月1日の御前会議で決定、と。誰が考えても、国の運命を決めるような大戦争の決断経過としては動きが急すぎて、不自然です。この不自然さを、著者の吉田氏はこう解明していきます。

 そもそも1国務長官の覚書とは、1国の最後通牒などと言える物では、到底ない。よって、10月に退陣した近衛内閣が進めていたように、アメリカとの条件交渉の余地はまだまだ充分過ぎるほどに存在していたのである。対して、入れ替わったばかりの東条内閣が、ハル・ノートを最後通牒と断定し即戦争を決めたように語られてきたわけだが、これは完全に日本のあるタクラミに基づいている。その狙いは、
・生産力で10倍を遙かに超える差がある強大なアメリカの戦争準備が整わぬうちに、戦争を始めたかった。日中戦争進展にともなって臨時に大増強した太平洋周辺戦力はアメリカを上回っていたからだ。
・それも、完全に油断させておいて、不意打ちで開戦したかった。日本側は、十二分に準備を整えておいた上で。
・東条内閣は、発足20日も経たぬ11月5日の御前会議でもう12月初頭の開戦を決めていて、戦争にまっしぐらだったのである。その日に決まった「帝国国策遂行要領」をその証拠として、著者はこう書いている。
『「帝国は現下の危局を打開して自存自衛を完うし大東亜の新秩序を建設する為、此の際、英米欄戦争を決意し左記措置を採る」とした上で、「武力発動の時期を12月初頭と定め、陸海軍は作戦準備を完整す」と決めていた。引き続き外交交渉を継続するとされていたものの、実際には、その性格は開戦決意をカムフラージュするための「欺騙外交」としての側面をつよめてゆくことになる』

 なお、前にも述べたように、この11月5日の御前会議は、東京裁判当初までアメリカには隠されていたものである。以上のように軍人内閣のやり方は、「出来るだけ速く、密かに、しゃにむに戦争へ」「相手とは交渉を続けるふりをして油断させつつ」「それも、相手に知られない不意打ちで」というものであって、このことはその4にまとめた以下の事実によっても証明されている。
『よく知られているのは、真珠湾への奇襲攻撃である』。開始8日午前3時19分、対米覚書手交4時20分というものだ。この点については従来から、こういう説があった。対米覚書の日本大使館における暗号解読が遅れたとされてきたのだ。これにたいする本書の解明はこうなっている。
『外務省本省は13部に分かれた覚書の最終結論部分の発電をぎりぎりまで遅らせただけでなく、それを「大至急」または「至急」の指定をすることなしに、「普通電」として発電していたことがわかってきた』


 交渉する振りで「戦争はまだ」とアメリカをだましておいて、密かな奇襲を準備していき、宣戦布告よりも前に、不意打ちの真珠湾急襲。当時の国連を脱退した後も数々の国際法違反を犯してきた国際法違反の確信犯は流石に違うものである。という行動事実をすべて覆い隠すためにこそ、「非道すぎるハルノートで、堪忍袋の緒が切れた」と。これはまちがいなく、敵に開戦責任を転嫁して、国民の戦意高揚を狙った自己賛美、正当化というだけのこと。真珠湾攻撃のわずか10日前の国務長官メモが開戦理由というこの奇っ怪さは、こんな表現しか見当たりません? 
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随筆紹介 幸福に生きる    文科系

2018年02月14日 | 小説・随筆・詩歌など
 幸福に生きる  S・Yさんの作品です
                                         
    
 あるサークルで知り合った二十年来の友人がいる。少し年上だがユーモアのある明るい女性で、私とは初めからウマが合った。あるとき彼女がふっと洩らしたことがある。
「テレビで見たんだけど、アルフレッド・アドラーて知ってる?」彼女は本を読むのが苦手で、だから心理学や哲学にも興味がない人だ。  
「そのアドラーがね。過去のトラウマが現在の自分を不幸にするってことはないと言うのよ。他人から承認をしてもらわなくていい。そんなことにとらわれると人生が苦しくなるって」、だから、わたしなんだか嬉しくなっちゃってね。彼女は笑顔でそう言った。

 彼女は空襲の爆撃で父親を失い、母親はおぶっていた子どもと自分の足を一部失った。そのとき彼女は母親の胎内にいたそうだ。生まれて物心ついたころには母親の傍らにはいつもある男の存在があり、何か気に障ると幼い彼女に暴力を振るったという。母親は洋装店を経営して暮らしはなりたっていたが、男と別れることはせず、小さな娘を庇うこともなかった。それどころか、「謝りなさい。あの人をこれ以上怒らせないで!」逆に彼女を叱ったという。
 小学生のころ、夜中に家を追い出されて道端のバス停や公園のベンチで夜を明かしたことも何度もあったと、淡々と彼女は話した。
 当然近所でも悪い評判がたち、友達ができても「あそこの子とは遊んじゃだめよと、どこの親も私を汚いものを見るようにしていたのよ。私がなにをしたっていうのよね」、そう話す彼女。でも、私の知る彼女は人懐っこい笑顔の楽しい人だ。物言いもはっきりしているし、頭もいい。人の気持ちをさりげなく察してくれる思いやりのある人だ。
 結局、彼女たち母子は男の借金の形に洋装店も盗られ、夜逃げ同然に身ひとつで、今の地へ越して来たのだとか。
「生まれて初めて母と二人の生活になれた。もう、あの男の怒鳴り声を聞かなくてもいい。
朝までぐっすり眠ることができる。貧しい暮らしだったけど、それがどんなに嬉しくて幸せだったか。五十年も前のことだけどね」。

 そう明るく話す彼女だが、実は十年前に母親を亡くしたことがきっかけで鬱病を発症した。子どものころ受けた虐待、母親への不信感、社会への反発などの心的外傷の影響だろうか。
 今はほぼ回復しているが、でも、ときおり鬱が顔を出すのよと笑う。しかし彼女は良き伴侶と三人の子どもたちに恵まれた。親思いの子どもたちは塾も行かずに高校からアルバイトをしながら、みな国立大を出て元気に社会で働いている。孫たちにも恵まれた。それが何よりではないかと思う。

「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」私はこの言葉を折にふれ思い出す。程度の差こそあれ、私にも、いや誰にでも心の傷、闇の部分はあると思う。
 幸せになるのに他人の承認などいらないのだ。自分で決めればいいことだと改めて強く感じた。
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