九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

新聞の片隅に載ったニュースから(230)   大西五郎

2016年05月31日 19時26分51秒 | Weblog

軍学研究助成100億円に自民国防部会、防衛相へ提言(16.5.31 中日新聞)

 自民党国防部会は三十日、軍事に応用可能な大学などの基礎研究の費用を助成する防衛省の「安全保障技術研究推進制度」について、総額の大幅な引き上げを求める提言を中谷元・防衛相に届けた。中谷氏は「趣旨を重く受け止め、全力で取り組む」と述べた。

 国防部会は研究推進制度に、設立当初(二〇一五年度)の助成金総額三億円の三十倍以上に当たる百億円規模への増額を一七年度予算概算要求に盛り込むよう求めている。同制度にたいしては、研究者団体から「戦前に回帰する動き」と批判が出ている。

 大塚拓国防部会長は記者団に、中国が無人機などの新兵器開発に多額の資金を投入していると指摘し「ある日突然、日本の持つ武器が力を発揮できなくなる恐れがある」と、対策の必要性を強調した。

 □―-―――――――――――――――――――――――――――――――――――――□

 安倍内閣はわが国が長年に亘って(1967年以来)平和国家の証明であるとして堅持してきた「武器輸出三原則」を2014年4月に「防衛装備移転三原則」に変更しました。さらにその年10月には「防衛装備庁」を発足させ、この「防衛装備庁」が武器の研究開発、技術的動向の分析、先端技術研究を行う機関への資金援助などを行うとしました。

日本は果てしない“死の商人”への道を歩みだそうとしているのでしょうか。

一方、日本の科学者の代表機関である「日本学術会議」は、「安全保障と学術に関する検討委員会」を設け、戦後堅持してきた「軍事目的の研究は行わない」という原則を見直す検討をはじめました。第二次世界大戦で科学者が戦争に協力した反省から導きだした平和のための原則を捨て去ろうとしているのです。

日本学術会議の大西隆・豊橋技術科学大学学長(検討委員会の委員にもなる)は26日、東京都内で記者会見し、「近年、軍事と学術が接近をみせている。軍事に利用される技術・知識と民生に利用される技術・知識との間に明確な線引きは困難になりつつある」と語り、五〇年や六七年と状況が変化しているとの認識を示しました。

 状況が変化している時こそ“原則に立ち返る”ことが必要なのではないでしょうか。

 それにしても、「安全保障技術研究推進制度」の軍事技術の研究助成費が2017年度には制度創設時(2015年度)の3億円から僅か2年(2017年度)で一挙に100億円の予算要求に膨れ上がることは、戦前のわが国でそうであったように、軍事研究の“果てしなさ”を証明しています。また軍事研究の場合、外国、特に敵対する恐れのある国(勢力)に研究の内容、成果を知られるとまずいということから、国民に対する説明もおろそかになり、“機密”とされたものに近付こうとしたものが“犯罪者”の扱いを受けた経験を私たち持っています。

 平和国家を宣言している我が国においては、学術・研究の公開性という原則を堅く守っていきたいと思います。

                                    大西 五郎

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「パナマ」は世界資金を米移動狙い   文科系

2016年05月30日 16時19分13秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 やはり、パナマ文書の暴露で米国主犯説が出て来ました。目的は標記のことと語った説を阿修羅掲示板が紹介しています。その説の出所はボイス6月号に日本の国際ジャーナリスト丸谷元人が書いていて、あるドイツ人国際金融ウオッチャーです。以下の文章、最も重要な箇所にはこんな表現がありました。『事実、昨年から米国のタックス・ヘイブンにマネーの大移動が起こっているのです。これは米国のドルと株価を支える手段になります。米国のタックス・ヘイブンに移動したマネーの多くが、米国株や米国債で運用されるからです』

【 (前略)  5.米国内のタックス・ヘイブンが最大

実は米国内には、デラウェア州、ワイオミング州、ネバダ州、サウスダコダ州にタックス・ヘイブンがあります。規制を逃れた金融なので金額は不明ですが、「米国のタックス・ヘイブンは世界最高額」と言われてきたのです。機密を公開しない点で悪名高いルクセンブルグを抑え、人口が90万人の米国のデラウェア州(ワシントン州の隣)が1位とされます。90万人の州に、米国の100万社の大手法人の登記があるのです。法人所得税は、わずか2%です。

▼暴露は米国政府の意図と推理

命の危険を冒しつつJohn Doeが「パナマ文書」を明らかにしたのはなぜか。正義感からとするのはナイーブすぎます。個人で行ったにしては、大きすぎるのです。

パナマは、今も、事実上、米国の属国です。国際ジャーナリストの丸谷元人氏は、雑誌VOICEの6月号で、つぎのように書いています。「ドイツの金融専門家エリスト・ヴォリファ氏は『スプートニク』のラジオ放送において、その真の目的を明らかにしている。すなわちパナマ文書の目的とは、ただ、米国内のタックス・ヘイブンに資金を流入させることだと言うのだ。」

パンマ文書の公開には米政府(ペンタゴンやCIA)の意図が絡んでいるでしょう。●英国系は情報漏洩で危険だと知らせ、安全な米国内のタックス・ヘイブンにマネーを移動させる目的です。「誰が利益を得るか」と傍証から推理すれば、米国に行き着きます。事実、昨年から米国のタックス・ヘイブンにマネーの大移動が起こっているのです。これは米国のドルと株価を支える手段になります。米国のタックス・ヘイブンに移動したマネーの多くが、米国株や米国債で運用されるからです。

【後記】
パナマ文書公開の目的は、英国領のタックス・ヘイブンのマネーを、米国内のタックス・ヘイブン(デラウェアス州など)に移動させることでしょう。これはドル防衛の一環ですから、国防省が関与できます。経済の安全保障も、ペンタゴン(国防総省)の機能です。ペンタゴンは、世界最大のハッカーと言っていい。ハッカーを防止することは、ハッキングができることでもあるのです。また、世界中のインターネット・メールは、グーグルのような仕組みをもつペンタゴンの監視下にあります。】

 やはり、生き馬の眼を抜くような「100年に一度の」世界恐慌以降。日米のような斜陽大国は、貿易収支の帳尻を合わせるためにも、自国に世界の金を集めるどんな手段も厭わないということ。それも、国内に膨大な不安定雇用者がいて内需がないから、株価を支えるためにも必死ということです。ドイツのメルケル首相の私的電話さえ対象に含めて、世界的・大々的盗聴をアメリカは勧めてきた訳だから、商売敵の弱みなど無数に握っていることでしょうし。今や、世界大戦以外は世界に跨がった大犯罪も含めて何でもありの様相。強引な通貨安、国連を無視した戦争などなど。「貧すれば鈍する」で、ここから次は、一体、何が起こってくるのでしょう。

