九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

「老人は死ね」と?  文科系

2020年03月31日 13時49分18秒 | 国内政治・経済・社会問題

 新聞で志村けんの死に至る経過をよく読んだ人なら、今の政府方針に標記のような政策を感じたのは、僕だけではないはずだ。
「17日 倦怠感があり、自宅静養」
「19日 発熱や呼吸困難」
「20日 重度の肺炎という診断で入院」
「21日 人工呼吸器を装着。意識なし」
「23日 新型コロナウイルス陽性が判明」
「29日 死去」
  
  この記述の内、入院の後「陽性判明」まで、3日もかかっているというのはどういうわけなのか。その「意識なし」の2日前には「呼吸困難」症状があったというのに。そして、そもそも肝心の「いつ病院へ行き、初診」の日が書いてない。18日だとすれば、陽性がでるまで5日、19日だと4日かかったことになる。そこで思い出したことがある。コロナ検査にかかわる内閣方針が「クラスターの発見、その関係者の検査や隔離」というだけのもので、孤立発病者には病院がほぼ門前払いを喰わせて来たのではないかということだ。それとも、「検査のたらい回し」があることもはっきりして来たから、特定の病院にしか検査を認めていないのか? そして、そういう方針決定について、内閣がウイルス学者の意見は聞いたが、感染症公衆衛生問題の専門家を呼んでいなかったという事実も付け加わってくる。
「この際、死んでいただく老人が増えるのは仕方ないこと」という判断を下した疑いさえ湧いてくるのである。韓国がやったような、希望者全員検査からはほど遠い検査態勢を取ったのであるから。 

 

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喜寿ランナーの手記(284)この走法、僕の難点  文科系

2020年03月31日 12時07分26秒 | スポーツ

 去年12月から最新の合理的(らしき)走法に換えて以降色々試してきたが、僕にとって最も慣れず、いまだに難しい点を改めて記してみる。

 この合理的走法の最大の特徴は「前脚を腰骨の下に持ってきて、その膝を伸ばしつつ脚腰全体で地面をつつく」というか、「そうできるように腰骨をできるだけ前脚の上に持ってくる」というかの点にある。まー「脚を蹴った反動で、(逆脚と)腰骨を前に移動して、腰骨の下に前脚が来るようにする」ということなのだ。
 逆に、これができていない姿というのは、こういうものだろう。後ろ脚で地面を後ろに蹴り上げる分、その脚が前に出る時には膝をより大きく曲げて腰よりかなり前に出す姿になるはずだ。これは、いわゆる「腰が落ちた走り」になる。そして、腰高走りが、腰落ち走りよりも合理的な理由はこういうことだろう。後者は前者に比べてその一歩一歩でその都度いつも前者よりも膝がより大きく曲がる点で、モモなど膝の周辺に無駄な力がいることになる。スクワットを思い出していただけば分かるが、膝を深く曲げる方が遙かに余分な力が要って、疲れるという理屈だ。

 ところで、今の僕には相変わらずこういう暗中模索がある。脚腰全体で地面をつついて走るのであって、膝を曲げて地面を後ろに押して脚を前に出して走るのではないと言ってもよいのだろうが、つついた瞬間にもう離陸している脚の逆脚と腰をそれぞれどの程度前に移動させるのかということだ。この際まず、自分にあったこの走法のストライド・ピッチ数を模索している。つつきを強くすればストライドが広がりピッチ数が減るし、弱くすればその逆になるわけだが、それとは別に、こういう問題がある。この時前に来た腰に対して、その下の脚を「腰の真下に」持って来る、その瞬間の脚の位置と形がまだ分からない。もっとも、ストライドやピッチ数に応じて腰の移動の大小が決まるのだから、また、「蹴り、地面つつき」の度合いでストライドも変わるのだから、これら全てが、「蹴り、地面つつき」の自分にあった強さ、形をどうするのかという問題なのかも知れない。

 とこのように、長年慣れ親しんで来たフォームを変えるというのは、小さな故障も起こるし、まー大変なことだと、新たに気付くばかりの毎日である。小さな故障と言っても、慣れているから小さくて済んでいるだけで、左膝とか、右小指下の疲労骨折が起こりうる場所とか結構重要な故障だ。と、そんなこんなで、キロ6分45秒程度の走りで、今は右往左往の試行錯誤をしている。

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「酷薄帝国アメリカ」露呈  文科系

2020年03月30日 18時20分27秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

「アメリカのコロナ患者数が中国を抜いた」とここに書いたのが、27日。それからわずか3日でアメリカの患者数は中国の優に1・5倍以上、13万を超えた。コロナ症状で陽性・治療というだけで、この国に多い無保険患者は100万円とか300万円とかの高額医療費を請求されていると今や米マスコミも改めて報道している。今後どれだけの人々が、治療を諦めて死んでいくのだろう。この国の政治の酷薄さがあからさまに世界に知られたというのは、大統領選挙を控えて今後のアメリカ国民にとっては大変良いことだったかも知れぬ。

 それにしても、これは新自由主義経済・政治の典型国の末路そのものなのだ。2日前のここに、元経済政策担当財務次官補ポール・クレイグ・ロバーツが書いたアメリカ国民の今の窮状報告文章を転載したが、そこにこんな下りもあった。
【連邦準備銀行の調査によれば、個人資産を売らなければ現金400ドルを作れない40%のアメリカ人のために何をすべきだろう?この医療危機の間、保険のない多数の人々を、どうすれば面倒が見られるだろう? 病院や医療事業は、一体どこで金を得られるだろう? 】

「経済の自由競争こそ経済発展の原動力、そのために国家による規制などはどんどん廃して「小さな政府」にすべし。国家の仕事は防衛と外交だけで良い」と、そんな方針でやって来た国だ。結果、不安定労働者ばかりになってろくに国民が自立できず、GAFAなどを除く米資本も中国などで営業する始末。そのことを、ノーベル賞経済学者らでさえ、こう反省しつつ嘆いているのである。 
『アメリカの製造業を支えてきた中間層が経済・社会的な大変動に見舞われることに気付かなかった。中国との競争でアメリカの労働者が被る深刻な痛手を過小評価していた』
 と反省しているのは、ポール・クルーグマン。また、米政治週刊誌「ニューズウイーク日本語版」には、こんな一節もあった。
『最大の負け組はやはり、アメリカの労働者だ。経済学者はかって、好況下では労働者は自分たちの賃金を引き上げる力を持つと考えていた。だが最近の見方はちょっと違う。多国籍企業が全世界を自らの縄張りに収めて四半世紀がたち、グローバル化した資本は国内に縛られたままの労働者よりも優位に立った』

 かくして、GAFAの株式時価総額はドイツGDPを超える一方で、アメリカの労働者は極貧に落ちぶれ果てたと、普通に語られることになった。それらのうちの中西部白人労働者達が、不動産王、トランプ予想外の当選の原動力になったという歴史の皮肉!

