以下のこの文章は、この間にここに要約①~③などをしてきた著作「金融が乗っ取る世界経済」関連の10本ほどのエントリーを実証的各論として、その上にまとめ上がった世界情勢の最も大きい総論ともいうべきものの積もりです。ここの10月8日エントリーにこの本の後書き自身ほとんどを『ドーア本あとがき、「米中関係」で「挑発」』と題して転載しましたが、以下はこの本を読み終え、ここに種々紹介してきた今の僕の「後書き」に当たります。よろしく、ご一読下さい。
ここに何度も書いてきたように、米国は国家も家計も大赤字だ。
元米国家監査院長によって国家自身の各種累積赤字が65兆ドルと報告されたのは、つい最近のこと。それでいて年間軍事費はいつの間にか冷戦時代の2倍になっていて、年60兆円も使っている。アメリカの家計も大赤字で、破産者が多い。1600兆円を超える貯蓄があるから、国家に1000兆円を超える赤字があっても円の世界的信用を維持している日本とは違うのである。アメリカには、サブプライムバブル破裂前後に家を取り上げられた破産低所得者は無数だし、消費者ローン破産者も巷に溢れかえっている。
さて、こんな状況で年間軍事費60兆円をどう維持していくのか。この維持が出来なければ、アメリカは早晩パクスロマーナ、無敵艦隊スペイン、大英帝国と同じ轍を踏むことになろう。そこで浮かび上がって来るのが、金融である。つまり、アメリカ金融が現在世界振動の大マグマになるはずだ。
アメリカは物の貿易収支はずっと大赤字なのだから、金融収支に国の存亡を掛けるしかない国に、90年辺りからなっている。世界各国の通貨に空売りをかけて通貨危機をあちこちで起こしたり、サブプライム・ローン組込証券のようなデリバティブを世界中の小金があるが無知な例えば学校法人などにまで巧みに売りつけて大損させたり、外国企業の株を買い占めてその操作に励んだり。株の操作は、原則こんな遣り口である。一つは、資産が多い外国企業の筆頭株主になり、その資産を売り払って株をつりあげてから、これを売り抜く。今一つは、ちょっと長期の筆頭株主になって経営権を握り、リストラに励んで株を吊り上げて売る。こういうこと、つまり金融の国際競争力を育成、奨励したいアメリカ国家だからこそ、ソロスやバフェットのような大投資家にキャピタル・ゲイン税15%などという猛烈な減税優遇を施してきたのだろう。また、こういう世界経済への金融支配の結果として、世界中に失業者や不安定雇用者が溢れることになったのだろう。
さて、以上のような世界情勢認識からアメリカの今後の国家戦略を考える時、こんなことが浮かび上がってくる。現世界最大の資産国、日中の資産狙いだ。だからこそ、一昔前の原油操作狙いの中東重視戦略から、西太平洋重視へと世界戦略の方向転換を最近図ったのだと、僕は観ている(もちろん、歴史的結果としてイスラムの国々から徹底嫌悪されてしまったということもあるだろうが)。それも、出来るだけ日中が手を組まないように、相互反目、離反を謀りつつ。こういう目で観て初めて、以下のようにいろんな事も見えてくるのではないか。
最近日本のGPIF投資が10兆円を越える損益を出したようだが、あれはアメリカの仕業だろう。日本最高の金融頭脳にこれだけ多額な損をさせるというような金融経験を持った大物は、いくらレバレッジを掛けた遣り口を使ったとしても、これ以外には考えられない。
また、小沢、鳩山の「徹底排除」はその日中接近姿勢への妨害工作としてあったのだから、今の南シナ海問題にもこんな視点が必要だろうと考える。ここからまた、フィリピンのドゥテルテの反米姿勢、「中比2国間交渉主義」姿勢は、今後のアメリカが陰陽両様で大問題にしていくはずであって、この問題にも日本は否応なく巻き込まれることになるだろう。ちょうど新政権代表団を組んで真っ先に中国を訪れた小沢一郎が嫌悪、排除されたように。
また、こういう目で観れば、韓国の大統領の国家機密漏洩問題も怪しいと愚考している。彼女が中国に接近したのは、アジア通貨危機やリーマンショックなどを通じて日米に金融搾取されたからだと僕は観てきたが、この対中姿勢が今度は日米から嫌悪され、排除されようとしているということだ。
こうして僕には、日本の右の方方がこういう日米問題を大きく取り扱わないのが不思議で仕方ない。今の米国に付いて行っても、良いことなど何もないのである。金融搾取が謀られたり、日米集団安保法制よろしく「軍を出せ」といわれて日本人が70年ぶりに他国と殺しあいを演じるぐらいしか。それとも、「集団安保法制は形だけで、対米『物』輸出を続けさせていただくため。金融搾取はこれを跳ね退ける」などという芸当が、果たして可能なのかどうか。