 

コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

随筆  もう一つ、阿漕な商売  文科系

2016年05月29日 14時30分34秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

  現代世界は阿漕な商売ばかり。その好例をもう一つ上げてみよう。

 二人の友人からこんな体験談を聞いた。その話にプラスして、僕の両親が鉄筋で建てた50年を優に超える名古屋都心近くの自宅近辺の「土地の有効活用」状況を見ていて、こんな事を思うこのごろである。

 まずは高山市中心部に近い友人。
 一昔前から「土地の有効活用」を持ちかけられてきた近辺の旧農家、地主たちはみんな今酷い目に遭っている。借り主のいない木造マンションなどの処分に困っている人ばかりだ。処分するには1000万を優に超えるようなお金が必要だがそんな備えもないままに、馬鹿高い不動産税だけは払わねばならぬ。そう語ってくれた友人も旧農家の地主であって、周辺では珍しく土地を売らず、兼業農家から果実農園へと、一時のあぶく銭を「我慢」してきた賢いお方。

 もう一人の友人は名古屋市中心部に親の代(多分それ以前)から住んできた。両親譲りの店舗兼工場を最近自宅と店兼用の大マンション・ビルディングに立て替えたばかり。それで、凄いそのローンの支払い方法は、こうだ。10年間はマンション賃貸料金を固定額で建設会社が保証し、その間は当然ローン金額を越えた大きいお釣りが来る。当然僕はこう訝って質問、「その後のマンション充足率はどうなるの?」。その答は分からないらしいが、確実に分かった事の一つが、これ。こういう場合は必ず借金主の生命保険が膨大な金額で掛けられるのである。
 ところで、こんな建物にこんな時が来たらどうなるのだろうか。10数年後ご本人が亡くなって息子さんの商売が上手く行かず、充足率も悪化して、手放さなければならないが、と。大きすぎるマンションは、取り壊し費用も大変なもの、凄く買い叩かれるだろうし、建設請負会社の自由にされてしまうのではないか。としたら、僕が建設会社なら、必ずこんな事をするはずだ。近所に新しいマンションをどんどん建てるのである。他の会社とグルになってでもそうするという、会社同志の助け合い、儲け合い運動も良いだろう。

 さて、僕もこの後者の友人と同じで名古屋の中心部近くに住み、周辺もどんどん2、3代目に替わっている土地だ。そこに何が立っているか。一つは、安普請の下宿マンション。今ひとつは、業者に売ったあとの土地が分割されて、30坪そこそこほどの3階建て建て売り住宅。辛うじて駐車場だけ、庭も何もない、シロアリの心配さえ出る明らかに一代限りの家である。さらに三つ目は、名鉄協商への委託駐車場。この駐車場建設数は本当に凄いから、先述の「10年所得補償、あとは駐車実費収入だけ。近隣にはどんどん駐車場を作る」とやったら、この土地の行方ははて、どうなるのか?

 トマ・ピケティはこんなことを語っている。現在の金持ち投資家は、小金や土地で成り上がってきたのであると。
 かくして僕の予想。将来の超少子化日本でも人気がある見込みの土地は、現在の投資会社に社命を懸けて狙われやすいと。或る土地の地主にこんな程度が高いほどその土地は狙いやすいとも。その土地の処分に困っているだとか、会社が傾いているだとか。関連して、ゴールドマンとかモルガンとかの投資会社にはこんな格言があるほど。
「当面の今必死に金が欲しい小金持ち、土地持ちこそ、過去に我々が最も儲けさせて頂いた方々なのである」

 こんな意味でも、規制緩和によって公共が欠けたこの世界は、生き馬の目を抜くような状況にあるのだろう。ついでに僕のことだが、自分の金は若い頃から順に全部土地付き戸建て3箇所、3軒に換えて来たけど、後はこれらの相続対策をするだけだ。これらはそれぞれ天白、千種、名東区の平均45坪ほどの敷地に木造は最も新しい1軒だけ、最後の退職金などで購入以外は、前の家を賃貸ししてその家賃で次のローンを払うというやり方で入手した。現金預金ほどの借金は作ってから死にたいと考えていて、今はその方法の思案中だ。借家3軒のうちの1軒を売れば、相続税ぐらいは払えるだろう。

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

阿漕な商売   文科系

2016年05月28日 16時16分57秒 | 文芸作品

 幼い子どもと、子持ち家庭に対して、実に阿漕な商売をやるもんだというそんな公憤から、これを書こうと思い立った。

 大好きな孫のハーちゃんが、すぐ近くにあるMという有名な巨大スポーツ施設のスイミングに通っている。そこは、2か月に1度の進級試験に受かると一つ上のクラスのワッペンを帽子に付けられるというシステム。勢い、熱心な家族では、きちんと泳げる僕のように教える人が出てくるのだが、さて、今日の進級テスト結果報告として、こんなメールをママに出さなければならなくなった。今日の教室には、父母がついて行けず、僕だけが付き添ったからである。

『今日のスイミング、5月の合格印は一つ付いただけです。点の付け方が絶対に疑惑ありだと、これが確信に変わりました。進級必要印20のうち、調べたら、11月に10個済んで、後の、1,3月が2,2と来て、今日が1つだから、残りが5つ。進級テストトライ回数欄は一応6つしかありませんから、親にこんな心配を掛けますね。「この調子だと、後2回受けても2つぐらいは不足するだろう」。これは、一種の脅迫にも見えますね。ハーちゃんについてはどんどん進級を遅らせているとしか思えません。

 ところで、ここのところ僕が教えてきたから分かるのですが、この4か月ぐらいハーちゃんは凄い進歩なのです。つまり、「凄い進歩」に対して「酷い点数、成績」となったのがここ2か月です。子どもによって教え方自身を調節していて、早く入って、速く進んだ子も遅い子も同じころにある線に行くようなやり方がまずあるのではないかと確信します。その上でなによりも、「(速く進みたければ)特別有料レッスンを!」という広告。それが本日の通知表に添付されていました。普通のカネなら卒業を遅らせるやり方。経営、つまり完全に金儲け本位のやり方と確信します。何か、一生懸命教えてきた僕もでえすが、ハーちゃんが特に可哀想になっちゃいました。ここ2か月ほどのハーちゃんの水泳は形がしっかりしてきて、凄く速くなったんです。筋肉がある上に、形が出来たからなのですが、今日でも同じクラスで肝腎の形も最も良い部類だった上に、速さが1,2位を争っていましたよ。今後に向けどうしたもんですかねー?』