 ともあれ、アメリカのコロナ死者、肺炎死者は一体どれだけになるのだろうか。恐ろしいことである。「苛政は、虎よりも猛々し」

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新自由主義経済に、日米自己批判が始まる   文科系

2020年03月29日 20時30分37秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

  今、グローバル経済(学)は破綻した。この四〇年ほど世界を席巻してきた新自由主義経済に対して、世界で重大過ぎる根本的な反省が巻き起こっているからである。まず、去年の八月二〇日夕刊に 小さな記事だったが、分かる人には分かる重大な出来事が報じられた。「株主最優先を米経済界転換」、こう見出しされたこの中日新聞記事の書き出しはこうなっている。
『米主要企業の経営者団体「ビジネス・ラウンド・テーブル」は一九日、株主の利益を最優先する従来の方針を見直し、従業員や顧客、地域社会など全ての利害関係者の利益を尊重する新たな行動指針を発表した。これまで米経済界は「株主利益の最大化」を標榜してきたが、大きな転換点となる』

 こういう反省が真摯なものか否か、実行などする気もない何かの世界政経戦略的な策略なのかどうかなどは置いておいて、次は、一二月三日の米政治週刊誌「ニューズウイーク日本版」が組んだ特集「宗旨変えしたノーベル賞学者」。二人の世界的経済学者らの反省を載せているが、その内容を紹介してみよう。まず、アベノミクスの論客とも言えるポール・クルーグマンは、こう反省しているのだそうだ。
『アメリカの製造業を支えてきた中間層が経済・社会的な大変動に見舞われることに気付かなかった。中国との競争でアメリカの労働者が被る深刻な痛手を過小評価していた』  
 他の全米経済ジャーナリストらもこぞって、経済学者らの過去の議論をこう批判しているとも、この記事には紹介してあった。
『多くの経済学者が福祉を犠牲にし、効率性を最優先して「高賃金の雇用を切り捨て、低コストの技術産業に未来を託した」というのだ』
 という「反省」から、このニューズウイーク論文の末尾まとめはこういうものになっている。こちらは、もう一人のノーベル賞経済学者、ジョセフ・スティグリッツが九〇年代から指摘し続けてきたグローバリゼーション反省、批判をまとめた文章でもあるようだ。
『最大の負け組はやはり、アメリカの労働者だ。経済学者はかって、好況下では労働者は自分たちの賃金を引き上げる力を持つと考えていた。だが最近の見方はちょっと違う。多国籍企業が全世界を自らの縄張りに収めて四半世紀がたち、グローバル化した資本は国内に縛られたままの労働者よりも優位に立った。』

 さて、ここで思い起こす事がある。先進国がどこも、労働者が軒並み貧しくなって、国も家計も赤字だらけとなったことへの反省は、日本の誠実な経済学者達にはもうとっくに起こっていた。中谷巌(三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長、多摩大学名誉学長、一橋大学名誉教授)とか水野和夫(三菱UFJモルガン・スタンレー証券、法政大学教授)らがその代表者と言える。中谷が「中産階級をどんどん没落させたのが、新自由主義経済最大の誤りだった」と反省したのだし、水野はこう述べている。「先進国にもう長い間金融バブル経済しかないというのは、既に資本主義の寿命が尽きて弊害しかなくなったということだ」。それでさて、英米日などの政府は、どういう理論でもって今後の経済運営を行っていけるのか。世界経済のこのような惨状について、日本の主流経済学者であった人々の声も、今是非聴きたい。曲学阿世でなければの話だが。アメリカは「GAFA時価総額バブル」で、日本は「官製バブル」の「経済」?

 その下では、貧困小国化・日本。五〇歳まで一度の結婚もできない低所得男性が四人に一人になって、ここ百三十年なかったほどに出生数も減っているのである。
 日中や産油国への飴と鞭を加え続けざるを得ないアメリカ。もしアメリカから日中や産油国の資金が逃げ出したら、米GAFAバブルなど即沈没だからである。
  なお、南欧とか中南米諸国は日本より遙かに先に貧困に陥っている。これも、世界各国で何度も何度も打ち続けられてきた通貨危機など、世界金融が成し遂げた荒技の歴史的結末と言える。


「供給側を重視した経済」への反省から、国際経済を民のサイドで立て直すのは、国連の出番というしかない。ちょうど、資本主義草創期の無制限の労働時間に対して八時間労働が実現してきた時代のように。日中政府は、国連にますます背を向けて行くだけのアメリカへの投資などは引き上げて、その圧力でもって、新自由主義金融本意経済のアメリカに金融規制を迫るべきなのだ。

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世界経済危機を救う道  文科系

2020年03月28日 03時42分59秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 27日の「マスコミに載らない海外記事」サイトに、現世界の経済破綻に対処すべき至極まっとうな対案が載っていた。執筆者は、ここの常連さん、ポール・クレーグ・ロバーツ。アメリカの元経済政策担当財務次官補というお方だ。米GAFAバブル、日本官製バブルがコロナをきっかけとして弾けて、リーマンショック以上の危機を呼ぶといわれている現在である。バブル「景気」しかなくなった新自由主義経済が進めて来た「小さな国家」は、先進国国民の命さえ守れなくなっている。そんな国の「国防」に一体、どんな意味があるのか? 珍しく全文そのままを転載しますので、熟読玩味されたい。 

【 2020年3月27日 (金)

債務免除と国有化が経済危機への答え 2020年3月23日 Paul Craig Roberts

 アメリカ航空会社各社は、CEOや役員を儲けさせる仕組みの自社株買い戻しで、破産した。(https://www.lewrockwell.com/2020/03/david-stockman/the-crony-capitalist-thieves-are-back/) 収入へのウイルスによる衝撃で、議会は、彼らに500億ドルの救済措置をとっている。苦境から助け出す代わりに、彼らは国営化されるべきなのだ。
 今我々が直面している医療危機と経済危機で、政府は得られる限り、国民のあらゆる信頼を必要としているはずだ。彼らの問題と、我々の問題を引き起こした連中への救済措置は、公平性試験には合格するまい。
 私が前に書いたように、国有化は多くの人々にとって禁句だが、それは実際、数十年の規制緩和と集中を修正し、経済に競合を回復する機会を提供してくれる。例えば、大きすぎて潰せない国有化された銀行は、後に分割可能で、小さな部分を民間に売れるのだ。商業銀行が再び投資銀行から分離でき、集中した金融権力を潰せるのだ。

