九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

トランプ歓待の安倍政権に異議あり    文科系

2019年05月31日 11時31分58秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 アメリカがやっている外交は、今やこんなふう。
①国連でした約束はどんどん破る。例としては、金融自由化の恩恵は大いに享受しながら、物貿易は保護主義を強行。イラン核合意離脱。核削減体制からも離脱。温暖化対策から抜ける。イスラエルの横暴をのさばらせる。原油ドル支払い体制に従わぬ国家指導者はどんどん殺す・・・。

②国連規則にない独自制裁を連発。これは言ってみればアメリカ独自の「私刑」である。その制裁という「私刑」で言うことに従わねば、今度は「戦争だー!」と脅しをかける。

③「私刑」も「戦争」も、暴力強者による弱肉強食の無法社会、つまり戦国時代に向かうような外交行為ではないか。アメリカはそんな模範を示しているのである。現代国家はこのことを知っているから一国による乱暴のこんな連発は戦後なかったはずだ。がアメリカは、その軍事力を背景にして、このように暴力的に自己利益、主張を押し通してきた。政府系法学者には、こんなことを語る人さえ居る。「アメリカの軍事力行使を、国連には抑えさせない」。


 世界一軍事大国がこんな暴力外交を始めた時、世界第3の大国の安倍政権はこの大虎を諫めるどころか、その翼下に入って利権をむさぼろうとしているだけに見える。まるで、いじめっ子に取り入って自分だけ虐めを避けようとする子どもみたいではないか。取り入る材料がまた、困ったもの。米製の高価な兵器を大量に買い込み、こんなアメリカと集団安保体制をさらに深めて専守防衛原則を踏み外し、この道をもっと深めるように9条を改訂し、軍事的一蓮托生をずぶずぶと作り上げて来たのである。すぐ先に米中衝突が待っている現在では、このままでは日中武力衝突さえ目前という危険な情勢である。
 また、第3の大国日本がこれほどアメリカに取り入っているのが、どれだけアメリカの態度を助長していることか。
 今の世界は以上のようにもう、国際法が通用しない戦国時代に入りつつあるという認識も必要になったのではないかとさえ、僕は考える。アメリカだけが作っている戦国時代!


 こんな時にトランプへのあの歓待! まるで「虐めっ子に何も言わず、ただ取り入って、おべっかを使っている第一の子分」!
 近い将来米中ロ間に何か起これば、米の第一の子分・日本はそういう世界史への第一の共犯者になるはずだ。ヒトラーを助長した、日伊のようなものだろう。
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随筆紹介  振り込むな!   文科系

2019年05月31日 09時01分42秒 | 文芸作品
振り込むな!  K・Kさんの作品です

 パソコン画面にウイルスが感染しているので対策指示が出た。×印を消そうとしたが全く動かない。なんとか一時間かけて「排除出来ました」まで進む。ところが、六千五百円振り込む要求をしている。カード、銀行、郵便局、コンビニを選ぶ。変だと思いながらもこのくらいの金額ならいいかと進む。カード払いにしようと番号を入力したが、セキュリティ番号がはじかれる。諦めてコンビニ振り込みにして終了。でも、画面のウイルス対策指示は消えていない。これから先をどうしていいか判らない。

 その時息子家族が今日は近くに遊びに来ている事を思い出した。電話して事情を話す。「帰りに寄ってパソコンを見て」頼んだ。すると「偽サイトだ。振り込むな」即座に言った。
 私の家に着き画面を見て「マイクロソフト社を似せた広告詐欺らしい」呟く。片手でスマホを見て偽物のデータを検索している。
「カードナンバーだけでよかった。セキュリティ番号を入れていたら、一瞬で銀行口座から全額ないよ」
 息子に言われてゾクッとした。
「自分は大丈夫と思っている人が一番危ないのだから、オレオレ詐欺にも気を付けて」と念を押され返す言葉もない。

 電話、ハガキなどの詐欺はテレビや新聞で見て警戒していたが、パソコンで引っかかるとは。疑わなかった自分が情けない。見えない相手は何処かでほくそ笑んでいただろう。用心。用心。

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明日未明、CL異例の決勝   文科系

2019年05月31日 08時19分36秒 | スポーツ
 世界サッカーを新たに切り開いたような顔ぶれで、チャンピオンズリーグ決勝が明日未明行われる。イングランド同士のリバプール・トットナムの対決なのだ。リバプールは古豪久々の復活登場だし、トットナムの決勝なんて少なくとも近年は聞いたこともない。この2チームがまた、それぞれ本命と対抗の馬を破ってのように、類い希な勝ち抜きを成してきた。

 リバプールは、0対3で敗れた第1レグを第2戦で4対0とひっくり返してバルセロナを破ったのだし、トットナムは優勝候補大本命のマンチェスターシティとの準々決勝を、確か同点アウェイゴール差で破っての決勝進出である。この2戦の結果は、それぞれ本命がダークホースに敗退と、これがサッカー雀の普通の判断。ところが、トットナムに限っては、ダークホースとさえ言えないCL出場だったはずだ。それだけに、ポテッチーノ監督のマンチェスターシティ対策手腕が非常に高く評価される。ここまでの本年度CLの戦いによって今や、世界3大サッカー監督の列に名を連ねたと言えるほどに。もちろん、ガルディオラ、クロップ、そしてポテッチーノという順になるだろう。この現在イングランドに在籍する3人が、世界の名監督らを蹴落としてきたという構図である。
 ここで、最近の実績でこの3人に並ぶことができる監督をもう1人落としていたことに気づいた。スペインのアトレティコをここまで引き上げてきたディエゴ・シメオネだ。

 世界サッカーのここしばらくは、上記4人の監督が引っ張って行くだろう。彼らの手腕はそれぞれメッシ、クリロナをチームに入れるよりも遙かにチームを強くできると言うほどのものだ。もちろんそれ相応の選手が居るチームを預かればと言うことだが、この4人はもうそういうチームにしか行かないはずだから。それだけに、この4人の中でクロップとシメオネ、ポテッチーノは特に光っている。それまではCL出場すらできなかった弱小チームをその決勝まで連れて行くという実績を示してきたのだから。
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掌編小説 血筋が途絶える世界    文科系

2019年05月30日 12時00分20秒 | 文芸作品
 照明は効き過ぎなほど、客も賑やかなワインとイタリアンのその店でこの言葉を聞いた時は本当に驚いた。
「我が国の合計特殊出生率は一・一七なんですよ」
 思わず聞き返した。「一体いつの話なの?」。「確か二年前の数字だったかと……」。
 このお相手は、長年付き合ってきた友人、韓国の方である。最初に訪れた時の東部などは、僕が馴染んだ里山そのままと感じたし、食べ物は美味いしなど、すっかり好きになったこの国。何せ僕は、ニンニクや海産物は好きだし、キムチは世界に誇れる食べ物と食べるたびに吹聴してきたような人間だ。そしてこのお相手は、三度目の韓国旅行が定年直後で、連れ合いの日本語教師出張に付いてソウルのアパートに三か月ばかり滞在した時に意気投合しあって以来、何回か行き来してきた仲のお方である。知り合った当時は二十代前半で独身だった彼は、十数年経った最近やっと結婚したばかり。子どもはという話の中から出てきた言葉だ。ちなみに、合計特殊出生率というのは、女性一人が一生で出産する子どもの平均数とされ、既婚未婚を問わず一定年齢期の女性全てを分母としたその子ども平均という定義なのだろう。

「一・一七って、子どもがいない女性が無数ってことだろ? 結婚もできないとか? なぜそんなに酷いの?」
 韓国式に、いつの間にか年上風を吹かせている僕だ。対する彼の、年を踏まえた丁寧な物言いを普通の日本語に直して書くと、
「そうなんですよ。我が国では大論議になってます。日本以上に家族を大事にする国ですし。原因は、就職難と給料の安さでしょうか? 急上昇した親世代が僕らに与えてくれた生活水準を男の給料だけで支えられる人はもう滅多にいなくなりましたから。二一世紀に入ってから、どんどんそうなってきたと言われています」。「うーん、それにしても……」
 僕があれこれ考え巡らしているのでしばらく間を置いてからやがて、彼がたずねる。
「結婚できないとか、子どもが作れないとか、韓国では大問題になってます。だけど、日本だって結構酷いでしょ? 一時は一・二六になったとか? 今世界でも平均二・四四と言いますから、昔の家族と比べたら世界的に子どもが減っていて、中でも日韓は大して変わりない。改めて僕らのように周りをよーく見て下さいよ。『孫がいない家ばかり』のはずです」

 日本の数字まで知っているのは日頃の彼の周囲でこの話題がいかに多いかを示しているようで、恥ずかしくなった。〈すぐに調べてみなくては……〉と思ったら、あることに気付いた。連れ合いと僕との兄弟を思い浮かべて、その子どもつまり甥姪の子ども数比較をしてみた。すると、考えてもみなかったその結果に驚いた。
 連れ合いの兄弟は女三人男二人で、僕の方は男三人女一人。この双方の子ども数、僕らから見て我が子も含めた甥姪の総数は、連れ合い側七人、僕の方十人。ほぼ全員が四〇代を超え、既婚者は前者では我々の子二人だけ、後者は十人全員と、まず大きな差があった。孫の数はさらに大差が付いて、連れ合い側では我々夫婦の孫二人、僕の側はやっと数えられた数が一八人。ちなみに、連れあいが育った家庭は、この年代では普通の子だくさんなのに、長女である彼女が思春期に入った頃に離婚した母子家庭なのである。「格差社会の学歴・貧富の世襲」などとよく語られるが、こんな身近にこんな例があった。そして、この直後に「調べた」のだが、連れあいの甥の一人が二〇歳近く年上で子どもが三人いる女性と結婚していた。この夫婦にはおそらく子どもが出来ない。