 さて、お孫さんのいる家庭は良く注意していて、こんな阿漕な商売には引っかからない方がよいと、声を大にしてお勧めしたい。いったん入ると友人が出来るなどから、抜けるのはなかなか難しくなるものだし。以上、僕の拙い主観的判断ですがと付けておいて、報告です。ちなみにただし、最初に進級に必要な20点のうち10点を取っているのに、その後2か月づつ半年が2点、2点、1点で後5点残している上に、「速く進みたければ特別レッスン60分を3000数百円」などという「通知」を出してくるのでは、通常は一体どういう教え方をしているのかということになりますよね。

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

随筆紹介 「高齢、小さなパニック」後編   文科系

2016年05月27日 00時45分12秒 | 文芸作品

 推薦の文章 この作品、内容が極めてリアルだから身につまされました。医者さえも未知の世界で、昔にはいなかった超高齢者自身も周囲のケア体制もどうなっていくのか見当も付かないと言われる超高齢者社会。この作品は、全く他人事ではない。男女差はあろうが、男なら65歳以上、女でも70歳以上は、以下に何か、身に覚えがあるはずだ。その「覚え」からこの作品内容までは、ほんの指呼の間。全て予感できるはずです。昨日と今日、2回に分けてお送りします。

 

随筆紹介 「高齢、小さなパニック」 後編  H・Sさんの作品です

 十九日、朝一で、次男の嫁と名乗る女性から電話を受けた。昨日の夜いつもとは違って、不審な電話が義母から掛かってきた。どんな様子だったのか教えてほしいと言う。まず、
「不審な電話は、以前から何回もあったのですか」と、私は、訊き返した。「いいえ。こんなことは初めてです」と、次男の嫁さんは答えた。
 信子に出会った時の様子をありのままを伝えるのが私の役目だろうと、午後六時に信子を訪問、信子と交わした会話の内容を伝え、七時にかかってきた電話での信子とのやり取りなど、私見を加えることなく話した。
「私に出会った覚えがない。自転車が盗まれたので新しいのを買った。食べ残しの菓子をお嫁さんに取りに来いと電話した。この三つの信子さんの行いが、どうしても私には納得できません」と、返事した。
「義母は認知症です。昨日、おばさんに会ったことは覚えていません。自転車は盗まれていません。古くなったので新車に変えました。八橋はみんな義母がたべてしまいました。足が丈夫で身軽く動き回るので、頭が壊れているということが誰にもわかってもらえないのです。物忘れ外来も受診しています。薬も飲んでいます。私どもとしては精一杯のことをしているのです。デイケアを嫌がって、行きたくないとご近所の人に言いふらしているそうですが、一人で置いておくより、周りに人がいる場所に居てくれる方が、私たちは安心なのです。徘徊でもやりだしたら誰が見つけてくれるのですか? 何もかも兄さん夫婦と相談して義母によいと言われることを、みんなやっているのです」
 決め付けるような、きつい言いかたに、私はたじろいだ。
「手先が器用で手芸が得意な人だから、何か手慰みでも見つけられたら、いいのにねえ」と、やんわり答えた。「手芸は手順を考えないと作品にはなりません。あの人には、それが出来ません。折り紙さえやれない人に、何がやれると言うんですか」と、返して来た。

 信子がパニクッタと言っても、一度だけの事だ。脳が全滅しているわけではない。やれないやれないと、決めつけて取り上げてしまうより、やらせてみたら、案外集中してやれることが見つかるかもしれない。そういう思いが、私の心に湧きあがったが、言葉を飲み込み、私は聞き役に徹した。
「体だけが丈夫で、頭の機能が駄目になった義母は、周りの人が、病気だとわかってくれないのです。約束してもすぐ忘れる。頼みもしないのに勝手なことばかりするので、面倒を見るのは、本当に大変なんです」、次男の嫁さんは強調し、電話を切った。電話を終えた後、私は五年前に逝った母の事を思い出した。

 九十七歳で亡くなった私の母は、九十四歳の誕生日を過ぎたあたりから、
「一番情けないことは、お脳様が勝手に出かけちゃって留守をすることなの。お脳さまが留守をすると、その日は、誰に会ったのか、何を食べたのか?。何にも覚えていないの。今やっていることが分からなくなるの……。お脳様が頭の中にちゃんと居てくれる日は、何でも分かるから気持ちが明るく楽しいのだよ」と、私に語り、(よっこらしょ)と、台所に立ち、「名古屋から、様子を見に来てくれてありがとう」と言いながら、人参を入れ忘れたカレーを作ってくれた。信子の身に起こったことは、私の母が体験。私に語った同じこと。お脳様が、勝手にお出かけをして留守にした。それだけのこと、つまりちいさなパニックが起きた。こういうプチパニは、やがて私にも起ってくることだ。

 信子は縫製の内職で二人の息子を私大に進学させた。しっかり者の母親だ。認知症を患っていたとしても、二十四時間、記憶が欠けるわけではない。きちんと人との対話も出来る。料理だって信子はやっている。一番いいことは、しっかり歩けることだ。まだまだ一人でやれることは多いはずだ。
 その後の様子を見てこようと、頂き物の筍を持参、信子のもとに急いだ。「京都の食べ物だ。母さんが得意だった味のしみた若竹煮を作るわ」と、ほっこり笑顔が戻った。
「美味しいもの食べて、ぐつすり眠ってね」と、筍を手渡した。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

随筆紹介 「高齢、小さなパニック」   文科系

2016年05月26日 16時19分33秒 | 文芸作品

 推薦の文章 この作品、内容が極めてリアルだから身につまされました。医者さえも未知で、高齢者自身も周囲のケア体制もどうなっていくのか見当も付かないと言われる超高齢者社会。この作品は、全く他人事ではない。男女差はあろうが、男なら65歳以上、女でも70歳以上は、以下に何か、身に覚えがあるはずだ。その「覚え」からこの作品内容までは、ほんの指呼の間。全て予感できるはずです。明日と今日、2回に分けてお送りします。

 