今の米国大統領選挙を観て、日本国民も気付くべきだと思う。「どちらがより嫌われ者か?」という激論が、「どちらがウォール街に近いか?」という批判合戦になっている。日本国民こそ、サンダースのようにウォール街からの距離を取るべきではないか。(日本と同じように)不安定労働者、相対的貧困者が先進国ではダントツに多いのは、金融立国だからと気づき始めた米国国民が、そんなことを教えてくれていると思う。
ここに何度も書いてきたように、米国は国家も家計も大赤字だ。
元米国家監査院長によって国家自身の各種累積赤字が65兆ドルと報告されたのは、つい最近のこと。それでいて年間軍事費はいつの間にか冷戦時代の2倍になっていて、年60兆円も使っている。アメリカの家計も大赤字で、破産者が多い。1600兆円を超える貯蓄があるから、国家に1000兆円を超える赤字があっても円の世界的信用を維持している日本とは違うのである。アメリカには、サブプライムバブル破裂前後に家を取り上げられた破産低所得者は無数だし、消費者ローン破産者も巷に溢れかえっている。
さて、こんな状況で年間軍事費60兆円をどう維持していくのか。この維持が出来なければ、アメリカは早晩パクスロマーナ、無敵艦隊スペイン、大英帝国と同じ轍を踏むことになろう。そこで浮かび上がって来るのが、金融である。つまり、アメリカ金融が現在世界振動の大マグマになるはずだ。
アメリカは物の貿易収支はずっと大赤字なのだから、金融収支に国の存亡を掛けるしかない国に、90年辺りからなっている。世界各国の通貨に空売りをかけて通貨危機をあちこちで起こしたり、サブプライム・ローン組込証券のようなデリバティブを世界中の小金があるが無知な例えば学校法人などにまで巧みに売りつけて大損させたり、外国企業の株を買い占めてその操作に励んだり。株の操作は、原則こんな遣り口である。一つは、資産が多い外国企業の筆頭株主になり、その資産を売り払って株をつりあげてから、これを売り抜く。今一つは、ちょっと長期の筆頭株主になって経営権を握り、リストラに励んで株を吊り上げて売る。こういうこと、つまり金融の国際競争力を育成、奨励したいアメリカ国家だからこそ、ソロスやバフェットのような大投資家にキャピタル・ゲイン税15%などという猛烈な減税優遇を施してきたのだろう。また、こういう世界経済への金融支配の結果として、世界中に失業者や不安定雇用者が溢れることになったのだろう。
さて、以上のような世界情勢認識からアメリカの今後の国家戦略を考える時、こんなことが浮かび上がってくる。現世界最大の資産国、日中の資産狙いだ。だからこそ、一昔前の原油操作狙いの中東重視戦略から、西太平洋重視へと世界戦略の方向転換を最近図ったのだと、僕は観ている(もちろん、歴史的結果としてイスラムの国々から徹底嫌悪されてしまったということもあるだろうが)。それも、出来るだけ日中が手を組まないように、相互反目、離反を謀りつつ。こういう目で観て初めて、以下のようにいろんな事も見えてくるのではないか。
最近日本のGPIF投資が10兆円を越える損益を出したようだが、あれはアメリカの仕業だろう。日本最高の金融頭脳にこれだけ多額な損をさせるというような金融経験を持った大物は、いくらレバレッジを掛けた遣り口を使ったとしても、これ以外には考えられない。
また、小沢、鳩山の「徹底排除」はその日中接近姿勢への妨害工作としてあったのだから、今の南シナ海問題にもこんな視点が必要だろうと考える。ここからまた、フィリピンのドゥテルテの反米姿勢、「中比2国間交渉主義」姿勢は、今後のアメリカが陰陽両様で大問題にしていくはずであって、この問題にも日本は否応なく巻き込まれることになるだろう。ちょうど新政権代表団を組んで真っ先に中国を訪れた小沢一郎が嫌悪、排除されたように。
また、こういう目で観れば、韓国の大統領の国家機密漏洩問題も怪しいと愚考している。彼女が中国に接近したのは、アジア通貨危機やリーマンショックなどを通じて日米に金融搾取されたからだと僕は観てきたが、この対中姿勢が今度は日米から嫌悪され、排除されようとしているということだ。
こうして僕には、日本の右の方方がこういう日米問題を大きく取り扱わないのが不思議で仕方ない。今の米国に付いて行っても、良いことなど何もないのである。金融搾取が謀られたり、日米集団安保法制よろしく「軍を出せ」といわれて日本人が70年ぶりに他国と殺しあいを演じるぐらいしか。それとも、「集団安保法制は形だけで、対米『物』輸出を続けさせていただくため。金融搾取はこれを跳ね退ける」などという芸当が、果たして可能なのかどうか。
今の米国大統領選挙を観て、日本国民も気付くべきだと思う。「どちらがより嫌われ者か?」という激論が、「どちらがウォール街に近いか?」という批判合戦になっている。日本国民こそ、サンダースのようにウォール街からの距離を取るべきではないか。(日本と同じように)不安定労働者、相対的貧困者が先進国ではダントツに多いのは、金融立国だからと気づき始めた米国国民が、そんなことを教えてくれていると思う。