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2014年8月5日の原爆忌の新聞の社説       大西 五郎

2014年08月08日 09時23分22秒 | Weblog
広島に原爆が投下された8月5日の翌6日の各新聞の社説は原爆問題を論じるのが通例ですが、今年は朝日新聞が5日の朝刊でこれまでの従軍慰安婦問題の報道で「済州島から女性を従軍慰安婦にするために強制的に連衡したという山口県関係者の証言が捏造の疑いが濃くなり、証言に基づく記事を取り消す」と発表したため、読売新聞と産経新聞が朝日新聞を非難する論説を掲げました。
以下各社の社説のポイントを紹介します。

【朝日新聞】被爆69年の夏に 核兵器の違法化・禁止を
過去2年間、核を巡る国際会議が4回開かれた。非人道性に関する共同声明がその都度、提案され、賛同国は16、34、80、125と膨らんだ。そして今年2月、メキシコのナヤリット。核の非人道性を問うこの会議に5大国こそ参加しなかったが、145もの国が集まった。
日本政府は核の非人道性批判する共同声明について、賛同を3度見送った。広島、長崎の両市長をはじめ市民の非難を受けて4度目にやっと姿勢を変えた。広島市長が会長を務める平和首長会議には今、世界で6千を超す首長が参加する。核リスクへの危惧は確実に強まっている。安全保障の問題だからと国任せにしない。人の道に外れているかどうかを決めるのは、普通に暮らす私たちである。そこを強く自覚していきたい。

【毎日新聞】原爆の日 記憶を継承しよう
長崎市の平和祈念式典で読み上げられる今年の平和宣言は、集団的自衛権など安全保障をめぐる議論の中で、戦争をしない被爆国の原点から外れ、平和国家のあり方が変わるのではないか、との不安が国民に広がっていると指摘する。
一方、広島の平和宣言は「平和主義をうたうことで、十分言及できる」(松井一実市長)として集団的自衛権に触れないものの、日本が平和主義のもとで69年間戦争をしなかった事実を重く受け止め、平和国家の道を歩み続けるよう求める。
表現に温度差はあっても、共通するのは、安全保障政策の転換に伴って再び戦争の悲劇を招く危険性が高まるのではないかという懸念だ。安倍政権は被爆地の思いをしっかり受け止めてもらいたい。
戦争を回避し、核兵器をなくすために何が必要か。「最後は人間の英知が問われる」。「核なき世界」に一歩ずつでも近付くため、被爆国としての英知を示したい。

【中日新聞】原爆忌に考える いつもの夏と違って
長崎の平和宣言は、起草委員が集まって、議論しながら内容を詰め、一編の文章に編み上げる。委員は学識者、被爆者、関係団体の代表など十五人。今年五月の一回目の会合で長崎市が示した文案には「集団的自衛権」の六文字はありませんでした。政権を支持する議員が多くを占める市議会との関係が、市長を悩ませたと言われます。しかし委員の間から「避けて通れない」との声がこもごも上がり、市長は受け入れました。
なぜ起草委は、そこにこだわったのか。「被爆地の権利と義務だから」と、田上市長の背中を押した委員の一人、元長崎大学学長の土山秀夫さん(89)は語ります。土山さんは兄一家四人を原爆で失いました。当時の政府がもう少し早く降伏を決断していれば、そもそも戦争などはじめなければ、原爆は落ちてこない。広島と長崎は愚かな政治の犠牲になった。だから今、政権に物申す権利がある。
自衛の名目で始めた戦争が最後にどこへ行き着くか、世界中でヒロシマとナガサキだけが、知りすぎるほど知っている。だから、訴える義務もあるのだと―。

【日経新聞】核廃絶への関心を高めたい
原爆の恐ろしさを忘れないことが核廃絶への原動力になる。そのためにも、貴重なる被爆者の声に耳を傾けたい。教育の場で核問題を学ぶ機会も確保したい。
来春には世界中の国が集まって核兵器廃絶を議論できる核拡散防止条約(NTP)の再検討会議が開かれる。唯一の被爆国である日本が、生き証人の声を基に核廃絶を訴えることができる最後のチャンスにもなりかねない。
3年前の大震災に伴う原発事故で日本はまた放射能被害と向き合うことになった。原爆と原発は同列に論じられる問題ではないが、無関心や慢心が悲劇につながるという点では同じではなかろうか。核問題に関心を持ち続けたい。

【読売新聞】朝日慰安婦報道 「吉田証言」ようやく取り消し 女子挺身隊との混同も認める
朝日新聞は1982年9月、「最終島で200人の若い朝鮮人女性を『狩り出した』」とする戦時中労務報国会下関支部動員部長だった吉田清治の発言をうのみにして報じた。
今回、吉田証言を始めて虚偽と判断し、それをめぐる記事をようやく撤回した。92年に疑問が指摘されながら、20年以上にわたって、放置してきた朝日新聞の責任は極めて重い。慰安婦の強制連行があったとする誤解が国際社会に拡大する一因となった。
朝日新聞のもう一つの重大な問題は、慰安婦と女性を軍需工場などに動員した「女子勤労挺身隊」との混同である。今回はじめて混同の誤りを認めた。
疑問なのは、「強制連行の有無」が慰安婦問題の本質であるのに、朝日新聞が「自由を奪われた強制性」があったことが重要だと主張していることだ。フィリピンやインドネシアなども含め、戦時中に多数の女性の名誉と尊厳が傷つけられる行為があったことは確かである。政府・軍の強制連行はなくとも、現在の人権感覚では、許されないこともあっただろう。しかし、「戦場での性」の是非と軍の強制連行があったかどうかは区別して論じる必要がある。広義の強制性があったとして日本政府の責任を問うことは、議論のすりかえではないか。

【産経新聞】朝日慰安婦報道 「強制連行」の根幹崩れた これでは訂正になっていない
朝日新聞が慰安婦問題の報道について、一部の記事が虚構だったことを認めた。だが、その中身は問題のすり替えと開き直りである。これでは日本がいわれない非難を浴びている原因の解明には結びつかない。
平成4年に現代史家の秦邦彦氏が済州島で現地調査を行なった結果、地元の古老らが吉田証言を否定した。産経新聞は、この秦氏の調査結果を報じた。
朝日の報道が日韓関係悪化の発端となったにもかかわらず、「自国の名誉を守ろうとする一部論調が、日韓両国のナショナリズムを刺激し、問題をこじらせる原因をつくっている」とここでも責任を転嫁している。
※私が疑問に思うには、済州島における強制連行が事実でなかったとしても、それで「強制連行問題」全てを否定できるのか、という点です。別に従軍慰安婦だった人の「強制」の証言があります。

                      2014.8.7 日本ジャーナリスト会議 大西 五郎
コメント (12)
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