 プチパニ(プチ・パニックという意味です  文科系注)  H・Sさんの作品です                             

 四十年の付き合いになる友人信子は、最近物忘れがひどいので困ると、私に訴える。信子も私も年齢は七十九歳。「この歳になると、誰もが貴女と同じ思いをしているよ。私も似たりよったりだから気にすることはないよ」と、私は答えてきた。     
 信子の方は、最近まで卓球をやっていたので、足腰が鍛えられている。それ故か、私よりしっかりとした足取りで歩いている。

 二週間前、近所のコンビニ前の道で出会った時は、お互いに急いでいたので、挨拶と無事を確認しただけで通り過ぎた。

 四月十八日、京都へ墓参り行った。信子の生まれ故郷は京都なので、土産に[生八つ橋]を買った。夕方六時に信子に届けた。「親、兄弟が亡くなり、姪や甥の世帯になると、訪ねて行きにくいから京都へは行きたくても行けない」と、毎度のように信子は愚痴った。
「故郷には、とんとご無沙汰しているので、京都の食べ物は何をもらっても嬉しい。大好物を持ってきてくれてありがとう」と、信子は大いに喜んだ。
 五分ほどの会話のなかで、車庫に止められている信子愛用の自転車が、見つからないことに気づいた私が「自転車無いようだけど、どうしたの」と、訊いた。「盗まれたから新しいのを買ってきたの、また盗まれると困るので、家の中に入れてある」と、信子は答えた。週三回のデイケアを受けているので、信子は家を留守にすることが多い。鍵のかけ忘れだろうと、私は推測した。しばらく立ち話をして信子宅を辞した。
 七時。信子が電話をかけてきた。
「ポストの中に生八つ橋が入っているの。貴女が入れてくれたの? デイケアから帰って来て家にいたのに、どうしてベル押して知らせてくれなかったのよ」と、大慌ての様子で、日頃になくでっかい声で突っかかってきた。
 一時問前、信子と対面したはずなのにと訝ったが、その発言から、信子に手渡した聖護院八橋のほかに、もう一口の生八つ橋が、ポストの中にあったのだと、思った。でも、そんな偶然は、そうあるものではない。どんな入れ物に入っているのか、箱の色、大きさ、販売店を詳しく聞いた。品物の内容を聞くうちに、私が持っていった品物と全く同じだと、思えてきた。
「八橋の包みは何個あるの」と、確かめた。「一つだよ」と答えが返ってきた。「六時すぎ、私、貴女に会ったでしょう。その時聖護院の生八つ橋を渡したでしょう。受け取った貴女が、ビニール袋を両手に抱え込んだまま、門の外まで私を送ってくれたじゃないの」と問いかけたが、出会った覚えがないと言い切る。僅か、一時間前の出来事が、全く思い出せないのだ。私は、信子と交わした会話を思い起こし復唱して伝えたが、全く反応がない。
「八つ橋、三つ食べたの。後の残りを次男の嫁にとりに来るよう電話をしたの」
 今度は歌うように喋る。
 人一倍、細やかな気づかいをする信子が一体どうなったのだ。自分は我慢しても、気前よく上等な品物を人に差し出す人だ。そんな信子が、包装紙を取り外し、真空パックを開け、中身を試食したものを、車で十分ぐらいの距離に住む次男の嫁に、取りに来いと、電話をかけるなんて、びっくりものだった。

 私と出会った後の信子の行動を推測した。記憶のない一時問の空白は、八橋を受け取り、私を見送った時、門の前にある植木鉢の花に何か気になることを見つけ、手入が必要だった。口に入れる食べ物だから地面に置くことは出来ない。一時ポストに保管。それを完全に忘れた。今日はデイケアに行ったので、郵便物を取り込んでいなかった。ポストを開けた。そこで八橋を見つけた。こういうことだろう。

(後編に続く)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

随筆   趣味 or 「楽しみ」  文科系

2016年05月25日 12時40分40秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

  現代日本という国は、庶民の人生の「楽しみ」、文化活動の上で多くの大きな拙さがあると思う。現代日本文化を遡れば、明治と敗戦という二度の文化断絶があったなど不幸な問題も出てくるのだが、例えば、先日お婿さんとこんな会話があった。あれやこれや行ったり来たりの質疑応答を最も簡潔に押し詰めて語れば、生活必要(活動)と文化(活動)というこんな所になるだろう。
婿「お母さんはよく分かるが、お父さんという人は分かりにくい。短く言えばどういう人ですか?」
僕「君が『実行力』を重視するから、それを重んじて話すと、お母さんはこういう人だよね。衣食住に対人関係など生活に必要なことを、短時間で最も上手く片付ける実行力、能力が凄い人、しかも約束はきちんと守って義理堅い。あの苦労した生まれではなかなか入れないような良い大学を出て、普通の男よりも良い給料をもらう共働きも見事にやりおおせた人だしね。」
婿「それはとてもよく分かりますが、お父さんは・・・」
僕「僕が、この年の男にしては家事育児などが相当できることは君も分かるよね。ただ、その実行力では到底母さんには及ばない。が実は、母さんとは違う、母さんにはない或る実行力を持っていると言いたいんだよね。この年で1時間10キロ走れるランニング、一応上級者のギター、同人誌編集長などは、実行力がないとできないでしょ。」
婿「そういうことで言うと、僕はどうなるんです?」
僕「母さん的な力は40の頃の僕よりも男の割にずっと上だよ。ただ、僕的な文化はない。美味しいものがよく分かること、他人を大事にし一緒に楽しみ合うのが大好きなことなどは君の(文化的な)素晴らしい力だと思うけどね。」
婿「すると、僕(の文化活動)もまだまだ間に合いますよね。老後をどう暮らすかということのようだから・・・。」

 さて、本論の文化活動である。日本の文化(活動)は程度が低いと思う。そもそも文化と考えられず、趣味と語って、「仕事」以外は全部「遊び」という発想があるようだ。だから、仕事以外に人生に求めるものの楽しさの程度が低くなっていることを強調したい。まず、本当に楽しい文化って老後の問題と考えたらもう遅いはずなのである。さらに、その楽しさの深浅に関わっては、先ず何よりもこのことがある。マスコミなど文化商売、文化鑑賞に偏っていて、主体的クリエイティブさがない。それに関連してなのだが、こんな程度の文化理解が普通になってしまった。楽しむではなく、実は「楽しまされている」だけ。「自分が楽しければよいでしょ」というのは文化創造の客観性という視点を欠いた低い喜びだとも強調したいし、こういう視点ではオタク文化やギャンブル(文化?)との区別さえもつかないはずなのである。オタクもギャンブルも一面、面白さは凄いはずだから。
 とここまで来たこの先は、かなり体系的かつ総合的思考が必要な難しいことになるから、僕のギターの楽しみ方を例にとって、一つの問題提起として、あるコメントを転載させて頂く。もちろんこの続きはいつか何度も書いていくだろうとも予告させて頂いた上で。