 市場が自己調整などしないことがわかった今、我々は思慮ある金融規制を復活させ、銀行に、金融化と、既存の資産を抵当として借金するためにではなく、生産的用途に貸すよう要求できる。アメリカ金融体制は、長い間、アメリカ経済の生産的側面を支援してこなかったのだ。
 企業が閉鎖するにつれ、大変な負債をかかえた一般のアメリカ人が、至る所で仕事を失っており、ショッピング・センター・ロビイストは1兆ドルの補償を求めている。ホテル業界は1500億ドル欲している。外食業界は1450億ドル欲している。全米製造業者連盟は1.4兆ドルを欲している。(https://www.cnbc.com/2020/03/21/coronavirus-1-trillion-rescue-package-might-not-be-enough-for-businesses.html) 食糧配送業者は困難な状態にある。ボーイングは融資保証で、600億ドルの資金供給を望んでいる。地方や州の政府は支援を必要としている。米国市長会議は2500億ドル欲している。リストは無限だ。

 連邦準備銀行の調査によれば、個人資産を売らなければ現金400ドルを作れない40%のアメリカ人のために何をすべきだろう?この医療危機の間、保険のない多数の人々を、どうすれば面倒が見られるだろう? 病院や医療事業は、一体どこで金を得られるだろう?
 唯一の解決策は、費用が支払えるよう、医療を国営化することだ。食物や捕れるものを何でも襲って、感染して失業中の多数の人々に、道路を歩き回られては、我々は生きてゆけない。
 経済にとって唯一の解決策は、普通の人々に対する債務免除と、企業に対する国有化だ。トランプは支援が株式取得という形で行い、後に、事態が正常に戻ったら、民営化で後に政府保有株を利益のためで売ることが可能なことを示した。これは部分的国有化だろう。集中と規制緩和の解決が可能になるのだから、徹底的に国有化した方が良いだろう。

 世界的大流行で、利己主義の個人で構成される社会は社会ではないことが明らかになった。社会というものは、社会制度なのだ。成功している社会制度は、その成員を支援できるものだ。持続可能な社会制度が存在すれば、人々が独力で多様化する基盤になる。だが、持続可能な社会制度なしには、何もあり得ない。
 アメリカで持続可能な社会を作るには、教条的な考え方を放棄する必要がある。古いイデオロギーは邪魔になる。我々も指導者も、医療危機と経済危機に、いかに成功裏に対処すべきか、創造的に考えなくてはならない。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。】

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随筆紹介 「コロナ蟄居が高齢者に痛い」  文科系 

2020年03月28日 03時22分10秒 | 文芸作品

 コロナ蟄居が高齢者に痛い  H・Sさんの作品です

 新型コロナウイルスの拡散で図書館、美術館、温泉、公開講座等、私が日頃出入りする
場所が閉鎖になってしまった。食糧と夫の晩酌用の酒を買い込み自宅待機となり、自宅の
敷地内での生活を余儀なくされることになってしまった。私は自宅の敷地の内で一日を過
ごす四百平米の世界の住人となった。
 幸い今年は暖冬で、暖房を利かせ家の中に閉じこもることをしなくてもいいので、畑仕
事をすることにした。暖かく日当りがいいのは嬉しいが、草の伸び方も激しいので草ぬき
に追われることになった。
 畑の前の道は、バス停、スーパー、ドラッグストア等への通い道になっているので、通
勤、通学の時間が終わると、いつもなら小ざっぱりした服装の年配の人達のグループとかおひとり様とかが、軽やかな足取りでバス停を目指す姿を見かけていた。が、二月の終わりからこの様な人達の姿は見かけなくなった。代わりのように新しく登場したのはキャリーバッグにトイレットペーパーを乗せ、ごろごろ音を立てて引いてゆくおばさん達の姿だ。
 顔見知りのおばさんが畑の前で立止り、私に近づき、トイレットペーパーを指さし、ま
くし立てた。
「一時間前からドラッグストアに並んでやっと手に入れたのよ。しかも一メーター以上の
間をあけて並ばされてね。大通りの側道まではみ出す大行列が出来たよ」
「店の人が、一メーターの間隔を開けて並んでくださいと、お客さんにそんな失礼なこと
を言うの」と、私は、おばさんに訊いた。
「店の人は、外の客とは関係ないわよ。客の中に仕切り屋がいるの。コロナ予防のた
めにそうしろと言って譲らないのよ。ああ疲れた」と、怒りをぶちまけた。
 その日から、ふだん着姿でキャリーバッグを引いて買い物に行くおばさんたちがぐんと増えた。その人たち全員が、キャリーバッグにトイレットペーパーを乗せている。
「今日は、やっと買えたよ」「棚に一つだけ残っていたので、予備に買ってきた」
「勤め人がいるので、マスクが欲しいのだが、ドラッグストアを回っても手に入らない」
と、口々に店の現状を私に話した。
 道を通るこのおばちゃん達とは、会釈、二言、三言、会話を交わす程度の知り合いだが、
この季節には畑に植えた早咲きの花を、買い物の行き帰りに立ち止まって見て楽しんでい
る姿を見かけることが多かった。そのようなおばちゃん達の気がかりは、トイレットペパ
ーとマスクで占領され、花を愛でる緩やかさは吹っ飛んでしまっている。
 私の行きつけの生協店でも棚からトイレットペーパーが消えていた。酒の量販店は売り出しでもないのに駐車場が満杯で車を止めるのに時間がかかった。店内には夫のお気に入りの清酒は一本きりだった。夫が他のメーカーはいやだとか言うので出直すことにした。
〈このすごい酒屋のこみかたは、いったい何なんだ〉と、私は呆れた。これは、外食を控えた人によって家で食事して飲酒をする家飲みが増えて、酒の販売量が増えた影響だと、テレビの放送で知った。風が吹けば桶屋が儲かるというたぐいかと、納得した。

 感染症の専門家の医師たちが、入れ替わり立ち代わり、新型コロナウイルスは、新しく
出てきた病気だからワクチンは無い、治療薬も無い、若い人は感染しても軽症ですむが高齢者の死亡率は二十%だと、テレビ、ラジオでひっきりなしに語りかけている。用心に越したことはないが、少々気がめいって来る。でも私にとって二週間ほど続いている四百平米の世界での生活は、コロナが原因の世情とは関係なく、近い将来やってくる私の老いの現状を先取りして見せつけられたようなものだ。何れやって来るその日のための予行演習だと思えたが。今回は、笑って済ませられることではなかった。先に希望が見えてこない。いつまでこんな状況が続くのか分からない。こういう不安の連続は頭の働きを封じ込めてしまう。外に出れないのだから、別の事をやろうとしても心が縮んでしまってひらめきも気力も全く起きてこないのだ。困ったー、万事休すだ。
 まだまだ明るさの見えない時間がこれからも続いてゆくのだろう。こういう、何と
か生きているという現状はつらい。

