男孫のセイちゃんが4年生末の通知表を僕に見せる前、誇らしげに言う。
「僕は、体育も音楽も図工も得意でしょう?」
直ぐに確認すると、その3科目とも3点ずつの評価点があって、その合計9点全てが二重丸。他の科目はこれほど良くはない。
この娘夫婦は3年半程前から別居状態、娘の側から離婚前提で別居していて、歩いて10分ほどに住んでいる僕が言わば父さん代わりをしてきたので「ジイちゃんが、父さんなんだよね」と語るセイちゃんである。そのたびに僕が言い聞かせることがこれ。
「いや、父さんはちゃんと居るんだよね。土日ごとに君と二人で遊びに出かけて、君が父さんの実家に泊まってくるんだし」
ともあれ、話は彼の成績についてだ。娘も僕も、この3科目の満点が将来的学力についても非常に重要なことだと考えて来た。小学低学年で成績のよい子が、学年が上がるにつれて落ちていく例は多い。勉強は記憶力だと考え、ガリ勉を習慣づけられた子などに多いようだ。逆に、低学年では目立たないが、学年が上がるにつれて「全般が良くなっていく」子に、この3科目が真っ先に伸びていく子が多いのである。物事をいろいろよく考えて的確に、楽しみながら努められる子だからであろう。この3科目についてはまた、これらの上達(の過程や原因、コツ)が、単なる点数アップのように抽象的なものではなくって、子どもの目にも手に取るようによく見えて、子どもでも分かるものだということが重なっているのだろう。
僕は、彼の自薦、自負の内容に合わせて、こう応える。
「うん、この三つの好成績は、特にとっても良いことだ。セイちゃんこれから、全部がどんどん良くなっていくよ!」
そう言えば近頃、いろんな上達を僕に話してくれるようになった。通っている体操クラブの「名古屋東部」連合運動会で、3,4年生の跳び箱の部優勝を果たしたのだが、横置き箱15段の歴代4年生最高記録に並んだのだった。この時の僕は、娘にこう解説したものだ。
「セイちゃん、公園で一緒に遊んでる時に何気なく立ち幅跳びを見せてくれたけど、すごいんだよ! いろいろ聞いたら、最近学校の体育でやっていて、2mを超えたって! 学年ただ一人の2m超えだそうだ」
ちなみに、学校教育用跳び箱の15段に並んでいる写真を見たが、セイちゃんの身長よりも4~50㎝も高いものだ。
また、学童保育のドッジボールについて、昨日こんな報告もあった。
「最近は、上級生のボールも受けれるようになって、怖くなくなったよ! じいちゃんより速いボール投げる子もいるんだよ! 6年が一人、5年に二人」
そんな報告を受けていると、最近のこういう情景も思い出した。この一年ほどある都市公園の懸垂器具に上がらせてきたが、今はきちんと正式に4回をやりおおせるのである。脚も上半身も強い子なのだ。跳び箱技術でも、下半身だけではなく上半身の振り上げが重要なはずと、直ぐに思い至ったものだった。
子どもとの付き合いは僕には楽し過ぎる。息子、娘ともよく、楽しくつきあってきたそのときの学習が、そのまま84歳になる今に生きているのである。