 「音楽」する楽しさについて   2016-05-22 20:55:46 

 ギターでも、ピアノ、バイオリンでも、演奏する楽しさについて一言言いたい事がある。「技術派」と「音楽派」とがあるように思う。
 和音が弾けるような、つまり、旋律を和音で飾りながら弾けるようなピアノ、ギターなど技術的に難しい楽器については、特にこの二派に分かれるのではないかと見てきた。例えばこんなふうに。
①教則本や曲集だけをどんどん上げていくタイプの人は、技術派になりやすいのではないか。急にいざ人前で弾けと言われると、案外弾ける曲がないというような。子どものころから習ってきた人には、案外こういうタイプが多いように思う。
②対する僕は技術は下手くそな「音楽派」なのだが、①の人々と音楽をする楽しさがちょっと違うように見てきたものだ。僕はこんな風に楽しんでいるということで、これを説明してみたい。

 僕の暗譜群25曲は、古いのは習い始めの13年前から、新しい曲でも3年ほど前からずっと弾いてきたもの。それぞれを暗譜群に載せてから、月に最低3周りほどは弾いてきたものばかりだ。その時に僕はこんなことをやってきた。ここの伴奏をこう弾き変えてみようとか、ここの旋律、ここの1音はもっと盛り上げて、もう少し繊細なタッチにしてみようとか。その日の気分に合わせて、気付いたことを色々にやってみるのだが、その中にいつも発見、楽しさがあるのだ。楽譜を見ながら弾く度合いが少なくって、弾きながら曲を聴く度合いが多いから、気付くことも多いのかも知れない。その気付くことを、あれこれ弾き直してみる、試みてみることも大変多くなる訳だ。ここに「音楽」の発見があるように思うのである。「我流」であろうと何であろうと。

 以上に付け加えて、もう一言、こんなことも言いたい。
 ギター演奏の世界ではこういうことが言われているのを聞いたことがある。
「作曲者がこう創ったのだから、こう弾くべき」 この言葉を僕が最初にあるコンクールの選評としてプロ大家の口から聞いた時は、ちょっと驚いた覚えがある。別に習ってきた文学では、こんな常識的格言が存在するからである。
『文学作品は、作者(の意図がどうあれそれ)とは別に、客観的に作者から独立したものとして、読むべきである』

 言葉の芸術と音の芸術とは、違うかも知れない。が、言葉の芸術の方が遙かに客観的意味が分かりやすい。それでも(それだからこそ?)、上のような格言があるならば、音楽ではなおさらのはずだと、そういうことだろう。
 時代が変われば感性、解釈がより広く、新しく、質も変わるのは当然のこと。文学でも音楽でも、有名でもなかった作品が急に脚光を浴び始めることがあるというのはそういうことだろう。

 ただとにかく、技術的に弾いている部分が多い人は、こういう世界からはちょっと遠いと言いたいのである。

 これはまた、時代柄よく言われるような「本人が満足していればよいだろう」という話ともちょっと違う積もりだ。一応客観的中身を持った美の追究、その楽しみということになることのはずである。 

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

現在世界、国家の構造   文科系

2016年05月24日 02時10分51秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 21世紀先進国家の惨状がこのようにして出来たと、その輪郭理解がやっと浮かび上がってきたような情勢だと思う。10年後ほどの世界では、以下のような世界史分析とその行方をどうするかという論議とが常識になっていることだろう。

①地球上の普通の人々の生活需要を満たす程度の生産は、いくつかの中進大国以下だけで十分可能になってしまった。また、家電、自動車や、IT製品、再生可能エネルギーなど以外には、膨大な供給力に見合った需要に繋がるような画期的発明品は生まれていない。

②こんな程度の世界的需要に対する生産は、先進国技術をどんどん取り入れている中進大国以下で間に合ってしまうから、人件費の高い先進大国は、別の「投資」に活路を求めていくことになった。

③先進国資金で、中進大国以下の大企業の株、債券、通貨などを操って儲ける道である。バブルを伴った金融商品も、ここに含んでのことだ。当然カネのある国が中進国以下の大企業の最大株主とか社長などを占めていくようにもなっていく。世界的マネーゲームは、こうして生まれた。日本や米大陸の大企業などの株や債券、通貨をアメリカが操り、日本は台湾、韓国、インドネシア、ベトナム、南欧などのこれらを操る。ドイツは、仏伊南欧のそれを操る。また、日米独ともに、中国、ロシア、産油金持国などのこれを操れぬかと、画策するのである。

④株などを操る場合の要諦はこれ。他国、他の同業企業よりも株を高くできれば世界競争相手を蹴落とせるから、懸命に生産性を上げさせる。つまり、衣食住、エネルギーなどの生活必需品を安く産出できる国に存在する、費用の割に労働生産性が高い企業ほど株を上げられるということだ。ここに、2世紀ほど前に生まれた8時間労働制が世界的に全く改善されないどころか、第一次産業生産を含めて、10時間を越える労働などという日本のような先進国も生まれてくることになる。

④かくして21世紀初頭型の世界経済の特徴を簡潔にまとめれば、こうだ。
 金に換えられる資産や資金を持っている先進国の一部の人々に世界の金がどんどんかき集められる代わりに、一般ピープルの生活は最底辺に近づいていく。しかも、ごく少数の金持ちが先進国マスコミや国家を買い占めるということだから、民主主義や世界の平和にとってまことに始末が悪いのである。

⑤「『99%と1%』のさらなる世界的深化」というのもそういうことだし、先進国家で軍事の急増強が進むというのも同じことだろう。こうして、「200年前に出来た8時間労働制の抜本的見直し、そこからワークシェアへ」という働く者本位の取り組みとは真逆の世界になっているのである。この状況はまだしばらくは、もっとどん底へと沈んでいくことにしかならないと観ている。こういった状況の抜本的改善は国連でしか成されないと考えるが、先進大国が国連を無視した世界支配にますます励んでいるからである。G7というのが多分、現代世界の癌なのだろう。

コメント (20)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

随筆  2世紀前の遺制?   文科系

2016年05月23日 12時04分33秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 昨二十二日、NHKはBS第一に、ある番組を見つけた。フランスの若者らが格差問題を社会に訴える様子を報道するらしい。早速観たら、こんな内容だった。