 それからしばらくこの関係の数字を色々気に留めていて、新聞で見付けた文章が、これ。
「とくに注目されるのは、低所得で雇用も不安定ながら、社会を底辺で支える若年非大卒男性、同じく低所得ながら高い出生力で社会の存続を支える若年非大卒女性である。勝ち組の壮年大卒層からきちんと所得税を徴収し、彼ら・彼女らをサポートすべきだという提言には説得力がある。属性によって人生が決まる社会は、好ましい社会ではないからである」
 中日新聞五月二〇日朝刊、読書欄の書評で、評者は橋本健二・早稲田大学教授。光文社新書「日本の分断 切り離される非大卒若者たち」を評した文の一部である。
 それにしても、この逞しい「若年非大卒女性」の子どもさんらが、我が連れ合いの兄弟姉妹のようになっていかないという保証が今の日本のどこに存在するというのか。僕が結婚前の連れ合いと六年付き合った頃を、思い出していた。今はもう亡くなった彼女のお母さんは、昼も夜も髪振り乱して働いていた。そうやって一馬力で育てた五人の子から生まれた孫はほぼ全員四〇代を過ぎているのに、曾孫はたった二人! 一般に「母子家庭が最貧困家庭」とか、「貧富・学歴が世襲される世になった」、「生涯未婚の男性急増」とか語られる。今の日本ではどんどん増えている貧しい家はこれまたどんどん子孫が減っていき、家系さえ途絶えていく方向なのではないか。
 こんな豊かな現代日本、これに韓国も加えるとここ数十年で先進国に仲間入りした世界が軒並み、こんな原始的な現象を呈している。それも間違いなく、世界的な格差という新たな人為的社会的な原因が生み出したもの。地球を我が物顔に支配してきた人類だが、そのなかに絶滅危惧種も生まれつつある時代と、そんなことも言えるのではないか。

 彼の韓国青年につい最近あったが、以上の話を改めて僕から報告したのは言うまでもない。そして、韓国の為替や財界から日本が大きく搾取した時の話を僕から切り出して、お詫びのようなことも伝えたものだった。
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随筆  今や「戦争立国」の米、なぜ?  文科系

2019年05月28日 00時19分21秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 五月一四日朝、朝刊を読んでいる僕の目に、ちっぽけな見出しが二つ、飛び込んで来た。
『サウジの船舶など「破壊活動」の標的 UAE沖対イラン緊張高まる』
『イラン問題 英独仏と協議 米国務長官 核合意一部停止で』

 同じ一つのことを伝えた記事だ。イランがサウジなどに対して破壊活動を始めたとし、これについてポンペオ米国務長官が英独仏にこんな対応協議を申し入れたと。「イランが米軍を攻撃する兆候があるから、地対空誘導弾パトリオットなどの米軍部隊配備などを進める」。イランの破壊活動なるものが事実かどうかさえあやふやと読める記事の中で即「イランによる破壊工作」。対する米の戦争準備! 当然イラン政府もこんな談話を出した。
『イラン外務省のムサビ報道官は「心配で恐ろしい」と懸念を示し、「地域の安定を損なう悪意を持つ人たちによって計画された陰謀」に注意するよう周辺国に呼び掛けた』

アメリカの戦争外交というなら、四月末までにも南米ベネズエラに戦火の兆しが巻き起こされた。マドゥロ政権に反発するグアイド国会議長が一月二三日街頭デモ中に「暫定大統領」に名乗りを上げ、米国とEU諸国がただちにこれを承認するという異常事態が発生した。その後米国政府は軍事介入を公言し、グアイドの公然たるクーデター失敗事件なども加わって、マドゥロ大統領退陣戦争という様相になっていた。世界の主要メディアはこうした事態を、「独裁」に対抗する「野党勢力」といった構図で大きく報道した。

「イランによる破壊活動」の方はその後一七日の新聞報道では一転怪しげなものになっていく。米報道を垂れ流しがちな日本マスコミとしてはなかなか貴重なこととて、その中日新聞記事を抜粋してみよう。見出しは『米への「脅威」強調 対イラン圧力 ボルトン氏タカ派ぶり突出』、『イラク戦争 重なる構図』。記事のさわり部分は、こうだ。
『トランプ政権は今、毎日のようにイランの脅威をあおっている。タイムズ紙によると、英国の軍高官が一四日、「イランからの危機が増している状況ではない」と述べると、中東を所管する米中央軍は「米国と同盟国は、イランの支援を受けた武装勢力の脅威を示す情報を入手している」と、躍起になって反論した』
『米国への脅威を理由に軍事介入も辞さずに圧力をかけ続ける姿勢は、イラクのフセイン政権が「国内に大量破壊兵器を隠している」という誤った情報をもとに、二〇〇三年にイラク戦争を始めたブッシュ米政権と重なり合うという指摘も出ている』

 さて、こんな風にアメリカが作り出しているイラン(戦争)情勢に対して、イランのザリフ外相が日本政府を五月中旬に訪問し、河野外相と会談した。河野はイランに注文めいたことを語ったようで、「悪いのは、イラン核国際合意から勝手に抜けたアメリカ。我々は最大限自制している。注文はあちらに言ってくれ」とザリフ氏は応じたようだ。後の記者会見でも「日本は(国連仲介で結ばれたイラン核合意からアメリカが勝手に抜け出したことについて、日本は)何ら行動を取っていない」と抗議を述べたと伝えられた。

 さて、イラク戦争も含めて、今時のこれら米戦争外交とは、一体どこから出てくるものなのか。今回の「米、イラン制裁」「イランの脅威」という戦争政策の指揮を執っているのは、悪名高い国家安全保障補佐官ボルトン。ブッシュ政権がイラク戦争に突入した時のチェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官の下で、国務次官を務めたお人である。そしてその「対戦」相手が、イラク、ベネズエラ、イランと言えば世界原油埋蔵量それぞれ五、一、四位を誇る国々であり、かつ親米国ではないという共通性を持っている。さらにこの原油世界貿易には、これ自体以上にアメリカ現在の生命線が、もう一つ隠れている。
『アメリカに決められた石油とガスを米ドルで売るという規則を無視する勇気があったがゆえに、少なくとも二人の国家指導者、イラクのサダム・フセインとムアマル・カダフィが暗殺された。二人とも米ドル以外の通貨で彼らの石油を売買し始めており、他の国々も同じようにすべきだと強く提唱していたのだ』
 文中カダフィとは「アラブの春」で殺されたリビアの元国家元首。因みに当時のリビアは、原油埋蔵量世界第九位の富を国民に還元して、アフリカ有数の生活水準の国だった。
『炭化水素貿易のために、もはやワシントンが押しつける米ドル使用というきまりに敬意を払わない国々が益々多くなるにつれ、ドル需要は急速に減少するが、これは世界に対するアメリカ・ドル覇権に対する直接対決だ。何年も前に、ロシアと中国は炭化水素だけでなく全てのものを米ドルで貿易するのをやめている。インドとイランも同じことをし始めた。他の国々も続くだろう 。そして先駆者の一つベネズエラは世界最大の石油埋蔵国で、従って他の国のモデルになることは許されないのだ。トランプ政権と、そのウォール街のご主人は、ベネズエラがドルを放棄するのを阻止するのに必要なあらゆることことをするはずだ』
 この出典は、『マスコミに載らない海外記事』サイト。著者は、経済学者で地政学アナリストのピーター・ケーニッヒ。三〇年以上にわたり世界銀行で働いた方で、オンライン誌New Eastern Outlookの五月八日掲載記事。同誌の独占的書き手なのだそうだ。
 今のアメリカは、一般の物貿易は大赤字。だからトランプは保護貿易主義を強行した。この大赤字をある程度取り返してきたのが金融投資利益、兵器輸出、そして石油なのだが、石油貿易にはさらに特別な歴史的役割があったのである。ケーニッヒの文章の末尾から。
『オイル・ダラーを破棄したいと望むあらゆる国が危機にさらされているのだ。もちろんイランも。だがイランもベネズエラも、何年も前にドル体制の牙から自らを解放した二国、ロシアと中国の強い保護を得ている。しかも両国は、主に中国元とSCO(上海協力機構)加盟諸国に結びついた他通貨に基づく実行可能な東の通貨制度案によって明るい未来を提示しているのだ。ベネズエラーー Venceremos(ベンセレモス、我々は勝つ)!』

さて、こんな国際情勢を見つめつつ我が国を振り返るとどうだろう。安倍首相は、爆笑問題・太田光君との対談で、日本国憲法前文の「日本国民は……平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、(われらの安全と生存を保持しようと決意した)」を読み上げてこう非難して見せた。「他力本願ですよ。ベトナム戦争、イラク戦争など戦争は現にいっぱい起こっているのに……」。ベトナムとイラクはいずれもアメリカの戦争。よって、そのアメリカに寄り添ってきた彼が言う「戦争現実」は、自らも作り出して来たもの。日本の首相という世界有数の影響力を活用してこういう現実世界をもたらしているその人がそういう自覚も皆無のままに、この現実に合わせて九条を換えよと叫んでいるのである。
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随筆紹介  「二重跳び」   文科系