 今日も四百平米の世界の住人。私のしんどい一日が始まるのか。と、庭に出た。
 小さな葉っぱの中心に叡山すみれの白い蕾が目についた。この菫は昨年生きにくいとこ
ろに種が飛ばされ、一本葉で二ミリぐらいの根っこ。漸くにして土から栄養を吸い上げ命
を保っていた。秋に植木鉢に植え替え〈生きろ生きろ〉。と、言葉をかけ乍ら様子を見ていた。董は、冬の間全く音沙汰なし、生きているのか、枯れてしまったのか不明のままだった。それが突然頭をもたげてきた。こんなこともあるのか、植物の逞しさに触れた私は〈明日はどの様に姿を変えて行くのだろう〉と、小さな命を見守ることにした。

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米インフル死者2万人にはコロナ死者も 文科系

2020年03月27日 14時46分51秒 | 国内政治・経済・社会問題

 11日、米下院でこんなやり取りがあった。米疾病対策センター(CDC)のレッドフィールド所長とハーレー・ロウダ下院議員との間で。
「米国には表面的にはインフルエンザで死亡したが、実際の死因は新型肺炎だった人がいるか」という質問に対して、初めて「米国の一部の患者の診断状況は確かにそのようになっている」と認めたということだ。中国・「環球網」がこの下院でのやり取りを伝えた。
  併せて、アメリカの11日現在のインフルエンザ死者状況などをこう伝えている。

『 CBS放送の9日の報道によると、CDCが発表した最新のインフルエンザ報告書は、今シーズンは現在まで約3400万人がインフルエンザに感染し、35万人が入院し治療を受けていると見積もった。また136人の子供を含む約2万人の米国人がインフルエンザで死亡したという。

 報道によると、2月29日現在の4歳以下の子供の入院率が、インフルエンザシーズンとしては記録が開始されてから最も高い数値となっている。2009年のHINI型インフルエンザの大流行時の入院率を上回っている。子供の136人の死者数も、2009年のインフルエンザ大流行後で最多となっている。』

 この時点から半月以上たって、アメリカのコロナ患者数が急増して、中国を抜いた。こんなふうに。『【ジュネーブ=杉野謙太郎】米ジョンズ・ホプキンス大の集計で26日、新型コロナウイルスの感染者数で米国が8万2000人を超え、約8万1800人の中国を上回って国別で最多となった。イタリアも8万人を超えた。世界全体の感染者数は52万人を超えた。

 このうち、発表されているアメリカのコロナ死者数が異常に少ない理由が分かる気がするのは、僕だけではないだろう。通常のインフル死者にコロナ死者を含めている州も多いのではないか。なお、過去のイタリア医療は世界最高水準のものだったと聞いたが、ここまで悪くなったのはどうしてなのか? 世界の大きな疑問、課題である。

 

 新自由主義経済の国、アメリカは、「『小さい国家』のもとで国防だけはきちんと!」とやってきたと言う。そんな国の国民の命がこんなに軽いって、一体どういうことなのか? 国民の命を守らぬ国防とは、一体何なのだ?

 対するに、最近ここに書いてきた韓国の国防こそ心があって、立派ということになる。コロナから国民の命を世界一番に、守ったのだから。

 窮余の時こそ、国の正体が顕れる! 

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民主主義度で、韓と米日が「逆転」?  文科系

2020年03月26日 02時41分41秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 この二日間のここで、日本の新聞の中国報道のいい加減さと、米英を持ち上げすぎる姿勢を批判することになる記事を書いてきた。米については特に、もう民主主義国とは言えぬという内容さえ書いてきたと言える。「民主主義とは国民を大事にすること。国民にとって最も大事なのは、まずその命」と言う観点からすれば、今やそうなるのだ。そして、韓国こそ日米を抜いた民主主義国だと言えるとも、この二日書いてきたことになる。かなりの間軍事独裁政権であった時期もある韓国が?と言う向きには、その新たな理由が付け加わったようだから示すけど、以下の通りである。

『新型コロナ対応でトランプ大統領が文大統領に「助けて」=韓国ネット「こんな日が来るとは!」 3月25日(水)13時0分 Record China』

  この記事内容を読むと、トランプが文大統領にコロナの検査・診断キットを欲しいと緊急電話をしたようだ。記事の一部を、抜粋してみよう。
 
『25日、韓国・ノーカットニュースは、新型コロナウイルス感染をめぐり、米国のトランプ大統領が韓国の文在寅大統領に「事実上のSOSを出した」と報じた。
(中略)
記事によると、トランプ大統領は24日に行われた文大統領との電話会談で「米国のために医療用品の支援が可能か」と尋ねた。これに対し文大統領は「余裕分があれば最大限支援する」と答えたという。トランプ大統領の要請について記事は「韓国の防疫体制や検診レベルが欧米で高く評価されていることを受けたものとみられる」と分析している。また「韓国大統領府は医療用品の具体的な内容を明らかにしていない」としつつも、「感染の有無を調べる診断キットとみられている」と伝えている。
(中略)
この記事に韓国のネットユーザーからは「世界が韓国の対応を認めている」「米国に助けを求められる日が来るとは!」「頼りになる文大統領。韓国国民であることが幸せ」「韓国は危機を脱して新型コロナの教科書になった。世界が韓国から学ぼうとしている」など喜ぶ声が上がっている。
(以下略)』

 

 それにしても、無症状者も含めてコロナ検査をしてオーバーシュートを抑えた韓国は、民主主義という名において立派だ。対するに、無症状者野放しの英米、クラスター関連以外の無症状者を検査からはじき出す方法を採った末に孤立発病者が増えてきた日本ははたして、どうなるのか。経済効率以外を犠牲にしてきたとその新自由主義経済が反省され始めた英米日は、結局国民の命までが、軽くなったということではなかったか? 念のために付け加えるが、上の韓国報道が万一ガセであったとしても、『民主主義度で、韓と米日が「逆転」』という真実は変わらない。韓国が、国民の命を世界各国において最も重視したという事実である。

 