 最近成立したフランス新労働法を巡って、若者達が「立ち上がる夜」と名付けた街頭討論集会を定期的に開いてきた。パリ中心部広場で行うその規模の大きさに先ず驚いたが、その問題意識が最近このブログで僕が訴えてきた内容とそっくりだったから、また驚いた。

「失業者を無くすためにこそ、労働時間短縮を行うべきだ」

 この主張を今問題の「パナマ文書」で補強しているのも、僕と同じ。さらに、に登場する若者らの労働時間短縮要求の巾が、極端に大きいのである。失業者とか不安定雇用者とかが確かに多く救えるだろうという数字だった。こんな数字は、国連などで罰則付きで取り決めなければ、日本などでは特に実現しないだろう。ちなみに、フランス人からしたら、日本の正規労働者は何と長く働かされていることかと、この番組から改めて慨嘆させられたからだ。世界に恥ずべき、日本の最大汚点である。

 そもそも「八時間労働制」そのものが、既に人類二〇〇年前ほどからの遺物なのではなかったか? それを「正規は10時間以上なんてざら。他は、不安定雇用ばかり」という日本のような国は、到底先進国とは言えまい。ましてや、不安定雇用者の子弟への「貧しい教育世襲」が固定したような国は、失業者・不安定雇用者世帯から立ち上がるチャンスもない社会と言えよう。アメリカでは、こんなことも普通に語られているらしい。「親子三代生活保護の家」・・・・。教育にあれだけ金がかかるアメリカとか、今の日本なら、こうなっていくのは、必然だろう。自立もできない家を代々生み出し続けて、何が民主主義国家か! 反民主主義と言うだけではなく、労働を「社会の権利であり義務」と唄ってきた近代国家における、社会の土台・資産の無駄遣いも甚だしいと言うべきだろう。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「よたよたランナーの手記」(164) 快調復活  文科系

2016年05月22日 07時35分35秒 | スポーツ

 僕の前立腺癌の全容が分かり、今後の方向も一先ず危険はないと分かった16日以来、牢獄から解放されたような「自由な気分」で走ることが出来ている。ついでに、ギターの自宅レッスンも好調なこと! 僕の過去履修曲のうちの「暗譜群」20数曲を、3日で弾き終えてしまった。通常のレッスン曲に励んだ上にプラスして、各暗譜曲の「弱点」修正にも励みながらのことだ。

 16日、18日、21日と、全て判で押したように1時間で9・7キロを走った。別に意図してこうした訳ではないが、同じスピードで走って体調復活度合いを調べてみたという結果になっている。こんなことが分かった。16日には9・7キロという全体も、特に10キロ時がきつかったのだが、21日には10・4キロ時でもさほど苦労なく走れたというようなことが。というのは、21日には後半の30分5キロが楽に走れているということにも示されている。事実として、トレーニングの日々に身体がより高いスピードにどんどん適応して行っていると感じた。何かを維持向上させようという者にとって、この歳になってのこんな前進は一番嬉しい時と言える。心が晴れると身体も正直に反応するということなのだろうか。この快調の原因だが、とにかく、最近スポーツ専門医に教えてもらったストレッチと走法の改善が僕の身体に良く合ったようだ。ただし、以前からの懸案の一つ、右膝補強運動はまだまだ必要なようだ。

 前立腺癌の方針は、こう決まった。放射線治療の中でも最も最先端の「(名古屋市)陽子線治療(センター)」を先ず訪問して、話を聞いてみる。そのように現在の主治医に承認、紹介を頼む。ただこれは、高額な特別医療費がかかることとて、よほど治癒効果が高いと確認できない限りは、現在の機関で対処していくことになる。現在の機関で、内視鏡手術か放射線治療かということでは、放射線治療の話をもう一度詳しく聞くことにはなるが、現在のところは内視鏡手術により心が傾いている。放射線治療をすると、手術はもうできないそうだし、再発もありうるということだから。75歳というのが、予後を考えた場合に「手術可能な最後の年齢」なのだそうだ。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イラク戦争日本参戦の検証を!  文科系

2016年05月21日 11時17分11秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 今日の中日新聞26面は、全面を使った「イラク戦争、違法性を問う」、「日本には支持した責任がある」という「特報」。このテーマ、内容はこのブログにおける拙稿において、原発、マネーゲーム経済、歴史修正主義などと並べで最も多く、何回も何回も書き続けてきたことだ。その意味する所の重大性から始まって、今一度この問題を展開してみたい。

①人間、人生の価値あるものを真善美という言葉で表すことがあるが、人間にとって戦争というものこそ、正にこの正反対物。真偽の偽ばかりに満ちあふれ、善悪で言えば極悪。またこれほど醜い人間行動もちょっと無いという代物。

②こんな戦争に今アメリカとともに突入していく安保法制制定をば、日本の最重要位置にある関連官僚がかねてからこう語って促進を図ってきたということも、ここで何度も取り上げ、批判してきたところだ。
『集団的自衛権については、自らが攻撃された時は他の国に助けてもらう、その国が攻撃された時は「われ関せず」という態度は責任ある大国としてありえない。集団的自衛権は国家の品格、品性に関わる問題だ。米国も、そのような日本の貢献を期待している』
 この谷内正太郎氏の言葉を最初にここで取り上げたのは13年1月10日。次いで、14年1月16日。他にも何回も取り上げてきた覚えがある。この谷内氏は、この前の方13年には内閣官房参与(元外務次官)という肩書きだったが、後の方の14年には新設の国家安全保障局長という重職に就いている。

③彼のこの言葉は、戦争という真善美の正反対物を何と美しい言葉で飾っていることか。「責任ある大国」の「国家の品格、品性に関わる問題」?

④アベ安保法制内閣の安保政策最重要人物である彼だからこそ、この言葉を僕はこう批判し続けてきたのだった。

 【 最近の米国というのは、『大量破壊兵器がある』という嘘の理由で国連の反対を押し切って、有志国だけでイラク戦争を起こした国だ。この戦争で無数の自国、他国の50万人だかを殺し、後になって大統領が『あれが嘘だとは全く知らなかった』とテレビで堂々と泣き言を語った国だ。因みに、我が日本政府・外務省は、嘘の理由に丸め込まれて参戦し、莫大な出費で今問題の国家累積赤字をさらに積み上げることになったのだが、なお「もっと汗も血も流せ」などと侮蔑的言葉まで浴びせられたのだった。こんなふうに二重に踏みにじられた侮辱について、外務省などからその後、何か釈明とか、相手への抗議でも、あったっけ? 