2019年05月27日 22時50分50秒 | 文芸作品
 随筆 二重跳び   K・Kさんの作品です

 机の上に夫の走り書きのメモを見つけた。内容は小学生の孫娘が二重跳びをできるようになって「おじいちゃん、二重跳びできる?」、挑戦的に言われた時のこと。「おーし、三重跳びでも見せたるぞ」自信満々で縄を持った。ところが、足に引っ掛かり一重跳びさえ出来ない。「おじいちゃん、縄跳びできないんだ」孫娘のびっくりしたような小ばかにしたような言葉にショック。リベンジするか、大人しく引き下がるか、の話だった。
 もうすぐ後期高齢者なのだから、縄跳びが出来なくても仕方ないと思う。血圧は高いし腰痛治療中だ。だが本人は「毎日一万歩歩いている。日曜日は町内のソフトボールもやっているのに」、納得できないらしい。どうにもおさまらない気持ちを走り書きしたらしい。しばらくメモを見ていると、本人には悪いが面白く思えてきた。夫が「暮らしの作文」を楽しみに読んでいるのを思い出し、「出してみたら」勧めるが、「こんなのが載るわけがない」、取り合わない。
 ところが、少しして「これで判るかな?」、自信なげに書き直した文章を見せた。いつも自信ありの夫の遠慮がちの姿は珍しい。よし、投稿初挑戦だ! 一週間後、「楽しい作品ですね」、採用の連絡があった。「恥ずかしい話です」、夫は電話口で照れている。「思いが活字になって、皆に伝わるのはワクワクするな」、夫は呟いた。


(文科系からの注ーーK・Kさんは、中日新聞「くらしの作文」の常連採用者のようなお方。今回は初めてお連れ合いさんに投稿を勧めて、見事採用という作品でした。末尾の「思いが活字になって、皆に伝わるのはワクワクするな」で、文芸サークルというものの原点を教えられた思いでした)
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米「イラン開戦」に、まともな報道  文科系

2019年05月26日 10時51分51秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 丸山穂高議員の「戦争?」は現実にはならぬだろうが、今、ベネズエラ、イランに「戦争だー」と堂々と叫んでいるアメリカ政府要人は多い。彼らはどのようにして本当に戦争に持ち込むかという問いを、イラク戦争などから考えてみるのが今の世界でとても大切なことだろう。

 21世紀の戦争はもう、国王とか皇帝とか、その周辺とかの権力者だけで起こせるものではなくなっている。普通選挙制度がある国では国民を巻き込まねばならなくなった。ヒトラーも東條も、そして、国連の猛反対を押し切ってイラク戦争を開戦したブッシュ米大統領も、マスコミを戦争へと熱狂させて国民を巻き込んでいった。ヒトラー、東條の開戦は新聞、ラジオ抜きにはあり得なかったし、ブッシュ時代の熱狂種は『「9・11」とイラクの大量破壊兵器(との結合)』。当時の報道によればアメリカ国民の多数がこう信じるに至っていたとさえ言われている。
『9・11はフセインがやった』

 さて、そんな今、アメリカによる対イラン開戦の動きに日本の新聞が相当素面になっているのは、イラク開戦における虚偽報道「大量破壊兵器」の教訓があったことも関わっていよう。本日の中日新聞記事もなかなか良い。その見出しも『「イラン軍事組織 タンカーを攻撃」 米国防総省断定』。この「紛争」海事事件に関して12日、17日と拙エントリーを書いたが、その17日分で紹介したようにきわめてまっとうな書き方だと思う。そもそも見出しにある「断定」という言葉が、こういう意味だ。証拠も示さずに、一方的に相手を裁いた、と。因みに、記事文言末尾が、そのように締められている。

『米軍高官は、「イラン指導部の最高レベルが主導したと自信を持っている」と攻撃を批判したが、具体的な根拠は明らかにしなかった』

 こういう書き方こそが、9条を持っている国のあるべき姿勢だと思う。確たる証拠もなく相手の破壊行為を言いつのるやり方こそ「戦争という現実」を世に押し出す言動であって、こういう「現実」を諸国民が放置すれば、9条を非現実、幻想にしていくのだから。
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僕の昭和人論    文科系

2019年05月24日 21時56分56秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 即席の日本人論と昭和人論を一つ。

1 まず歴史的背景について分かりやすいように、歴史順に箇条書きにしてみましょう。

①織豊時代、戦国時代に、日本の経済力が凄まじく伸びた。

②その力が、徳川の安定期に入って鎖国もあったりして、ほぼ「国内消費」にだけ使われた。回船など国内流通、商業もおおいに発展して、100年もたたないうちに、大都市などでは元禄の町人文化という形で、庶民文化も先進国相当の発展に達した。日本人が1日2食から3食にかわったのも、このころだ。基本的に「生産と消費の国内好循環」は徳川末期まで波はあっても続いていたのではないだろうか。この、アジア有数の力が、明治維新でいわゆる近代化が達成されていく原動力になっていったのだと思う。

③明治維新は一種の革命だったと僕は思う。下級武士により旧来身分制度(の固定化)が崩れ、できる庶民が、あの時代のアジアとしたら差別少なく登用されるようになった。こういう民主主義の一例が、例えば学校制度にある。庶民登用型学校制度という側面のことである。全国に女子と男子二つずつの高等師範学校が、西と東に設けられた。男子は広島と東京、女子は奈良と東京に。この四つは一般帝大よりはるかに難しく、それだけ教師が大切にされていたということだろう。ここには何の身分、家柄はなくとも成績がすごくよい人(今の超難関医学部ほどか?)なら、多少のお金があれば(一般帝大平均よりも貧乏な人でも)入れた。逆に金があっても、家柄がいくら良くても、成績が満たなければ入れなかった。ここを出た人々が、日本教育界の指導者としてそれぞれ東と西の全国に派遣されたから、こういう「立身出世流儀(教育)」が全国に広まっていった。明治、大正時代の世界でもずば抜けた識字率向上は日本人の民主主義的教育水準の高さを示していると思う。

④そして、敗戦である。廃墟からの再建熱と「民主主義的出世流儀」・学校制度のゆえに、60年代まで庶民の教育熱がどんどん広がっていく。この60~80年代ほど大学就学率が高まった国はこのころまでの世界ではちょっと希なのではないか。この平均的教育水準の高さという点は、英仏など過去の先進国からも驚かれている所だ。
 ただしその教育が目指すモノが、戦前とはちょっと変わった。戦前の旧制高校は「弊衣破帽」「末は博士か大臣か」に象徴されようが、戦後は「博士、大臣よりも『大企業の社長』に」というように。つまり、仕事内容よりも金が大事な社会になったのだろう。
 以上が、昭和人なのだと思う。

⑤以上のマイナスの負の部分、側面にも触れねばならないだろう。相当民主主義的で、世界の時代にも合った?ものだったとは言え、基本的に上からの改革であったということだ。各界の戦略、つまり長期的・全体的な方針は「上から下りてきた」ということである。組織、団体の上に上るほど戦略に絡めるが、そういうのはごく少数の人だったし、封建的身分制度の残りかすもあったりして、民主主義の全体的定着は近代化の進展に比べれば非常に弱かったということである。例えばこういうように。
 明治、大正の日本近代文学の最大テーマは、近代的自我であった。村の身分、家柄、本家分家、男女差などなどに押しつぶされる個人の苦しみを描いたものだったということだ。


2 よって昭和人の特徴は

①平均的に世界1と言って良い働き者で、仕事上気も利いて、働きの質も高い。

②上に従い、競争を好む。上の顔色を見ながら、組織人として多分世界でもトップクラスの有能さを示す。ただし、「専門」と「組織」以外には弱い。

③過労死、ノイローゼ・鬱病、自殺の多さなどは、以上の結果でもあるのだろう。以上の反面として、「社会性という習慣、心をも含んだ広い意味での人間関係」に極端に敏感なところがあるということではないか。非民主的な公私混同習慣なども、そうさせているのだろうが。

④趣味、文化活動は大いに必要だと思っているが、若い頃にその養いが少ないので、趣味とか、ましてや相当の知識人でも「文化」とかいうようにはなりにくい。戦前までの伝統文化が欧米文化移入によって途切れてしまった事も関係していよう。
 廃墟育ちでもあり、味覚、聴覚、視覚など五感の養いが少なかったからでもあるのだろうが、「好き」ということが弱いと思う。音、形・色、味、運動感覚など(の芸術・文化)というものは好きでなければ極めようもない。飯は掻き込むモノ、古い家は壊して新しくするのがよいという具合である。文化への尊敬、その鑑賞者は結構多いと思うが、アマチュア創造者が少ないのではないか。

⑤その教養・精神は、便宜主義で、哲学がない。あっても、また相当の知識人でも、便宜主義の哲学、生き方ノウハウ論の延長程度である事が多い。物事を突き詰めて考えず、習慣的にだけ反応し、考えてきたのだと思う。常識の範囲から出ることが少ないということだろう。③④が関係しているのではないだろうか。


3 以上と、後の人々、例えば平成成人組などとを比べなければ、昭和人論としてはまだ不十分だろう

 ①の現在は、「平均的には」最も落ちてきていると思う。②は、①ほどではないがやはり平均的には落ちてきていると思う。③は一種もっと深刻になっている。④はオタクというのも含めて、大事にされるようになってきた。ここが、後の人々が昭和人と最も違う「豊か」なところではないか。お祭り好きなど、「楽しい」がすきでもあるし。⑤は相変わらず弱い。日本知識人の最も弱いところだと思う。だからこそ③が整理できず、④がオタクになってしまうのではないか。