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随筆 情報・人心操作?   文科系

2020年03月25日 19時39分25秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 高齢者を肺炎で多く死なせるコロナウイルスで、世界が爆発しているようなこの三月二三日、新聞夕刊のとあるニュースには呆れ、驚いた。この記事の見出しは、こういうもの。
『無症状四三〇〇〇人、中国が計上せず』
  感染者を少なく見せて来たというこの見だしは、誰が読んでも「悪い国だ」という「感じ」にしかならない。だが、その記事の中にも書いてあった英米などよりは国民の立場から見たら遙かに上等な検査体制なのである。この記事の中に、こんな文言が入っていたので、むしろこちらの方に僕は驚いてしまった。
『韓国では無症状感染者もカウントしているが、米国や英国、イタリアは医療関係者を除き無症状者は検査もしていないという』
 さて、「無症状者は検査もしていない」英米、イタリアと、「無症状者も検査・隔離するけど、カウントには入れない」中国と、どちらが国民を救うことになるか。後者に決まっている。高齢者以外では症状が出ない感染者も多いこのウイルスに対しては、『検査で陽性になり隔離されていても症状のない人は確定患者に含めず、医療監視下に置かれたという』と同記事も述べている中国と比較して、『米国や英国、イタリア』は無症状感染者を野放しにしているからだ。
 この記事内容を見ると、イタリアに死者が多い理由が分かった気がするし、米英は今後大丈夫なのかなと心配になった。が、福祉対象以外は民間健康保険が中心で無保険者も多くて「医療は個人持ち」というアメリカなどは、無症状者の公的検査など元々するわけがないのだろう。こんなアメリカでは、ただでさえインフルエンザで死ぬ人が毎年一万~数万人いるのだから、このコロナで死ぬ人は一体どれほどになるのか。

 それにしても、韓国は立派である。だからこそなのだろう、コロナを抑えられそうな見通しも立ったようだ。その点日本は、ちょっと危うくなって来たのではないか。無症状者は同一集団発生に関わる範囲でだけ検査するという「クラスターの発見を中心にした検査方針」を採ってきたにもかかわらず、クラスターに無関係の症状者、つまり孤立発病者がここに来て増えてきたからだ。

  などなどと思い巡らせつつ翌二四日朝刊を見ると、この同じ記事内容がまた載っている。『無症状四三〇〇〇人 統計に含めず』、『武漢「感染ゼロ」に疑念』。そして、前日よりももっと悪いことには、英米伊の「無症状者野放し」記述がこの日は皆無、全く省かれていた。つまり、「中国は悪い奴だ」と誰が読んでも受け取れる記事に変わっている。僕は、公憤に駆られてつぶやいた。

〈見ているが良い。こんな意味の「少なく見せる」国よりも、「無症状者を野放しにしてきた国」の方が死者などの被害ははるかに大きくなるはずだ〉

 するとどうだ、直後に読んだネット記事によると、アメリカではもうこんな事態になっていた。『米ジョンズ・ホプキンス大学の二三日夜の集計によると、前の日から一日で米感染者は八〇〇〇人増えた』。

 アメリカのコロナ感染者が中国を追い越していくのは確実だろう。無保険者も多いアメリカでは、死者はいったどれだけになるのやら。こんなアメリカで公表されているコロナ死者が、発病者の多さの割にとても少ないのだが、この国に毎年膨大にでているインフルエンザ死者にコロナ死者を含めているに違いないと、僕は推理している。そういう「アメリカ・インフルエンザ死者」が、今年度インフルエンザ季節分だけでそろそろ二万人を超えているはずだ。 

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悪意あふれた、この中国報道  文科系

2020年03月24日 08時46分32秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 今朝未明にここに書いたエントリー「韓国や中国のコロナ検査は日本より上等」の後に朝日と中日の朝刊が届いて、全く同じニュースが載っていたから読んだ。が、夕刊には同時に書いてあったある肝心な一点がこの二つのニュースには欠落しているので、中国に対して為にするような悪意あふれた報道ニュースになっている。その告発をコメントを書いて、直前のエントリーに付けたが、これを同時にエントリーにも上げておく。

『 悪質マスコミ (文科系) 2020-03-24 08:12:39

 報道ニュースはかくも悪質にもなり得ると言う一言を、上のエントリーに追加したい。

 上のエントリー内容は23日夕刊内容で書いた、24日未明もの。これに関して、24日朝刊では朝日にも中日にも同じニュースが載っているが、実に悪質な報道ニュースであって、流石に今、国際陰謀渦巻く香港発と、僕は呆れていた。

 朝日も中日も「中国の情報隠し、罹患者を少なく見せかけた」ということだけを書いていて、英米やイタリアが無症状者は調査もしていないから、その感染が野放しだということを今回は全く欠落させていた。このやり方が、中国の無症状罹患者を発見して隔離はしているがこれを罹患者の数に入れていないから「少なく見せている」という(悪意あふれた)効果だけのニュースになったと読めるのである。

 見ているが良い。こんな意味の「少なく見せる」国よりも、「無症状者を野放しにしてきた国」の方が国民の死者などの被害がはるかに大きいことになるはずだ。対する中国は、この少なく見せた分はちゃんと検査発見していて、隔離しているのである。初めの夕刊のニュースよりも、底の割れた、悪意を持って作為的なニュースになっていると思ったものだ。』

 と書いてから別の新聞記事を読んでいたら、アメリカではもうこんな事態になっている。『米ジョンズ・ホプキンス大学の23日夜の集計によると、前の日から1日で米感染者は8000人増えた』。アメリカのコロナ感染者が中国を追い越していくのは確実だろう。無保険者も多いアメリカでは、死者はいったどれだけでるのか。 
  

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韓国や中国のコロナ検査は、日本より上等  文科系

2020年03月24日 04時23分35秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 各国のコロナ検査に関わって、上海発の23日中日新聞夕刊ニュースで呆れたし、驚いたことがある。この記事の見出しは、こういうもの。
『無症状43,000人、中国が計上せず』

  この見だしは、誰が読んでも「悪い国だ」というニュアンスにしかならない。だが、以下のように、英米などよりは遙かに国民の立場から見たら上等なのである。

 この記事の中には、こんな文言が入っていたので、驚いてしまった。
『韓国では無症状感染者もカウントしているが、米国や英国、イタリアは医療関係者を除き無症状者は検査もしていないという』
 さて、「無症状者は検査もしていない」英米、イタリアと、「無症状者も検査するけど、カウントには入れない」中国と、どちらが国民を救うことになるか。後者に決まっている。高齢者以外では症状が出ない感染者も多いこのウイルスに対しては、『検査で陽性になり隔離されていても症状のない人は確定患者に含めず、医療監視下に置かれたという』と同記事が述べている中国と比較して、『米国や英国、イタリア』は「感染者を野放しにしている」からだ。

 この記事内容を見ると、イタリアに死者が多い理由が分かった気がするし、米英は今後大丈夫なのかなと心配になった。が、福祉対象以外は民間健康保険が中心で無保険者も多いアメリカなどは、無症状者の検査などするわけがないのである。こんなアメリカでは、ただでさえインフルエンザで死ぬ人が毎年1万~数万人いるのだから、このコロナで死ぬ人は一体どれほどになるのか。ちなみに、当面アメリカでは、コロナ悲劇からこの4月~6月期間には失業率が一挙に30%になりうると、同記事の横の別記事の中にあった。不安定労働者が多くって、それが簡単に切られるということなのだろう。アメリカは他方、銀行、金融関係には150兆円の支援をした。「マスコミに載らない海外記事」サイトに、こんなニュースもあったからだ。『先週末、取り引きが困難だという実にわずかな兆候で、連邦準備銀行は、1.5兆ドル銀行に投入した。誰もまばたき一つしなかった』。こんなアメリカは一体、民主主義国という意味の先進国と言えるのか。

 それにしても、韓国は立派である! だからこそなのだろう、コロナを抑えられそうな見通しも立ったようだ。その点日本は、ちょっと危うくなって来たのではないか。無症状者はクラスターの発見に関わる範囲でだけ検査するという「クラスターの発見を中心にした検査方針」を採ってきたにもかかわらず、クラスターに無関係の症状者、つまり個別発病者がここに来て増えてきたから。

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安保法制賛成者の信念  文科系

2020年03月23日 06時22分51秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

  安保法制の「信念」  


 あるブログの共同運営を大学時代からの友人に頼まれてかっきり十年やってきたが、そこでいろんなネット右翼諸氏とやりあってきた。ブログ名称に「憲法九条」が入っているゆえなのだろうが、こういう方々の訪問が絶えなかったからだ。たとえば、
『平和を願い、母国を愛する一未成年から反論させていただきたい。…………以上、反論があれば随時丁重にお返しさせていただく故、フェアに品のある議論を望む』
 これは「平成の侍」と名乗られたお方がこの八月十九日に僕の文章に寄せてきた長文コメントの前後だが、たった一回僕が出した回答に対して、もうお返事が何もなかった。僕の文章内容が彼が考えたこともないようなものだったから再回答のしようがなかったのであろうが、はてこれは「フェアに品のある議論」であったのかどうか、難しいところだ。
 こんなふうに知識も思考力も様々な方々を相手にしたこの十年、実に多領域の勉強をさせられたし、いろいろ考えさせられつつ今日まで来た。慰安婦問題は明治維新以降百年の日朝関係史学習にまで拡がっていったし、南京虐殺や「連合国史観」は「アジア・太平洋戦争史」の復習に繋がった。こちらが学んでいくごとに「これだけ稚拙な知識しかない相手が、どうしてこれだけ自信ありげに頑張れるのだろうか」と気付き始めた。その度に訝り、考え込んで来たのがこのこと。これだけ確信ありげに語るのは、世界も狭いからというだけではなく、自分を納得させ、確信させる信念を何か持っているからだろうが、それって何なんだろうかと。これらすべてにおいて、同じ人間という生き物に、どうしてこれだけ見解の相違が生じるのだろうかと、そんな哲学的問題意識をも温めつつ、相手の言い分を観察してきた。
 そこで最近になってようやく気付いたのが、これだ。

 米国は実体経済がIT産業ぐらいしかない。サービス業ばかりで、相対的貧困者と格差が大問題になっている先進国である。サブプライムバブルや九年にも及ぶ紙幣大増刷・官製バブルなどなどマネーゲームで儲けて、日本やBRICS諸国相手の現物貿易収支大赤字をその分カバーしている。がこの国、戦争が流行ればその苦手な現物経済もなかなかの物なのである。兵器産業でいえば世界ダントツの実力があるからだ。貧乏な国、地域には、本来廃棄すべき多量の中古品などの廃棄料が収入に転化する。日本や石油成金国などには第一級の高価な最新兵器などなど。世界のどこかで戦乱が起こるほどにこの商売はいつも大繁盛だ。
 ところで、戦争は無くならないと語る人は当然、こう語る。「国が滅びないように、国土防衛が国として最大の仕事」。こういう人々が世界に増えるほど、貿易大赤字国の米国は助かる。いや、助かるという地点を越えて、今の米国は「テロとの戦い」とか、以前なら「共産主義との戦い」などなどを世界戦略としているからこそ、地球の裏側まで出かけていったりして、あちこちで戦争を起こしているのである。まるで、人間永遠に闘う存在だという世界観を広める如くに。失礼を承知で言うが、「人間必ず死ぬ。貴方も間もなく死ぬ」と大いに叫べば、葬式屋さんが儲かるようなものではないか。

 さて、戦争違法化が、二十世紀になって世界史上初めてその国際組織と法が生まれたりして着手されたが、地上から戦争はなくせるのだろうか。この問題で極めて簡単な正しい理屈が一つある。戦争はずっとなくならないと語る人は「その方向」で動いていると言えるのだし、なくせると思う人はそういう方向に「参加していく」のである。つまり、戦争が未来になくなるか否かという問題とは、人間にとって何か宿命的に決まっているようなものではなく、今及び将来の人間たちがこれをどうしようと考え、振る舞うだろうかという実践的な問題なのである。世界の政治課題というものは、人間が決めるものだと言い換えても良いだろう。ところが、人間が決めるものだというこの真理を意識せずして否定する以下のような「理論」に最も多く出会えたのだと理解してから、僕の頭はすっきりした。
 社会ダーウィニズムという今は誤りだとされた社会理論がある。その現代版亜流の世界観が存在するようだ。「動物は争うもの、人間もその国家も同じだろう。そうやって、生物は己自身を進化させてきたのであるから」。この理論で言えば夫婦ゲンカも国同士の戦争も同じ(本質の)ものになる。そして、夫婦ゲンカは永遠になくならないから、戦争もそうだろうと、大威張りで確信できるわけだ。
『動物の争いは永遠になくならないのだから、人間も永遠に争うものである』
『人間は争うものだから、国家の戦争も無くならない』
 これが、ネット右翼諸氏の世界と政治を観る無意識の出発点なのである。最近、そう気付いた。対案はこれしかない。「二十世紀には人類史上初めて戦争違法化に向けた国際法、国際組織も生まれたではないか」などの歴史的事実と戦争はなくせるという世界観とを広めていくこと。その実を例え少しずつでも、粘り強く作り広げていくこと。

 以上ありふれて見えるようなことを書いたが、正面からは案外批判されてこなかった誤った戦争に関わる信念が巷に溢れていると言いたい。この日本には特に広く。集団主義ムラ社会の中で激しい競争を演じてきた団塊世代以降では、自然に持つ世界観なのかも知れない。

 

(2016年、所属同人誌に初出)

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僕の九条堅持論 文科系

2020年03月23日 06時17分17秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 ここに何度ものせてきた過去ログを、また再掲します。このブログ表題のことについて僕の見解ということです。