 さて、こういう相手に「国家の品格、品性」をもって対せなどとは、馬の耳に念仏、蛙の面にナントカで、一銭つぎ込む価値もないどころか、ペテンに掛けられるのが落ちというもの。谷内さんに尋ねたい。集団的自衛作戦に『品格』をもって付き合っていく今後に、またしても嘘の理由で戦争を起こされて、日本や世界の若者などが殺されることはないという保証がどこにあるんです? そういう保証をどこで確認できたのです? 当方が品格をもって遇するべきは、品格のある相手でしょう。こんな重大な背信行為国相手に「国家の品格、品性」を国民にお説教とは。貴方のこの言葉、まるで騙りのようなものだ】

 原発と同じように、国際法違反のイラク戦争参戦は日本の未来に向かってきちんとした総括なしには到底済まない問題である。20世紀の二つの世界大戦、その総力戦の悲劇から人類史上初めて生まれた「戦争違法化」と「その組織、国連」。現在の日米両大国の戦争関連行動は、こういう人類の歴史的流れを全く無視するようなものであることを強調したい。丁度イラク戦争参戦有志国が、国連の制止を無視して「嘘の開戦理由・イラク戦争」を始めたように。そして後になって、その時の中心人物ジョージ・ブッシュが、「あの時、国連の制止を尊重すれば良かった」と、口だけにもならぬ「謝罪」を示したように。それでもって、イラク戦争関連死者が、50万人以上。彼らの一部の家族が馳せ参じたからこそ、イスラム国がここまで大きくなったのではなかったか。加えて、イスラム国がなければ、ヨーロッパ諸国を震え上がらせている難民問題も無かったはずだ。こうして、アメリカは、現代世界の疫病神と言う他はないのである。

 こんなすべての態度、その今後方向を表現して、言葉もあろうに、「国家の品格、品性」? 時あたかも、「100年に一度の危機」と表現されたリーマンショックが世界を深閑とさせた今。1929年の世界大恐慌から起こったと言われるアジア・太平洋戦争への反省の欠片もみられないと言うべきではないだろうか。アベ周辺の官僚たちも、先輩の愚行をどこまでも美化したいのだろうか?

コメント (16)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フランスから、「日本メディアを支配する電通」   文科系

2016年05月20日 10時41分03秒 | 国内政治・経済・社会問題

 以下は17日、阿修羅掲示板の人気記事。フランスのあるメディアが報じた内容。NHK支配など政権が隠す日本の恥部は、今後、外国マスコミを通じてどんどん暴き出されていくことでしょう。東京オリンピック賄賂も同じことだったように。アベ暴力政権の恥部は、外国が教えてくれるということ。新自由主義競争が激烈な世界で、外国メディアの口は閉ざせません。なお、本日中日新聞19面も、ほぼ1頁使って「電通」特集を組んでいます。

『  フランスメディアが報じた「メディアを支配する電通12の真実」

 2020年東京五輪の招致に電通が絡んでいたとあって、海外からは電通とは一体何者なのかという声が多数あがっている。そもそも海外では多数の広告代理店が均等に存在しているため、電通ほどの力を持つ広告代理店というのは想像しがたいのだ。
 ここでフランスのinaglobalが報じた「電通は日本のメディアを支配しているのか?」という記事を紹介したい。
 日本のメディアが絶対に報じることができない不都合な真実が書かれている。
 参考:Le publicitaire Dentsu tire-t-il les ficelles des médias japonais ? ※動画あります。

 1.電通は日本を牛耳る企業で、メディア関連としては世界5位に位置する巨大企業。原子力産業においては大きな利権を手に入れようとしており、反原発派の山本太郎がテレビに出ようとしたときは圧力をかけていた。
 2.電通のシェアは独占状態といっても過言ではない。電通の広告シェアは50%で博報堂が20%なのでもはや独占禁止法に抵触していると捉える人もいる。ここまでシェアを握ってしまえば正しくないことが起きるに決まっている。
 3.博報堂出身の本間龍氏によるベストセラー書籍「電通と原発報道――巨大広告主と大手広告代理店によるメディア支配のしくみ」では、電通はとにかく何らかの形でメディアに食い込もうとし、原子力関連の8割の広告を支配していると書かれた。
 4.原発事故が起きたとき、テレビ局は良いスポンサーである電力会社を敵に回したくないと、報道を一部自粛していた。
 5.そんな日本において、堂々と政府批判をするテレビ朝日の報道ステーションは貴重で有益な存在であった。もっとも、古舘伊知郎氏は圧力に負けて辞めてしまったが…。
 6.唯一スポンサー収入に依存しておらず、国民からの受信料で自由な報道ができるはずのNHKは会長が安倍政権とズブズブの関係を保っている。だから政権批判が出せず、政府発表を伝えるだけの政府広報メディアになっている。熊本で地震が起きたときも原発問題には言及しないよう命令が下った。
 7.原発で何か問題が起きるとすぐに電通の社員が営業の人間経由でメディア側にやってきて報道を自粛するようにお願いしてくる。電通経由の広告で成り立っているメディア側は当然電通に逆らえない。
 8.現場の記者は電通の圧力を知らず、自分が書いたスクープ記事が紙面に載らなかったり、一部表現が変わっていたりするのを不審に感じる。そもそも気づかないこともある。
 9.福島原発事故が起きて以来、原子力関連の広告は減ったが、代わりに福島の農産物をPRするという美味しい仕事が電通に降ってきた。
 10.電通が政府ともずぶずぶの関係にあってときに協力したりするのは、電通出身の政治家が多いから。安倍総理の奥さん安倍昭恵婦人も電通出身。
 11.日本の報道の自由ランキングは発展途上国レベルまで転落している。
 12.トヨタのアクセルペダルに不良が見つかったとき、日本のメディアは一斉に自粛し、不祥事をなかったことにしようとした。もっともトヨタの社長がアメリカ議会で非を認めて謝罪してからは隠しきれなくなって少し報道され始めた。言うまでもなくトヨタは有力な広告主なので怒らせてはいけない。

 2020東京五輪の不正招致疑惑ではメディアが一斉に電通の名前を隠し、批判の声が高まってからも「D社」と表現し続けた。それにより電通とメディアの関係が不適切であるものということが確定した。』

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハリルジャパン(70)  浦和もやった!  文科系

2016年05月19日 01時30分58秒 | スポーツ

 浦和もやった! 韓国首位のFCソウルを1対0で破ったのである。これで浦和は、中国首位の広州恒大を予選リーグで退けて、決勝トーナメント第1戦で韓国首位をひとまず破った。次に同点以上なら勝ち抜け、アジア地区準々決勝に進むことになる。