4 昭和人受け継ぎ、この国の未来に関わる結論

 少子化の成熟国の子ども、人間は、親、先輩がその成熟を作ったよい所を受け継がず、悪いところを見ていて、反省、改善はするのだが、はてまっとうに改善できるのかどうかといったところ。それで成熟国は、古今東西常に衰えてきたのではないか。その「正しい民主主義度」のエネルギー、「格差固定」の排除があるか無いかによって、現状維持継続期間の長短はありながらも。ちなみに、イギリス、フランス、ドイツなど明治日本がその民主主義で模範にした国々も、今や新たな身分固定社会になり、発展の芽はなくなっている。これだけめまぐるしい世界、社会になれば、3代目が家をつぶすと言われることが国にも当てはまってくるようだ。

 ワスプなんて習慣があったアメリカだって超大国で100年ほど続いているが、ナチスからの逃亡を含んだ移民と東欧没落がなければとっくに没落していたと思う。明治、大正生まれを祖父とすれば、現日本の中心は丁度3代目だし、移民は毛嫌いしている人がまだまだ多そうだ。


(2010年1月15日のエントリーを、再掲)
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「反日」「反日」と言いたがる人々に   文科系

2019年05月24日 21時01分42秒 | 文芸作品
 「反日」、「反日」と五月蠅い人々がネット社会に多い。これはそういう人々に進呈したい掌編小説。「反日」の「日」、つまり日本とはなんぞやをほんの少しでも考えようとして欲しいから。日本を知らず、語れない人々に「反日」「反日」と叫ばれてもねー?というわけである。
 一例、日本って何? 世界って何? 「反日」教徒というのは特に、世界を知らずに日本を語っている人のようだ。日本とはなんぞやって、世界との比較からしか分からないはずだが?


 掌編小説 「日本精神エレジー」   

「貴方、またー? 伊都国から邪馬台国への道筋だとか、倭の五王だとか・・・」
連れ合いのこんな苦情も聞き流して、定年退職後五年ほどの彼、大和朝廷の淵源調べに余念がない。目下の大変な趣味なのだ。梅の花びらが風に流れてくる、広縁の日だまりの中で、いっぱいに資料を広げている真っ最中。
「そんな暇があったら、買い物ぐらいしてきてよ。外食ばっかりするくせにそんなことばっかりやってて」
「まぁそう言うな。俺やお前のルーツ探しなんだよ。農耕民族らしくもうちょっとおっとり構えて、和を持って尊しとなすというようにお願いしたいもんだな」

 この男性の趣味、一寸前まではもう少し下った時代が対象だった。源氏系統の家系図調べに血道を上げていたのだ。初老期に入った男などがよくやるいわゆる先祖調べというやつである。そんな頃のある時には、夫婦でこんな会話が交わされていたものだった。
男「 源氏は質実剛健でいい。平氏はどうもなよなよしていて、いかん」
対してつれあいさん、「質実剛健って、粗野とも言えるでしょう。なよなよしてるって、私たちと違って繊細で上品ということかも知れない。一郎のが貴方よりはるかに清潔だから、貴方も清潔にしてないと、孫に嫌われるわよ」
 こんな夫に業を煮やした奥さん、ある日、下調べを首尾良く終えて、一計を案じた。
「一郎の奥さんの家系を教えてもらったんだけど、どうも平氏らしいわよ」
男「いやいやDNAは男で伝わるから、全く問題はない。『世界にも得難い天皇制』は男で繋がっとるん だ。何にも知らん奴だな」
妻「どうせ先祖のあっちこっちで、源氏も平氏もごちゃごちゃになったに決まってるわよ。孫たちには男性の一郎のが大事だってことにも、昔みたいにはならないしさ」
 こんな日、一応の反論を男は試みてはみたものの、彼の『研究』がいつしか大和朝廷関連へと移って行ったという出来事があったのだった。

 広縁に桜の花びらが流れてくるころのある日曜日、この夫婦の会話はこんな風に変わった。
「馬鹿ねー、南方系でも、北方系でも、どうせ先祖は同じだわよ」
「お前こそ、馬鹿言え。ポリネシアとモンゴルは全く違うぞ。小錦と朝青龍のようなもんだ。小錦のが  おっとりしとるかな。朝青龍はやっぱり騎馬民族だな。ちょっと猛々しい所がある。やっぱり、伝統と習慣というやつなんだな」
「おっとりしたモンゴルさんも、ポリネシアさんで猛々しい方もいらっしゃるでしょう。猛々しいとか、おっとりしたとかが何を指すのかも難しいし、きちんと定義してもそれと違う面も一緒に持ってるという人もいっぱいいるわよ。二重人格なんてのもあるしさ」
 ところでこの日は仲裁者がいた。長男の一郎である。読んでいた新聞を脇にずらして、おだやかに口を挟む。
一郎「母さんが正しいと思うな。そもそもなんで、南方、北方と分けた時点から始めるの」
男「自分にどんな『伝統や習慣』が植え付けられているかはやっぱり大事だろう。自分探しというやつだ」
一郎「世界の現世人類すべての先祖は、同じアフリカの一人の女性だという学説が有力みたいだよ。ミトコンドリアDNAの分析なんだけど、仮にイブという名前をつけておくと、このイブさんは二十万年から十二万年ほど前にサハラ以南の東アフリカで生まれた人らしい。まーアダムのお相手イヴとかイザナギの奥さんイザナミみたいなもんかな。自分探しやるなら、そこぐらいから初めて欲しいな」
男「えーっつ、たった一人の女? そのイブ・・、さんって、一体どんな人だったのかね?」
一郎「二本脚で歩いて、手を使ってみんなで一緒に働いてて、そこから言語を持つことができて、ちょっと心のようなものがあったと、まぁそんなところかな」
男、「心のようなもんってどんなもんよ?」
一郎「昔のことをちょっと思い出して、ぼんやりとかも知れないけどそれを振り返ることができて、それを将来に生かすのね。ネアンデルタール人とは別種だけど、生きていた時代が重なっているネアンデルタール人のように、仲間が死んだら悲しくって、葬式もやったかも知れない。家族愛もあっただろうね。右手が子どもほどに萎縮したままで四十歳まで生きたネアンデルタール人の化石もイラクから出たからね。こういう人が当時の平均年齢より長く生きられた。家族愛があったという証拠になるんだってさ」
妻「源氏だとか平氏だとか、農耕民族対狩猟民族だとか、南方系と北方系だとか、男はホントに自分の敵を探し出してきてはケンカするのが好きなんだから。イブさんが泣くわよホントに!」
男「そんな話は女が世間を知らんから言うことだ。『一歩家を出れば、男には七人の敵』、この厳しい国際情勢じゃ、誰が味方で誰が敵かをきちんと見極めんと、孫たちが生き残ってはいけんのだ。そもそも俺はなー、遺言を残すつもりで勉強しとるのに、女が横からごちゃごちゃ言うな。親心も分からん奴だ!」

 それから一ヶ月ほどたったある日曜日、一郎がふらりと訪ねてきた。いそいそと出された茶などを三人で啜りながら、意を決した感じで話を切り出す。二人っきりの兄妹のもう一方の話を始めた。
「ハナコに頼まれたんだけどさー、付き合ってる男性がいてさー、結婚したいんだって。大学時代の同級生なんだけど、ブラジルからの留学生だった人。どう思う?」
男「ブ、ブラジルっ!! 二世か三世かっ!?!」
一郎「いや、日系じゃないみたい」
男「そ、そんなのっつ、まったくだめだ、許せるはずがない!」
一郎「やっぱりねー。ハナコは諦めないと言ってたよ。絶縁ってことになるのかな」
妻「そんなこと言わずに、一度会ってみましょうよ。あちらの人にもいい人も多いにちがいないし」
男「アメリカから独立しとるとも言えんようなあんな国民、負け犬根性に決まっとる。留学生ならアメリカかぶれかも知れん。美意識も倫理観もこっちと合うわけがないっ!!」
妻「あっちは黒人とかインディオ系とかメスティーソとかいろいろいらっしゃるでしょう?どういう方?」
一郎「全くポルトガル系みたいだよ。すると父さんの嫌いな、白人、狩猟民族ということだし。やっぱり、まぁ難しいのかなぁ」
妻「私は本人さえ良い人なら、気にしないようにできると思うけど」
一郎「難しいもんだねぇ。二本脚で歩く人類は皆兄弟とは行かんもんかな。日本精神なんて、二本脚精神に宗旨替えすればいいんだよ。言いたくはないけど、天皇大好きもどうかと思ってたんだ」
男「馬鹿もんっ!!日本に生まれた恩恵だけ受けといて、勝手なことを言うな。天皇制否定もおかしい。神道への冒涜にもなるはずだ。マホメットを冒涜したデンマークの新聞は悪いに決まっとる!」
一郎「ドイツのウェルト紙だったかな『西洋では風刺が許されていて、冒涜する権利もある』と言った新聞。これは犯罪とはいえない道徳の問題と言ってるということね。ましてや税金使った一つの制度としての天皇制を否定するのは、誰にでも言えなきゃおかしいよ。国権の主権者が政治思想を表明するという自由の問題ね」
妻「私はその方にお会いしたいわ。今日の所はハナコにそう言っといて。会いもしないなんて、やっぱりイブさんが泣くわよねぇ」 
男「お前がそいつに会うことも、全く許さん! 全くどいつもこいつも、世界を知らんわ、親心が分からんわ、世の中一体どうなっとるんだ!!」
と、男は一升瓶を持ち出してコップになみなみと注ぐと、ぐいっと一杯一気に飲み干すのだった。


(当ブログ06年4月7日  初出。そのちょっと前に所属同人誌に載せたもの)
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アメリカは今や、戦前の日独?  文科系

2019年05月23日 13時37分36秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 以下は、21日の拙稿『マドゥロ、フセイン、カダフィが踏んだ「米の虎の尾」』に付けたコメントである。フセイン、カダフィは既に殺され、今マドゥロの死か彼の政権転覆かが執拗に画策されているのを論じて、「3者が狙われて来たのは、同じ一つの理由による」と見抜いたアメリカの経済学者による文章の紹介だ。そこの中に、僕にとって非常に怖いある数字があった。そのことを論じた短いコメントである。
 若干の手直しをさせていただいたが、お読み願えれば嬉しい。


【 最も怖かった部分 (文科系)2019-05-21 13:32:24 

『現在、既に実際、全ての関連製造業とサービスを計算すればアメリカGDPの50%以上である戦争と武器産業に強く依存している破綻したアメリカ経済だ』

 上記エントリー文中、僕はここが一番怖かった。古い経済学の大家、ケインズやマルクスが見抜いた資本主義の本質に最も根ざしている部分であって、20世紀の二つの大戦も、事後はこれで説明されていたはずだ。

①資本主義は、必ず供給過多になる。資本が大きくなる速度の方が、消費が大きくなるスピードより遙かに大きいからだ。必ず起こる供給過多、不況の長期化の行く末は、恐慌。これが周期的なように起こるのは必然である。

②供給過多への大きな対策が、経済の軍事化。ヒトラーも昭和日本も、これをやった。国家予算を軍事産業、軍隊に費やすことによってだぶついた供給力を買い取ってやるという方向である。命令系統がしっかりした固い組織である軍隊は、必ずひとり歩き、独自発展を遂げていくことになるその一貫した方向でもある。彼らが起こした世界大戦が、この結末であった。

③新しい国であるアメリカには、こういう世界史の痛苦の経験が少なすぎたようだ。敗戦という悲劇を伴ってここから学ばなかった唯一の大国ではなかったか。だからこそ、戦後すぐにアイゼンハウアー大統領が警告した「産軍複合体」の強大化が起こり、彼らの意向に抵触したからこそケネディ兄弟も殺されたのではなかったか。今のアメリカは、あの冷戦時代の2倍を優に超える軍事費を喰らうまでに育ち上がっている。

④こういう経済の軍事化、軍国主義化が、アメリカヘッジファンド金融経済とともに進んできたというのが、今の世界政治最大の焦点問題であるらしい。アメリカ・マスコミはさしづめ、これを隠し、美化する彼らの宣伝機関になっているということか。大本営発表の巧妙な現代版・・・。嘘の理由で始まったイラク戦争に国民を熱狂させたり、今はベネズエラのグアイドを持ち上げて「戦争だー!」と脅してみたり。さらに最近は、「アメリカの脅威になり始めたイランとも戦争だー!」と叫ぶ姿を大きく流したり・・・。】


 イラクやリビア、さらにはベネズエラやイランに対するアメリカの有形無形の「独自制裁」は、国連という世界唯一の多国間主義外交世界機関を通さずに行う「私刑」そのものではないか。ということはつまり、日本の満州・中国侵略、ヒトラーのポーランド侵略とどこが変わるというのだろう。違っているのはここだけである。日独と違って、アメリカは国連を抜けない。国連の合意、規則をさんざん踏み外しながら、国連という大義名分だけは活用してきたのである。それも多分、世界諸国が一致してアメリカを非難する様な事態が起これば、満州事変で旧国連を抜けた日本のように「堂々と脱退」ということになるのだろうか。ヒトラーの世界蹂躙に対しては後手を踏んだ連合国だったが、アメリカの世界蹂躙を傍観するままで良いのか? 国連仲介の元に結んだイラン核合意から勝手に抜け出して、独自制裁と言う名称の「私刑」を始めたアメリカ。これには、西欧も日本でさえも、流石に批判が巻き起こっている今である。
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「反日」で悪いですか?

2019年05月23日 13時20分18秒 | 国内政治・経済・社会問題
 ネトウヨ諸君は、何かというとすぐに「反日」と言って批判できた気になっている。その裏返しが今だと「親韓」「親中」なのだろう。さてただし、「反日」と言う場合の「日」、つまり日本が実にいい加減な理解であって、このことを真剣に考えたこともないことが丸分かりなのだ。彼らこそ実は、日本の意味を知らないのだろう。これを知らないからこそ、ちょっと気にくわない論議だと何でも「反日」のレッテルを貼る。韓国、中国に対しても同じことで、彼らのこの国の定義には何の意味もないから、「親韓」「親中」批判にも何の意味もない。
 このことに関わって、最近こんな論議をやった。
 

『Unknown (Unknown)2019-05-20 18:06:34
若者失業者の群れ・・
民主党政権の頃は、酷かったよね。』

『Unknown (Unknown)2019-05-20 18:09:27
狭い政治論議とか言って、日本を、より酷いレベルで、「世界化」したがるのが、文ちゃんサヨ論。
まあ、反日だよね。』

『反日が悪いの? (文科系)2019-05-20 18:31:04
「まあ、反日だよね」ってさらっと言われたが、反日で悪いですか? 僕も日本国の主人公なのだから、同じ同等の主人公の1人である君が、あるいはそういう人が100万人集まってさえ、僕の主人公資格を剥奪できるものでもない。「僕は反日だよ」と言ってさえ、「出て行け」と言って出て行かせることもできない。
 とそんな程度の意味のない言葉を、鬼の首でも取ったように使いなさんな。子どもが大人に向かって「バーカッ」と言ってるのと同じだよね。』

『「反日」が増えると、反日になる (文科系)2019-05-22 18:01:03
 とこのように「反日」と通告するだけで言われた相手が何か悪いような、そんな「日本」が日本なら、相手は大嫌いになるだろう。言われた相手も日本人、つまり日本の主権者だから、これよりも上の「日本」って一体何なの? 得体の知れぬ「日本」を掲げて、日本人を貶める人々。なのに、そう語ったという自覚も皆無のままに、主権者を馬鹿にしているのだ。

 彼らこそ、そんな「日本」って何かを一度考えてみればよいのだ。
 多数決、多数与党の日本?
 天皇の日本?
 彼ら流の歴史と伝統?

 この多数決は反対する主権者を排除できるものではないし、天皇の主権者も僕なのであって、彼は僕をも象徴しているのである。歴史と伝統を作った人々の中には、当然僕の無数の先祖も含まれているから、こういう「反日」論者はその子孫である僕をも尊重しなければならないだろう、

 要するに「反日」と日本人に言う人が馬鹿なのだ。自分が何を言っているのか全く気づかず、分かっていず、その実は日本を馬鹿にしている事が分かっていない人々。』
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マドゥロ、フセイン、カダフィが踏んだ「米の虎の尾」   文科系

2019年05月21日 11時12分27秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 「マスコミが報道しない海外記事」のサイトから、アメリカがベネズエラに画策してきた革命輸出について、よく分かる記事が出た。マドロを殺して政権転覆しようとしている理由が、イラクのフセインと、リビアのカダフィを殺した理由と全く同じだという米経済学者の文章である。
 この記事の中には正に、今のアメリカが作る理不尽な諸行動の焦点問題が描かれていると読んだ。すぐ下のこの記事の題名こそ、その世界情勢の焦点を描き出している。


【 ドル覇権にとってのリスクが、ベネズエラ「政権転覆」の背後の主目的 2019年5月8日
ピーター・ケーニッヒ New Eastern Outlook

 新たなクーデターの企て、というかプロパガンダ・クーデターの後、ベネズエラは、外国が押し付けた不安定状態にある。クーデター未遂は、4月30日に、ワシントンで教育され、支持された自称「暫定大統領」フアン・グアイドと、自分たちが何をしようとしているのか全く知らないように見える多数の完全武装した離脱兵士とグアイドによって自宅軟禁からあわただしく解放された反政府勢指導者レオポルド・ロペスにより実行された。すべてが数時間後に終わった時、彼らの大部分が元の部隊に再編入されるよう要求し、私が知る限り、彼らは復帰を許可されたのだから。

 これがワシントンの操り人形と「クーデター屋」だ。いわゆるクーデターが、ベネズエラ軍のいかなる介入もなしで、わずか数時間で鎮圧されたのを見ると、これがクーデターとして本当に計画されていたかのか、それともメディアが、我々が過去数年、慣れ親しんだ嘘と中傷である、全てマドゥロ政府によるベネズエラ天然資源の誤った管理のせいで、飢饉や医療や薬品供給の欠如で苦しむ国民や、マドゥロ独裁についての彼らの話題を「補給する」ための「広報」クーデターだったのか疑ってしまう。

 確かにベネズエラ国民は苦しんでいる。イギリスの経済政策研究センターCEPR報告によれば、制裁で約40,000人のベネズエラ人が死亡した。マドゥロ大統領がベネズエラの資源を浪費したためではなく、残忍で無情な外部の、主にアメリカと、程度は劣るものの、ヨーロッパのワシントン家臣による干渉のせいだ。もしベネズエラと民主的に選出された大統領ニコラス・マドゥロに対する、ポンペオやボルトンやペンスやトランプによる絶え間ない陣太鼓の音を聞けば、何と病的な統合失調症の世界に我々は住んでいるのだろう、我々がそれを許し、ロシアと中国以外の国々誰も、この破壊的な大失態に「やめろ」と言わないのは、我々が骨の髄まで病んでいるのだろうか?と疑問に思い、頭を振ることができるだけなのだ。

 国防総省アメリカ南方軍SOUTHCOMから漏洩した書類を含んでいるエリック・ズースのこの記事は、信じない人々に対して、彼らの考えを変える多くの理由を与えてくれる。

 欧米の人々は心の病の惨めな状態に至っている。我々はアメリカが引き起こした戦争と対立で、アメリカとそのNATO同盟国による何千万という人々の大虐殺、世界中での資源と金融支配を巡る無差別殺害とを許している。だが我々は、ベネズエラのように、静かな平和主義の、完全に民主的な国を非難し、徹底的に踏みにじり、法律のいかなる基準によっても全て違法な、最も恐ろしい金融、経済制裁で罰する同じ殺人者国に追随しているのだ。しかも我々欧米の「指導者たち」は全てそれを知っているのだ。

 これら欧米国家指導者連中や、選ばれた連中の手先は「やめろ」と言う度胸や政治的勇気がないのだ。もし彼らに良心が残っていたなら、彼らはそうできるはずなのだ。(原文のまま)属国諸国のこれらいわゆる指導者、彼らはその主権で全て望み通りになるはずだ。彼らはまとまって、もう沢山だと決め、自身をワシントンの恐怖から断ち切り、本物の欧州連合、専制君主にノーと言える連合、自らの主権で、自身の運命や、ベネズエラ、キューバ、ロシア、中国、イランや更に多くの平和な国々、基本的にワシントンの命令には屈しないことに決めたあらゆる国々との同盟の運命を決定する采配ができる連合を組織できるはずなのだ。

 彼らはなぜそうしないのだろう? 彼らは買収されているのだろうか、あるいは、もし彼らがあえて逸脱すれば殺すと脅迫されているのだろうか? 全てあり得るし、可能性は高い。おそらく28のEU加盟国全ての政治指導者連中は、明けても暮れても広めさせられている嘘の惨めなほどの断片まで信じようと意を決しているのだ。それは不可能なのだ。

***
 ベネズエラに戻ろう。欧米の一般大衆は、帝国が「変え」たがっている政権についての衝撃的な中傷ニュースなしでは決して長く暮らせない。ベネズエラの極悪ペア、グアイド-ロペスがワシントンの厳しい指示に従ったのは明きらかだ。何であれワシントンのご主人の事前承認と指令がないことをする勇気はグアイドには決してないはずだ。

 尊大な恫喝や濡れ衣やクーデター未遂後の脅威にもかかわらず、マドゥロ大統領は2018年5月20日に投票した人々の3分の2以上、彼を支援した600万人の投票者の確固たる支持をつかんではなさない。彼は同様、欧米に知られていない革命的な高潔さと良心の軍の確固たる支持を得ている。そして、とりわけ彼はベネズエラの堅実な同盟国ロシアと中国の支持を得ている。

 にもかかわらず、アメリカは手放すまい。彼らはなぜ全てを、衝撃的な戦争の危険さえ冒すのだろう?
 いくつか理由がある。第一に、読者は「石油に決まっている!」と思うかもしれない。第二に、超資本主義で、新自由主義から新ファシストに変身したアメリカは、まだ自分たちの「裏庭」だと思っている場所での社会主義国家を大目に見るまい。この全てが事実で. ベネズエラは本当に世界最大の炭化水素埋蔵量準を持っており、それは好都合にもアメリカのテキサス精製所に近いのだ。

 しかしながら、ワシントンの強制的な「政権転覆」の主な理由は、ベネズエラが米ドルで、炭化水素を売るのをやめたことで、従って世界中で、米ドル覇権のリスクになりかねないのだ。それは帝国にとって処罰に値する違反なのだ。書面にはなっておらず違法だが、それにもかかわらずアメリカに決められた石油とガスを米ドルで売るという規則を無視する勇気があったがゆえに、少なくとも二人の国家指導者、イラクのサダム・フセインとムアマル・カダフィが暗殺された。二人とも米ドル以外の通貨で彼らの石油を売買し始めており、他の国々も同じようにすべきだと強く提唱していたのだ。

 およそ3年前、ベネズエラは石油とガスを米ドル以外の通貨で売り始めた。大罪だ。

 世界経済の全面支配を意味する世界ドル覇権は、急速に衰退しつつある支配だが、それはドルがあふれた世界と、連邦準備金制度と、それと提携したアメリカ銀行により完全に支配されている通貨制度と、アメリカであれ他のどの国であれ、すべてのドルを、ニューヨークあるいはロンドンのアメリカ銀行を通して諸国間で移動させる国際決済制度、国際銀行間通信協会SWIFTとで、維持できているにすぎない。

 そういうわけで、急速に薄れつつあるとは言え、米ドルは世界の重要な準備通貨のままなのだ。そして二つ目が、炭化水素エネルギーのような商品の強制的な米ドル使用による取り引きによってだ。全ての取り引きがアメリカ金融体制に支配されているがゆえに、帝国が世界経済を支配するのに必要な量のドルを印刷することや、ワシントン支配に屈することを望まない国々を制裁と国外資産没収で罰することを可能にする。

 第一に、「ニセ」で不換の、借金を元にした通貨だと広く認められている米ドルに準備金を託す国の数が常に減り続けているため、準備通貨としてのドルは急速に衰えつつある。各国はドル準備所有資産を、漸次、他の資産、すなわち金や、これまで数年にわたり需要が高まっている中国元に換えている。中国が既に世界中で疑問の余地がない最強の経済として知られているので、論理的に中国通貨は特別な準備金の立場にある。だが主流メディアはこれについては報じないのだ。

 第二に、炭化水素貿易のために、もはやワシントンが押しつける米ドル使用というきまりに敬意を払わない国々が益々多くなるにつれ、ドル需要は急速に減少するが、これは世界に対するアメリカ・ドル覇権に対する直接対決だ。何年も前に、ロシアと中国は炭化水素だけでなく全てのものを米ドルで貿易するのをやめている。インドとイランも同じことをし始めた。他の国々も続くだろう - そして先駆者の一つベネズエラは世界最大の石油埋蔵国で、従って他の国のモデルになることは許されないのだ。トランプ政権と、そのウォール街のご主人は、ベネズエラがドルを放棄するのを阻止するのに必要なあらゆることことをするはずだ。

 それ故、政権転覆と膨大な石油埋蔵の乗っ取りは必須だ。もし必要とあらば戦争で。「人道介入」と民主主義を取り戻すという見えすいた全く偽りの口実で、「すべてのオプションがある」が、 アメリカが介入する所どこであれ、民主主義は廃止されるのを世界中が知っている。実際、アメリカが成功してきたのは、実に理不尽だが、存在するあらゆる民主主義の殲滅だ。

 このような状況下では、石油貿易や、一般の貿易でドルを放棄するというベネズエラの犯罪は、ドル覇権に対する真剣な脅威であり、押しつぶさなくてはならないのだ。それがこのクーデターの企ての狙いだ。もし連中が成功すれば、ドル通貨崩壊は少しばかり延期可能になるし、石油埋蔵を手中におさめるのは、うれしいお飾りなのだ。

 世界に対するドル支配が消えた後、かつて皇帝の命令に従うよう各国を操るための重要な手段だった経済封鎖がもう効果的ではなくなったら、一体何が残されているだろう? 現在、既に実際、全ての関連製造業とサービスを計算すればアメリカGDPの50%以上である戦争と武器産業に強く依存している破綻したアメリカ経済だ。残されているのは、アメリカとNATOが、それにより世界の他の国々を忘却の彼方に引きずり込むことができる好戦的な戦争挑発と戦争依存の国の圧倒的な火力だ。

 それで、オイル・ダラーを破棄したいと望むあらゆる国が危機にさらされているのだ。もちろんイランも。だがイランもベネズエラも、何年も前にドル体制の牙から自らを解放した二国、ロシアと中国の強い保護を得ている。しかも両国は、主に中国元とSCO(上海協力機構)加盟諸国に結びついた他通貨に基づく実行可能な東の通貨制度案によって明るい未来を提示しているのだ。

ベネズエラ - Venceremos(我々は勝つ)!

 ピーター・ケーニッヒは経済学者で地政学アナリスト。30年以上にわたり世界銀行で働いた後、直接の経験に基づいて、経済スリラー『Implosion (内部崩壊)』を書いた。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。】
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改めて、ゲーゲンプレス   文科系

2019年05月20日 16時10分22秒 | スポーツ
 また旧稿で恐縮だが、希望者が多い用語解説なので、何度も。
 折りしも、ヨーロッパチャンピオンズリーグ本年度決勝戦が6月1日土曜日28時から行われ、この戦術の創出者ユルゲン・クロップが監督をしているリバプールがCL初優勝を遂げそうな雲行きでもあるということから・・・。


【 ザックジャパン(145) 改めて、ゲーゲンプレス    文科系  2014年02月26日 | 小説・随筆・詩歌など

 ドイツはドルトムントのゲーゲンプレッシング自身について解説したい。この言葉が現在このブログで、検索に最も多く引っかかる言葉だと編集部に間接的に教えられたから、これを書こうと思いたった。

① まず、クロップ監督自身の言葉を、最初の解説要点としたい。
「相手が、相手ゴールに攻め込んだこっちのボールを奪って攻撃に転じた瞬間こそ、相手ボールを奪う絶好機というべきだ。敵の陣型が防御という意味では最も乱れている時だから、こちらの組織次第でボールを奪いやすい時でもあるし、その時にボールを奪えればゲーム中最大の得点チャンスにもなる」
 この言葉にゲーゲンプレスの全てが入っている。ゲーゲンプレスの意味自身とこのクロップの言葉とを結んでみると、意味がよく分かる。英語に言い換えた字義はカウンタープレスということであって、ボクシングのカウンターパンチが相手が出した拳にこちらの拳を合わせて威力を倍増させるというのとおなじ意味である。敵がボールを奪って前がかりになった瞬間こそ、味方が前へと組織的プレスに出てボールを奪い、そのまま得点しようという得点戦術なのである。

② ①の大切さを理解する必要不可欠な現代フットボール予備知識も挙げておく。現代最新型の守備とは、まずゴールを守る事(と考えるの)ではなくて、そのもっと前の段階で敵ボールを奪うことである。身方から見て高い位置で常に敵ボールを奪ってしまえば、敵がシュートまで行けないという理屈だ。サッキ監督のACミランやバルサ以来世界がボールポゼションに拘ってきたのも同じ理屈である。敵から良くボールを奪い、パスが上手いから敵にボールを渡さないなら、ボールを持てない敵はシュートを打つ確率が極めて下がる、と。
 高いプレスとかコンパクトプレスとかの用語も、この事に関係している。前者は、高い位置で組織的圧倒的に敵ボールに襲いかかって奪う事。後者は、身方陣型を、DFは前に上げFWも守備に下がって前後を縦に詰め、コンパクト(コンパクトカーのコンパクトと同じ「小さいけれど中身が詰まった」という意味)陣型にして、その密集の中では敵ボールを絡め取りやすいという意味である。その際、DFを前に上げるのでカウンターを食わないように、一糸乱れぬオフサイドトラップ(オフサイドの罠)が極めて重要になる。ちなみに一例としてだが、ザックジャパンはこれがまだ下手だ。前のプレスが甘いとき、良いロングパスを通されてカウンターを食ってしまうのである。オフサイドトラップを多用するコンパクト陣型には前の協力も不可欠だというのは、このことを指している。
 ところで、以上との関係でゲーゲンプレスを述べればこうなる。まず、必ずコンパクトプレスになるということ。高いコンパクトも、CLリーグなどでは低いコンパクトもよく使うが。特に、高位のコンパクトプレスからのボール奪取、得点が上手いということだ。コンパクトプレスが、ゲーゲンプレスの代名詞、必須条件になっている。

③ ゲーゲンプレッシングのやり方自身はこうである。
A ボールを奪った相手に最も近い味方は、すぐに敵ボール保持者からボールを奪いに行く。形だけではなく、猛然と本気で奪いに行くのである。
B 近くに敵の他の選手がいるその他の味方は、敵ボール保持者からその選手へのパスコースを塞ぐ。
C パスコースを塞げる敵がいない味方は、後ろからでもパスの受け手になりそうな敵を妨げに走る。後からボールを奪ってやろうとか。
D BCがあってこそ初めて、Aが成功する確率が高くなる。Aの身方がたとえボールを取れなくとも、あらぬ方向にボールを流させてこれを身方が掠め取ることも含めて。

④ 最後に、以上の為にドルトムントは常日頃どんな練習をしているか。木崎伸也の見てきたところをまとめてみよう。彼は、ドルトムントの秘密練習までこっそりと覗くなどと、大変な努力を積んできた。
A 以上の為の走りにつき、常日頃死に物狂いのような練習を積んでいる。ハインケス監督時代の最後にドルトムント・ゲーゲンプレスをそっくり真似してCL杯を取ったバイエルンとともに、ドルトムントは現在の世界でダントツに走るチームと言えるだろう。それも、ダッシュが多いという意味だ。
B 例えば低く構えてコンパクト陣型を作る場合でも、DFラインはおおむねペナルティーラインの2m前まで出ようとして、そのためにDFがこんな練習をしている。DFライン4人が敵ボール位置に合わせて猛烈な勢いで左右に動きつつ、1人は敵ボールにアタックに出る、と。その時必要な攻撃に出たセンターバックをMFがカバーする練習も非常に多い。よって、このチームのMF全員がDFの練習も積んでいる。
C ドルトのパスを繋ぐ攻撃は、バルサよりも縦に速いのが特徴と言える。攻撃の特徴、練習は、敵の間に顔を出し身方パスを引き出すこと。そのためのパス&ムーブの徹底、そしてワンタッチパスの多さなどがある。合宿などでは、ハーフコートの5対5ゲームをワンタッチ限定でやり尽くすということだった。この攻撃の全てに対する防御練習が存在するという事になり、ここにもゲーゲンプレス練習の大事なポイントがあると言える。

 最後になったが、ザックのチームコンセプトはドルトムントに非常によく似ていると思う。ザックもドルトムントと同じで、攻撃はバルセロナ、守備はアリゴ・サッキのミランを理想としてきたのだから、当然の事なのだ。組織規律を良く守り、よく走りもする日本人にはこの戦術が非常によく合っていると言える。】
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現代サッカー強豪の条件   文科系

2019年05月20日 01時18分43秒 | スポーツ
 現代サッカー強豪の条件というものがあると思う。10年近く前までは、バルサ流の繋ぎ尽くすサッカー全盛であったが、やがてドルトムントがこの強豪条件を変えた。そのことを僕にいちはやく気づかせてくれたのが、香川を追っかけて行って出会い、分析したこのドルトムントというチームだった
 その成果として5年ほど前に書いたあるエントリーを以下に再掲したい。
 ドルトムントが世界的強豪の条件を変えたとは、今のこの光景で分かることだ。
 現在自他共に認めるだろう世界1の監督ガルディオラは、バルサで育ってここの監督をしてすぐに名を挙げてから、次に選んだチームがドイツ、バイエルンだった。これは今思えば、当時ゲーゲンプレス戦術を起こしてにわかに世界的強豪に列してきた新興ドルトムントとドイツの新戦術を学びに出かけたようなもの。その結果が今の、イングランド2強の頭抜けた首位争いと言える。本年イングランドでペップと互角に渡り合ったもう1人の監督こそ、このドルトムント・ゲーゲンプレスの創始者ユルゲン・クロップなのである。
 ゲーゲンプレス戦術やこれへの対策を外しては、現代サッカーの強豪は作り得ない。


【 ザックジャパン(144) 改めて、ドルトムント論  文科系  2014年02月21日 | スポーツ

 このブログで、ドイツのフットボールチーム「ドルトムント」を書いた拙稿が長く、高い人気を続けている。確かにこのチームは、世界の歴史的名監督アリゴ・サッキ(元ACミラン監督として、89,90年とチャンピオンズリーグを2連覇)も語ったように、今の世界サッカー最大の要チェックチームなのだから、この人気は訳のある事と言える。そこで改めてドルトムントについて書いたコメントいくつかを、エントリーとしてまとめてみた。ただし、以下は、今回一部補足修正している。

『ハインケスの言葉 (文科系) 2013-05-31 03:05:55 
 別の処にも描いたが、バイエルン監督、ハインケスがこんなことを言っている。チャンピオンズリーグ決勝戦の前日の会見のことだった。
「サッカーは根本的に変化し続けている。今ではより複雑になっているよ。例えば、試合のペースが速くなる一方で、自由に使えるスペースが減少した。つまり、非常に狭いスペースでのプレーを余儀なくされたうえに、プレッシングとカウンタープレスもあるんだ。今ではこれらの要素の比重が大きくなっているね」
「試合のペースが速くなる」。「スペースが減少した」。「プレッシングとカウンタープレスもある」。これら総てが、僕にはこう思われたものだ。まるで、ドルトムントというチームを表現した言葉の羅列ではないかと。つまり、ハインケスが最大の敵・ドルトムントを、従って世界フットボール戦術の最先端をそう見ているということだと思うのである。』

『マンUとレアルが・・・ (文科系)2013-07-18 05:38:32
 最近世界のスポーツクラブの財産比較がアメリカのあるマスコミから発表されました。野球もアメリカンフットボールもアイスホッケー、バスケットボールその他あらゆるスポーツクラブを含んでの事です。このおもしろい記事は、いずれここにエントリーしますが、そこでサッカーの視点から重要なのが以下の事。1~3位すべて、サッカークラブなのです。ニューヨークヤンキースが4位、5,6位がアメリカンフットボールチームで、7位がまた野球のドジャース。
 さて、1位はレアル・マドリッドです。以下がマンチェスター・ユナイテッド、FCバルセロナですね。上のエントリー(13年5月30日のントリーです)に関わって重要なのがこの事。ドルトムントは、世界1,2位のチームに、相次いでエースを引き抜かれたわけだ。ヌリシャヒンと香川の事です。いかに注目すべきチームかを、ここからご推察下さい。と、そういう上の記事の論理的傍証でした。』

『改めて、ドルトムント (文科系)2013-09-23 22:20:45
 標記のことを改めて再論する。
 ドルトムントをカウンターのチームだという人は多い。ゲーゲンプレスに目を付けてそう言うのだが、これは皮相な見方だと思う。こういう人は、このチームが敵ボールを奪うやり方、攻から守への転換が上手い点に目を付けているだけだ。高い位置でボールを奪うゲーゲンプレスは、敵にシュートまで行かせないから失点を減らすというだけでなく、奪ったその瞬間を得点チャンスに変えるという組織的得点戦略を狙った闘い方なのである。
 ただ、奪うだけではあそこまでの得点力はないはずだ。同じくこれが上手いバルサに、メッシが欠けた時は極端に得点力が下がるのがその証明と言える。
 そのヒントは、FWだけが得点するわけでもないというこのチームの大きい特徴にあると思う。香川はトップ下ながら、あれだけ得点したのだ。これは、なぜか。ゲーゲンプレスでも中盤の得点が増えるがさらに、短いパスを高速下の少ないタッチで繋ぎながら敵ゴールに集団で殺到するショート・パス技術がこのチームのもう一つの特徴なのだと思う。だからこそ、高速下で高度な技術を発揮できる香川が生きるのだ。この点では、アヤックス型のトータルフットボールの継承者とも言えるのではないか。』

『アリゴ・サッキがドルトムントに注目! (文科系)2013-09-25 02:00:36
 すぐ上のコメントに適切な傍証があった。今の世界サッカー戦術を築き上げた二人の世界史的名監督のうちの一人、アリゴ・サッキが最新号ナンバーで「今、ドルトムントにこそ注目」と述べているのだ。最新の戦術論としてのことで、非常に聞くべき意見と思った次第である。以下は、別コメントに掲げた内容だが、ここにもそのまま載せておく。
「最新号のナンバーにアリゴ・サッキのザック評が載っているというので、「店頭読み」してきた。サッカープレイ自身は素人ながらクライフのトータルサッカーを研究し尽くし、これを引き継いで、今のバルサやドルトの原型システムを作りあげた歴史的名監督だ。まだ67歳。彼のコンフェデ日本評など、色々面白いことが目に着いた。それらを、まとめてみよう。
①ザックは名監督である。が、選手が彼に従っていない。5のウチ3言うことを聞くだけでは、あの守備は成功しない。私がミランでヨーロッパ2連覇などをできたのは、全員が一糸乱れず従ってくれたという質のよい選手がそろっていたからだ。あーいう守備のあーいう押し上げは、全部従わねばだめなのである。イタリアでは初歩の守備練習を代表に対して今も続けているらしいしね・・・・・。
②目に着いた日本選手は前田遼一だ。あのシステムをあれほど理解した上で地味な陰のプレーも含めて忠実にやっている選手があの日本チームのなかにいるとは、驚いた。
③今の世界最先端潮流はドイツである。他よりも2歩も3歩も先を行っている。日本人がドイツに多いのだから、あそこからもっと学べるはずだ。世界最先端監督はこうしてクルップと、もう一人ユベントスのコンテだろう。
 流石サッキというわけで、このナンバーは僕がよく買う監督特集でありながら、買ってこなかった。クロップが出ていないし、コンテの扱いも小さすぎるから。店頭で読んだだけ。ナンバー編集部も馬鹿だねー! こんな下手打って! 」

 現代サッカー戦術のルーツは、オランダのクライフ。そのトータルサッカー。サッキは、これを研究して、一時代を築き上げた。ACミランのCL2連覇がその象徴。彼のサッカー史への貢献・DFラインを上げたプレス戦術は結局こういうものだろう。
 サッカーの守備とは結局敵ボールを奪うことであって、これが超優勢ならばポゼションで絶対的に有利になる、と。同じくクライフの系統であるバルサも、ポゼッション重視であることに注目である。
 さて、そのサッキが今、上のように述べているのだ。ドイツとドルトムントが世界サッカー史に対していかに重要な事を成しつつあるかという証左だろう。』

このエントリーをお読みの方へ (文科系)2013-11-25 11:32:57
 このエントリー(13年5月30日エントリー)が未だに人気があるみたいです。ドルトムントの人気なのでしょうが、これも当然。つきましては、このドルトムント論をもっと詳しく、あるいはザック戦術に引きつけて書いたエントリーもあります。ご参考までに、以下もご笑覧下さい。
10月7日「ザックジャパン(117)ザック戦術とドルトムント」
10月15日「ザックジャパン(118)ドルトムント論」
10月28日「ザックジャパン(121)ザック戦術の前提知識・コンパクトとは」

 よろしくお願いします。』

『木崎伸也に注目 (文科系)2014-01-18 14:01:29
 サッカー好きの皆さんに、ライターの木崎伸也に注目することをお勧めする。良い選手とか、良いチームとか、世界先進戦術とかをいつも先取りして、取材費もたくさん使って世界に飛び、原稿を書いている。以下はその例だ。
①日本で最も詳しいドルトムントの観察者である。ドルトムントに居着くようにして、合宿所の秘密練習観察などにも努めていた。
②南ア大会直後のパラグアイ戦で香川・憲剛が上げた得点に注目して、香川の今を預言している。この点については以下の拙稿をお読み願いたい。「10年9月17日の当ブログ・エントリー」。これは当時のザックシリーズ拙稿の第1回目である。
③ロシアの本田に注目して、ロシアに半ば住み込むようにして本田ルポを書いてきた。

 昔の名前で食っているというような下らないライターを淘汰してサッカー雑誌を面白くするには、彼のような金も努力も、そして明晰な頭脳総動員も惜しまない人がもっと出て来て欲しいと、いつも思っている。サッカー評論に最も必要なものは、断片的知識、情報量などではなく、論理性である。組織論が強さの第一の源泉であるサッカーは、最も論理的なスポーツなのだから。』】
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島国日本の狭い政治論議に   文科系

2019年05月19日 12時06分02秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 どんな政治論議でも、「より人類史的・根源的に考える」という観点が、今ほど必要な時代は大戦以来なかったと思う。ここ30年ほどの金融本位グローバル時代が、そこから著しく外れて来たように思えるからだ。

 世界的な若者失業者の群れ。
 人にも国にもどんどん広がる格差についても、貧富の世襲が当たり前になって来た。
 そして、生産力としてはどんどん豊かになっている今の世界で、失業者とか、結婚もできぬ人々とかがこんな風に増えているのは、世界的現象なのである。これでは、ロボットが使われ始めたら、失業者ばかりになっていくのではないか。世界的に、人間本位の経済社会ではなくなってきたということだろう。最大の原因は、株主資本主義にあると言いたい。株主資本主義は、人のまともな職場というものをどんどん減らしてきたのに、新しい職場を作ることにはそんなに熱心ではなかった。これはそもそも、新たな商品開発、職場を作るような長期投資には馴染まず、例えば、アメリカに観るように国家資金にたかって軍事費を増やすというような伝統を有してきたものだ。
 そして唯一の超大国になったアメリカがすすめて来た産軍複合体政治と、それが世界に呼び起こしているやの大小の戦火、紛争、そして制裁と称された「私刑」の数々。そういう人間疎外世界が結果として生み出している、地球破壊の諸現象。これらは、ここ200年ほどの世界人類史方向から著しく逸れてきたように思えてならないのである。

・18世紀から営々と進められてきた民主主義理念の実現から、世界がどんどん遠のいているように思われる。基本的人権、人の命は平等に大切等の感じ方、考え方のことだ。
・20世紀世界の二つの総力戦を反省して生まれた知恵は一体どこへ行ってしまったのか。ブロック経済は世界に不況、恐慌、戦争、膨大な不幸をもたらす。恐慌は、経済を軍事化させ、戦争にも繋がっていくというのは、二つの大戦から人類が学んだことのはずだ。
・民主主義や基本的人権、互恵的経済、戦争のない世界を実現していく世界政治に関わっては、多国間主義が大切である。ここから外れる国は、弱肉強食世界、しいては戦争を世界にもたらすものである。

 どうだろう。こういった、ここ200年ほど人類が後悔し、話し合い、望んできた方向とは、ずいぶん異なった世界に来たように思われないだろうか。ここでいつも述べてきたことだが、社会ダーウィニズムこそが今の人類社会の有り様を上手く表現しているとでも言うような


 なお、日本については特に、上記人類史の諸理念は先進国としては元々弱かったという事実も、こんな今こそ思い起こすべきだと思う。僅か75年前の日本は世界の中では、こんな立ち位置にあったにすぎないのである。こういう国が軍事力だけは持ったから、15年戦争を起こしたということも可能だろう。
・国民主権という民主主義の国ではなかった。憲法の上で、国民は居なくて、臣民だけが居たのだから。人が平等でもなかった。女性の選挙権はなかったし、そもそも二院制の一方に、貴族院という議会が存在した。
・基本的人権も大きく制限されていた。天皇(制)を批判したら生きてはいけないような国だったのだから。治安維持法など、思想、その表現の自由もなかった。
・独伊とともに遅れて発展した資本主義国として経済の軍事化、植民地戦争を急ぎ、軍国主義の先頭を走った結果、国際連盟から脱退して世界に芽生え始めた多国間主義政治の場を放棄してしまった。今は、北朝鮮もアメリカも、もちろん中ロも、脱退などするわけがないのである。それは世界的な大義名分が大事になったからだろう。国連、世界法が、昔と違ってとても大切なものになったと言うことだ。日独伊の時代よりもそれだけ人類の多国間主義が大切になったと言うこともできるのだが・・・。
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