【  僕の九条堅持論 文科系  2011年03月09日

 ざくろさんという方が、ここでおかしな事を述べられた。
『原理原則から述べれば当然現行憲法は破棄されるべきものなんですけどね。』
 自衛隊という陸海空軍と憲法との矛盾について、これが、原理原則を本末転倒させた論議であるのは明らかだ。なし崩しに軍隊を作って、世界有数の規模と成し、強引に解釈改憲を通してきたやり方こそ、憲法という原理原則を踏みにじったと語るべきである。こんなことは、小学生でも分かる理屈だ。1国の憲法というものは本来、そういうものだと日々教えているはずだからである。
 あまつさえこの間に、この憲法を守ることが出来る世界作りを大国日本が率先して呼びかけ直す道も、「以下のように」あり得たのである。自衛隊を作る背景、原因にもなった冷戦体制が終わった時とか、サブプライムバブル弾けに端を発して100年単位ほどの世界大恐慌状態に落ち込んだ時とかに。そういう絶好の機会において、日本が国連でアメリカの投票機の役割しか果たしてこなかったのは、実に情けないことだ。なお、この恐慌は持ち直したという声があるがとんでもない暴論だと思う。世界にこれだけ失業者がいては、株が少々上がったところで、健全な経済状況などと言えるわけがないではないか。それが民主主義の観点というものであろう。
 

1 さて、古今東西、戦争の原因はどんどん変ってきて色々あり、一様ではない。よって「戦争を必然とする人間の本性」のようなものがあるとは、僕は考えない。これが存在するから今後も戦争は永遠に少なくならないというようなことを語るとしたら、その論の正しさを先ず証明してからにして欲しい。こんな証明は論理的にも、現実的にも不可能なはずだから「攻めてくる国があるから対応を考えなければならない」という立論だけでは、全く不十分な議論である。特に長期スパンで戦争をなくしていく視点が欠けたそういう論議は、万人に対して説得力のあるものではないだろう。
 20世紀になって、第一次世界大戦の世界的惨状から以降、そして第二次世界大戦以降はもっと、戦争違法化の流れが急速に進んできた。この流れは、18世紀西欧に起こった「自由、平等、博愛」の声に示されるような「人の命は権利としては平等に大切である」という考え方が定着してきた結果でもあろう。つまり、民族平等や国家自決権なども含んだこういう流れが、後退や紆余曲折はあっても近現代史に確固として存在するのである。
 世界史のこんな流れの中からこそ、長年の努力でEUもできた。EUの形成は、それまでの世界的戦争の先頭に立ってきたような国々が、互いへの戦争などを放棄したということを示している。
 20世紀後半になって、大きな戦争は朝鮮、ベトナムなどで起こったが、あれは東西世界体制の冷戦に関わったもので、その対立はもう存在しない。それどころか、中国も資本主義体制に組み込まれた現在では、日本のような先進大国を攻めるというような行為は、中国も含めた世界経済をがたがたにするという世界史的汚名を被る覚悟が必要になったとも言える。今時の大国の誰が、こんなヒットラーのような無謀行為を敢えて犯すだろうか。

2 さて、こういう世界の流れを観るならば当然、自国への戦争に関わっても二つのスパンで物事を考えなければならないと思う。一つが、「当面、日本に攻めてくる国があるか。それに対してどうするのか」と言うスパン。今一つが、「戦争違法化の流れを全人類、子々孫々のために推し進めるべき各国の責任」というスパンであって、これは、近年新たに目立ってきた世界の貧困問題や食糧問題などを解決するためにも世界万民が望んでいることだろう。なお、この二つで前者しか論じない方々は、論証抜きの「戦争は永遠の現実」という独断のみに頑強に固執して、数々の人類の不幸を全く顧みないニヒリズムだと、断定したい。
 以上のことは、世界の大国アメリカを観れば容易に分かることだ。アメリカは相対的貧困者や満足に医者にかかれない人々やが非常に多い「先進国」である。高校を卒業できない人が白人でも4人に1人であり、黒人やヒスパニックでは半分だ。現在の軍事費を何割かでも減らせれば、これらが救われる財政的条件が生まれる理屈だが、こんな当たり前のことが何故出来ないのか。ここの軍事費が何割か減ったら、攻めてくる国が出るというものでもなかろうに。だからこそ、今軍事費を減らそうとの視点を持たない「現実論」は、ニヒリズムだと呼ぶのである。 

3 まず上記の長期スパンであるが、こういう立場に日本が立ちたいと思う。
 先ず、国連には9条堅持と日本軍隊縮小方向を、代わりに『平和と貧困撲滅基金』というような形で毎年かなりのお金を国連に出していく方向を、改めて表明する。合わせて、こう表明する。
「軍隊を持たない方向を目指す代わりに、世界の『平和と貧困撲滅』に貢献したい。そういう大国が存在するのは世界と国連、人類の未来にとってこの上なく大きい意義があると考える。ついては代わりに以下の要求を万国、国連にさせて頂く。日本国憲法にある通りに、世界各国の平和を目指し貧困をなくすという希望と善意に信頼を置いてこういう決断を成すわけだから、以下の要求を国連に出す資格も当然あると考えている。
『日本に他国が攻めてくるということがないようにする努力を万国にもお願いしたい。また万万が一攻められるようなことがあった場合には、国連軍、国際的常設軍隊で即座に支援して頂くというそういう体制を至急お作り願いたい。国連をそうしたものにするべく、日本はその先頭に立ちたい』」 

4 九条堅持と、その実現のために、いやそれ以上に、世界の平和と貧困撲滅のために、3の遂行度合いに合わせて、自衛隊は縮小、廃止方向を取る。そのスパンも30年などと遠いものではなくしたい。
 なお、こういう構想は民主党小沢派、鳩山派などが持っている構想に近いものだと、僕は見ている。小沢派の「国連警察軍」などの構想は、これに近い発想、あるいはそうなっていかざるをえない発想なのではないかということだ。むしろ、親中国路線とともに国連常設的軍隊重視こそ、小沢がアメリカと親米派勢力に憎まれている理由だろうと考えてきた。また、このような案が大きく世に出てきた時には、共産党、社民党もこれに賛成せざるを得なくなるであろうとも予測する。つまり、以上の構想の現実的政治勢力、潜在勢力が現に大きく存在するということだ。
 ちなみに、国連自身の指揮下にある常設軍というならば、それに日本が参加してさえ、「国権の発動たる戦争」に関わる「陸海空軍その他の戦力」とは言えないだろう。また、フセインのクゥエート侵略があったり、アフリカのいくつかの国に同類のことが起こっている以上、かなり強力な国連常設軍が当面は必要だと思う。】 

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さらに、「今、アメリカが怖い」  文科系

2020年03月22日 14時46分16秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 まず、以下は1月17日の拙稿『何重もの国際法違反スレイマニ殺害』に付けたコメントである。「和平交渉のためにスレイマニをイラクに呼んでほしい」とイラク首相をだましてiイラン司令官スレイマニをイラクに呼び寄せさせ、イラク・バグダッド空港を出る地点で彼をドローン攻撃で粉々にして、「殺害してやった」と世界に堂々と公表したという事件である。カンカンに怒ったイラク首相がこの事件の事実経過全てをイラク国会で明らかにした上で、「全ての外国軍はイラクから出て行け」と国会で決議してしまったから、こういう事実全てが明らかになったのである。もちろん、米軍はイラクから出て行かないどころか、トランプがこんな声明を出したうえでイラクにずっと居座っている。
『高価な金がかかった米軍基地を放棄するわけにはいかない』

【 真に怖いのはこのこと (文科系) 2020-01-18 12:08:21
 上の恐ろしい事件の舞台裏告白で、真に恐ろしいのはこのことだ。アメリカはこういうペテン、外国元首ですらを嘘に引っかけて彼に呼ばせた国賓を殺してしまうなどというようなことを無数にやってきたのだろうということ。アフガンでも、イラク、シリアでも。だまされた相手はもう金輪際アメリカを信用しないどころか、「今の世界外交はそういうもの」と考え、自分もそう染まっていくかも知れない。つまり、世界政治がどんどん堕落していくその先頭にアメリカが立っていると示されたことである。それも世界の至る所でのこういう「世界政治には何でもあり」、人間不信の伝播こそ、世界が戦争に至るしかないという情勢になりつつあるということではないのか。

 外交の人間的腐敗こそが、世界に戦争を呼んでいくのだと思う。】

【 米に、国際法を語る資格はない (文科系) 2020-03-20 13:12:34
 このことを通じても、全くはっきりとしたことがある。米が国際法を使って他国を批判する資格など、全く消え失せたということである。
 本来なら、国連にいる資格さえない国に成り果てているはずだ。その暴力野放しを恐れて、他国が黙っているだけで、なんの国際的権威も信用も自ら放棄した戦前の日独並みの国である。
 ただ、戦前の日独と違って、アメリカが自ら国連を出ていかないのは、それだけ国連組織の大義名分が大事になったという世界史の流れを示しているとは言えて、このことの人類にとっての世界史的意味は計り知れないものになっている。

 世界金融支配を狙ったこの帝国はもう、その夢は消散してしまった。この国はどこへ行くのだろう。マッチョ・ワスプらの自暴自棄が怖くなっているが、ドイツ・メルケルが今こう語り出したのは、以上のようなアメリカを睨んでのことなのかも知れない。
『世界史は今、第二次世界大戦以来という挑戦、試練を受けている』 】

 さて、ここまで反社会的勢力ならぬ反国際社会的国家に落ちぶれたアメリカ政経・生計をかろうじて支えてきた二つの虎の子が、今崩壊した。一つが、ドイツGDPを超えたと喧伝されてきたGAFA株式時価総額バブル。今ひとつが、米を原油生産量世界一にまで押し上げて来たシェール原油。これが当分売れるはずがなくなったのだが、これはロシア、サウジの大量生産による1バレル20ドルを切るという18年ぶりの値下げ攻勢によるものだ。

 こうして、今のアメリカは何でもあり、危なすぎる国になっている。日本に対して「オリンピック止めろ」とトランプ自ら先頭に立って大音声を始めたのも、世界一現金を持っている日本の官製バブルに、なんとか「官製バブル・日本売り」が仕掛けられないかという狙いなのだと僕は観ている。

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さらに、「今、アメリカが怖い」  文科系

2020年03月22日 14時46分16秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 まず、以下は1月17日の拙稿『何重もの国際法違反スレイマニ殺害』に付けたコメントである。「和平交渉のためにスレイマニをイラクに呼んでほしい」とイラク首相をだましてイラン司令官スレイマニをイラクに呼び寄せさせ、イラク・バグダッド空港を出る地点で彼をドローン攻撃で粉々にして、「殺害してやった」と世界に堂々と公表したという事件である。カンカンに怒ったイラク首相がこの事件の事実経過全てをイラク国会で明らかにした上で、「全ての外国軍はイラクから出て行け」と国会で決議してしまったから、こういう事実全てが明らかになったのである。もちろん、米軍はイラクから出て行かないどころか、トランプがこんな声明を出したうえでイラクにずっと居座っている。
『高価な金がかかった米軍基地を放棄するわけにはいかない』

【 真に怖いのはこのこと (文科系) 2020-01-18 12:08:21
 上の恐ろしい事件の舞台裏告白で、真に恐ろしいのはこのことだ。アメリカはこういうペテン、外国元首ですらを嘘に引っかけて彼に呼ばせた国賓を殺してしまうなどというようなことを無数にやってきたのだろうということ。アフガンでも、イラク、シリアでも。だまされた相手はもう金輪際アメリカを信用しないどころか、「今の世界外交はそういうもの」と考え、自分もそう染まっていくかも知れない。つまり、世界政治がどんどん堕落していくその先頭にアメリカが立っていると示されたことである。それも世界の至る所でのこういう「世界政治には何でもあり」、暴力、人間不信の伝播こそ、世界が戦争に至るしかないという情勢になりつつあるということではないのか。

 外交の人間的腐敗こそが、世界に戦争を呼んできたのだと思う。】

【 米に、国際法を語る資格はない (文科系) 2020-03-20 13:12:34
 このことを通じても、全くはっきりとしたことがある。米が国際法を使って他国を批判する資格など、全く消え失せたということである。
 本来なら、国連にいる資格さえない国に成り果てているはずだ。その暴力野放しを恐れて、他国が黙っているだけで、なんの国際的権威も信用も自ら放棄した戦前の日独並みの国である。
 ただ、戦前の日独と違って、アメリカが自ら国連を出ていかないのは、それだけ国連組織の大義名分が大事になったという世界史の流れを示しているとは言えて、このことの人類未来にとっての世界史的意味は計り知れないものになっている。

 世界金融支配を狙ったこの帝国はもう、その夢は消散してしまった。この国はどこへ行くのだろう。マッチョ・ワスプらの自暴自棄が怖くなっているが、ドイツ・メルケルが今こう語り出したのは、以上のようなアメリカを睨んでのことなのかも知れない。
『世界史は今、第二次世界大戦以来という挑戦、試練を受けている』 】

 さて、ここまで反社会的勢力ならぬ反国際社会的国家に落ちぶれたアメリカ政経・生計をかろうじて支えてきた二つの虎の子が、今崩壊した。一つが、ドイツGDPを超えたと喧伝されてきたGAFA株式時価総額バブル。今ひとつが、米を原油生産量世界一にまで押し上げて来たシェール原油。この1か月の情勢からこれが当分売れるはずがなくなったのだが、これはロシア、サウジの大量生産による1バレル20ドルを切るという18年ぶりの値下げ攻勢によるものだ。

 こうして、今のアメリカは何でもあり、危なすぎる国になっている。日本に対して「オリンピック止めろ」とトランプ自ら先頭に立って大音声を始めたのも、世界一現金を持っている日本の官製バブルに、なんとか「官製バブル・日本売り」が仕掛けられないかという狙いなのだと僕は観ている。

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