 浦和の戦いだが、東京と同じで敵ボールへのアタックが見事だった。というよりも、敵ボールへのアタックが甘いと、アジアでも勝てない時代になっているのだろう。この「時代」というものこそ、サッキ・ミランが創造し、今ドルトムントが発展させた「攻撃、得点のための守備、敵陣ゴール近くでのボール奪取」ということなのである。ちなみに、ガンバ大阪の今回のACL敗因もそこの弱さだったと観たものだ。

 ソウルは得点力は高いようだが、それに頼りすぎているせいか現在のサッカーからしたらボール奪取があまりにも甘すぎると観た。上海上港よりも甘い。Jリーグの千葉などにもいたことがある韓国代表の大エース、チェ・ヨンスが監督をしているチームなのだが、FC東京・城福監督がいち早く学んだアジアでの闘い方をもっと研究するべきだと、これがこのゲーム最大の感想。

 浦和対FCソウルの第2戦は、もし浦和が先制点を取るようならソウルは3点取らねばならなくなる。東京は逆に、先制点を取られれば最低同点にしなければならない。この激しく熱いACLも、年月を重ねればやがてヨーロッパチャンピオンズリーグのような高い水準にどんどん育ち上がっていくことだろう。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハリルジャパン(69) FC東京、ACL大健闘 文科系

2016年05月18日 10時56分01秒 | スポーツ

 現在進行中のACL、アジア・チャンピオンズ・リーグにおけるFC東京対上海上港戦を昨夜テレビ観戦した。この上海上港というチームについては4月7日のここにも書いたが、おそらく今のアジアで実力トップというところだろうと観ているから、東京がどれだけやれるかという興味からの観戦だった。ところが、東京ホームとはいえ2対1、東京が勝ってしまったのだ。それも最後20分以外は堂々たる戦いぶりで。ガンバ大阪が合計1対4で2ゲームとも負けたこのチーム相手だから、特に東京の健闘が光る。

 なんせ、東京の守備が凄かった。上海も凄い守備をするから、中盤で激しいつぶし合いが続いていく展開。が、米本を中心に後半の中頃までは東京の潰しが明らかに勝っていた。ここのところゲームが多かったと聞いた上海は疲れていたのかも知れないが、走り負けて反則という場面が多かった。ただ、審判は明らかに上海寄りの判定をしていた。こういうゲームを、水沼宏太の2得点で勝利したのだ。フリーキックから1点、見事なダイレクト・ボレーで1点。
 アウェーで戦う第2ゲームはこうはいかないと思うが、この守備が続くようならば、つまりゴール前に来るまでに潰すというゲームができれば、同点ということもあり得るはず。楽しみである。ただ、東京の頭脳、高橋秀人のこんな感想はきちんと聞いておくべきだろう。「正直、相手が格上だなという気はした」。4月7日にも書いたが、上海の監督はスベン・ゴラン・エリクソン。全盛期のイタリアでラッチオを優勝に導いた名監督である。ただ、こういう守備組織を指導し切ったゲームがやれるということでは、東京の城福浩も監督として一皮むけたかも知れない。もちろん、Jリーグでは今東京は不成績だから、ACL特別な厳しさに対応した闘い方を研究してきたことも明らかなのだ。24日の次戦が、とても楽しみだ。

 本日は、東京とともに勝ち残っている浦和が戦う。埼玉スタジアムにて、強豪FCソウルが相手だ。これも激しいつぶし合いになるだろうから、かぶりつきで観るぞ! この浦和はACLの経験も豊富であり、去年ここで優勝した広州恒大を予選同組で退けて勝ち抜けただけに、上海上港とも五分で戦えそうだ。

 ACLの闘いはとにかく、Jリーグ戦とは全く異なった超激しいものになる。日本のテレビ局はACLをもっと重視して欲しい。このACL激戦の最終結末が世界クラブ王者決定戦という、そんな大事な大会なのである。だからこそ、昨夜のゲームに代表監督ハリルも当然臨席していた。米本はいー所を見せたな! マケレレか、今世界が注目するヌゴロ・カンテかと言ったら、言い過ぎになるだろうが。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

超安美味ワイン1本   文科系

2016年05月17日 01時47分38秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 ワインを飲んでみたいけど、選ぶのが難しそうだ、そう思っているここの同僚・高齢者の方々は多いと思います。そこで僕のお勧め。この度、後期高齢者になるまで30年以上の晩酌はワインという僕の拙いものですが「安くてうまいワイン探し遍歴」からのお勧めを、お一つ。こんなことをやってみようと思い立ったのは初めてという、そんな感動からです。つまり、拙い僕の推薦ですがということ。

 今ナフコでこういうワインを売っていますが、これが1000円以下で買えるという、お勧め。「マルケス・デ・パニッサ・グラン・レゼルバ2008年」。グラン・レゼルバって、良い樽で1年以上も寝かせた、それも、とても良い葡萄から創った品。こんなものが1000円以下で買えるというのが、まさにこの10年ほどの超不景気で高級ワインが売れないし、外貨がちょっとでも欲しいというスペインならばこそ。スペインワインが今買い時なのです。このワインはどうも、製造者自家詰めではなく樽買いのようなんですが、とにかく美味いんです。円やかなのに良い葡萄の味がしっかりあると言う、高級ワインの顔をはっきりと持っています。これが1000円以下なんて、この30年の僕の晩酌経験からは信じられないという初の経験から言わせていただきたいということ。確かに、保管が悪くって酸っぱい品もごくたまに混じるところが味噌ですが、まー異なったナフコ店で3本ほど買ってきて順に飲んでみて下さい。普通の品なら、フランス・シャトウ物としたらまず3000円以上という品質と、僕の拙い経験からですが理解しました。ついでながら、2000円以下でフランスで名高いシャトウ物が今結構出回っていますが、不味いとしか僕には思えません。「こんな銘柄がこんな値段で買える」というので何本も買ってきましたが、当たりと思ったことは先ずありません。フランスも今大安売りしていますが、安いのは訳ありと考えた方がよいと、これがほとんど2000円以下のワイン専門の、最近の僕の体験。ただもちろん、超高級ワインも飲んだことはありますよ。シャンベルタン・グラン・クリュとか・・・。

 このスペイン物をもしお飲みになった方がいらっしゃったら、是非感想をお聞かせ願いたいです。

 

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする